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2025/05/13 更新

米国公認会計士(USCPA)は取るべき?メリット・デメリットから考える最適な選択

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はじめに

今回は国際資格の一つである「米国公認会計士(USCPA)」について解説させていただきます。

ここ数年で知名度・人気共に高くなってきている資格なので、結論としてはおすすめできる資格です。

 

1.米国公認会計士とは

米国公認会計士(U.S. Certified Public Accountant 通称USCPA)は、その名のとおり、アメリカの公認会計士です。

ありがたいことに、米国公認会計士試験は、日本(東京と大阪)でも受験することができます。

そして、すべて英語での出題という難易度の高さはあるのですが、日本の公認会計士試験の難易度と比べるとかなり優しい問題が出題されるため、日本の公認会計士と比べると遥かに取りやすい資格です。
しかも、PCで受験しますので、論文という難儀な試験がございません。
さらに、4科目それぞれを1科目ずつ受験でき、かつ、1年を通していつでも受験することができます。
それもあって、今かなり人気が出てきておりまして、私の周りでも受験者及び米国公認会計士取得者が増えております。

 

2.米国公認会計士のデメリット

先ほど述べたとおり、米国公認会計士は最近人気が出てきています。
しかし、多くの人が受験を断念しているのもまた事実です。
なぜならば、米国公認会計士の受験には、様々なデメリット(困難といってもいい)があるからです。

その点について簡単に解説しておきたいと思います。

 

(1)受験資格が厳格

米国公認会計士を目指そうと思った場合、最初にぶち当たるのが受験資格という壁です。
これがまたわかりにくい上に、お金もかかるのです。

そもそも、米国公認会計士の受験資格は、各州によって異なります。
アメリカに留学などをした経験がある人はわかると思いますが、アメリカは小さな国がいくつも集まって合衆国を形成しているようなものなので、州によって法律も変わりますし、考え方や文化も全然違ったりします。
そのため、公認会計士試験の受験資格に対する価値観も違うのです。
ゆえに、まずはどこの州が最も自分に適しているのかを検討するところからスタートしないといけません(調べる事自体が大変です)。

ただ原則は、4年制大学を卒業して、学士号を持っていることが必要です。
例外的に、卒業前にも受験できる州は存在するのですが、原則は学士号必須とお考えください。
この時点で高卒の人は原則諦めざるを得ないことになります。

さらに、単位要件まで設けている州が多いので、会計やビジネスの分野の単位を取らないといけません。
よって、この時点で理系の人には受験資格がありません。

文系であっても、商学部・経営学部などの会計・ビジネスの単位が多い学部以外ならば、原則は受験資格が認められないことになります。
この場合は、別途アメリカの大学で単位を取得しないといけませんので、日本の予備校(米国の大学と提携している予備校)にお金を払って単位を取得する活動が発生します。

 

(2)ライセンス登録が厳格

受験資格を何とか突破して、全科目に合格できたとしても、日本人が日本に居住したままライセンスの登録を行える州は極僅かです。
つまり、全科目合格してはいるけど、ライセンス登録はしていないという人が相当数います。
ライセンス登録しない限り米国公認会計士とは名乗れないので、あくまでも試験合格者という状態です。

また、ライセンス登録要件として、学士号や単位要件を設けている州が多いので、別途費用をかけないと登録できないこともあります。

なお、受験資格・ライセンス要件については、各州でルールが異なるので、この点についてはリアルタイムで情報を収集している有名予備校に聞くのが一番早いです。
講座を検討するときにいろいろと教えてくれますので、自分に受験資格があるのか、ライセンス登録できるのかという点について、事前相談をしてみると良いです。

 

(3)学習費用が高い

米国公認会計士の受験生が爆発的に増えないのは、受験資格やライセンス登録要件のせいだけではありません。
おそらく最も大きな壁は、学習費用です。

まず、一部の人を除いて、原則は受験資格を満たすために単位取得費用がかかります。
そして、日本人が独学で学習するのはほぼ不可能なので、予備校の講座費用がかかります。
さらに、受験料が恐ろしく高いので、1科目あたり約12万円(為替レート次第)かかります。
落ちたらまた受けないといけないので、その都度12万円かかります。
他にも細々とした手数料を要所要所で取られますので、最終的にライセンス登録までするのに総額で80~130万円ほどかかります。

この学習費用は、その人の出た大学や保有している単位、科目試験で落ちた回数などによって大きく変わります。

それだけの費用をかけてまで、受かるかどうかわからない国際資格を取りたいと思う日本人は少ないので、爆発的には増えていないという構造です。

 

3.米国公認会計士の転職市場での価値

試験の詳しい内容や手続きの大変さなどは予備校で確認いただくとして、これだけのコストと労力をかけてまで受ける価値があるのか、転職でちゃんと価値を認めてもらえるのか、という点について私の見解を述べさせていただこうと思います。

 

(1)米国公認会計士の転職市場での評価

米国公認会計士は転職市場でも高く評価されていますが、日系企業と外資企業では評価の高低に大きめの差があるかなという印象があります。

まず、純粋な日系企業で、かつ、経理のプロがほしいという会社にとっては、日商簿記1級の方が有益だと思います。

他方で、外資系企業の経理、または国際会計基準や外国子会社等を持っているような会社の経理については、英語と会計の両方ができる人の方が人気なので、米国公認会計士の方が高く評価されます。
その他、外資系コンサル企業でも米国公認会計士は人気です。

ただ、いずれにしても資格だけで無双できるというわけではありません。
米国公認会計士は難易度的には日商簿記2級と1級の間くらいの難易度なので、英語がある程度読めて、会計もある程度わかるという証明にしかなりません。
そのため、資格と実務経験(経理・財務・監査など)のセットでやっと高く評価される資格です。

 

(2)米国公認会計士の将来性

日本で取れる国際資格の中では、おそらく最上級に価値の高い資格だと思います。
そのため、当然に将来性はあります。

というより、急速な高齢化によって、日本そのものの将来が今かなり怪しくなって来ていますので、相対的に米国公認会計士の価値やニーズが高くなっていっています。
もうこれからの時代は、日本語のみで日本だけの会計基準で生きていく世界ではなくなっていくと思います。
徐々に日本という国の国力が低下していくので、否が応でも国際化せざるを得ません。
そうなると、英語と会計の両方を習得できる米国公認会計士は、将来性の塊のような資格です。

今の若い世代(10代~20代)の人たちについては、働く場所を日本だけに限定せず、英語圏全体に拡張できるかどうかが、今後の人生を生き抜く鍵になると思います。
そう考えると、米国公認会計士は最適の資格といえるでしょう。

米国公認会計士試験は、受験料についてはぼったくり価格ですが、日本の公認会計士・税理士試験のように、不必要に問題を難しくして難易度を上げるということをしていない試験なので、誰でも努力すれば合格し得る難易度です。
だからこそ、日本の三大国家資格と異なり、お金さえかければ、努力がちゃんと報われる試験だと思います。

しかも、米国公認会計士は国際資格としての知名度が抜群に高く、どこの国でもある程度の知名度を持っています。
それゆえ、一度取得してしまえば、世界中の国で自分の実力を証明することができます。
小さい島国である日本の国家資格ではなかなかこうはいきません。
そういう意味で、有益な国際資格だと思います。

 

(3)今から米国公認会計士を目指すべきか

結論からいうと、今からでも目指す価値は十分にあると思っています。
ただし、年齢などによって価値が変わると思うので、場合分けして考えていきます。

まず、現在学生または20代の方で、先々会計分野又は各種経営コンサルの領域で戦っていきたいと思っている方の場合は、今すぐにでも取りましょう。
総額で100万円程度のコストはかかりますが、先々の年収の上昇を考えると十分なリターンが見込める投資だと思います。

そもそも、米国公認会計士は働きながらでも普通に取れる資格なので、日本の公認会計士試験と比べると負担はかなり軽減されています。
そして、米国公認会計士の学習を通じて、会計・監査・税法(アメリカ税法)・ビジネスの全体的な知識が得られ、かつ、国際資格も取得し得るのですから不合格となってもあまり損はないと思います。
また、すべて英語の問題なので、勉強を通じてビジネスレベルの英語読解能力が身についていきますから、100万円をかけてたとえ受からなかったとしても、真面目に勉強していれば知識や英語力は身につくはずです。
その英語力は先々キャリアにプラスの効果をもたらします。
そういう意味でもあまり損がないと思います。

ただし、米国公認会計士を受験する前に、最低でも日商簿記2級は取っておきましょう。
単に米国公認会計士という資格だけがほしくて、会計専門職に就く気はないというのであれば、簿記を飛ばしてもいいと思うのですが、会計専門職になるなら日商簿記2級程度の知識は持っていて当たり前です。

そしてもう少し実務的なお話をすると、米国公認会計士は日本の簿記検定と異なり、仕訳の問題があまり出題されません。
そのため、簿記検定を取らずに米国公認会計士だけを取得している人については、経理として最も重要な仕訳能力が足りないことが多いので、使い物にならないとみなされることがあります。
そうならないためにも、日商簿記2級程度までは最低限の基礎知識として取っておいた方が良いです。

 

次に、30代以降の方で、今すでに会計専門職又は経営コンサル領域で働いている場合は、できる限り早めに取ってしまった方が良いと思います。

米国公認会計士を持っていれば、自分の市場価値を高めることができますし、ビジネスレベルの英語能力(主にリーディング能力)があることの証明にもなります。
少なくとも、持っていて損することはないので、100万円程度の投資価値はあると思います。

 

最後に、30代以降の方で、今まで会計に関わったこともなく、コンサル職でもないという方については、その人のキャリア志向次第だと思います。

米国公認会計士は、目指し始めて合格するまでに、早い人で半年(日本の公認会計士ならこの程度の期間で合格し得る)、普通は2年ほどかかります。
学習開始時点の英語能力が低ければ、3年くらいかかることもあります。
それだけの期間と100万円程度のコストをかけるのですから、それ相応のリターンが見込めないと投資になりません。
そのため、合格後に会計専門職になる意思があるとか、経営コンサルの領域で頑張っていきたいとか、外資系企業の経理や海外で会計職として働きたいなどの志向がない限りは、あまり意味がないかもしれません。

ただ、趣味として取るという場合でも、私はオススメできるなとは思っています。
なぜなら、会計・ビジネス・英語の領域の勉強は、汎用性が高い知識を得られるので、あまり損がない領域の勉強だからです。

 

おわりに

ということで、今回は米国公認会計士試験の解説と、転職での有利性について私見を述べさせていただきました。
異論反論もあると思いますが、少なくとも取って損をするような資格ではないと思っています。

それでは今回の記事も最後までお読みいただいてありがとうございました。

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株式会社WARC

瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長/ 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate/ 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です

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