今回は「公認会計士」という資格について解説させていただきます。
実は弊社(株式会社WARC)は、ベンチャー企業のCFOとしてIPOを経験した公認会計士たちによって創業された会社で、社内にも公認会計士や税理士が多く在籍しています。
そして、事業内容の一つとしてCFOなどのハイクラス層向けの人材紹介を行っているため、日頃から経理や財務、CFOなどの転職事例を見聞きします。
それもあって、私の中では転職市場で最強の資格は公認会計士ではないかと感じています。
結論だけ先に述べると、持っているだけで仕事に困ることはほとんどなくなるくらい最強の資格です。
公認会計士とは、その名のとおり会計分野の専門家なのですが、その活躍が目立つのは「会計監査」という分野です。
この会計監査とは、会社の作成した財務諸表が、日本又は国際会計基準に則って適正に作成させているかをチェックする行為です。
株式会社というのは、ある程度の規模に達すると、年に最低1回以上、会計監査人による会計監査を受けないといけません。
そしてこの会計監査人になることができるのは、監査法人又は公認会計士です(会社法337条1項)。
規模が大きな会社の場合は、公認会計士たちが設立した監査法人が監査を担当しますが、法律上はたった1人の公認会計士でも監査して良いことになっています。
それほどの権限を与えられた会計の専門家こそが、公認会計士です。
公認会計士は、日本の三大国家資格(司法試験・不動産鑑定士試験・公認会計士試験)の一つですから、それ相応の権限と専門性を持っているということです。
※実際には大企業を一人で監査することは稼働時間的にほぼ不可能
それでは、公認会計士という資格が、転職でどれほど強いのかという点について語っていきましょう。
おそらく経理・財務その他会計専門職の採用に関わっている人にとってはすでに自明のことだと思いますが、改めてお話していきたいと思います。
公認会計士が転職に強いというのは、多くの方の共通認識であり、実際にとても強いです。
転職市場では、間違いなく最強の部類に属すると思います。
その理由の一つは、会計人材に対する旺盛な需要にあります。
特にベンチャー企業での需要は常に旺盛で、ここ10年くらい衰える気配すらありません。
なぜなら、ベンチャー企業は常に資金繰りと資金調達の悩みを抱えているからです。
そして、適切な資金調達を実行するためには、自社の財務状況に関する正確な情報が必要になります。
しかし、普通のベンチャーには、会計に詳しい人材はほとんどいないので、原則は経営陣と経理だけでなんとかしないといけません。
これだと非常に効率が悪い上に専門知識が不足しがちなので、早い段階で外部から会計のプロフェッショナルを採用する必要が出てきます。
このときに真っ先に検討の対象となるのが公認会計士です。
仮に、運良く既存メンバーのみで資金調達に成功したとしても、その後IPO(新規上場)やM&Aによるエグジットのことも考えないといけないので、会計に関連する業務が徐々に多くなっていくのです。
これをCEOやCOOが事業の片手間で行うのは非効率的です。
そこで社内の会計業務を統括する人材として、公認会計士が求められることになります。
さらに、いざ上場できたとしても、今度は上場基準を維持し続けるために適切な会計処理を行って、正確な財務諸表の公表をしないといけませんので、引き続き会計専門職の需要が高いままです。
しかも上場企業であれば業種に関係なく常に会計専門職が必要となるので、ここでも公認会計士の需要が高い状態です。
このような構造があるので、公認会計士への需要は高いままで、下がる気配すらないのです。
前述のとおり、公認会計士は様々な会社から常に求められていますが、ただそれだけであれば最強とは言えません。
公認会計士が転職市場で、他の職種よりも無双状態になれている理由は、会計人材の希少性にあります。
皆さんが日頃生活している中で、公認会計士や税理士に出会う回数は、そこまで多くないはずです。
それもそのはず、公認会計士協会に登録している公認会計士は、2025年3月31日時点で36,964人しかいません。
日本の人口が1億2,000万人だとすると、約0.03%です。
国民の3,333人に1人くらいしか公認会計士はいないのです。
SSSランクのレアキャラです。
一方で税理士は全国に約81,000人いるので、まだ出会えそうです。
顧問税理士などは街中にも結構いますから、少しだけ身近に感じられます。
ただそれでも全国民のうち0.067%しかいないので、1500人に1人くらいです。
十分にレアキャラです。
そして、公認会計士も税理士も、その多くが監査法人又は会計事務所(税理士法人)に勤めてしまうため、転職市場にほとんど出てきません。
転職市場に出てきたとしても、その多くが外資コンサルやM&Aコンサルなどの高所得職種に転職していきますし、事業会社に行くとしても、待遇の良い名だたる超大手企業に転職します。
そのため、日本の企業の99%以上を占める中小企業・ベンチャー企業、ないしは中堅企業の経理、財務、経営企画などに応募してくれる可能性は極めて低いと言わざるを得ないです。
その結果、需要と供給のバランスが崩壊しております。
最近では、公認会計士や税理士の皆さんは、普通に転職活動をするより、副業で手伝う方が多くのお金を稼げたりします。
会計専門職自体が、圧倒的に数が少ないので、副業でもスポットでもいいから手伝ってほしいというケースが多くあるのです。
それゆえ、WARCが運営するWARCMORE(公認会計士や税理士などの会計専門職の皆様の副業プラットフォーム)が盛況なのだろうと思います。
※会計専門職の皆さん!登録、お待ちしております
私がベンチャー業界に関わるようになってからすでに10年ほど経ちますが、公認会計士への需要が減退した瞬間を一度も見たことがないです。
常に何かしらの案件・求人がある状態なので、本当に最強だなと感じています。
最近では、公認会計士や税理士でなくても、簿記1級(又は全経上級)くらいを持っていれば、十分に生きていけるほどの需要があるので、公認会計士という資格に限らず、会計という分野そのものが強いのかもしれないと思っています。
では、公認会計士を今からでも目指すべきでしょうか。
この論点については場合分けをして考えていきましょう。
まず、学生や20代前半の若手皆さん、あるいは20代で高度な会計を学んだことがある人の場合は、是非目指していただきたいと思っています。
日本の三大国家資格の一つなので、難易度は極めて高いですが、合格してしまえばリターンも大きいと思うので、リスクを取る価値があると思います。
ただし、滑り止めとして、日商簿記1級又は全経簿記上級は取得しておきましょう。
公認会計士試験にストレートで合格する人は少数派ですし、何年も落ち続けるという人も一定数いますので、リスクヘッジはとても大切です。
難易度の高い国家資格を目指すときは、必ず他の中難易度の資格などを取得することでリスクヘッジをしておきましょう。
次に、20代後半の他職種(会計専門職以外の職種)の方や会計を学んだことがない人については、いきなり公認会計士を目指すのはリスクが高い行為だろうと思います。
公認会計士の前に、まずは日商簿記1級・全経上級を目指すべきです。
それを余裕でクリアできたのであれば、公認会計士を目指すのもありだと思います。
ただし、仕事は辞めないようにした方が良いです。
無職の専業受験生になるのは、ある意味勇気があって格好の良いことですが、何年も落ち続けたら洒落にならないほど不利な状態に陥るので、働きながらの合格を目指したほうが良いと思います。
そして、公認会計士を目指すよりは、永年の科目合格制がある税理士試験を目指した方が合理的です。
最後に、30代以降の方については、あまりオススメはし辛い状況です。
30代以降から目指し始めた場合、公認会計士として実務に出るのは早くても30代半ば、普通は40代目前の頃です。
そこから公認会計士補としての下積みを経て、実務家として一人前になる頃には、40代半ば~50代になっていると思います。
そもそも合格する可能性が極めて低い難関資格なので、よほどお金と心に余裕がある人以外は、得策ではないと思われます。
ただし、若い頃に会計の勉強をしていて、簿記1級以上をすでに持っているのであれば、働きながらの受験もありかもしれません。
いずれにしても、後悔のない人生を歩んでください。
ということで今回は、公認会計士という転職市場で最強の資格について解説させていただきました。
誰がどう見ても強い資格なので、持っていて損をすることはなかなか考えられない資格です。
WARCで働きたい!WARCで転職支援してほしい!という方がもしいらっしゃれば、以下よりご連絡ください。
内容に応じて担当者がお返事させていただきます。
「WARCエージェント」なら、大手上場企業からIPO準備企業のベンチャー求人まで幅広く対応しています。
業界トップクラスの転職実績もあり、業界に精通しているエージェントも多数在籍していますので、ぜひ気軽にご相談ください!