今回は、経理・財務・IRなどの会計専門職の転職において、ベンチャー企業側から評価されやすい資格をご紹介していきたいと思います。
会計専門職には、経理財務だけでなく、経営企画、CFO、M&A担当など様々な職種がありますが、そのいずれの職種に置いても、この2つの国家資格はダントツで強いです。
どちらかを持っていれば、ほぼ間違いなくスカウトが量産されますし、いくらでも働き口があります。
もっといえば、この2つの国家資格のうちのいずれか、または両方(公認会計士の場合は税理士にもなれる)を持っている人は、企業内で働く必要すらないです。
独立開業しても十分に稼げる資格で、各種のコンサルティング業務だけで生活できてしまいます。
あとは本人の専門性と営業力次第です。
最近のベンチャーの一部では、日本市場だけでなく海外市場でも商品・サービスを展開している企業が増えてきました。
それに伴って、国際会計基準に対する理解を求める企業が多くなってきています。
そのような企業に対しては米国公認会計士が有効で、持っていると高く評価されます。
できれば、米国公認会計士と合わせて以下で解説する日商簿記1級を持っている方が良いです。
日本での会計処理も高度に理解した上で、米国公認会計士の資格も持っているという状態が最も評価されやすい状態だと思います。
日商簿記と全経簿記は、簿記の検定という意味では同じなのですが、同じ級でも学習範囲が全く異なるので注意が必要です。
まず日商簿記は、3級・2級・1級の3種類で、最上級が1級となっております。
一方で全経簿記は、3級・2級・1級・上級で、最上級が上級です。
日商簿記1級と全経簿記上級が大体同じくらいの難易度と考えられていますが、日商簿記の方が計算能力に特化している試験で、全経簿記上級は理論面も重視している試験となっています。
経理・財務などの会計専門職として長く活躍したいのであれば、日商簿記1級又は全経簿記上級を取得しておくことをおすすめいたします。
管理職の募集や社内のメンバーを管理職に任命するかどうかを検討する際に、それらの資格を持っているかどうかが一つの目安になることが多いからです。
なお、日商簿記2級や全経簿記1級も素晴らしい資格ではあるのですが、転職市場で持っている人が非常に多いので、日商簿記2級又は全経簿記1級のみだと差別化ができません。
これが日商簿記1級や全経簿記上級になると、持っている人が極端に少なくなるので、プロフェッショナルレベルの知識があるという証明として機能します。
中小企業診断士というのは、経営コンサルタントのための国家資格です。
経理や財務に直接的に関係するかといわれると少しズレますが、持っていて損をするような資格でもないので一応ご紹介いたします。
中小企業診断士の主な試験科目は、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」となっていて、経営に必要な総合的な知識を修得できます。
試験は、マークシート→筆記→口述と3段階ありまして、難易度がかなり高い資格です。
真面目に勉強して、働きながら1~3年かけて取得する試験なので、生半可な覚悟で受けに行くと玉砕する国家資格です。
これほど難しいにもかかわらず、この国家資格には独占業務がありません。
そのため、別に無くてもできてしまう業務のために取得する資格という位置づけなので、そこまで実用性が高い資格かと言われると怪しいところがあります。
もちろんあって損はないですし、知識的には間違いなく有益なのですが、得られる評価リターンが、試験を突破するのにかかる労力に見合ってない感じがあります。
今後は変わっていくかもしれませんが、今の時点ではそのような資格です。
ビジネス会計検定は、簿記資格は持っているけど、日商簿記1級や全経簿記上級を取れるほどの実力はまだない。
でも、何とか他の人と差別化を図りたい。
そんなときに受けてみると良いかもしれない資格です。
この資格は、大阪商工会議所が主催していて、3級から1級までございます。
日商簿記が記帳技術を問う試験である一方で、ビジネス会計検定は、財務諸表を読み解く能力や分析能力を問う試験です。
そのため、どちらかというと財務・経営企画職などで使える知識が身につくと思われます。
また、簿記の知識と合わせることで、更に深く会計がわかるようになると思うので、理解の深化のためにも有益です。
経理財務の専門家の皆さんなら知っている人も多いと思うので、2級以上を持っていれば、ある程度評価してもらえると思います。
専門分野が少し違いますが、証券アナリストという資格も有益だと考えています。
この資格は、主に株式等の証券分析を行うプロフェッショナルの資格ですが、勉強の分野に企業価値評価なども含まれているので、財務や経営企画としての専門スキルと重なりがあります。
数学を多用する資格なので、文系には若干キツいところがありますが、高校の数学Ⅲくらいまでをちゃんとやっていれば十分に合格可能性のある資格です。
CFOクラスの人たちであれば、証券アナリストの難易度の高さや試験内容を知っている人も多いと思うので、持っていれば評価が高くなると思います。
少なくとも評価が低くなることはありませんし、証券会社出身のCFO等などであれば高く評価してもらえるはずです。
取得するのに比較的お金と時間がかかる資格ですが、数学が好きな人は持っておいて損はないと思われます。
知名度が高くない資格ですが、未上場ベンチャーの経理マネージャー・財務マネージャー・CFO等を目指すなら持っておきたい資格です。
標準レベルと上級レベルがありますが、できれば上級を取得しておくべきです。
この資格は、上場準備の実務を遂行するにあたって必要となる知識を総合的に学べる資格で、上級まで取得しておけば、上場準備実務を体系化して理解できるようになります。
監査法人や証券会社のIPO実務担当者くらいしか受けない資格だと思いますが、だからこそ専門性が高く、未上場ベンチャーがこれからIPOを目指す際に必須の知識が詰まっています。
IPOの実務経験がほしいと思っている経理・財務の方は多いと思いますが、その際に最低限の知識があることの証明として取っておいて損はないと思います。
ただ前述のとおり知名度がかなり低い資格であるため、この資格の価値がわかる経営者・人事が少ないというデメリットはあります。
財務報告実務検定は、IR分野の知識が得られる資格です。
IPOを目指すベンチャー企業の場合、N-1くらいまでくると、ディスクロージャー(開示)の整備が進んできます。
しかし、IR担当者を専任で雇うのはまだまだ先のお話で、通常は経理または財務のメンバーが兼任する形になると思います。
このような場合に、経理財務の担当者がIRのことを全く知らない、わからないというケースが多くなります。
IRはたしかに会計に関連するのですが、別の専門分野という感じなので致し方ないことです。
でも、ベンチャーではそういう事情に関係なくタスクが降ってきます。
そのような事態に陥る前に自分で自分を守る手段として取ってくと良い資格だと思います。
今回は会計専門職向けに、ベンチャー転職で強い資格をピックアップしてご紹介させていただきました。
皆様の今後のキャリア設計の参考になれば幸いです。
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