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コラム
2024/11/13 更新

ベンチャー経理財務は未来の経営人材になれる理由を解説

はじめに

ベンチャー業界に入って10年近く経ちますが、ベンチャーの経営管理部門にとって最も重要な部署・人材は経理・財務だと感じています。
特にIPOを目指すようなベンチャー企業では、経理財務が弱いとなかなか前に進むことができません。
業績が順調であることを前提にすると、IPOの実現は経理財務にかかっていると言っても過言ではないと思っています。
それくらい重要な部署です。

もし若手の皆さんが先々ベンチャーのコアメンバーとして要職に就きたいと思うのであれば、私は経理や財務といった職種を経験しておくべきだと考えています。
その方が経営全体を見れるようになるからです。

今日は、経理・財務をなぜ推すのかという点について語りたいと思います。

1.経理・財務とは

経理・財務の仕事について、簡単にですがご説明させていただきます。

経理・財務とは、広くいえば両方会計専門職に属しますが、その業務内容はかなり違っています。

まず経理については、会社の過去のお金の流れを扱う業務を主に担当します。
現時点より過去に使ったお金(仕入れ等)と、入ってきたお金(売上等)を帳簿に正確に記すことが主たる業務です。

そして、毎月月次決算を締めて、正確に過去のお金の流れを記録し、最終的には決算書や税務申告書に落とし込んでいきます。
法人にも当然に税金を支払う義務がありますから、この月次決算等が正確になされていないと確定申告すらできずに税金を正しく支払うことが出来ません。
確定申告ができないというのは法にも反するとても大きな問題なので、経理は極めて重要な役割を担っているのです。
私の中では、会社に存在する全部署の中で最重要部署と考えています。

一方で財務は、会社の未来のお金の流れを扱う業務を主に担当しています。
今期どれくらいのお金が必要になるのか予算を立て、足りなそうであれば資金を調達する業務を担当します。
一般的な言葉でいうと「資金繰り」です。

他にも、会社の内部統制と整えることや監査法人の対応なども業務に含まれます。
そのため、極めて高い財務会計リテラシーが必要で、監査法人(ほぼ全員が公認会計士)と対等に議論できるだけの知識が必要です。

このように、経理と財務は「会計学」という広い学問内では共通しているので、一括りにされがちではありますが、実際の業務範囲は異なります。

2.経理と財務で使う学問分野

会計学の分野を大きく5つに分けると、財務会計税務会計管理会計ファイナンス(資金調達)監査論という5つの分野に分けることができます。

上記のうち、経理は財務会計・税務会計という2つの分野の知識を多く使います。
他方で財務は、財務会計と税務会計の知識があることを前提として、管理会計・ファイナンス・監査論の知識まで幅広く使わないといけません。
そういう意味では財務の方が広く学んでおかないといけない部署かなと思います。

ただし、経理については財務会計・税務会計を深く理解しておかないといけないので、難易度という意味では経理・財務どちらも難しいです。

ちなみに、財務会計は日商簿記という資格で学ぶことができます。
そして、税務会計の専門家は税理士です。
監査論は公認会計士の得意分野です。
管理会計やファイナンスは大学院等で深く学ぶことができます。

これら5つの会計分野は、一つ一つが広くて深い学問分野なので、一概にどれが簡単でどれが難しいという評価は難しいところですが、少なくとも財務会計は会計専門職なら全員が学ばないといけない分野です。
そのため、会計専門職に就きたい場合は、まずは日商簿記から始めてみるというのが良いと思います。

もっとも、同じ会計専門職であっても、職種によって年収差が激しいので、その点も考慮に入れて将来設計をした方が良いと思います。

会計専門職の中で、年収帯が最も高いのはファイナンス専門職です。
M&Aコンサル、証券業、投資銀行等の方々が平均年収を跳ね上げています。
そして一般的には、経理職の平均年収より財務職の平均年収の方が高いです。
これは、経理職の中に簿記を取得したばかりの新卒や若手などが多く含まれることから平均値が下がってしまうからです。

先々どの分野の会計専門職になるかわかりませんが、最初は経理から入ることが多いと思いますので、その後の展開を考えて学習を進めていきましょう。

3.経理財務は未来の経営人材

原則として経理財務は、将来経営を担う可能性が高い人材だと考えています。
なぜなら、会社内に存在する全部署の中で、会社全体を正確に把握し得る部署は、経営陣を除いては経理財務しかないからです。
しかも、一般的な経営陣よりはるかに細かい会計情報が得られる部署です。
内訳まで把握できるので、いつ、誰が、何のために、いくら使ったのかを調べることもできます。

このように、経理財務は会社のお金の流れ、財務諸表の状態、資金繰りなどの情報がほぼ全部見れる部署です。
経営陣の意思決定の変遷すら追うことができます。
言い換えれば、経営を数値化して分析できる部署なのです。

普通の会社では、取締役会等で経営上重要な意思決定がなされます。
それに基づいて様々なお金が動き、四半期ごとに変化が現れてきます。
経理財務は、それらの過程をほぼリアルタイムで観察することができます。
経営を学ぶという意味では最高の部署です。

将来経営陣に入りたいと思っている新卒がもし経理財務に入れるなら、それは幸せなことだと思います。
経営で最も重要な数値管理のイロハを最初から実践で学べるのですから。

だからこそ、経理財務人材の皆さんは、日々業務をこなすことだけを考えるべきではないとも思っています。
自分が経営幹部候補なのだという自覚を持ったほうが良いです。

経理財務を数年経験した人たちは、とても優れた人材であり、かつ、先々大きな成功を手にする可能性が高い部署で働いてきた人たちです。
ただ日々の業務をこなすだけなんて勿体ないです。
経験は資産ですから、有効に活用してください。

若手の皆様にはぜひとも、経理財務に入って、BS、PL、CFなどを正確に読み解く力を身に着けて、早い段階で資金調達にも関わり、経営者としての経験値を得てほしいと思っています。

おわりに

今回は経理財務がどれだけ重要な職種なのかということについて書かせていただきました。

今まさに経理・財務として経験を積んでいる皆様は、とても重要な部署で働いているので、安心して頑張ってください。

もし、今の職場での経験に満足できないなら、他の会社のポジションも見てみるべきです。
自分が将来なりたい会計専門職の分野を早く特定して、そこに直結した経験を積める会社に行きましょう。

基本的には会計専門職は需要のほうが大きいので、一定の資格と経験を持っていれば引く手数多の状態になります。
他の職種より遥かに効率的に転職を行えると思うので、資格等を早く取ってしまって、価値の高い実務経験を取りに行ってください。
陰ながら応援しております。

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株式会社WARC

瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長/ 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate/ 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です

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