転職者側、企業側問わず、せっかく転職(採用)したのに、入社した後で後悔するというのはとても悲しいことですし、できれば双方共に経験したくないですよね。
そもそもこのような事態に陥る原因は、主に期待値のミスマッチにあります。
転職者側からの期待は「良い会社だろう」という期待です。
一方で、企業側の期待は「良い人材だろう」という期待です。
これらの期待が実体と乖離している場合に、入社後のギャップが生まれて後悔や早期離職等が発生します。
そこで今回は、どうやったら期待値のミスマッチを減らせるのかについて、検討していきたいと思います。
なお、今回も今までどおり、ベンチャー企業の経営管理部門の専門職を想定して検討していきます。
まず、転職者側の期待値ミスマッチについて見ていこうと思います。
転職者側の期待値ミスマッチが発生する原因は、企業に対する過度な期待値の上昇にあります。
そのため、期待値の上昇を抑えられれば、転職者側が感じる期待値ミスマッチを防止することができます。
転職者側の期待値を調整する方法としては「企業に過度な期待をしない」という一手しかないかなと思っています。
そもそも企業側としては、良い候補者にたくさん応募してほしいと思っていますし、その中で最も優れた候補者に内定(オファー)を出したいと考えています。
それを実現するために自社をよく見せるアピールをしますし、求人情報に掲載する文章や写真を工夫します。
これが結果的に、候補者側の期待を生んでしまい『こんな会社で働きたい』とか『この会社は良さそうだ』と思わせてしまうことになります。
特に大手企業や名の知れているIT企業に対しては、自然と期待値が膨れ上がりやすい傾向があります。
ネームバリューのせいで、余計に期待してしまうのです。
しかし、転職者の皆様は、常に頭のどこかで「理想の会社なんてどこにもない」ということを忘れないようにするべきです。
企業というものは、ある程度の規模になってくると必ず採用ミスが発生します。
100人を超えている企業なら、ほぼ100%だと思います。
100発100中で最高の人材を採用できている企業なんて、ほとんど存在しません。
ゆえに、会社の中には必ず「組織に合わない人」が存在します。
それは、会社そのものと合わないのかもしれませんし、部署に合わないのかもしれません。
いずれにしても、ミスマッチは必ず発生します。
これは個人間でも同様で、会社の中に100人の人がいて、その100人全員と相性が良いなんてことは通常考えられません。
したがって、よほど許容性の高い性格でもない限りは、どこの会社であっても合わない人が1人以上存在すると考えたほうが良いです。
どれだけその会社の福利厚生が充実していようが、どれだけネームバリューがあろうが、合わない人と四六時中一緒に働かないといけない職場は地獄です。
また、福利厚生が充実していて、報酬が高くても、それが良い職場であるとは限りません。
その福利厚生を利用できる人が限られていたり、高い報酬分の働きを期待されたりするので、結局は等価交換です。
そうだとすると、企業に対して入社前に過度な期待をしてしまうのはとても危険なことで、その期待は十中八九裏切られることになると思います。
このような期待を抑制するためにも、入社前の段階では、過度な期待をせずに、様々な欠点やマイナス点を想定しておいた方が自分のためになります。
最初から期待をしなければ、期待を裏切られることもないため、期待値のミスマッチが発生しづらくなるのです。
そして、期待値の上昇を抑制する工夫も凝らしておくと良いと思います。
その方法の一つとして、面談の回数を増やすという手段があります。
転職先の要素の中で何を重視するかは人によりますが、多くの人は「人間関係の劣悪さ」を理由に転職しているので、転職をする際は人間関係を重視するだろうと思います。
そうであるならば、入社前に転職先の同僚たちと予め会っておいて、性格や傾向を掴む機会を得ていれば、期待値を適正値に直すことができます。
相手方の企業がちゃんとした企業であれば、選考がある程度進んだ段階でなら喜んで会わせてくれますから、遠慮せずに依頼しましょう。
そこで断るような企業なら、ほぼ間違いなく大きな問題を抱えている人物がその部署にいます。
私の知る限り、採用に本気を出している企業は、転職者からの依頼がなくても部署の関係者のほぼ全員に会う機会を予め設けます。
なぜなら、それが既存社員のためでもあるからです。
これから入ってくる人材に問題がないか、相性が良いかを予め知っておきたいのは、既存社員だって同じ気持ちです。
だからこそ、選考が進んでいくにつれて、ランチ会、会食会、集団面談、短期インターンなどの機会を設けて、既存社員との接点を持ってもらう機会を意図的に設けます。
全員と会っておけば、企業に対する期待値の過度な上昇を抑えることができるはずですから、非常に効果的です。
なお、その会食等で違和感を覚えたら、辞退した方が良いでしょう。
良い転職というものは運命に近いものがあって、そういう違和感が全くないことが多いので。
次に、企業側の期待値ミスマッチについて検討してみましょう。
企業側の期待値ミスマッチが発生する原因は、候補者に対する過度な期待値の上昇にあります。
たとえば、東大や京大などの有名な大学を出ている人、海外の有名大学のMBAを取得している人、弁護士・公認会計士などの士業資格を持っている人、超有名企業(Google、Amazon、IBM、BCG、McKinseyなど)で働いていた人等の場合、企業側としてはどうしても期待してしまいます。
私も採用する立場になったら多分期待してしまうと思うので、気持ちはわかります。
しかし、よく考えてみましょう。
そもそもそのような超大企業の従業員なんて、世界に何百万人もいます。
Amazonだけで154万人いますし、東大卒だけでも毎年3000人ほど生まれます。
海外のMBAも今ではオンラインで取得可能な時代です。
公認会計士なんて37,000人以上いますし、弁護士なんか無駄に44,000人もいます。
これだけの人数がすべて「優秀な人」であるはずがないです。
それに、そもそもその人が優秀な人だとしたら、なぜベンチャーに?という疑問が出てきます。
私の知る限りでは、実力もあって経歴も輝かしい方々がベンチャーに来て大活躍しているケースは、そもそもそのベンチャーの経営陣と仲の良い友人関係だったとか、そのベンチャーの顧問などを初期段階からやっていて、拡大期に入って参画したとか、一流のヘッドハンター経由で運命の出会いをしてビジョンに深く共感したなどのケースです。
したがって、極めて稀なことだと思います。
そういう明確な経緯や根拠がない限りは、候補者に過度な期待をかけてはいけません。
その期待は、候補者に対するプレッシャーになりますし、働きづらくなるだけなので、双方にとってあまりメリットがありません。
大前提として、人間のパフォーマンスは環境によって大きく変化するものです。
働きにくい環境が整っている場合は、どんなに優れた人でも本領を発揮することはできません。
企業側としては、候補者の素の実力を正確に見極めて、自社の環境下で十分に活躍しうるのかどうかを厳格に判断すべきです。
期待値をできる限り下げて、最低限の活躍でも是非欲しい人材だと思える人を採用するべきだと思います。
そういう採用方針を採る場合には、過去の経歴や実績よりも、性格や価値観の一致の方がより重要になってきます。
自社の雰囲気に合う人か、ビジョンやミッションに強く共感してくれているかなどを慎重に見極めて、期待値をコントロールしましょう。
それが最も効果的な方法です。
今回は転職でよく起こっている期待値ミスマッチについて考えてみました。
まとめると、転職者側は企業に対して過度な期待としないこと、そして企業側も候補者に対して過度な期待をしないことです。
転職する側も、採用する側も、どうしても相手に過度に期待してしまうところがあるので、そのコントロールを意識的に図ることが、ミスマッチを予防する方法だと思います。
私も日々気をつけるようにします。
それでは今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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