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2025/05/30 更新

中小企業診断士の転職市場価値は?資格の実力と活かし方を徹底解説

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はじめに

今回は、中小企業診断士の転職市場での価値について書いていきます。

難易度が高い国家資格の一つなので、保有している人自体が少ないのですが、目指している人は多いと思いますので、転職市場でどれだけ役に立つのかという点について解説していきたいと思います。

 

1.中小企業診断士とは

中小企業診断士は、国家資格の中では唯一の「経営コンサルタント」分野の資格であり、経済産業省が管轄しています。
主に中小企業の経営課題に対して助言や指導を行うことが求められる専門職が取得する国家資格です。

学ぶ範囲としては、企業の経営状況の分析、経営改善の提案、人事・労務管理、財務分析、マーケティング戦略の立案など、非常に幅広い分野の学習をすることができます。
日本のMBA(経営管理修士号)の課程で学ぶ内容とほぼ同一なので、感覚としては、MBAの国家資格版だと思っていただければ良いと思います。

試験は一次試験と二次試験に分かれており、一次試験では経済学・財務・企業経営理論などの合計7科目に合格する必要があります。
すべてマークシート方式なので、一次試験までは多くの人が突破できます。

しかし、二次試験が記述式の事例問題と面接(口述試験)で構成されているため、極めて難易度が高くなっています。
それもあって、最終合格率は4%程度といわれていて、多くの人が二次試験を突破できずに諦めるという道を選びます。

それらの試験を乗り越えて、中小企業診断士の登録を行うと、晴れて「中小企業診断士」と名乗ることができますが、他の士業(弁護士、公認会計士、税理士など)と異なり、独占業務が存在しないという特徴があります。
これはどういうことかというと、中小企業診断士の資格を持っていない人でも、同様の経営コンサルティング業務を行うことができるということを意味します。

 

2.中小企業診断士の転職市場での価値

それでは、中小企業診断士の転職市場での価値について私見を述べていこうと思います。

 

(1)知名度及び転職市場での評価

中小企業診断士という資格は、ビジネスマンの間ではある程度の知名度を持っています。
特に経営企画や事業開発、コンサルティングといった業務に関わる人にとっては、一度は耳にしたことのある資格ではないでしょうか。

しかし、知名度があることと評価されることは別問題です。
転職市場においては「その資格を持っていることが、どのような業務に直結するのか」という実務性が重要になります。
その点で、中小企業診断士はやや評価が分かれる傾向があります。
この原因は、中小企業診断士に明確な専門分野が存在しないことにあります。

たとえば税理士であれば税務業務、社会保険労務士であれば労務業務といった具体的な独占業務があるため、企業側も「この資格を持っている人にはこういう業務を任せられる」と判断しやすくなります。
しかし、中小企業診断士の場合は「経営全般に関する知識は持っているが、どの領域が得意かは人による」という曖昧な評価になりがちです。

実際、中小企業診断士の取得者の中には、財務が得意な人もいれば、ITに強い人、マーケティングを主軸にしている人など、バックグラウンドは様々です。
そのため、企業側が「中小企業診断士」という肩書きだけで業務適性を判断するのは難しく、結果として資格の有無よりも「何をやってきたか」「何ができるか」の実績や経験が重視されることが多くなります。

また、経営企画やコンサル職種以外の人にとっては、中小企業診断士の知名度はそこまで高くありません。
名前だけしか知らないという人ばかりなので、どのようなことを学ぶ試験なのか、どれくらい難しいのかという点についてはほとんど知らないということが多いのです。
それもあって、中途採用の面接の場面で中小企業診断士を取得した努力を評価してもらえるということも限定的です。

さらに、中小企業診断士という名前のとおり、中小企業に関わることを想定した資格であるにも関わらず、実際にそのようなポジションが豊富にあるかといえば、必ずしもそうではありません。
中小企業支援機関や金融機関、自治体の外郭団体などが中小企業診断士を活用するケースはあるものの、民間企業の中途採用市場においては、中小企業診断士向けの求人が大量にあるわけではありません。
その結果として「知名度はそこそこあるが、転職市場での評価は限定的」という資格になります。

 

(2)今からでも取るべきか

中小企業診断士を取るべきかどうかは、中小企業診断士を活かせる職種自体が限定的なので、その人の志向次第です。

まず、経営に関連するコンサルタント職種(会計コンサル・財務コンサル・M&Aコンサル等)を目指す人にとっては、一定の価値があります。
特に中小企業向けの経営支援を行うコンサルティングファームや、自治体・金融機関と連携して地域経済に貢献するような業務に興味がある人であれば、中小企業診断士の知識や資格はアピールポイントになるでしょう。

また、大手企業の経営企画部門や事業開発部門経営に近い立場のポジションを目指す場合でも「経営に関する知識を体系的に学んでいる」「自己研鑽の姿勢がある」といった点が評価されることがあります。
特に企業によっては、資格手当や社内評価の指標として中小企業診断士を取り上げているケースもあるため、社内でのキャリアアップを目指す一環としては有効です。

しかし、その他の専門職種における効果は限定的です。
一応中小企業診断士の学習範囲には経理・法務・労務に関することも含まれてはいるのですが、中小企業診断士で学ぶ内容は薄いため、プロフェッショナルとして経理・法務・労務の業務をこなせるほどではありません。
そのため、それらの職種ではあくまでも「努力の加点項目」という程度の評価です。

以上のことを考慮すると、経営企画・コンサル職種を志向する人向けの資格といえると思います。

ただし、独占業務がない割には取得難易度があまりに高いため、中小企業診断士を目指すくらいなら米国公認会計士・日商簿記1級・税理士などの特化型国家資格を目指した方が良いかもしれません。
このあたりはご自身の適性(会計分野に抵抗がないかなど)次第です。

 

おわりに

中小企業診断士は非常に難しい国家資格の一つなので、合格するまでには長い学習期間と根気が必要になります。
しかしそれだけの労力をかけたとしても、転職市場での評価は限定的なので、自分の中で明確な目的意識がないと途中で挫折しやすい資格です。
そのため、今一度自分のキャリア設計を見直して、中小企業診断士が本当に必要なのかという点を考えてみましょう。
それでもなお必要だと思える人には、おすすめできる資格です。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

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株式会社WARC

瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長/ 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate/ 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です

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