記事FV
コラム
2025/06/16 更新

行政書士の資格は転職に有利?評価と活用の実情を解説

無料カウンセリングはこちら

はじめに

今回は、行政書士という国家資格について解説したいと思います。
この資格は、法学部なら誰もが知っている法律分野の入門資格です。

入門といっても合格率は10%程度と低いので、実際に合格できる人は多くありません。
そんな行政書士ですが、転職市場でどのような評価を受けるのでしょうか。
この点について書かせていただきます。

 

1.行政書士とは

行政書士は、日本国内における国家資格の一つで、官公署に提出する書類や権利義務に関する書類、事実証明に関する書類などの作成・提出代理、そしてそれらに関する相談業務を行うことができます。
具体的には、建設業許可や風俗営業許可、入管関連のビザ申請、遺言・相続関係の書類作成など、取り扱う業務は多岐にわたります。

ただし、業務範囲が広い一方で、他の士業(司法書士、社会保険労務士、税理士、弁護士など)と重なる部分が多く、実務上は「行政書士が取り扱える案件」でかつ「他士業の独占業務に該当しない範囲」での活動が求められます。
このため、法律の知識が多少あることを前提としつつも、専門的な独占領域が相対的に狭く、他士業との連携や補完関係の中で業務を行うケースが多い資格です。

試験制度としては、受験資格に制限がなく、年齢・学歴・実務経験なども不要で、誰でも受験が可能です。
試験科目は憲法、民法、行政法、商法、基礎法学、一般知識など多岐にわたり、合格率は年度によって変動するものの、概ね10%前後となっています。
範囲は広いものの、深さはあまり求められないので「法学の入門資格」として位置づけられることが多いです。

実際、ロースクール進学希望者や司法試験の受験を見据えている人が、法律学習の導入として受験することも少なくありません。
そのため、独立開業を前提にして取得する士業資格というよりは、より高難易度の資格に挑戦するための通過点として取得する資格として位置づけられています。

このように、行政書士は法律系難関国家資格の登竜門としての側面を持っています。

 

2.行政書士の転職市場での価値

それでは、行政書士の転職市場での価値について私見を述べていこうと思います。

 

(1)知名度及び転職市場での評価

行政書士の知名度は、士業資格の中でもかなり高い部類に入ります。
特に法学部を卒業した人であれば、その存在を知らない人はいないといっても過言ではありません。

また、法学部内での成績が良い学生や法律系資格に興味を持つ人の多くが一度は受験を検討する資格でもあり、一定の層にとっては身近な資格といえます。
それもあって、書店にも多くの参考書・問題集が並べられています。

しかしながら、転職市場における実際の評価はというと、必ずしも高いとは言えません。
というのも、行政書士の業務は「申請書類の作成」が主であり、企業法務やM&A、契約審査など、いわゆる「企業内法務」における高度な実務を想定したものではないからです。
法務職としての専門性をアピールするには知識・スキルが不足しており、法務職として応募する場合には、あくまで「最低限の法的素養がある」と見なされる程度の評価にとどまるケースが多いです。

さらに、企業によっては「行政書士=初級資格」というイメージを持っていることもあり、社内での活用イメージが湧かず、採用や評価に直結しづらいという側面もあります。
したがって、行政書士資格を取得していたとしても、それだけでプロフェッショナルとみなされるような資格ではありません。

ただ、法務専門職ではなく、法務関連の事務職を志望する場合には、最低限の法律知識を有するという証明にはなると思われます。

 

(2)今からでも取るべきか

では、これから行政書士の資格を取得することに意味があるのでしょうか。

結論から言えば、転職先として「法務の事務職」を目指している人にとっては、行政書士資格は一定の価値があります。
履歴書に書いておくことで「法律の基礎的な素養がある」と評価されます。
実際、法務アシスタントや法務事務といった職種では、行政書士資格を歓迎条件としている求人も少なくありません。

一方で、プロフェッショナルであることが前提になる企業内法務職として専門的にキャリアを築きたい、または将来的に企業法務専門の士業として独立を目指す場合には、行政書士資格だけでは不十分であることが多いです。
企業法務では、より深い民法・会社法・商取引法の理解が求められ、契約書レビューやリスク管理など、行政書士試験ではカバーしきれない実務スキルが重視されます。
このため、司法書士や法科大学院(ロースクール)、司法試験予備試験、そして最終的には司法試験合格など、より高難度な資格・学歴が必要になります。

また、法律とは関係のない職種、例えば営業職やマーケティング、ITエンジニアといった領域では、行政書士資格の有無は基本的に評価の対象外となります。
資格そのものが評価されることはほぼなく、むしろ「なぜ行政書士を目指していたのか」というキャリアの一貫性が問われるリスクすらあります。
したがって、行政書士資格を取得するかどうかは「自分がどんなキャリアを目指しているか」を軸に慎重に判断する必要があります。

 

おわりに

今回は行政書士という資格について、その概要と転職市場における評価、そして取得の是非について述べさせていただきました。
行政書士は確かに知名度があり、試験範囲も広いため、取得すれば法学の基礎的な素養を示すことができます。

しかし、それが転職市場で高く評価されるかといえば限定的であり、目的を明確にしたうえで受験する必要がある資格です。
もしも「なんとなく資格がほしい」「独学で法律を学びたい」という程度の動機であれば、それが本当に今のキャリアにとってプラスになるかどうかを、一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

 

【お問い合わせ】

WARCで働きたい!WARCで転職支援してほしい!という方がもしいらっしゃれば、以下よりご連絡ください。

内容に応じて担当者がお返事させていただきます。

法務の転職なら「WARCエージェント」の無料カウンセリングへ!

WARCエージェント」なら、大手上場企業からIPO準備企業のベンチャー求人まで幅広く対応しています。
業界トップクラスの転職実績もあり、業界に精通しているエージェントも多数在籍していますので、ぜひ気軽にご相談ください!

無料カウンセリングはこちら

著者画像

株式会社WARC

瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長/ 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate/ 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です

満足度98%のキャリアコンサル

無料カウンセリングはこちら