先日、大学院時代の友人たちとお話する機会がありました。
彼らの多くはすでに10年以上(長い人は20年くらい)同じ会社に勤め続けていて、そこで実績を出して管理職に任命されています。
そこでふと、彼らのような優秀な人材が長く定着する組織にはどのような特徴があるのだろうかと気になりました。
とても良い機会だったので、そこにいた人たちと身近な他の優秀な知人たちに「なぜ今の会社に留まるのか」という質問をしてみました。
そうすると、優秀な人材が長く留まりたくなるような会社の特徴が見えてきたので、まとめていきたいと思います。
回答としては人それぞれ様々な理由があったのですが、2人以上の共通性が見られた回答が4項目ありましたので、それをまとめていきます。
最も多かった理由は、ネームバリューでした。
などの意見が多く出ました。
自分が勤めている会社の知名度が高いとやはり従業員の皆さんも誇らしく思うのだろうと思います。
超大手の企業に勤めていると、親戚に挨拶に行くときや住宅ローンを借りるときなどに便利だそうで、日常的に「この会社に勤めてて良かった」と思える瞬間があるそうです。
たしかに、彼らの勤めている会社は日本中どこの都道府県でも名前を言えばわかるというくらいには有名な企業ばかりなので、それが定着の理由の一つになっているのは間違いなさそうです。
続いて社費留学や企業派遣による大学院進学ができる制度が大人気でした。
私の知人らは学習意欲が極めて高いので、この制度はとても刺さっているようです。
まず社費留学とは、会社のお金で海外の大学院等に行くことができる制度です。
とある方は、会社のお金でイギリスに1年ほど行ってMBAを取得したそうで、その体験が会社への忠誠心に繋がっているようでした。
次に大学院企業派遣というのは、こちらも会社の費用負担で国内の大学院に行ける制度です。
MBAなどを取得できるそうです。
これらの制度があるから(実際に利用したから)今の会社に居続けるという方が結構いました。
会社に育ててもらったという認識があるらしく、彼らの認識としては「その分のお返しは絶対にしたい」ということらしいです。
会社側の負担額はけして安くはないですが、優秀な人材が留まり続けてくれるという意味で、十分な効果を得られているような気がします。
ただし、社費留学や企業派遣の社内選考は厳正なる審査のもと行われるらしいです。
毎年1~2名しかこの枠を獲得できないとのことで、社内で実績を積んで、上司などから推薦をもらい、社内審査、面接等を通過して初めて社費留学等ができるとのことでした。
そういう意味では、制度を利用する前段階においてもモチベーションの向上に貢献していそうです。
ベンチャー企業でこの制度を導入できる可能性は低いでしょうが、手段の一つとしては検討しておきたいところです。
そういえば、ベンチャー企業の中でも大型に属するメルカリさんで、そういう制度を設けているようです。
素晴らしい制度だなと思っています。
学習意欲の高い従業員には優秀な方が多いので、そういう人たちにとっては大学院での学習や学位の取得は大変魅力的なインセンティブになります。
会社側がこのような学習サポートをしてくれるのであれば、従業員側も会社に対して忠誠心や愛着を持つようになると思います。
双方にとってメリットの大きな制度です。
次によく出ていた回答として報酬への満足度がありました。
彼らの平均的な年収は1,000万円前後(残業代も込み)です。
30代半ば~後半でそれだけの年収が得られていれば、わざわざリスクを冒してまで転職をしようと思わないというのが多数意見でした。
また、半数以上の方が「今の仕事の量と比較すると報酬は高いと感じている」そうで、費用対効果の面で辞める理由がないという意見もありました。
大手企業の場合、部署の人数が多いので仕事が分散されていて、比較的楽なのだそうです。
もちろん、繁忙期は当然忙しいですし、月に45時間以上の残業がある時期もあるそうですが、むしろそういう月は「残業代の稼ぎ時」と認識しているらしく、メリハリのある勤務ができているようです。
この点については、ベンチャーはなかなか太刀打ちできないなと感じています。
たしかに最近では、ベンチャーと大手上場企業の所得格差が縮小してきていて、そこまで大きな差はなくなってきているものの、やはりまだ100~200万円程度の乖離があります。
福利厚生を金額で計算し直すとその実質的な年収差は300~500万円程度になることもあります。
したがって、報酬という面では、ベンチャーはまだまだ大手には敵わないです。
優秀な人たちが長く大手に定着している理由の一つに「報酬」があるのだという点は、我々ベンチャー側の人間もよく認識しておかないといけないなと改めて思いました。
最後に、そこまで多い回答ではありませんでしたが規模に対する満足度も高いようです。
彼らが関わる仕事の多くがグローバル案件や大型案件で、動くお金の規模が大きいので、そのような大きな規模の事業に自分が関われているという点に魅力があるのだそうです。
自己効力感や自己肯定感が得られやすいのだと思います。
インフラ系やエネルギー系の大型事業に携わっている方は「自分が関わった仕事を現地視察で見られるときがあるけど、嬉しいもんよ。自分がこの大きな事業に関わったんだと思えるから」とのことでした。
子どもたちに誇れる仕事を!ということでしょうね。
この点もベンチャーでは敵わないポイントだと思います。
ベンチャーの中には規模の大きな事業を行っている会社もあるのですが、少数派ですし、比較的小さな世界(ほぼ都内23区内)で精一杯頑張って生きているというのが現状です。
ついでだったので「会社に対する不満はある?」という質問もしてみました。
こちらについても面白かったので2つだけご紹介します。
最も多かった回答は、組織の中の向上心の欠如でした。
などの意見がありました。
優秀な方たちにとって向上心は必須の要素となっているようで、周りにもそういう人が溢れていてほしいと願っているようです。
そのため、安定志向や現状維持をもどかしく感じやすいようです。
この点はベンチャーに若干の勝機があるものの、気をつけないといけない点だなと思います。
ベンチャーも最初の頃は向上心溢れる若手で盛り上がりますが、5~10年ほどであっという間に中年の集まりになっていきます。
その結果、いつの間にか向上心を失ってしまい停滞期に入るということもしばしばです。
だからこそ、常に自分を変化させて、成長せざるを得ない状況を自ら作り出さないといけません。
続いて多かったのが、やはりというべきか、上司との人間関係でした。
これは大手だろうとベンチャーだろうと一緒ですね。
などの意見が出ていました。
大手の場合、年功序列で出世していくことが多いので、原則として上司は年上です。
そして、組織の中では専門家としての能力で出世するわけではないため、時に部下の方が優秀なケースがあります。
今回お話を聞いた方々の多くが優秀な専門家の皆様なので、彼らより能力が高い人を探すほうが難しいです。
そう考えると、上司であっても能力は下ということになりやすい状況です。
これは確かに彼らにとってはしんどいのかもしれないです。
優秀な人たちが長く定着している会社の特徴が知りたくて知人らに聞いてみたのですが、何となく特徴がつかめてきました。
ベンチャー企業でも太刀打ちできそうな項目は向上心と学習支援くらいですが、自社制度の構築等で頑張っていきたいところです。
それでは本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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