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転職者インタビュー
2024/07/09 更新

PEファンドからスタートアップへの挑戦。ファイナンスからCSまで多方面を管掌するCFOのビジネス観

この連載では、ハイクラス人材紹介事業を行う「WARC AGENT」メンバーが、過去に転職のご支援をさせていただいた「ベンチャー企業で活躍するコーポレート人材」の方々にインタビューをしています。ベンチャー企業へ転職をした理由や実際に働く上でのやり甲斐など、「ベンチャー企業で働くリアル」に迫っています。今回は、株式会社Sales Markerにてご活躍されている上原さんにお話を伺いました。

Profile

上原 良賢

上原 良賢

株式会社Sales Marker CFO

東京大学工学部卒業後、新卒で文部科学省へ入省。その後、世界最大手のコンサルティンググループ、投資ファンド2社を経験、そしてスタートアップの世界へ。
シリーズBラウンドで約13億円を資金調達した、AIを活用した次世代型スマートシャトルのCFOや、京都大学発スタートアップ、風を科学しドローンの安全運航を目指すスタートアップのCOO等を歴任し、株式会社 Sales MarkerのCFOとしてジョイン。

堀田 啓也

堀田 啓也

株式会社WARC

リクルートから大手人材系企業に転職し求人広告営業、新規サービス立ち上げ、人材紹介事業立ち上げを経験。金融バックグラウンド・会計士バックグラウンドを問わず、CFO・管理部長などのハイキャリアの支援に特に強み。



堀田 啓也

これまでのご経歴を含めて、自己紹介をお願いします。


上原 良賢

ファーストキャリアは、文部科学省で官僚として勤めました。1年でうつりましたので、実質的なファーストキャリアはボストンコンサルティンググループです。そこでは、地銀を含めた金融機関に対するサポートを3年ほどしていました。

その中で、もう少し事業に深く入りたいというところと、 ファイナンスの観点が自分の視点として足りないなと思ったので、プライベートエクイティファンドに入っています。
それが、アントキャピタルとINCJ(産業革新機構)で、足掛けで大体10年というところでございます。


上原 良賢

ここでは、アパレルや電子部品など、本当に様々な企業を見ました。企業がどういう強みを持ってどういう戦い方をしてるのか、その上でお金がどういう風に回っていくかがプライベートエクイティだとよくわかりましたので、非常に勉強になりました。

上原 良賢

もちろん、同じ場所でキャリアを重ねるのも1つの選択肢でしたが、投資先をサポートするだけではなく、事業に深く入り込み自らコミットしたいという思いから、ロコパートナーズさんに転職しました。ホテル・旅館の宿泊予約サービス「Relux」というサイトを運営している企業です。ここでは、KDDI様へのイグジットをリードしました。買収後もかなり事業が伸びていると聞いているので、非常にいいディールだったと思っています。

その後は、いくつかのスタートアップを経て弊社にジョインしたというところでございます。

より手触り感のある仕事を求めてベンチャーへ

堀田 啓也

すごく魅力的なご経験をされている中で、比較的ベンチャーのご経験が多いですが、 行政から始まりコンサルに行き、そこからなぜベンチャーへ入るチャレンジを考えたんでしょうか。



上原 良賢

あまりチャレンジだとは自分としては捉えていなくて、さすがに官僚はちょっと別なんですけど、そこ以外は割と一貫したキャリアだと思っています。大きくは事業との関わり方の違いで、戦略だけなのか、ただ外部株主の立場なのかなど、コミットメントの違いでしかないので、そういう意味では共通しているところがあると思ってます。

その中でも、手触り感のある事業がより面白いと思い、スタートアップの企業を選びました。




堀田 啓也

なるほど。よくベンチャーに行くのが不安で決断に迷われている方もいらっしゃいますが、そういう迷いは、当時はなかったんですね。



上原 良賢

そうですね。もちろんいくつか他のオポチュニティーも考えた上で決めましたが、スタートアップ自体、2016年ぐらいから伸び始めていたので、それほど恐ろしい感じはなかったです。
最悪ダメだったら戻るなど、色々バッファーも考えてはいたので、その点であまり迷ったりはしなかったです。


堀田 啓也

今の会社のメインミッション、お話いただけますでしょうか。



上原 良賢

CFOなので、資金調達や株主の対応など、ファイナンスに関わるところがあります。エクイティでのファイナンスが走っていた際はそれがメインミッションでした。それから管理部門の管掌という意味で、IPO準備や管理部門の体制構築などもしています。
CFO以外の業務のところで言うと、カスタマーサクセスの組織作りにも関わっており、メンバーのサポートに入っています。

堀田 啓也

最近マーケットを見ると、COO的な要素を持ち合わせたCFOが求められる傾向にありますが、まさに上原さんはその観点をお持ちですね。


組織を成長させるためのビジネススキルは共通している


堀田 啓也

上原さんは業務への柔軟性が高く、多方面に対応できるイメージがありますが、どのようにそういったスキルを身につけたのですか。


上原 良賢

基本的にはファンドだと思っていて、多岐に渡る業務の経験からくるものだと思います。あとは、思った以上にビジネスの考え方において共通することが多いと思っています。例えば、さすがに超専門的プログラミングは難しいですが、ファイナンスや管理体制の構築、CSのサポートなどビジネス業務に関して言うと、基本となる部分って結構一緒で。


上原 良賢

見たものに対してなるべく物事をシンプルに考えてロジックを立てて、ネゴシエーションするポイントをおさえて、相手のポジションを考えながらコミュニケーションを組み立てていけばいいので。もちろん専門的な知識が必要になることはありますが、うまくメンバーと連携して補填していけばよいと思っています。

どんな業務も、自分以外の知識をうまく使いながらゴールを設計して、いかに最短でそこに近づくかという競技であることに変わりはないので、ビジネスで必要となるスキルってそんなに変わらないと思っています。



複数社からの大型資金調達をリード

堀田 啓也

現職でのエキサイティングだった仕事はなんですか。

上原 良賢

資金調達ですね。UPSIDERさんを始め複数社から数十億円の調達を実行しました。デットファイナンス中心のラウンドを走らせており、プレイヤーもかなり多かったので、その中でどう突き抜けるかを考えるのは非常に刺激的でした。やはりファイナンスには非常にやりがいを感じますので、いろんな人の意見を調整して、妥協点を見つけながらうまく交渉を進めることが出来たのは面白かったポイントですね。
金額が大きいだけにストレスのかかるプロジェクトではありましたが、エキサイティングな仕事だったなと思います。

UPSIDER BLUE DREAM Fund、株式会社Sales Markerに6億円の融資を実行


上原 良賢

それから、初めての業務でエキサイティングだったという意味でいくと、CSのサポートも印象に残っています。一時期CSメンバーとの1on1を全員と毎週やっていて、現状を把握した上で、業務の方向性を個別に判断してサポートしていました。これは今までしたことがなかったので面白い経験でしたね。お客さんがどういうところで取れているのかとか、 CS側でどういうところが止まっていて、何があれば上手くいくのかなどは話していると結構見えてくるので、そういう点で事業のリアリティを感じることが出来たのはすごく良かったなと思っています。

急成長企業でのコミュニケーション戦略は広く、深く

堀田 啓也

現職に入って感じたことはありますか。

上原 良賢

これまでのキャリアでここまで急成長している会社は初めてなので、その勢いは強く感じますね。人も毎月のように増えていって、人数もこの1年間で10倍ぐらいになりました。



堀田 啓也

すごい成長ですね。 人数が増えていく中で、社員のモチベーションはいかがでしょうか?



上原 良賢

売り上げ、成長が全てを癒すってよく言われますけど、弊社もまさにそうで、結構ハードな環境だとは思いつつも、会社が急成長の最中なので皆さんかなりモチベーション高くやってるんじゃないかなと思います。

堀田 啓也

急激に人が増えると、意思の疎通が上手くいかないことも増えるかと思いますが、その中で経営陣として、意識されたり心がけてることはありますか。


上原 良賢

コミュニケーションのとり方はかなり気を遣っています。コミュニケーションにも2つあると思っていて、広いコミュニケーションと深いコミュニケーション、両方をきちんと取るのが必要だと思ってます。

まず、会社での飲み会や、オフサイトの検討を通じて幅広いコミュニケーションを取るというのが1つと、

もう一方で自分の部署や、特にやり取りの多いメンバーとは少なくとも毎週1on1を実施して、深いコミュニケーションをとるように意識しています。

弊社はリモートワークがメインなので、コミュニケーションの取り方というのはかなり気を遣っています。この2通りのコミュニケーションをしっかりとると上手くまわるように思っています。



堀田 啓也

なるほど。広いコミュニケーションはイメージが湧きますが、深いコミュニケーションでいくと、どんなことを1on1で意識されていますか。



上原 良賢

そうですね。いつも2つ話すようにしていて、業務の話と、業務以外のところもできるだけ軽くでもいいので話せるようにというのは気を付けてますね。

というのも、言いたくないけど厳しいことを言わなきゃいけないタイミングってあると思うんですよね。その時に信頼関係のない人に言われるのと信頼関係のある人に言われるのとでは全く効果が違うので、ちゃんと信頼関係を築く、 築けるようなコミュニケーションができるといいなという風に思ってはいます。




上原 良賢

スタートアップの場合、いろんなバックグラウンドの、いろんなコミュニケーションスタイルのメンバーと共に仕事をしていくので、当然そのコミュニケーションの仕方も一段と気を付けてはいますね。
それは外部の人に対して交渉するのと同じ考え方だと思っていて、そこの少しカジュアルバージョンを社内に対して適用しているイメージでやっています。


堀田 啓也

なるほど。メンバーが悩みを抱えていたらどのようなケアをされるんですか?



上原 良賢

幸いそんなにないという前提なんですけど、まずはとにかく寄り添って話を聞くっていうのは気を付けてます。
悩みを解決するというより、話を聞いてあげること自体が大事だと考えています。聞いた上で何か打ち手が打てるかどうかは、人それぞれだと思うんですけど、
まずは会社の一員というよりも、上原一個人としてどう思うかというのを誠実に伝えたいなとは思ってますね。



納得のいく転職をするための2つのポイント

堀田 啓也

納得いく転職をするために、意識されたことはありますか?


上原 良賢

転職における譲れないポイントを第一に考えました。

優先順位って人によると思うんですよ。例えば、お金が一番大事な方もいれば、一番大切なのは働く相手であって、お金は二の次というような方もいる。それから、とにかく経験を積むためにガツガツ働きたいから、 多少相性のあわない人と働くことになっても妥協ができる、みたいなパターンもありますよね。



上原 良賢

自分が何を望むか、 譲れない条件と、妥協できるポイントを考えることが重要だと思います。けれども実際はこのポイントが曖昧な人が多いように思います。そうすると、どの条件も捨てきれずに転職に踏み切れなかったり、妥協ポイントを抑えずに入ってから後悔したりすると思います。



堀田 啓也

おっしゃる通りですね。譲れない条件を決めきらないで転職活動をされている方が多い中で、条件を決めるために、何か起こした方がいい行動などはありますか?



上原 良賢

まずいろんな人と話してみるのが良いかと。いろんな人と話をしていくと、いろんな観点が見えてくる中で、自分の価値観も明白になっていきます。
そうすると、これは譲れない、これは妥協できるといった判断がついてきます。あとは、 タイトなスケジュールだとどうしても条件の妥協をせざるを得ないと思うので、余裕を持って動くっていう、この2点が大切なように思いますね。



上原 良賢

転職しないっていう選択肢は常に持っておいた方が良いと思います。 例えば貯金が0で、もう転職せざるを得ないというところまで追い込まれたらもう交渉する余裕がないですし、妥協するほかありません。それでは納得感のある決断には至りませんので、現職に残るという選択肢をもった上で、自分で意思決定をするための、譲れない条件を決めておくっていうのが大事だと思います。


少数精鋭で成果を上げる理想的な組織とは?


堀田 啓也

上原さんが思う良いベンチャーのコーポレート組織とは、どのようなものだとお考えでしょうか。



上原 良賢

大きく3つあって、1つは効率性です。
管理部門はコストセンターではあるので、人数は最小限にするべきだと個人的には思っています。もちろん必要なことは全部やるべきなんですけど、効率的であるというのがまず大前提にあります。


上原 良賢

2つめに、優秀なメンバーでの少数精鋭の組織であることです。

例えば監査法人に認められるレベルで柔軟にやるとなると、頭を使わなきゃいけないので、そういう意味で柔軟に手段を見極められる人を入れる必要があります。ですので、優秀な人たちが集まった少数精鋭の組織が理想的だと思います。
とはいえ全員マッキンゼー出身だとか、万能なスーパーマンで揃える必要は全くなくて、役割ごとに必要な要件を明確に満たしている人をきちんと集めて、その方々が組織にフィットしていることが重要だと考えています。



堀田 啓也

なるほど。理想の組織から逆算するイメージですよね。


上原 良賢

それから3点目は性格ですね。
基本的にはチャーミングな人と働きたいと思ってます。性格の良し悪しで組織のワークを止めかねないので、大切なポイントだと認識しています。



堀田 啓也

確かにそうですよね。ブリリアントジャーク的な人は一定発生しますからね。

今上原さんが仰っていただいた理想の組織を構築していくために、今後どのようなチャレンジをしたいとお考えでしょうか。

ブリリアントジャーク: 職場において「優秀だけど、周りに悪影響を及ぼす人」のことを指す言葉

上原 良賢

まずは数を増やしていかないといけない。現状の管理部門の体制だと企業の成長に対して過剰に人数が少なくなってきているので、それをどれだけ役割の要件を妥協せずに、チャーミングで、なおかつ会社にフィットした人を採用できるかが喫緊の課題です。


上原 良賢

その上で、メンバーをワークさせるために、しっかり個人の役割を明確にして、 働きやすい環境を作ってあげるというのが私のミッションだと考えています。

大きな組織でどうやってレバレッジを利かせるかを考えた時に、皆さんの力がしっかり発揮できる環境を作ってあげることが重要だと考えているので、そこに自分の労力を厚めにあてていますし、今後もより良いものにしていきたいです。

堀田 啓也

今後個人としてチャレンジされたいことはありますか?


上原 良賢

個人的なキャリアを将来どうしていきたいか、といったところは正直あまり考えておらず、会社の将来のことにフォーカスして考えています。その中でも、強い会社、デカコーンを目指せるような会社を作っていきたいというのが大きく考えているところですね。

そのために、会社全体にしっかりインパクトを与えられるように関わっていければなという風に思ってます。

デカコーン:デカコーン企業とは、企業価値100億ドル以上の企業を指します。デカ(Deca)とは「10倍」という意味で、ユニコーン企業の10倍の企業価値という意味でデカコーン企業と呼ばれます。

ベンチャーと大企業、選ぶ前に考えるべきこと


堀田 啓也

ベンチャーのコーポレート領域にチャレンジされたいとお考えの方に一言お願いします。



上原 良賢

ベンチャーを選ぶのであれば、しっかり考えてから入るべきだと考えています。というのも、ベンチャーは全員にとってハッピーな環境ではないと考えているからです。



上原 良賢

一般的に大企業のコーポレートの方が安定性は圧倒的に高いし教育環境もやるべきことも整っていて、 多くの人にとってはより良い環境だと思ってるので、その上でどういうリスクを取って何をやりたいのか、何を実現したいのかというところを考えた上で選ばれるのがいいんじゃないかなと思ってます。

当然ベンチャーの方が非常に学びが多い環境ではあるんですけど、リスクは高いですし、教育は万全ではなく、やるべきことも変動していきますので、

まずご自身の中で何を重視するのかを考える必要があると思います。ここでその意思決定がかっこいいとかかっこ悪いとか見てくれを気にしてしまったりもするのですがその観点は一旦抜きにして、生活や家族のことなども考えた上で決めた方がよいと思います。

ただ、選んだ先にはとてもエキサイティングな環境が待っていると思います。

堀田 啓也

素敵なお言葉をいただき、ありがとうございました!


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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。