このnoteの発行母体であるWARCという会社は、ベンチャー企業の元CFOで、かつ、IPO経験のある公認会計士が創業した会社です。
そのため、現在も会計コンサル、IPOコンサル、M&Aコンサル事業などの会計分野の事業を中心に行っていて、他にもCFOなどのハイクラス層を中心とした人材紹介事業やベンチャー企業の経営管理部門(経理・財務など)の求人に特化した転職サイトであるSYNCA(シンカ)の運営なども行っています。
このような事業内容なので、社内には公認会計士や税理士が多く、転職市場でも経理・財務・CFOなどの会計専門職の転職を支援することが多い会社です。
この記事の筆者である私(瀧田)は法務という職種ではあるのですが、WARCに在籍しているおかげで経理の皆さんの転職事例を多く見ることができました。
それによって年に何度も、経理という職種がどれだけ重要な存在なのかを思い知らされております。
特にベンチャー企業にとっては、極めて重要な職種です。
経理が弱い会社は事業自体が上手くいかなくなることが多いですし、IPOなんて夢のまた夢です。
私個人としては、経営管理部門の中で最も重要な部署は経理だと思っているくらいです。
経理の重要性を認識できていない会社は、経理のスペシャリストの皆さんから見限られていくので、緩やかに停滞していきます。
私は経理の皆さんを心から尊敬しているので、良い会社を選んで、良いキャリアを歩んでほしいと強く思っています。
そこで今回は、私の視点から見た「経理の役割」について考えていこうと思います。
ベンチャー企業においてどのような業務を行うことが多いのかという点について述べていきますので、若手経理の皆様の参考になれば幸いです。
経理とは、会社のお金の出入りを把握し、帳簿に正確に記載する担当者です。
経理という職種と関わりがない人からすると、請求書や領収書などとにらめっこして、会計ソフトに入力しているだけの職種だと思われていることもありますが、これがとても大変で、かつ重要な仕事です。
ベンチャー企業においては、多くの従業員が経理の素人であり、会計の基礎すら理解していません。
それゆえに領収書や請求書の重要性なども理解していないので、期限内に領収書が提出されない、請求書が送られて来ないなんてことが頻発します。
そのような中で、すべての証憑(領収書や請求書のこと)を集めて、管理し、期間内に正確に帳簿に記載するという荒業をこなさないといけません。
これを毎月実施して、しかも3ヶ月毎に四半期決算をしますが、その4回に1回は本決算なので過去の証憑の全件チェックを行います。
さらに、年に1回は確定申告もあります。
このように、ベンチャーの経理は毎月のように繁忙期が来るので、これらの業務をスムーズにこなそうと思ったら、必然的に全部署と関わらざるを得ません。
各部署の雰囲気や人間的特徴を踏まえて、様々な根回しを行って、証憑がきちんと期限内に集まるように体制を整えていくお仕事です。
結果として、コミュニケーション能力、専門性、先読力、調整力など様々な能力が必要になってくる仕事です。
そもそも、なぜ会計帳簿を作らないといけないのでしょうか。
会計帳簿をつける目的は、主に3つあります。
この3つの目的を達成するために、経理という職種が必須なのです。
以下、一つずつ解説していきます。
1つ目が、確定申告をするためです。
会社にも個人と同様に、所得税(法人の場合は法人税という)の納税義務があり、その税金は所得に対して税率を掛けることで求められます。
この「所得」を計算するためには、日々の取引について正確に金額を把握して、帳簿に記載しておかないと計算できません。
仮に、帳簿をつけておらず、自社の売上も経費も全然わからないという状態になってしまうと、正確な税額がわからず、納税ができません。
納税義務を果たさないと、最悪の場合逮捕されます。
このような事態を回避するためにも、日々の取引をすべて把握して、正確に帳簿に記載していく必要があります。
しかし、会社の取引数は会社の規模が大きくなればなるほど増えていきます。
小さな会社でも日々数十件のお金の移動があります。
これをすべて整理し、仕訳して帳簿に記載するのは至難の業です。
この重要かつ難易度の高いミッションを背負っているのが経理の皆さんです。
具体的には、年次決算という業務で納税に関する情報を整理していくことになります。
毎年経理の皆さんを見ている限り、年次決算は非常に忙しい時期です。
会計帳簿をつける目的2つ目は、自社の経営状況を把握するためです。
経営者の立場で考えた場合、自社の売上が今いくらで、経費がどれだけかかっていて、利益がどれほど出ているのかを把握できていない状態って、極めて危険な状態です。
どんぶり勘定やお小遣い帳などで経営を管理しているなら、その会社は遅かれ早かれ経営に行き詰まります。
どんぶり勘定が許されるのは、小規模の事業主だけです(それでもかなり危ない)
優れた経営者ほど日々の取引を正確に記録し、現時点での売上、営業利益、経常利益などを正確に把握できる状態を望みます。
そして、それを実現するためには、優秀な経理が必要です。
具体的には、月次決算業務によって経営陣に情報をレポーティングしていきます。
優秀な経理がいない会社の場合、先月の数値がいつまで経っても出てきません。
先月の数値が確定するのは、2ヶ月後などというケースもあります。
そのような会社では、正しい意思決定なんてできないので、何となくの感覚だけで意思決定をし続けることになります。
しかしこれは実際によくあることです。
アバウトな数値しかわからないまま、なんとなくの感覚で経営を行っている会社は意外と多いです。
数的根拠に基づいて意思決定を行っている会社の方が少ないと思います。
日々の経営活動や意思決定において、自社の毎月の数値を把握することは必要不可欠なのですが、優れた経理人材が少ないことに加えて、ベンチャーでは日々イレギュラーが発生するがゆえに、なかなかその理想を実現できずにいる会社が多いのが現状です。
別の視点で見ると、経理という職種がどれだけ重要なのかをわかっている経営者は、優れた経理を探すために時間とコストをかけます。
優秀な経理が一人いるだけで、意思決定のスピードと正確性が格段に上がるからです。
経理人材側の視点でいえば、もし経営者が経理の重要性に気づいていないのなら、その時点で就職先(転職先)としてその会社を避けた方が良いと思っています。
おそらく感覚だけで経営をしているタイプだと思うので、危ういです。
最後に3つ目の目的は、第三者に開示するためです。
上場企業の場合は、財務諸表を開示することが法律で義務付けられているので、正確な帳簿を作成して株主や利害関係者に開示しています。
※実際は上場企業の一部でも、優秀な経理人材を採用する(又は維持する)ことができず、開示書類が期限内に出せないということがたまに発生します。
そして、この第三者への開示は、未上場のベンチャーでも必要になります。
例えば、ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達を過去に実施している場合、出資契約などによって、定期的に財務諸表を開示する義務が課されていることが多いですし、銀行から融資を受けるときにも財務状態の開示が必要になります。
これらの開示をスムーズに行うためにも、優秀な経理が必要になってきます。
すべてのVCを知っているわけではないので、あまり大げさな事は言えませんが、おそらくまともな経理がいない会社に出資するVCは少ないと思います。
たとえシード期の投資であっても、早い段階で優秀な経理をメンバーに入れるように指導をするでしょう。
よほど小規模な事業でもない限り、経理がいないと正確な開示資料を作るなんてほぼ不可能ですから。
数字に強く、自分自身で経理も完璧にできる経営者も少数ながら存在しますが、それでもすぐに事業が忙しくなって手が回らなくなります。
株主や利害関係者に適時に自己の経営成績を開示するためには、かなり早い段階から経理が必要になるものです。
以上より、経理がどれだけ重要な役割を担っているかがわかっていただけたかと思います。
私の見解では、経理がいないとそもそも経営なんてできないと思っていますし、CEO・COOと並んで極めて重要な役職だと考えています。
経理を蔑ろにしている企業は、遅かれ早かれ痛い目を見るものです。
今経理のプロを目指している若手の皆様は、その道で間違いないと思うので、安心して極めて行ってください。
経理人材は常に人材不足なので、極めれば極めるほど希少価値が出て、転職もしやすくなります。
日商簿記1級などの強い資格を取って、転職に備えていきましょう。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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