記事FV
その他
2024/08/31 更新

健康経営コンサルタントとは?業務内容や求められるスキル、今なぜ必要とされるのかについて

健康経営コンサルタントという言葉を耳にしたことはあっても、内容をよく知らない人は多そうです。企業のヘルスケア管理のプロとして必要なスキルや業務内容を知ると、健康経営コンサルタントの目指し方がわかるでしょう。

この記事では、健康経営コンサルタントの概要や業務内容、必要とされる理由などについて解説します。

健康経営とは

健康経営とは、企業が従業員の健康について積極的に考えようとする取り組みです。今まで企業には、従業員の健康管理は各自行うもので、体調を崩しても自己責任という考え方がありました。しかし、近頃では、従業員の健康管理は企業が責任を持って行うものという考え方が広まっています。労働者のヘルスケアは企業成長につながる投資であり、健康管理で会社の成長を目指そうという考え方が健康経営です。

健康経営コンサルティングとは

健康経営コンサルティングとは、健康経営を取り入れようとする企業へサポートを行う事業です。初めて健康経営を行う企業は、まず何から始めたらいいのかわからないものです。健康経営の知識を持つコンサルタントが企業の現状をヒアリングし、見えてきた課題の解決を目指します。また、健康のアドバイスだけでなく企業担当者育成や、後述する健康経営優良法人認定申請に向けたサポートなども業務の一つです。

健康経営コンサルティングの需要が高まる背景

健康経営コンサルティングの需要が高まる背景について、今のうちに知っておきたい人は多そうです。将来的な労働人口の減少や、認定制度スタートの観点からニーズを理解しましょう。

少子高齢化による労働人口の減少

少子高齢化による労働人口の減少が進んでおり、将来の日本では少ない人数で効率的に働かなければなりません。総務省(※1)は、15歳から64歳の生産年齢人口について、2017年と比べて以下のように推移すると予測しています

  • 2017年:7,596万人(総人口の60.0%)
  • 2040年:5,978万人(総人口の53.9%)

労働人口が減るなか、生産性の維持には健康で働ける人数を増やしていかなければなりません。健康経営コンサルティングは、国全体の労働力確保のために必要な取り組みといえます。

(※1)参考:総務省 「第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長」

健康経営優良法人認定制度の開始

健康経営優良法人認定制度とは、日頃から健康経営に励んでいる企業を顕彰する取り組みです。健康経営優良法人認定制度は、健康経営意識の見える化を行う目的から2016年に経済産業省が創設しました。制度に認定されると、従業員の健康を戦略的に考えている企業として、ポジティブな社会的イメージにつながると考えられます。なお、制度認定には法令遵守や各種取り組みを行っているかなど、さまざまな基準へのクリアが必要です。

健康経営コンサルティングの業務

健康経営コンサルティングを知るうえで、具体的な業務内容についても理解したいところです。企業の健康管理システム構築や、従業員への直接的なサポートについて理解しましょう。

健康経営優良認定取得サポート

前節で述べた健康経営優良認定の取得サポートは、健康経営コンサルティングの業務の一つです。企業の健康課題を薄々とは感じているものの、どのような取り組みを行ったらいいかわからない担当者は多いでしょう。健康経営優良認定は健康課題にアプローチできる手段の一つで、取り入れるためのサポートをコンサルティングします。認定されると、これから入社を考える人や金融機関からの評価につながる可能性がある制度です。

健康管理体制の構築

健康経営コンサルティングは、企業の健康管理体制の構築におけるサポートも行います。従業員の健康管理を充実させたいものの、日々の業務で手一杯な担当者は珍しくありません。健康経営コンサルティングは、企業の健康管理体制の分析や、施策のトータルサポートを行います。担当者が着手できない範囲をサポートし、企業にヘルスケア意識を根付かせるのも健康経営コンサルティングの仕事の一つです。

メンタルヘルスマネジメント

メンタルヘルスマネジメントを行い、従業員の心の健康に直接働きかけるサポートを行います。近頃、働きながら体調を崩す従業員の中には、メンタルの病を患う人があとを絶ちません。健康経営コンサルティングは、従業員のメンタル不調にいち早く気づけるよう、ストレスチェックを実施します。必要があれば専用相談窓口でカウンセリングを実施し、従業員のメンタルヘルス管理を行うのも健康経営コンサルティングの重要な役割です。

産業医紹介

労働者が働く環境について、専門的な立場からアドバイスを行う産業医の紹介も実施します。万が一、従業員の健康状態が思わしくない場合、ドクターからの専門的な意見が必要です。速やかに適切な診察につなげられるよう、信頼のおける産業医の紹介を行います。ただ医師の紹介を行うだけでなく、従業員が通院しやすい環境を作ることも重要です。オンライン面接やスポット診療など、従業員が気軽に利用できるサービスを提供する場合もあります。

企業が健康経営に取り組むメリット

企業が健康経営に取り組むからには、行うメリットについても知っておきたいところです。従業員の健康を守ると、結果的に企業によい影響がもたらされる理由を理解しましょう。

業務コストの削減

従業員が健康であれば、ヘルスケアを理由とした業務コストの削減が可能です。健康診断やストレスチェックなど、従業員の健康のために会社がすべき業務は多岐にわたります。従業員の心身に問題がある場合、最悪のケースでは休業や退職にもつながりかねません。休業・退職者がいると、人員補充や部門異動など急を要する業務が立て続けに発生します。従業員の健康が保たれていれば、急ぎの仕事が発生せず担当者の負担がかかりません。

業務効率の向上

従業員の心身が健康であれば、労働パフォーマンスがアップし業務効率の向上を見込めます。長時間にわたる業務に必要な集中力は、心身のコンディションがよいほど上がるものです。従業員の健康が保たれると細かなミスや資料のチェック不足が減り、業務効率アップが期待できます。労働者一人ひとりの集中力が上がると、ゆくゆくは企業全体の利益アップにもつながるでしょう。

企業イメージの向上

従業員の健康をサポートする取り組みは、クリーンな企業イメージの向上につながります。近頃は、過酷な時間外労働や休日出勤などで従業員が体調を崩すと、瞬く間に企業の悪い噂として広がるものです。これから企業への入社を考える人にとって会社イメージは重要で、休業や離職率などを気にしながら検討します。企業が健康経営を行うと休業や離職率が減り、結果的によい企業イメージを作れるでしょう。

健康経営コンサルタントに求められる経験・スキル

健康経営コンサルタントの仕事内容やメリットを知り、興味が湧いた人も多そうです。健康経営コンサルタントになるために必要な、経験やスキルを前もって知っておきましょう。

コンサルティング経験

健康経営コンサルタントになるには、企業を巻き込んで目標達成に導くコンサルティング経験が必要です。健康経営を目指す企業には、ヘルスケアのノウハウが足りないためにプロの意見を求めていると考えられます。健康経営コンサルタントには、従業員の期待に答えられるほどの問題解決能力や提案力が求められるでしょう。

データ活用スキル

健康経営コンサルタントは数字を扱う仕事でもあるので、データ活用スキルが求められます。企業を健康経営に導くには、収集したデータを分析し問題解決につながる情報を見つけ出すスキルが必要です。具体的には、従業員の健康診断結果や医療用ビッグデータの分析を行い、健全な企業経営に必要な解決策を探し出します。なお、数字を用いて分析できる人は「データ活用人材」「データサイエンティスト」などと呼ばれ、健康経営分野以外でも需要が高まる人材です。

プレゼン力

健康経営コンサルタントには、データによる分析結果を相手にわかりやすく伝えるプレゼン力が求められます。クライアント企業とともに健康経営を目指すには、医療における専門知識を正しく理解してもらうスキルが必要です。根拠となる数字を並べるだけでなく、伝え方やコミュニケーションスキルで相手に理解してもらえるようなプレゼン力を目指しましょう。健康経営コンサルタントは資料作成や講演などの機会が多いため、相手に伝えるスキルは積極的に身につけておきたいところです。

健康経営コンサルタントへの転職に有利な資格

健康経営コンサルタントに転職するために、必ずなくてはならない資格はありません。ただし、求人情報を見る限り、以下のいずれかを応募資格とする企業は多くあります。

  • ヘルスケア分野における企画や事業開発、戦略策定、研究の経験者
  • ヘルスケア分野での実務経験(製薬会社、医療機器メーカー、CROなど)
  • 医療系資格保持者(看護師・保健師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など)

医療知識を扱うため、資格保持者やヘルスケア分野の実務経験者を求める傾向にあるようです。また、上記の応募資格にプラスして、歓迎スキルにコンサルティング経験を挙げている企業もあります。医療とコンサルティング分野のスペシャリスト人材は、企業を健康経営に導く第一人者として活躍できるでしょう。

必要スキルを身につけて健康経営コンサルを目指そう

健康経営コンサルタントは、人材のヘルスケアが重要視される企業において欠かせない存在です。医療系資格やヘルスケア分野の企業での勤務実績があると、転職では有利になる可能性が高まります。

転職や資格取得で自身に必要なスキルを身につけ、健康経営コンサルタントを目指しましょう。

著者画像

株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

満足度98%のキャリアコンサル

無料カウンセリングはこちら