今日は「MBA(日本国内の大学院で取得できるものに限る)」という学位をご紹介します。
比較的有名な学位なので、名前自体は知っている人は多いと思いますが、転職市場でどの程度価値があるのかという観点から語っていきたいと思います。
MBAとは「Master of Business Administration」の略称で、日本語では「経営管理修士」と訳されることが多い学位です。
この学位は「専門職学位」という位置づけで、主にビジネスの実務経験を持つ社会人が通うことを想定した夜間大学院で獲得できる学位となっています。
学習内容としては、経営学分野に関する基礎的な理論と実践的なケーススタディを体系的に学ぶプログラムが多いです。
近年では、日本国内でもビジネススクール(社会人大学院)の数が増え、働きながら取得できる夜間・オンライン型のプログラムも一般的になってきました。
これによって、かつては一部のエリート層だけのものだったMBAが、より多くの社会人にとって現実的な選択肢となっています。
とはいえ、MBA取得には一定の時間と費用がかかります。
国内のビジネススクールでも、2年間で200〜500万円程度の学費がかかることが一般的です。
また、仕事を続けながら通うことになるため、体力的にも精神的にも負担は小さくありません。
そのため、自分にとって本当に有益なものとなるのかという点については慎重に検討する必要があります。
では、MBAは転職でどの程度有利に働くのでしょうか。
この点について述べていきたいと思います。
現在のMBAは「学位」という側面よりも「資格」としての性質が強く、MBA保持者であることが一定のビジネス能力や知見を備えている証として評価される場面が多く存在します。
たとえば一部の職種の採用では、MBAホルダーの方が有利になる場面がありますし、経営層やマネジメント層を志す際に「MBAを持っていること」が一つの出世条件になっているケースもあります。
また、MBAは、どのようなバックグラウンドを持つかによって、その価値が大きく変わってきます。
特にあまり学歴に恵まれなかった人にとっては、MBAの持つ価値はより大きくなります。
というのも、MBAを取得することで、それまでの学歴を「上書きすることができる」からです。
たとえば、地方の無名大学出身でも、国内で有名なビジネススクールのMBAを取得すれば、転職市場での見え方が一変する可能性があります。
しかも、このような価値のある学位を現在では格安で取得することができます。
なぜなら、現在のMBAの多くが「専門実践教育訓練給付金」の対象になっているからです。
この制度を活用すれば、支払った学費の最大70%、上限として112万円までが国から還元される仕組みになっており、給付対象となる講座を選べばコストパフォーマンスの高い自己投資として成立します。
なお、転職市場において人気の高いMBAは主に以下のような大学院があります。
これだけの選択肢があれば、住んでいるところまたは職場から、何とか夜間に通えるところもあるのではないでしょうか。
MBAでは、経営に関わる幅広い分野を体系的に学びます。
代表的な科目としては、会計、ファイナンス、マーケティング、組織論、経営戦略論、ビジネス倫理、リーダーシップ論などが挙げられます。
これらの科目は、いずれも現代のビジネスパーソンにとって欠かせない知識です。
たとえば、会計の知識があることで、自分の会社の財務諸表を読み解き、経営判断の材料とすることができます。
またファイナンスを学べば、投資判断や資本政策といった高度な意思決定にも関与できるようになります。
さらに、マーケティングや戦略論を学ぶことで「なぜ自社の商品が売れないのか」「競合に勝つにはどの市場を狙うべきか」といった実務的な問題にも自ら考えてアプローチできるようになるでしょう。
もちろん、これらの知識は一朝一夕で身につくものではありませんので、それ相応のカリキュラムや課題をこなさないといけません。
それゆえに働きながら通う社会人にとっては過酷なスケジュールになることも多いです。
しかし、その負荷の高さゆえに、得られるリターンも大きいと思います。
特に日本では「実務経験はあるが、理論がわからない」というケースが少なくありません。
たとえば営業畑一筋で20年働いた方でも、マーケティングの理論的フレームワークには馴染みがないということは珍しくありません。
MBAでは、そうした「経験の裏づけとなる理論」を習得することができますので、実務経験と学術的知見を掛け合わせることで、より高い次元での意思決定やマネジメントが可能になります。
また、MBAでは講義形式だけでなく、ケーススタディ(実際の企業事例を使った問題解決型の学習)が中心になります。
これにより、理論が机上の空論にならず、実践への応用を前提とした学び方が可能になります。
現場の問題に対してどのように思考を組み立て、意思決定を行うかという点で、極めて実用的な訓練となるはずです。
このように、MBAで学べる内容は、現場での仕事を高度化・効率化するための「武器」として使えるものばかりです。
決して「経営者を目指す人だけの学び」ではなく、すべてのビジネスパーソンにとって価値のある内容が詰まっていると言えるでしょう。
結論から申し上げますと、MBAの取得は「時間とお金に余裕があるならば目指す価値は十分にある」と思っています。
ただし、そこにはいくつかの前提と注意点も存在します。
まず大前提として、MBAは魔法の杖ではありません。
たとえば「MBAを取ればすぐに年収が上がる」とか「どんな企業にも転職できるようになる」といった期待を持って臨むと、失望する可能性が高いです。
あくまでも、MBAは「キャリアアップを実現するための武器のひとつ」に過ぎません。
また、最近ではMBAプログラムの人気が高まったことで、修了者の数も増えています。
国内のMBAの多くは、見方を変えると「働きながら取得できるくらい簡単なもの」なので、受講者が年々増加してきました。
この状況により、転職市場では「MBAホルダーが珍しくない存在」になりつつあります。
つまり「MBAを持っていること」そのものの希少性は、以前に比べて圧倒的に低下しているのです。
これにより、相対的な価値が下がっていることは否めません。
さらに、MBAを取ることによって「MBAホルダー」として扱われることになりますので、期待値がどうしても上がってしまいます。
この場合、客観的には高いレベルの経営知識及び実務能力がある人だとみなされることになるので、実力が伴っていない場合は「MBAホルダーなのに仕事ができない人」という認識に変わってしまいます。
これによって通常よりも大きなマイナス評価を受けることになることがあります。
前述のとおり、MBAホルダーが量産されてしまった関係で、そういう方が増えているという実感があります。
一方で、現実的な恩恵も確かに存在します。
たとえば、社内で昇進や異動を希望する際「MBAを持っていることで管理職候補として扱われやすくなる」といった効果はまだ根強く残っています。
特に大企業の管理職候補や経営企画職を目指す場合には、MBA取得者であることが大きなアドバンテージになることがあります。
また、起業や独立を志す方にとっても、MBAで学ぶ知識は非常に有用です。
ビジネスの立ち上げに必要な財務、組織、人材マネジメント、マーケティングなどの知見が一通り揃っているため、リスクを低減しながら事業を進めるための「経営の設計図」を持つことができるからです。
もちろん、MBAを取得するには時間も費用もかかりますから「なんとなく評価が高そうだから」「周囲が行っているから」といった動機で始めるのはおすすめできませんが、明確な理由とそれ相応の実務能力があるならば、取得を検討してみるべきだと思います。
ということで今回は、MBAを解説させていただきました。
前述のとおり現在のMBAは、かつてほどの価値はありませんので、MBAだけで人生が変わるわけではありません。
しかし「MBA+行動量+実績」が組み合わさったときには、大きな転機を生み出す可能性を秘めた選択肢であることは間違いないでしょう。
そういう意味では、今でもまだ有力な選択肢の一つだと思いますので、改めて経営理論を学びたいと思っている方は検討してみてはいかがでしょうか。
それでは今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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