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コラム
2025/06/05 更新

日本語でも受験できるようになった米国公認管理会計士(CMA)は転職で評価されるのか?資格の価値と可能性を解説

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はじめに

今回は、米国公認管理会計士(CMA)というかなりマイナーな国際資格について解説したいと思います。

この資格は、知っている人自体が少ないので、転職市場での評価は限定的ですが、使い方次第では十分に活かせる資格です。
そんな米国公認管理会計士の転職市場での価値について書いていきます。

 

1.米国公認管理会計士(CMA)とは

米国公認管理会計士(Certified Management Accountant, CMA)とは、米国の管理会計の専門資格であり、米国管理会計士協会(Institute of Management Accountants, IMA)が認定する国際資格です。
この資格は、企業内での会計・財務に関する戦略的意思決定を担う人材に必要な知識とスキルを認定するもので、財務計画、業績管理、内部統制、コスト管理などの実務能力に焦点を当てています。

CMAは、USCPA(米国公認会計士)が監査や税務といった公会計に強みを持つ一方で、企業内部の経営管理を支援する管理会計分野に特化しています。
特に外資系企業では、財務企画部門や経営企画部門において一定のニーズがあります。

また、CMAは日本国内からでも受験することが可能で、試験はプロメトリック社のテストセンター(東京・大阪)で実施されます。
以前は英語での受験のみでしたが、2025年6月より日本語での受験も可能となる予定です。
これにより、英語に不安を感じていた方でも受験しやすくなる一方で、資格としての価値に大きな変化があるかもしれません。

なお、CMAのライセンス登録には、試験の合格に加えて、大学卒業相当の学歴と2年以上の管理会計または財務管理の実務経験が必要です。
さらに、継続的な教育(CPE)も求められるため、資格を維持するには一定の努力と費用が必要です。

 

2.米国公認管理会計士(CMA)の転職市場での価値

それでは、米国公認管理会計士の転職市場での価値について私見を述べていこうと思います。

 

(1)知名度及び転職市場での評価

CMAという資格は、世界的には管理会計分野の代表的な資格として知られていますが、日本国内における知名度は非常に低いです。
そのため、会計分野の専門職であっても、CMAを知らないというケースは珍しくありません。
多くの場合、国際的な資格として認知されているのはUSCPA(米国公認会計士)であり、CMAに関してはその存在すら知らない人の方が多いと思います。

ただし、外資系企業のFP&A(Financial Planning & Analysis:財務企画・分析)部門では、CMAの内容と実務が一致しているため、一定の評価を受けることがあります。
また、CMAの難易度や価値を正しく理解している人が採用担当であれば高く評価されます

しかし、実際に日本法人で勤務する従業員の多くが日本人である場合、採用担当者や人事がCMAの内容を正しく理解していないことが多く、資格の効果が評価に反映されづらい点には注意が必要です。
また、資格の知名度が低いため、求人票に「CMA保持者歓迎」と記載されることは稀であり、転職活動の中でCMAが明確なアドバンテージとなる場面は限定的と言えます。
少なくとも私はほとんど見たことがありません。

 

(2)日本語受験が可能になったことでどう変わるか

2025年6月よりCMA試験が日本語で受験可能になることは、受験者にとって大きな転機となります。
従来、英語での受験が必要であったことから、CMAを取得していること自体が一定の英語力の証明にもなっていました。
少なくとも、会計・財務用語に関する英語のリーディング能力があることは担保されていたわけです。

しかし、今後日本語での受験が可能になることで「英語でこの資格を取得した」という付加価値がなくなり、英語力の証明としては機能しづらくなります。
つまり、CMAが持っていた「英語力と管理会計の基礎知識を保有している人材である」というブランディングが損なわれるのです。

このように考えると、英語が得意で、国際的な環境で働きたい人にとっては、CMAよりもUSCPAの方が英語力の証明としては有効であると言えるでしょう。
したがって、CMAの日本語受験は、受験者層を広げるという意味ではメリットですが、同時に希少性と差別化要素が失われるというデメリットも抱えているのです。

この点をどのように考えるかは受験生次第ですが、私個人としてはあまりプラスにはならないと感じています。

 

(3)今からでも取るべきか

では、CMAは今からでも取得する価値があるのでしょうか。結論から言えば「人による」となります。

たとえば、USCPAは日本語受験ができず、合格までに100万円近い費用と長い学習期間が必要であるため、コストと時間の面でハードルが高い資格です。
一方、CMAは試験科目が2科目のみで、合格までの学習期間はUSCPAと比べると短めとされており、学習負担は相対的に軽く、受験料も比較的安価です。
したがって「管理会計分野に興味がある」「企業内でFP&Aや経営企画などのキャリアを目指したい」「コストを抑えてスキルを証明したい」という方にとっては、CMAは有効な選択肢となり得ます。

ただし、繰り返しになりますが、CMAは日本の転職市場においてまだ評価が定着しておらず、資格保持によって劇的にキャリアアップできるという保証はありません。
あくまでも「実務知識の補強」や「自身のスキルの客観的証明」として位置づけるのが妥当でしょう。

また、企業によってはCMAの存在をそもそも知らない可能性があるため、面接などの場で「どのような資格なのか」「どのように実務に活かせるのか」を自身で丁寧に説明できる必要があります。
つまり、資格に頼るのではなく、資格を活かせる自己PRができるかどうかが問われるのです。

このように、CMAは玄人向けの資格であるため、日本人で取った方が良いといえる人は極一部だけです。
それを踏まえて、受験をご検討ください。

 

おわりに

今回は米国公認管理会計士(CMA)について書かせていただきました。

CMAは管理会計分野に特化した実践的な資格であり、取得のハードルも比較的低いため、学び直しやキャリアの方向転換を考えている方にとって有益な選択肢になり得ます。
一方で、転職市場での認知度は低く、英語力の証明としての価値も今後は下がっていく可能性が高いことから、資格取得の目的を明確にした上での判断が求められます。
これからのキャリアをよく考えて、ご自身に合った結論をご検討ください。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

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株式会社WARC

瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長/ 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate/ 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です

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