「趣味は仕事にしないほうがいいって聞くけど、本当かな」「どんな趣味が仕事につながるの?」、自分の趣味や好きなことを仕事にしたい方も多いでしょう。実は、仕事につながる趣味は意外にたくさんあります。
この記事では趣味を仕事にするメリットやデメリット、向いている人の特徴や注意点などを解説します。仕事におすすめの趣味や成功のコツもご紹介しますので、読んで好きなことを仕事にする理想の働き方に挑戦しましょう。
趣味を仕事にすると、モチベーションが向上し、楽しく取り組めるという利点があります。趣味を仕事にする主なメリットは以下の3つです。
趣味を仕事にすると、高まったモチベーションと情熱によって仕事にやりがいや充実感を感じやすくなります。やりがいは働く原動力であり、高いパフォーマンスを発揮して成果を上げるために不可欠な要素です。
通常の仕事では業務内容に興味を持てず、自分の能力を発揮できないと感じて自信を失うことがあります。しかし、趣味を仕事にすることで、やりがいを感じつつ仕事に取り組むことができ、意味ある成果を上げやすくなります。
趣味を仕事にすると、一般の仕事よりもストレスを感じにくくなります。趣味は自分が好きなことや興味を持っていることなので、仕事そのものが楽しく感じるからです。
通常の仕事で興味を持たなかったり、苦手意識があると、困難に直面するたびに「仕事がつらい」「自分には向いていないのでは」と否定的に考え、ストレスを感じることがあります。しかし、仕事が自身の趣味であれば、課題にも前向きに取り組み、ストレスを軽減できるでしょう。
まさに「好きこそ物の上手なれ」で、趣味を仕事にすると自発的に学習しやすくなります。どんな仕事でも知識や技術を身に付け、スキルを向上させなければ進歩がありません。興味のない一般的な仕事であれば、努力と忍耐が必要ですが、仕事が趣味の範疇にあれば、楽しみながら着実にスキルアップできるでしょう。
仕事に夢中になって取り組む人と、淡々と割り切って取り組む人とでは熱量がまったく異なります。スキルが向上すれば、自ずと評価も上がり、挑戦の範囲も広がるでしょう。
「好きなことは仕事にしない方がいい」とも言われますが、趣味を仕事にするとどのようなデメリットがあるのでしょうか。主なデメリットは以下の3つです。
「好きなことを仕事にすれば人生幸せ」。そう思われがちですが、趣味を仕事にすると趣味自体が嫌いになる可能性もあります。
たとえば写真好きな人がプロの写真家を目指すと、撮りたい写真が撮れない、営業や経理などの雑務が大変、仕事がもらえず収入が激減……といったさまざまな問題に直面します。好きだったはずの写真も仕事となると自分の思い通りにできず、苦痛に感じることもあるのが現実です。趣味を仕事にして、嫌になってしまうケースも考慮しておきましょう。
趣味を仕事にすると、通常の職業よりも報酬が少なくなる可能性があります。趣味を純粋に楽しむだけであれば、スキルの水準はそれほど問題ありません。ただし、趣味を仕事として収入を得るなら、プロとしてのスキルを十分に身につける必要があります。その業界で通用する技術や経験を磨き上げ、収入に結びつけるまでには手間と時間がかかるでしょう。
好きなことであっても、生計を立てるための十分な収入を安定して得ることは容易ではありません。
趣味を仕事にすると、仕事とプライベートの境界が曖昧になることもあります。以前はリフレッシュになっていた趣味が仕事の一環のように感じられ、人によっては心身ともに十分に休息できなくなる可能性があります。
例えば旅行が趣味の人がツアーガイドに転職すると、個人的な旅行でも宿泊施設のサービスや土産物店の品揃えなどを「仕事モード」でチェックしてしまい、純粋に楽しむことが難しくなるかもしれません。
オン・オフを明確に切り替えたい方は、新しい趣味を見つけて楽しむことを検討してみても良いでしょう。
趣味を仕事にするには、自分のアプローチにしがみつかず、柔軟な思考や挑戦の意欲を持ち続けられる人が適しています。
仕事は、全てが自分の思い通りに進むことは難しいものです。趣味を仕事にする場合でも、「これが私のやり方だ」と頑なにこだわらず、お客様や取引先の期待に柔軟に応える姿勢が求められます。
さらに、趣味を仕事にして安定した収入を得るには時間がかかる可能性があります。即座に成果が上がらなくても、試行錯誤を繰り返し、粘り強く取り組む人が向いているでしょう。
趣味を仕事にするには、事前の準備が非常に重要です。「好きなことを仕事にしたら楽しそう」という軽率な考えだけでスタートすると、理想と現実のギャップが大きく、挫折や後悔の可能性が高まります。以下のステップで基盤を築き、趣味を仕事にしていくのが良いでしょう。
趣味を仕事にしたい場合、その趣味が「なぜ好きなのか」「どこが好きなのか」をはっきりさせましょう。これにより、選ぶ職業や企業でのミスマッチを避け、趣味と仕事の双方を失うリスクを軽減できます。
例えば、ドライブが趣味なら、それが運転か、自動車そのものか、車での移動が好きなのか…。好みは個人によって異なります。これによって目指すべき業種も、ドライバーや自動車の設計業、観光業などが変わるので、趣味の何が好きなのかを分析し、仕事の方向性を見極めましょう。
趣味が何かをはっきりさせたら、自分の好みと「得意」が一致する仕事を見つけましょう。
好きであっても得意でなければ、成果や売上を上げるのは難しいです。例えば、運転が好きでタクシードライバーになりたいと思っても、地図の暗記や接客が苦手だとその仕事に向いているとは言えません。
「こういう仕事をやりたいけれど、自分がそこで実力を発揮できるか」といった視点で、好きなことの中から向いている仕事を見つけましょう。
自分の好みと得意を理解したら、副業や趣味の延長くらいの小さなステップから始めるのがおすすめです。モチベーションを維持しやすく、失敗しても影響が少ないという理由があります。
行動に移せたら、小さな目標を設定しましょう。「最初は1つ仕事を受ける」「月に1万円の収入を目指す」など、努力できる範囲の目標を立てるのが大切です。一気に「月収100万円」といった高い目標を掲げると、挫折の可能性が高まるためおすすめできません。小さく始めて、コツをつかみながら段階的に進めていきましょう。
趣味を仕事にできる職業は、実は様々な業界に存在します。趣味を仕事にするためのおすすめ職業を紹介しますので、自身の好みと求められるスキルや適性などを考慮しながら、参考にしてください。
ツアーコンダクター(旅程管理者主任者)は世界中を旅することができるので、旅行が趣味の方におすすめです。
主な仕事内容は団体旅行に同行し、参加者が快適・安全に予定通りの旅行ができるようサポートします。国内外の歴史や文化、習慣などの知識が仕事で必要なので、そうしたことにも興味がある方は楽しみながら知識を習得できるでしょう。
ツアーコンダクターは数日にわたり団体客を引率するため、心身のタフさやリーダーシップ、実用的な英会話力が求められます。
ゲームが趣味なら、開発からテストまでゲームに携われるゲームエンジニアがおすすめです。
ゲームエンジニアの仕事は企画担当者との打ち合わせから始まり、ゲームの内容や方向性などを固めてチームで制作していきます。自分が作りたいゲームのアイデアがあれば、仕事への意欲が高まり、開発した商品がヒットすれば大きな達成感が得られるでしょう。
ゲームエンジニアにはプログラミングスキルや数学・物理に関する知識、英語力、そしてチームで開発するためのコミュニケーションスキルが求められます。
映画好きにおすすめの仕事は、制作サイドや映画館での勤務などがありますが、中でも映画配給は映画業界の中でも特に魅力的な仕事です。撮影された映画を映画館に提案し、より多くの映画館で上映してもらえるようプロモーションなどを行います。映画の興行成績に大きく影響を与える重要な役割を果たしており、映画好きには非常に魅力的な仕事でしょう。
映画配給の仕事には、世間の声のリサーチ力や「映画が特に好きでない人」にアピールする宣伝力が求められます。
漫画やアニメに関わる仕事が希望だけれども、自分では作品を制作できない場合、編集者として作者をサポートする選択もあります。編集者は作家や漫画家の作品をより面白くする提案や、作品の校正などを行う仕事です。
厳しい締め切りや激務に直面することもありますが、自分が発見した新人作家がデビューするか、手がけた作品がヒットするときの喜びは計り知れません。編集者にとって最も重要なのは企画力であり、好奇心旺盛で柔軟な発想力を持つ人が向いています。スケジュール管理能力や流行感覚、美的感覚なども求められる仕事です。
動物が好きな方には、毎日動物とふれあえるトリマーがオススメです。トリマーはペットショップや動物病院などの施設で、犬や猫などの動物の体毛を顧客の希望通りにカットしたり、爪切りやシャンプーなどを行います。獣医師や動物看護師のように国家資格も必要ないため、ハードルは低いと言えます。
トリマーには民間資格があり、技術を学ぶ専門学校もあります。お金や時間に余裕がない方はペットショップなどでアルバイトとして働き、現場で経験を積みながらスキルを磨いていくと良いでしょう。
お酒好きな方にはワインソムリエやバーテンダーなど、お酒にまつわる仕事がオススメです。中でも、アルコール関連の企業でお酒の製造や品質管理を行う仕事は、お酒そのものに深く関われる面白さがあります。
たとえば、清酒造りの職人は「蔵人(くらびと)」と呼ばれ、製造や品質管理の一連の技術を習得してお酒を作ります。丹精込めて作ったお酒が「美味しい!」と言ってもらえると喜びを感じられるでしょう。初心者でも挑戦しやすい仕事ですが熟練の技術と経験を要するため、繊細な作業が得意な方に向いています。
料理が趣味の人は、調理師や飲食店員の他にフードコーディネーターの仕事もオススメです。フードコーディネーターは食に関する広範な知識に基づき、新メニューの開発やテーブルまわりのコーディネート、料理教室の講師などを行います。
料理の美味しさはもちろん、栄養面や見た目の美しさなど食への強いこだわりが求められるので、食に関する知識やスキルも向上するでしょう。
音楽が趣味なら、音楽ライターの仕事がオススメです。音楽ライターとはファンクラブの会報誌や音楽雑誌などのメディアを企画・制作する仕事です。音楽雑誌の出版社や編集プロダクションへ就職し、新譜の感想やライブのレポートなどを執筆します。
多くのライブや音楽フェスで生の音楽を体感し、感じたことをアウトプットする必要があります。音楽ライターは音楽に関する知識のほか、ライターとしてのリサーチ力や企画構成力、文章力も求められるでしょう。
体を動かすことが好きなら、スポーツの技術指導を行うスポーツインストラクターがオススメです。スポーツジムでトレーニングメニューを提案したり、フィットネスクラブでダンスレッスンをしたりとさまざまなスポーツ分野で指導を行います。
スポーツインストラクターは自身も一緒にプレーしながら技術指導を行うため、運動やスポーツが好きなら楽しみながら仕事に取り組めるでしょう。この仕事は高い運動能力とスポーツに関する一定水準以上の技術がある人、そして教えるのが好きな人に向いています。
ものづくりや自然とふれあうことが好きなら農業がオススメです。農業にもさまざまな種類があり、どのような農畜産物をどうやって育てるかによって大きく異なります。
農業に興味を持ったら、まずは家庭菜園に挑戦したり、農業法人で従業員として働いて農業のノウハウを習得しましょう。農業は技術だけなく、天候や社会情勢などあらゆることに左右されるため決して簡単な仕事ではありません。試行錯誤しながら地道にコツコツ努力できる人、データ管理など数字に強い人に向いています。
ファッションやおしゃれが趣味なら、服に毎日関われるファッションコーディネーターがオススメです。ファッションコーディネーターとは、主に専門店の売り場や展示会場などでコーディネートやアイテムの使い方をアドバイスする仕事です。ほかにも自社ブランドの企画立案や広告の戦略計画など、幅広い仕事があります。
ファッションコーディネーターにはファッションセンスだけでなく、トレンドの分析力やトレンドを自ら生み出すディレクション力も求められます。
メイクやコスメが好きなら美容部員やコスメの販売員のほか、化粧品の研究や開発に携わる仕事もオススメです。化粧品開発は華やかなイメージですが、実際は研究的な要素が強い仕事です。さまざまな原料を掛け合わせながら化粧品の安全性や機能性、使い心地の良さを追求し、試作品を作っていきます。
化粧品の研究職は繊細な作業が得意な人、粘り強く取り組める人に向いています。「こんな化粧品を作りたい!」という熱い想いがあれば、情熱を持って仕事ができるでしょう。
この記事では、趣味を仕事にする際の利点や欠点、留意点、オススメの職業について説明しました。趣味を仕事にすることでモチベーションが向上し、スキル向上も期待できますが、注意が必要であり、場合によっては趣味そのものが嫌いになることや、収入が急激に減少する可能性もあります。
単に趣味が好きだから、楽しいから仕事にするといった甘い考えではなく、自分の「好み」と「得意なこと」を明確にし、スモールスタートで趣味を仕事にしていくことが重要です。