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2023/10/31 更新

IR(Investor Relations)の職務内容、注目の理由、転職に必要なスキルとは

IRという言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、詳細について自信がない人は多いです。最近では、IRは企業の中で重要視されており、IRの役割を理解することで転職の選択肢が広がるでしょう。

この記事では、IRが注目される理由や、転職に必要なスキルについて説明します。

IR(Investor Relations)とは?

IRは「Investor Relations(インベスター・リレーションズ)」の略で、企業の経営状況を株主や投資家に提供する活動を指します。 IRの主な目的は、株主や投資家に企業について詳しく知ってもらい、資金調達などの企業経営に関連する重要な事項につなげることです。

IR担当者を企業内に配置することで、株主や投資家との良好な関係を築き、スムーズな経営活動を促進することができます。

IRと広報の違い

広報(Public Relations, PR)とIR(Investor Relations, IR)は、情報提供を中心とする役割を担う職種であり、共通点がありながらも、いくつかの重要な違いがあります。

1. 対象

広報は一般の人々やマスメディアなど一般社会向けに情報を提供します。その主な対象は顧客、消費者、市民、報道機関、パートナー企業などです。広報の目的は企業や団体の評判や信頼性を高め、製品やサービスの広告、ブランド構築、危機管理、社会的責任などを含みます。

一方、IRは主に株主や投資家を対象とした情報提供を行います。IRの目的は、企業の財務状況、経営方針、戦略、業績に関する透明性を確保し、投資家に対して適切な情報を提供することです。

2. 情報の内容

広報活動は、企業や団体の広報材料、新製品発表、社会貢献活動、業界のニュースなど、広範な情報に関する提供が一般的です。広報は一般の人々に対して企業や団体に関する広く浸透した情報を提供し、ポジティブなイメージを構築し維持します。

IRの情報提供は、企業の財務報告、四半期業績、将来の成長戦略、リスク要因、株主総会の情報、業界の競争情勢など、投資判断に関連する詳細で具体的な情報を提供します。IRの主要な目的は、投資家が企業の株式を保有または購入する意思決定に関する情報を提供し、株価の透明性を向上させることです。

3. 活動のタイミング

広報活動は、一般に企業や団体が一般の人々やマスメディアとコミュニケーションを行う継続的なプロセスです。広報は日常的な広告、広報リリース、メディア関係構築、ソーシャルメディア活動などを含みます。

一方、IRは企業の財務報告期間、四半期の業績発表、株主総会前後など、特定のタイミングに情報提供が集中します。IR活動は、公開企業が法律的に株主や投資家に提供しなければならない情報を含みます。

広報とIRは異なる目的と対象に焦点を当てており、企業や団体が幅広いステークホルダーに対して情報を提供するための重要な活動です。

現在「IR」が注目されている背後には何があるか?

IRが注目されている理由の一つとして、東証市場の再編が挙げられます。2022年に実施された東証市場の再編により、これまでのブランド力を維持できなくなった企業が少なくありません。今後、企業がブランド力を高める手段として、IRが効果的であるとの考えが広まっています。

IRを通じて財政の透明性を向上させ、経営方針を明確に伝えることで、企業が信頼される評判を築くことが期待されています。IRは長期的な視点での取り組みを通じて、企業の成長を促進する役割が与えられているのです。

企業がIR情報を公開する背後にある理由

大まかな概要を掴んだところで、企業がIR情報をどのように開示するかを理解することは重要です。IRがもたらす利点を理解し、企業内での役割を明確にしましょう。

第一の理由:法律および証券取引所の規定によるもの

企業は、金融商品取引法や会社法などの法的規定に従い、IR情報を開示する責務と(法定開示)、証券取引所の規則にも従う必要があります(適時開示)。

規定に従わない場合、企業活動に対する制約やペナルティが科せられる可能性ケースも多いです。したがって、IR担当者や経営陣は、規定を守るために細心の注意を払わなければなりません。

第二の理由:企業の魅力を発信するため

IR情報の公開により、企業の魅力を伝え、新たな株主を獲得できる可能性があると考えられます。企業は、将来性があり、魅力的であると株主に感じさせる取り組みを行う必要があります。

株主は投資判断をするために、企業のビジョン、経営方針、財務状況などの情報を必要とします。情報を分かりやすく提示し、魅力を伝えることにより、新しい株主を獲得することが可能です。

第三の理由:社会的な貢献度を向上させるため

企業は、株主だけでなく、顧客、地域社会、政府機関など、さまざまな利害関係者との連携を通じて存在しています。IRを通じて企業の活動状況を伝えることは、企業の社会的な貢献度を向上させる一環です。

IRを通じて企業の活動を透明にし、ステークホルダーとの信頼関係を築くことが、長期的な成功に向けた重要な取り組みと言えるでしょう。

IRの担当内容

IRを実施する企業における具体的な業務内容が気になるのではないでしょうか。IR業務の詳細を把握し、株主や投資家との具体的な関与方法を理解しましょう。

1. 投資家や株主に自社の財務状況を提供

株主や投資家が自社への投資を検討する際に必要な情報を提供します。以下のような情報を提供対象とします。

  • 決算報告書
  • 有価証券報告書
  • 財政状況
  • 企業理念
  • 商品知識

IR業務の一環として、企業説明会を通じて自社の強みをアピールしたり、分かりやすいウェブサイトの設計を提案することも行います。

2. 財務報告書やレポートの作成と配布

IRの役割には、株主や投資家に向けて使うための財務報告書やレポートを作成し、提供することも含まれます。財政状況に関する情報の他に、経営計画の進捗状況や将来の戦略なども含まれているものです。株主や投資家などのステークホルダーに対して、経営状況を分かりやすく伝えるために、適切な情報を含むレポートを作成する必要があります。

また、どのような情報が求められているかをあらかじめ調査するケースも多いです。

3. 投資家向け広報

株主や投資家に向けた広報活動として、ウェブサイトやコンテンツを通じた情報提供を行うことがあります。最近では、企業の公式ウェブサイトに加えて、IR情報を専門に提供するウェブサイトを運営することが一般的です。

投資家や株主が必要とする情報に簡単にアクセスできるよう、新しい情報を定期的に掲載することが求められます。また、ウェブサイトからの問い合わせにもIR担当者が迅速に対応し、情報の一貫性を確保する重要な役割も担う場合もあります。

4. 投資家や株主の声を経営陣に伝える

日常的に投資家や株主の意見に耳を傾け、必要な情報を経営陣に伝達することも、IRの仕事の一環です。IR部門は投資家や株主と密接に連絡を取るため、会社内で見過ごされがちな重要なフィードバックを得ることがあります。

IR担当者はこれらの意見をまとめ、企業の経営陣に伝えることで、より効果的な経営に貢献できます。株主との円滑なコミュニケーションを通じて、企業運営の円滑化に貢献する役割が期待されているのです。

IRの役割に必要なスキルは?

企業の成長に寄与するIRのポジションには、どのようなスキルが必要なのかが気になります。広範な経営知識や内外の人々との関係構築のスキルが要求されるでしょう。

1. 高いコミュニケーション能力

IRの役割において、社内外の人々と円滑にコミュニケーションを図るスキルは非常に重要です。このコミュニケーションスキルは、関係構築の能力とも言い換えられます。

IR担当者の高いコミュニケーション能力は、株主や投資家などとの日常的な対話を通じて信頼関係を築くのに役立ちます。関係の中で重要な情報を収集し、上層部に円滑に伝えることができ、企業経営の向上に寄与します。

2. 納得させられるプレゼンテーション能力

IR担当者は、株主や投資家に対して企業の経営状況をわかりやすく伝えるためにプレゼンテーション能力を必要とします。IRの役割は、さまざまな説明会において、ステークホルダーに自社の状況を効果的に伝えることです。

株主や投資家に、自社が魅力的な投資対象であると認識させるには、単なる事実の提示だけでは不十分です。相手にわかりやすく説明し、引き込むプレゼンテーションスキルが必要です。

3. 優れた語学力

海外の投資家が多い企業では、株主や投資家との円滑なコミュニケーションに卓越した語学力が求められます。将来的には海外市場に進出する企業も、語学スキルを持つ人材を重視する傾向が高まるでしょう。

語学スキルとしては、ステークホルダーからの問い合わせへの対応や文書の作成など、業務全般に対処できるビジネスレベルが基本です。ビジネス会話をこなすだけでなく、経営全般の内容を相手に分かりやすく説明できるスキルも求められます。

4. 経営管理に関する豊富な知識

IRは株主や投資家との窓口としての役割も担うため、経営管理全般の知識が必要です。IRが取り扱う情報は、株式市場の知識から企業経営全般にわたります。自社についての包括的な知識を備えている必要があります。

株主や投資家から企業について質問が寄せられる場合、専門用語を平易な言葉で説明できるスキルも不可欠です。誰にでも理解しやすい説明ができるIR担当者がいることで、企業への関心を高める可能性が向上します。

5. 会計・財務に関する知識

IRのポジションでは、企業の財政状況に大きな影響を及ぼすため、会計と財務に関する知識が不可欠です。株主や投資家への企業説明会では、財政状況を伝えるために決算書などの資料を使用します。

企業の数字が変動する理由を解釈し、情報をプレゼンテーションするためには、会計に関する知識が重要です。会計の専門家と協力することもありますが、自身である程度の知識を持つことは、柔軟な対応に役立ちます。

IRへ転職するためには?

IRへの転職を円滑に進めるためには、以下のアクションが考えられます。

1. 実務経験の積み重ね

IR職に未経験から転職する際には、類似分野での実務経験を積むことが肝要です。IR職に求められるスキルや知識を身につけ、転職時にアピールポイントとなるでしょう。

自身が所属する部署が経理、財務、広報などIRに関連する要素を持つ場合、異動を希望してみることも一つの方法です。異動が難しい場合でも、IRに関連する業務を担当する部署へ転職することを考慮しましょう。働きながらIR関連のスキルを習得することで、入職後の業務理解がスムーズに進みます。

IRへの転職に向けて実行すべき行動について以下に説明します。

2. 言語スキルの向上

IRへの転職を考える場合、ビジネスで通用する外国語スキルを磨くことは非常に有益です。多くの上場企業や国際的な展開を目指す企業では、ビジネスレベルの外国語スキルを持つ候補者を求めています。特に、将来的に需要が高まるであろうIRポジションでは、語学スキルが高く評価されるでしょう。

自分の言語スキルに自信がある場合、転職面接で積極的にアピールしてください。

3. セミナーや勉強会への参加

IRに転職する際に重要な要素の一つは、セミナーや勉強会への積極的な参加と情報収集です。

IRの仕事では株主や投資家との関係が頻繁にあり、経済やビジネスの最新動向について把握し、適応する必要があります。日常的にインターネットや新聞などの情報源を通じてビジネスに関連する情報を追跡し、IRに関連するトピックスを見逃さないようにしましょう。また、セミナーや勉強会に参加することで、専門知識を習得し、有用なコネクションを築く機会を得られるかもしれません。

IRへの転職に役立つ資格

IRへの転職を成功させるために、役立つ資格が存在します。これらの資格を取得し、転職活動でアピールポイントとして活かしましょう。

1.TOEIC

IR職に転職を考える場合、多くの上場企業が応募者に対してTOEICスコア700点以上を求めることが一般的です。IRの仕事では、英語を使用して企業情報を伝えたり、海外投資家とのコミュニケーションが必要な場面があるため、高い英語スキルが求められます。

TOEICテストではビジネス関連の英文読解力が測定され、実務に役立つスキルを証明できます。また、TOEICスコアは他の転職にも有利に働くことがありますので、取得を検討する価値があります。

2. 財務報告実務検定

IRのプロフェッショナルが仕事で接する会計に関する知識を学ぶための資格です。この検定では、財務報告書の作成、開示文書に関連する情報、財務報告について学ぶことができます。会計知識は、IRが株主や投資家に情報提供を行う上で不可欠なスキルです。

この資格を取得することで、実務で必要な知識を迅速に習得できるでしょう。財務報告実務検定の受験資格は特に設けられておらず、どなたでも受験可能です。

3. CIRP検定

IRのプロフェッショナルを育成することを目的とした特定非営利活動法人によって実施される民間資格です。この検定は、IRの職務に必要な株式市場に関する基本的な知識とアプローチを評価するものです。

CIRP検定を受験することで、実務において有用な知識を習得し、転職面接での差別化要因として活用できるでしょう。この資格は、学歴や職歴に関係なく、どなたでも受験が可能です。自身の知識水準を評価するために、ぜひ挑戦してみてください。

IRの需要はますます増加傾向に

IRは企業の財務面を強化するのに役立つポジションであり、将来にわたり期待されています。求人は主に上場企業に偏っており、競争率は高いと予想されますが、転職活動では知識とポテンシャルのアピールが重要です。

IRとして企業にどのように貢献できるかを考え、今からできる準備を行い、転職に向けた一歩を踏み出しましょう。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。