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コンサルタント
2024/03/31 更新

組織人事コンサルタントとは?年収や仕事内容、必要な資格を解説

近年、企業の経営戦略を円滑に進めるために注目されているのが、コンサルタントです。コンサルタントといっても、ITコンサルタントや経営コンサルタント、人事コンサルタントなど、企業が抱える課題に対してさまざまな分野のコンサルタントが活躍中です。

そこで、今回はコンサルタントの中でも人材領域に特化した「組織人事コンサルタント」について解説します。組織人事コンサルタントを目指す人に向けて、組織人事コンサルタントの仕事内容や年収、組織人事コンサルタントになるための資格などまとめているので、組織人事コンサルタントへの就職・転職を考えている人は、参考にしてください。

組織人事コンサルタントとは?

組織人事コンサルタントとは、企業の経営課題の中でも人事領域に特化した課題に対して、改善・提案・実行を担います。一般的には、企業経営の課題を解決する職種全般をコンサルタントといい、組織人事コンサルタントもそのうちの一つです。

組織人事コンサルタントには、人事制度や組織構造の課題を解決する「人事組織コンサルタント」、企業の採用活動を支援する「採用コンサルタント」、社員の研修や教育を支援する「人材育成・教育コンサルタント」の3分野があります。それぞれの詳細については、後に詳しく解説するので参考にしてください。

組織人事コンサルタントの仕事内容

組織人事コンサルタントの仕事は、クライアント企業の採用や人事戦略の策定、人材育成の研修制度の構築などをとおして、企業が抱える人事面での経営課題を解決することです。

具体的には、離職率の低減やスペシャリスト育成制度、採用フローの構築などが挙げられます。最近では、働き方の多様化やグローバル化に伴い、これまで以上の精密な人事評価が求められるようになっているのです。組織人事コンサルタントは、このような時代の変化に合わせて、より最適な改善策をクライアント企業に提案をし、実行していく役目でもあります。

企業にとって、採用や人材育成、組織構造などの人的資源に関する戦略は、企業経営を円滑に進める上で最も重要です。そのため、これらの課題に対してプロである組織人事コンサルタントの力を求める企業は多いでしょう。

組織人事コンサルタントの種類

組織人事コンサルタントの仕事内容を理解した次は、組織人事コンサルタントの3分野について解説します。

前述したとおり、組織人事コンサルタントは「人事組織コンサルティング」「教育・人材育成コンサルティング」「採用コンサルティング」に分類されます。それぞれの特徴や業務内容は、同じ組織人事コンサルタントでも異なるので、以下の解説を参考に理解を深めてみましょう。

人事組織コンサルティング

人事組織コンサルティングは、クライアント企業の人事制度構築や組織構造の改革を担います。具体的には、企業の経営戦略に基づいて、企業の現状分析から課題を抽出、課題解決のための施策提案、その後の導入から運用まで一貫して行います。その後の効果測定も人事組織コンサルティングの仕事です。

人事組織コンサルティングに寄せられる課題で多いのが、社員の離職に関する課題です。人事制度に不満を感じて離職率の増加が問題視されているため、社員が満足できる評価制度の見直しを、人事組織コンサルティングがクライアント企業に提案をします。その他にも、新たな事業立ち上げや最適な人材配置で社員のエンゲージメントを高めるための施策も行います。

教育・人材育成コンサルティング

教育・人材育成コンサルティングは、既存社員の能力を高め、組織全体のパフォーマンスアップを図ります。また、社員一人ひとりのスキルアップで組織力強化を目的とした改革を提案、導入する役目もあります。

人材育成の際には、研修プログラムの構築や企画立案、さらには研修講師を担うことも珍しくはありません。社員のレベルに合わせて、新人研修、マネジメント研修、経営層研修など、さまざまな研修を実施します。研修を行う際は、クライアント企業が大切にしている社風や経営方針、経営理念などの十分な理解が大切です。

採用コンサルティング

採用コンサルティングは、企業の採用課題に対して採用戦略を立案したり、採用活動を担当します。

クライアント企業の中には、採用のノウハウや知見がないケースが多いです。その際は、採用計画の立案や採用ターゲットの策定、クライアント企業にとって最適な採用手法の選定を行います。人事が足りていないクライアント企業に対しては、採用コンサルタントが書類選考や面接を行い、候補者の入社までをサポートする代行業務を担う場合も多いです。

採用コンサルティングは、候補者の企業マッチや求める人物像に合った人材を採用するためにも、企業理念や社風を理解することが求められます。

組織人事コンサルタントの年収

組織人事コンサルタントの年収は、約740万円(※1)です。

転職サイトや転職エージェントに掲載されている求人では、500万〜1,000万円の給与で募集をしている企業が増えています。もちろん、年収は経験や年齢、企業の規模によって異なるので、一概にはいえません。しかし、組織人事コンサルタントの仕事は、企業課題を解決するための専門ノウハウや、経営者と近い距離で仕事をする責任ある仕事のため、年収は比較的高いでしょう。

20代の若手であれば、400万〜600万円程度であり、40歳を超えると1,000万円を超える人もいます。経験年数や年齢が上がると、マネジメント経験などを考慮されて15,000万円を超えることも。年齢と比例して求められるスキルや責任は大きくなりますが、その分給与も高くなるのが特徴です。

(※1)参考:パソナキャリア「組織・人材コンサルタントの年収1000万円以上の求人・転職情報」

組織人事コンサルタントになるメリット

ここまで組織人事コンサルタントの仕事内容や年収について解説をしてきましたが、次では組織人事コンサルタントになるメリットについて解説します。メリットを知れば、モチベーション高く組織人事コンサルタントへのキャリアを目指せるようになります。

多様な人と関わることができる

組織人事コンサルタントは、さまざまな人と関われる仕事です。クライアント企業の人事担当者はもちろん、経営者や実際に働いている社員との関わりもあります。そのため、仕事をとおして多くの人と関わりながら、成果を出すことができるのが組織人事コンサルタントのメリットです。

コンサルティングの成果が出た際は、感謝の言葉を直接聞くこともできるでしょう。感謝の言葉をきっかけに、さらに仕事に対するやる気が出る人も多いです。

さまざまな人と関わることは、自分の視野を広げるのにも役立ちます。たくさんの人と出会い刺激を受ければ、自分のキャリアやライフプランを見つめ直す機会にもなるでしょう。

キャリアパスが広がる

組織人事コンサルタントの経験は、さまざまなフィールドで活かせます。そのため、キャリアの選択肢が広がるというのが、組織人事コンサルタントのメリットです。

たとえば、組織人事コンサルタントから異分野のコンサルタントにキャリアチェンジする人もいます。コンサルティングの基本知識はあるので、特定の分野を学び直して活躍している人は多いです。また、事業会社の人事部門に転職し、組織人事コンサルタントで得たノウハウを活かしながら活躍する人もいます。その他にも、独立や起業、スタートアップのCHOなど、重大な役目を担うためにキャリアアップする人も多いです。

このように、組織人事コンサルタントからのキャリアパスは幅広く、たくさんの選択肢を見つけられます。

組織人事コンサルタントに必要な資格は?

組織人事コンサルタントになるための必須資格はありません。しかし、資格を持っていれば転職活動で有利になる可能性があります。また、資格で得た知識を活かして仕事をすれば好成績を残せたり、昇給昇格につながるでしょう。

以下では、組織人事コンサルタントにオススメの資格を紹介します。興味がある人は、資格取得を目指してみましょう。

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、社員の適性や能力、キャリア形成の支援を行うための国家資格です。組織人事コンサルタントとして、クライアント企業の社員に対する教育研修や人材採用の際、学んだ知識を活かすことができます。

キャリアコンサルタントの資格を保有していると、キャリアアドバイスを的確に行えると証明できます。そのため、クライアント企業や同僚からの信頼度が高くなり、仕事を任される機会が増えるでしょう。

国家資格のため難易度は高いですが、通信講座や動画配信講座を活用しながら効率的に勉強すれば、資格取得が狙えます。

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業支援法に基づいた国家資格です。経営コンサルタントが取得するケースが多いですが、組織人事コンサルタントにとっても非常に役立つ資格といえます。

組織人事コンサルタントの仕事は「人材」に的を当てたコンサルティング業務ですが、それらはすべて「経営」に直結します。そのため、経営支援のノウハウを学べる中小企業診断士の資格は、業務に直結する内容なのです。

合格率は毎年20%(※2)前後と、難易度が高い資格ではありますが、取得すれば経営戦略に知見があるコンサルタントとしての評価を得られるでしょう。

(※2)参考:J-SMECA中小企業診断士「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」

社会保険労務士

社会保険労務士は、労務指導や保険加入手続きなどを行うために必要な国家資格です。合格率は毎年一桁台と、かなり難易度が高い資格になります。しかし、取得できれば人事労務管理の専門家として周囲からの信頼を得られる資格です。

社会保険労務士は、クライアント企業の人事課題だけでなく、経営層と社員の認識のズレなど、組織全体の課題解決ができるようになります。その結果、組織人事コンサルタントとしての活躍の幅を広げられるようになるので、オススメの資格です。

組織人事コンサルタントに必要なスキル

組織人事コンサルタントにオススメの資格を理解したところで、実際どのようなスキルがあれば組織人事コンサルタントになれるか気になるのではないでしょうか。必要なスキルは、今からでも磨けます。以下で紹介されているスキルを参考に、組織人事コンサルタントになるために磨いていきましょう。

組織の仕組みに関心がある

大前提、組織人事コンサルタントになりたい場合、組織の仕組みに興味を持たなくてはいけません。組織の仕組みに興味がない人は、組織人事コンサルタントに向いていないです。

組織人事コンサルタントは、クライアント企業の組織や人に関する課題を、改善するための提案や企画力が求められます。あらゆる組織の仕組みを理解しておけば、提案の際さまざまなアイディアを持てます。また、組織人事コンサルタントには、人事領域の知見も必要不可欠です。積極的に人事領域の情報をキャッチアップしたり、勉強する必要があります。

組織人事コンサルタントは、自分から学ぶ意欲がないと務まらない専門性の高い仕事のため、組織に関する関心は必須です。

論理的思考力がある

コンサルティングを行う上で、論理的思考力は必須といえます。もちろん、組織人事コンサルタントにも論理的思考力は求められるスキルです。

論理的思考力を活かして、企業課題の分析、把握、それらをもとに改善策の提案を行います。クライアント企業が求める目標に対して、現状何が足りないのか、目標に向かうために何が必要なのかを逆算しながら、最適な手段を組織人事コンサルタントは選定しなくてはいけません。また、選定した手段をクライアント企業にわかりやすく伝え、承諾を得る必要があります。このような場面では、専門性だけでなくロジカルシンキングなどを用いて根拠となる条件や、仮説思考が必須です。

コミュニケーション力がある

組織人事コンサルタントは、クライアント企業の要望を的確にヒアリングし、最適な手段を選定する必要があります。もし、ヒアリング段階でクライアント企業の要望とずれてしまうと、クライアント企業が求めている結果が出ない可能性も多いです。そうならないためにも、人事コンサルタントにはコミュニケーション能力が求められます。

また、組織人事コンサルタントはさまざまな人と関わる仕事です。仕事中、人間関係のトラブルが発生しないようにするためにも、相手に応じた的確なコミュニケーションが求められます。

これらの理由からも、組織人事コンサルタントにはコミュニケーション能力が大切です。

体力と精神力がある

組織人事コンサルタントは、クライアント企業の経営を担っているといっても過言ではありません。そのため、大きな責任からプレッシャーを感じ、精神的に滅入ってしまう人も多いです。このような状況でも、自分の仕事に集中し成果を上げるためには、強い精神力が必要不可欠といえます。

また、クライアント企業の課題解決のための期限が迫っている際は、定時を超えての業務や朝早くからの打ち合わせも発生します。時間の制約がある中で、成果を出すには体力が必須でしょう。

組織人事コンサルタントは、目標達成に向けて強いメンタルと体力が必要不可欠です。

組織人事コンサルタントの就職先

実際に、組織人事コンサルタントになった際、どのような就職先があるか気になる人は多いのではないでしょうか。一般的に組織人事コンサルタントは「コンサルティングファーム」に就職をします。以下では、4つのコンサルティングファームを紹介するので、自分に合う転職先を見つける際に役立ててください。

組織人事系コンサルティングファーム

組織人事系コンサルティングファームでは、クライアント企業の組織や人事領域の課題に対してアプローチします。具体的には、人事戦略の設計や人事制度の策定、社内変革などを担います。組織や人事系の課題を中心として取り扱っているため、かなり専門性が高いです。

また、近年ではM&Aによる人事制度の統合支援も求められるケースが増えています。その場合、クライアント企業には外資系が多く、国際的な目線から組織課題を解決できるのは、やりがいにつながるでしょう。

シンクタンク系コンサルティングファーム

シンクタンク系コンサルティングファームは、メガバンクや証券会社を親会社に持ち、政府や官公庁に対して経済調査やリサーチを行う会社です。近年では、IT化の加速に伴って、IT課題の解決も支援するようになりました。

民間企業に対しての人材開発なども人事領域サービスとして展開しているため、組織人事コンサルタントはその分野で活躍をします。

総合系コンサルティングファーム

総合系コンサルティングファームは、幅広い経営課題を解決するコンサルティングファームです。「総合」という名のとおり、扱う案件の領域は幅広く、業務の幅も広くなります。

総合系コンサルティングファームでは、組織人事コンサルタントは人事関連のコンサルティング部門に配属になり、クライアント企業に対しての課題解決を提供します。

独立系コンサルティングファーム

独立系コンサルティングファームは、中小企業を中心に経営コンサルティングを担う日系企業です。中小企業の製造、営業、販売など現場に寄り添い、業務改善のための支援を行います。組織人事コンサルタントは、独立系コンサルティングファームに在籍したら、中小企業の人材育成や組織改善のサポートの役目を任されます。

組織人事コンサルタントのキャリアパス

最後は、組織人事コンサルタントになった後のキャリアパスについて紹介します。せっかく組織人事コンサルタントになったからには、その先のキャリアアップが気になる方は多いと思います。組織人事コンサルタントで得たスキルやノウハウがどのように活かせるのか、以下で解説をするので、参考にしてください。

異なる業界のコンサルタントに転身する

組織人事コンサルタントで得たコンサルティングのノウハウを活かし、異なる業界のコンサルタントにキャリアチェンジが可能です。

異なる業界にキャリアチェンジをする際は、その業界の基礎知識を勉強し直す必要があります。しかし、コンサルティングのノウハウやナレッジは、基本的に変わらないため、未経験からコンサルティング業界へのキャリアチェンジを目指す人よりもスムーズに業務になじめるでしょう。

さらに、違う分野のコンサルティングでも、これまで経験した組織人事コンサルタントの経験が活かせる可能性はあります。自分の業務の幅を広げることもできるので、異なる業界へのキャリアチェンジを検討してみるのはオススメです。

事業会社で人事部門をマネジメントする

組織人事コンサルタントで得たノウハウは、あらゆる企業の人事部門で応用できます。そのため、コンサルティングファームへの転職せず、事業会社に転職をして人事部門でマネージャーや高い役職に就くという選択肢もあります。

マネージャーや高い役職では、高い給与を狙えるだけでなく、組織において自分の裁量や存在価値を高めることができるのでオススメです。

独立・起業する

コンサルティングファームで得た人脈や経験を活かして、起業や独立する人も多いです。組織人事コンサルタントとして、新たにコンサルティングファームを開設する場合もあれば、フリーランスのビジネススクール講師やヘッドハンターとして活躍する人もいます。

企業の根本となる「人材」に関する高い専門知識は、さまざまな形で活かすことができるのです。

組織人事コンサルタントになって、キャリアの選択肢を広げよう

組織人事コンサルタントは、企業経営に欠かせない人事領域に特化したコンサルタントです。近年、労働力不足が課題視されている中で、多くの企業が人材育成や組織力の強化、採用に重きを置いています。その際に、今回紹介した組織人事コンサルタントは注目を集めているのです。

組織人事コンサルタントになれば、その先のキャリア選択肢も広がります。未経験でも資格や必須スキルを身に付ければ、必ず組織人事コンサルタントへのキャリアを目指すことが可能です。未経験から組織人事コンサルタントへの転職を一人で行うのは不安という方は、まずは転職エージェントや転職サイトを活用してみましょう。業界に精とおしたアドバイザーが、あなたの転職活動をサポートしてくれます。ぜひ活用してみてください。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。