早期退職にはメリットがある一方で、離職を後悔するのではないかと不安を感じる人も多いでしょう。この記事では退職制度の概要やメリット・デメリット、後悔しないために確認したいことを紹介しています。
自身のキャリアに疑問を抱き、早期退職を選択肢の一つとして考えている方はぜひ参考にしてください。
早期退職制度は、定年を迎える前に自ら退職を選択することで、退職金の優遇や再就職支援を受けられる福利厚生のような仕組みです。一般的に「早期退職」という言葉は、このような優遇を受けられる退職制度を指す表現として使用されています。
企業が人件費削減や経営不振などの理由で、会社都合で退職者を募集するケースや、従業員が自己都合で申し出る場合など状況はさまざまです。
優遇措置 | 退職理由 | 退職のタイミング | |
早期退職 | 退職金の割増や再就職支援など | 自己都合、会社都合 | 随時 |
希望退職 | 退職金の割増や再就職支援など | 会社都合 | 一時的 |
早期退職と間違われやすい、希望退職という言葉があります。希望退職は、企業が経営悪化や組織再編などの理由で、早期退職希望者を募集する会社都合のシステムです。
早期退職同様に退職金の優遇や再就職支援が提供されますが、希望退職は一時的なプログラムであることが大きな違いです。早期退職は随時受け付けられるのに対し、希望退職は企業からの退職勧告が伴います。
早期退職には、どのようなメリットがあるのでしょうか。早期退職するメリットは、以下のとおりです。
【早期退職のメリット】
早期退職では退職金が優遇され、通常より多くの退職金をもらえます。優遇される程度は会社によって異なりますが、厚生労働省(※1)による種別ごとの退職金平均は以下のとおりです。
種別 | 退職金相場 |
早期退職 | 2326万円 |
定年退職 | 1983万円 |
会社都合退職(リストラ) | 2156万円 |
一身上の都合による自己都合退職 | 1519万円 |
早期退職の際、定年後のキャリアや生活をサポートするために、退職金を充実させる企業も多いようです。受け取れる退職金が最も多いのは、早期退職制度であることがわかります。
(※1)参考:厚生労働省 平成30年就労条件総合調査の概要
再就職支援により、専門家のサポートを受けつつ新しい試みにも挑戦しやすくなります。たとえば、退職金を資金とした新しいビジネスや独立などです。企業によっては、人材会社と提携した再就職サポートを実施している場合もあります。早期退職制度を取り入れている企業では、次なるキャリアへのスムーズな移行のためにさまざまな工夫がなされているのです。
早期退職後、空いた時間を自分の好きなことに使える点も魅力の一つです。趣味活用や資格学習など、現役時代は忙しくてできなかったことでも退職後ならチャレンジできます。
東京都福祉保健局(※2)によると、退職後の活動内容として地域活動、社会貢献のための活動、旅行や遊び、趣味、スポーツ活動などの回答が多いです。
蓄えに余裕があるならば、リタイアの時期を少し早めて体力のあるうちに自分のしたいことに取り組むのもよいでしょう。
(※2)参考:東京都福祉保健局 「高齢期における地域活動等の意向」について
早期退職はメリットが多いものの、気をつけたい注意点があることも事実です。
【早期退職の注意点】
上記2点について、以下より解説します。
退職後は一定の収入が途絶えるため、退職後の計画をしっかりと策定しておく必要があります。次のキャリアが順調に進むまで、慎重に生計プランを考え、収支のバランスを保つことが大切です。手に入れた時間と退職金を有効に活用するためにも、余裕を持った計画が求められます。
特に早期退職後、すぐに次の仕事に就かない場合は生活費の計画を立てておくことが重要です。
退職時期が早い分、通常より厚生年金の受給額が少なくなる可能性があるため注意が必要です。将来的な厚生年金の受給額は、加入期間や給与額によって変動します。早期退職により加入していない期間が長くなったり、再就職後の給与が低い場合は受給額が減少する可能性があるでしょう。無職期間が長いと再就職も難しくなるため、退職前の計画や準備が重要です。
早期退職で後悔しないために、以下の3項目のチェックが必要です。
【早期退職で後悔しないためにすること】
キャリアを積んでからの退職は、共に生活する家族にとっても大きな決断となります。今後のライフプランや、子どもがいる場合は進路をよく話し合い、家族の同意を得るようにしましょう。
また、早期退職後、すぐに再就職や独立できる保証はありません。定期的な収入がなくてもしばらく生活していけるほどの、十分な貯蓄があることの確認が必要です。
なお、再就職を考える場合、転職市場での価値がわからないまま活動を始めると、就職が難航する可能性があります。専門のキャリアアドバイザーが在籍する転職支援サービスなどを利用し、プロと一緒に仕事先を探すのも一つの方法です。
早期退職は自己都合の退職や定年退職よりも、福利厚生の要素が強い制度です。退職金の受け取り金額が高い場合も多く、再就職支援を用意する企業もあります。納得のいく早期退職のために、目的の再確認や退職後の計画作りを行いましょう。