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監査法人
2025/03/18 更新

常勤監査役と非常勤監査役の違い|役割・報酬・スキルの比較

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「常勤監査役と非常勤監査役、どちらが自分に合っているの?」監査役を目指す方やキャリアチェンジを考えている方なら、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。常勤と非常勤では、業務内容や責任の範囲、報酬、求められるスキルに違いがあります。

この記事では、それぞれの役割を詳しく比較し、最適な働き方を選ぶポイントを解説します。ぜひキャリアを検討する際の参考にしてください。

常勤監査役と非常勤監査役の基本的な違いと役割

監査役には「常勤」と「非常勤」の2種類があり、それぞれの役割や業務範囲には明確な違いがあります。ここでは、常勤監査役と非常勤監査役の定義や勤務形態、法的地位、業務内容、監査役会での役割について詳しく見ていきましょう。

常勤監査役と非常勤監査役の定義と勤務形態 

常勤監査役は企業に常時勤務し、監査業務に専念する立場です。一方、非常勤監査役は別の職務と兼務することができ、必要なときに監査業務を行います。

常勤監査役は、日々の業務監査や取締役の職務執行を監視する責務を担います。そのため、業務の詳細を把握しやすく、会社内部の動きに精通しやすい立場にあるでしょう。また、取締役や従業員とのコミュニケーションが密に取れるため、リスク管理の強化にも貢献します。

一方、非常勤監査役は、定期的な監査役会や取締役会への出席が主な業務です。企業によっては、外部の専門家が非常勤監査役として任命されることもあり、独立した視点で監査を行うことが求められます。そのため、非常勤監査役には、短時間で的確な判断を下せる能力が必要です。

法的地位と権限における共通点と相違点 

常勤監査役と非常勤監査役は、どちらも会社法に基づいて選任され、監査を通じて取締役の業務執行をチェックする役割を担います。法的な権限や責任の点では両者に大きな違いはありません

常勤・非常勤を問わず、監査役は取締役の職務執行を監督し、違法行為があれば指摘する義務を持ちます。ただし、実務上は常勤監査役のほうが業務に関与する機会が多く、企業の内部情報を把握しやすいという点で優位性があるでしょう。

一方で、非常勤監査役は業務監査に関与する機会が少ないため、独立性を保ちやすいという利点があります。とくに、社外の専門家が非常勤監査役を務める場合、企業のガバナンス強化に貢献することが期待されているでしょう。

業務内容と範囲の違い 

常勤監査役は日常的な監査業務に関与し、非常勤監査役は重要な会議での監査が中心となります。常勤監査役の主な業務は、日々の取締役の職務執行の監視、会計監査、内部統制の評価などです。会社内に常駐することで、リアルタイムでリスクを把握し、必要に応じて迅速に是正措置を講じる役割を担います。

一方、非常勤監査役は、監査役会や取締役会への出席が主な業務です。企業によっては、外部専門家が非常勤監査役を務めるケースもあり、客観的な視点から企業の業務を監査することが求められます。そのため、専門知識や独立した判断力が非常勤監査役には不可欠です。

監査役会における役割分担

監査役会では常勤監査役と非常勤監査役が連携し、それぞれの強みを活かして監査業務を行っています。

常勤監査役は、日々の監査業務を通じて得た情報を非常勤監査役と共有し、企業の状況を詳細に報告します。一方、非常勤監査役は、その情報を基に専門的な視点から助言を行い、取締役の適切な業務執行を促す役割です。

このように、常勤と非常勤の監査役が協力することで、企業の監査体制はより強化され、ガバナンスの向上につながります。

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常勤監査役と非常勤監査役の報酬の違い

監査役としてのキャリアを考えるうえで、報酬の違いも重要なポイントです。常勤と非常勤では勤務形態が異なるため、当然ながら報酬にも違いがあります。ここでは、それぞれの報酬の決まり方についてみていきましょう。

常勤監査役の報酬の決まり方

常勤監査役の報酬は企業の規模や業績、個人の経験によって異なります。一般的には、年間750万円から1500万円の範囲で設定されることが多いでしょう。

大企業では報酬が高くなる傾向があり、監査役としての経験が豊富な人ほど高額な報酬を得るケースも。企業のガバナンス強化に貢献することが期待されるため、報酬にはその責任の重さが反映されています。さらに、役職手当や業績連動型の報酬制度を導入している企業もあり、一定の成果を上げた場合には追加の報酬が支払われることもあるでしょう。

非常勤監査役の報酬の決まり方

一方、非常勤監査役の報酬は、勤務日数や担当業務の範囲によって決まります。一般的には、年間200万円から500万円程度が相場でしょう。非常勤監査役の報酬は、主に取締役会や監査役会への出席回数に応じて支払われるケースが多く、企業によっては時給制や日当制を採用している場合もあります。また、社外の専門家が非常勤監査役を務める場合は、その専門性に応じた報酬が設定されることもあるでしょう。

常勤監査役と非常勤監査役に求められるスキルと適性

監査役として活躍するには、業務の特性に合ったスキルや適性が求められます。常勤と非常勤では、必要な知識や経験が異なり、それぞれに適した人物像も変わってくるでしょう。ここでは、それぞれに必要な能力やスキルアップの方法について紹介します。

常勤監査役に必要な専門知識と経験 

常勤監査役には、財務会計や法務の専門知識に加え、企業の内部業務への深い理解が必要です。日々の業務監査やリスク管理に関与するため、会計・内部統制・コンプライアンス などの知識が欠かせません。とくに、会社法や金融商品取引法といった法律面の知識は、監査業務を適切に遂行するうえで重要なポイントになるでしょう。

また、社内の関係者と円滑にコミュニケーションをとりながら業務を進めるためには、調整力や交渉力も求められます。単に監査を行うだけでなく、企業の改善に向けた建設的な提案ができることも大切です。

非常勤監査役に求められる専門性と独立した視点 

非常勤監査役に求められるのは、独立した立場から企業のリスクを評価し、客観的な判断を下せる力です。企業の内部に常駐しないため、主な業務は監査役会や取締役会への出席になります。そのため、短時間で重要なポイントを見抜き、的確な助言を行うスキルが求められるでしょう。

また、社外の専門家が非常勤監査役を務めるケースも多く、弁護士・公認会計士・企業経営者などが就任することが一般的です。法務や財務、M&Aの経験があると、企業のガバナンス強化にも貢献しやすくなります。

スキルアップと専門資格の活用方法 

監査役として活躍するには、専門知識を深め、実務に役立つ資格を活用することが大切です。常勤監査役なら、公認会計士(CPA)や税理士、CIA(公認内部監査人)などの資格が、財務やリスク管理の理解を深める助けになります。非常勤監査役には、弁護士資格やMBAが有効で、企業法務や経営戦略の知識が求められるでしょう。さらに、日本監査役協会のセミナーや研修を活用すれば、法改正や経営環境の変化にも対応しやすくなります。実務に役立つ情報を得るためには、業界イベントやオンラインの交流の場でほかの専門家と意見を交わすことも有益です。

業界・業種別に求められる特有のスキル

監査業務に求められるスキルは、業界によっても異なります。たとえば、金融業界ではリスク管理やコンプライアンスの知識が重視され、製造業では品質管理や労働安全の理解が求められるでしょう。IT業界の場合は、情報セキュリティやデータ管理の知識が必要になります。自分が目指す業界に応じたスキルを身につけることで、監査役としての価値を高められるでしょう。

常勤監査役と非常勤監査役それぞれのメリット・デメリット

常勤監査役と非常勤監査役では、働き方や求められる役割が違うため、それぞれにメリットとデメリットがあります。キャリア選択を考える際には、自分のライフスタイルや働き方の希望と照らし合わせることが大切です。

常勤監査役の主なメリットとデメリット 

常勤監査役の主なメリットとデメリットは以下のとおりです。

【メリット】

  • 企業の内部に関与できるため、詳細な情報を把握しやすい
  • 監査業務に専念でき、安定した収入が得られる
  • 取締役や経営陣との連携が密で、意思決定に影響を与えやすい

【デメリット】

  • 責任が重く、プレッシャーが大きい
  • 労働時間が長く、業務負担が大きくなりがち
  • 企業の内情に関与するため、独立した判断が難しくなることがある

企業内での影響力が大きい分、プレッシャーも強くなります。とくに、企業の経営方針やリスク管理に深く関わるため、的確な判断力が求められるでしょう。その分、監査役としてのキャリアを築く上では、貴重な経験を積むことができます。

非常勤監査役の主なメリットとデメリット 

一方で、非常勤監査役の主なメリットとデメリットは以下のとおりです。

【メリット】

  • 時間的な自由度が高く、本業と両立しやすい
  • 独立した立場で監査を行えるため、経営陣に客観的な助言がしやすい
  • 社外の専門家として、多様な企業の監査に関わる機会が得られる

【デメリット】

  • 企業の内部情報に触れる機会が少なく、状況把握が難しい
  • 監査業務に割ける時間が限られており、効率的な判断が求められる
  • 報酬が常勤監査役よりも低めになるケースが多い

非常勤監査役は、自由な働き方ができる反面、企業の実態を把握するための情報が限られることもあります。そのため、短時間で的確に状況を見極めるスキルが必要です。社外取締役などのほかの役職と兼務する場合は、幅広い知識と経験が強みになるでしょう。

ライフスタイルとの適合性比較 

常勤監査役と非常勤監査役、どちらが自分に合っているのか検討する場合、適正とともにライフスタイルに合っているかチェックすることも大切です。

常勤監査役

フルタイム勤務のため、安定した収入が得られるが、労働時間は長め

非常勤監査役

時間の融通が利くため、ほかの仕事や活動と両立しやすい

自分のキャリアプランや働き方の希望に応じて、どちらが適しているかを考えましょう。ライフワークバランスを重視するか、安定した環境を求めるかによって、最適な選択肢は変わってきます

キャリアステージ別の選択ポイント

若いうちは常勤監査役として経験を積み、シニア層になってから非常勤監査役へ移行するのも一つの選択肢です。

  • 若手・中堅層:実務経験を積むためには、まず常勤監査役としてのキャリアを検討
  • シニア層・専門職:既存のキャリアを活かしながら、非常勤監査役として活動する道も

監査役のキャリアは長期的な視点で考えることが重要であり、どのタイミングでどのポジションを選ぶかによって、働き方や報酬にも違いが出てきます。

常勤監査役と非常勤監査役への転身方法とキャリアパス

監査役を目指すうえで、どのようなキャリアを歩めばよいのかを知ることはとても重要です。常勤と非常勤では求められる経験やスキルが異なるため、それぞれに合ったキャリアの築き方を理解しておきましょう。

常勤監査役になるための一般的なキャリアパス

常勤監査役になるには、財務・会計・法務に関する専門知識や、企業経営に関する実務経験が求められます。

代表的なキャリアとして、公認会計士・税理士・弁護士 などの資格を取得し、監査法人や企業の財務部門で経験を積んだ後に監査役に就任するパターンが多く見られます。また、経営企画やコンプライアンス部門での勤務経験も評価されやすいでしょう。

大企業では監査役の選任にあたり、取締役会や監査役会の推薦が大きな影響を持つため、社内外での信頼関係の構築も重要になります。監査業務に関する実務経験を積み、企業のガバナンス強化に貢献できるスキルを磨いていきましょう。

非常勤監査役としてのキャリア構築方法

非常勤監査役として働く場合、専門分野での豊富な経験と独立した視点が求められます。

中でも、弁護士・公認会計士・経営者など、特定分野で高い専門性を持つ人が就任するケースが一般的です。企業の監査を行ううえで、法務・財務・M&Aなどの知識や経験があると、強みとして活かしやすくなります。

また、監査役の職務経験がなくても、社外役員や経営アドバイザーとしての実績が評価されることもあります。そのため、自身の専門性を活かしながら企業経営に関与する機会を増やすことが、非常勤監査役としてのキャリア構築につながるでしょう。

常勤から非常勤へ、非常勤から常勤への移行

監査役のキャリアは固定的なものではなく、ライフステージやキャリアの変化に応じて常勤・非常勤を行き来することも可能です。

常勤監査役から非常勤監査役への移行は、長年の実務経験を活かしながら、働き方の自由度を高めるために選ばれることが多いでしょう。たとえば、定年後に非常勤監査役として複数の企業の監査に関与するケースや、独立して複数の監査役ポジションを兼任する道があります。

一方、非常勤から常勤への移行は、企業がより強固な監査体制を求める際に起こるでしょう。社外監査役として経験を積んだ後、特定の企業の内部監査を強化するために常勤監査役へ移行するケースもあります。どちらの働き方が自分に合っているかを考えながら、柔軟にキャリアを築いていきましょう。

自分に合った監査役の働き方を選ぶためのチェックポイント

監査役を目指すにあたり、どのような働き方が自分に合っているのかを見極めることが大切です。適性や希望を整理し、企業選びの基準を明確にしていきましょう。

自己分析:適性と希望の明確化

監査役としての働き方を考えるうえで、まずは自分自身をしっかり見つめ直すことが大切です。これまでの経験やスキルを整理し、どんな働き方を望んでいるのかを明確にすることで、自分に合った道が見えてきます

考えるべきポイントとして、次のような質問が挙げられます。

  • 会計・法務・内部統制などの専門知識があるか
  • 企業内部で関わりたいか、外部から支援したいか
  • フルタイム・柔軟な働き方など勤務スタイルに希望があるか

こうした視点で自分を見つめ直すことで、「どんな監査役を目指すべきか」がより明確になります。自分の強みや価値観と向き合いながら、キャリアの方向性を定めていきましょう。

企業選びのポイントと注意点

監査役としてどの企業で働くかは、キャリアの充実度を大きく左右します。企業の経営状態や監査体制がしっかりしているかどうかを見極めることが重要です。とくに、監査役の発言が経営にどれだけ影響を与えられるかは、働きやすさに直結します。

企業を選ぶ際は、以下のポイントを意識しましょう。

  • 監査体制は整っているか
  • 監査役の意見は尊重されるか
  • 業界特有のリスクがないか

面接では、「監査役の意見が過去にどう活かされたか」などを確認すると、その企業のスタンスが見えてきます。契約前には、報酬や責任範囲、経営層とのコミュニケーションの仕組みなども細かくチェックし、納得できる環境で働けるか慎重に判断しましょう。

現実的なキャリアプランニングの方法

監査役としてのキャリアを築くには、目の前の業務だけでなく、将来を見据えた計画を立てることが大切です。どの段階にいるのかを整理し、目標に向けて着実にステップを踏んでいきましょう。

短期(1〜3年)

必要な資格を取得し、監査業務の経験を積む

中期(3〜7年)

実績を重ね、ガバナンスやリスク管理の専門性を高める

長期(7年以上)

監査役としての影響力を強め、企業の経営にも関わる

監査役としてキャリアを積んだ先には、取締役への昇格、コンサルタントとしての独立、複数の企業で監査役を兼務する道など、さまざまな選択肢があります。監査を通じて得た知識や経験は、経営戦略にも活かせる貴重なスキルです。自分の理想の働き方をイメージしながら、長期的な視点でキャリアを築いていきましょう。

監査役求人の探し方

監査役の求人は一般的な転職市場ではあまり公開されていません。そのため、以下の方法を活用することが効果的です。

  • 専門の人材紹介会社を利用する
  • 監査法人や企業の監査部門で経験を積み、人脈を広げる
  • 業界のネットワーキングイベントやセミナーに参加し、企業との接点を増やす

監査役のポジションは、企業の信頼関係のもとで選ばれることが多いため、早い段階からネットワークを構築しておくことが成功への近道となります。

常勤監査役と非常勤監査役の違いを理解し、自分に合った選択を

監査役としてのキャリアを考えるうえで、常勤と非常勤の違いをしっかり理解し、自分のスキルやライフスタイルに合った選択をすることが大切です。

常勤監査役は、企業の内部監査に深く関わり、経営の透明性を高める役割を担います。一方で、非常勤監査役は独立した立場で客観的に監査を行い、専門知識を活かして助言するポジションです。

どちらの道を選ぶにせよ、将来のキャリアを見据えながら、今の自分にとって最適な選択をしていきましょう。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

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