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2024/07/29 更新

ISO9001の内部監査とは?目的や進め方、内部監査員になる方法も解説

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近年、企業の不正・不祥事問題が増加しています。製造業での品質不祥事問題やサービス業での情報投影問題など、後を絶ちません。このような社会課題を防止するために注目されているのが「ISO9001」です。ISOという単語を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

今回は、ISO9001の内部監査について解説します。ISO内部監査の目的や実施方法について詳しく解説するので、気になる方は本記事を最後まで読んで、参考にしてください。

ISO9001とは

ISO9001とは、品質マネジメントシステム(QMS)に関する国際的な規定です。QMSは、組織や事業者が製品やサービスの品質向上を実現するための仕組みを意味します。

ISOとは、製品や仕組みに関する国際的な規定を定める機関です。定められた規定に沿った審査を通過した企業のみ、ISO認証を受けられます。

ISO9001では、QMSを構築・運用するためのルールがあり、ISO9001認証取得をしている企業は、国際的な規格に適合しているとアピールできます。また、認証取得していると、企業価値向上や海外企業との取引機会拡大など、さまざまな効果が期待できるでしょう。

ISO9001のほか、ISOには環境保全に関する「ISO14001」や、情報セキュリティに関する「ISO27001」などがあります。

参考:JQA「ISO 9001(品質)」

ISO9001の内部監査とは

組織が提供するサービスや製品の品質に問題ないかチェックするために実施される監査を、ISO9001の内部監査といいます。

ISO9001の目的は「一貫した製品・サービスの提供」「顧客満足の向上」の実現です。実現に向け、定期的に内部監査を実施します。基本的には、1年に1回の実施が望ましいといわれていますが、事業者や組織によって変更可能です。

内部監査で問題が見つかっても、ISO9001の認証がすぐに取り消されることはありません。改善に努めれば認証の継続は可能です。ただし、問題を放置し外部監査によって重大な不適合があると判断された場合、認証一時停止や取り消しになる可能性があるので注意しましょう。

参考:JQA「ISO 9001(品質)」

内部監査と外部監査の違い

ISO9001の監査には、内部監査と外部監査があります。ISO9001の規定を取得・維持し続けるには、内部監査と外部監査の両方を受ける必要があるので注意してください。

内部監査は、会社の従業員やコンサルタントの代理人が内部監査員として、品質監査を実施します。日常的に発生する問題点を発見したり、処理を行いやすいのが特徴です。組織の事情をよく理解している人材が監査を担うため、問題に対しての対策案が練りやすいでしょう。

一方、外部監査は組織外の人が監査員を務めるため、組織内部では発見しにくい問題を見つけやすいです。内部監査だと見落としがちな問題も、外部監査であれば見つけられるケースもあります。

内部監査は、従業員など社内に近い人材が行うため、監査がマンネリ化しがちです。そのため、第三者目線で確認をする外部監査は欠かせません。

内部監査と外部監査の実施は、ISO認証を得られ社会的信用につながるでしょう。

ISO9001内部監査の目的

ISO9001の内部監査の具体的な目的について、4つのポイントに分けて解説します。目的を理解し、内部監査に対する理解を深めてください。

適合性監査

内部監査では、QMSの規定やルールに沿っているか確認を目的としています。基本的な審査は適合性監査であり、ISO9001の規格要求事項との適合性審査です。

適合性は「適合していて当たり前」が大前提であり、顧客満足度向上や社会的信頼のためにも必須条件です。適合監査を実施することで、有効性監査などの改善を促していったり、未然に不正を防ぐ効果もあります。

運用監査

運用監査では、自社で決めたルールやISOの規格要求事項がきちんと遵守されているかを確認します。決めたルールどおりに仕事が行われていないと、不正・不祥事につながりかねないからです。

問題点の顕在化

内部監査では、マネジメントシステムが活用しきれていない部署や課題点を発見する目的もあります。

たとえば「リーダーシップが発揮できていない」や「後輩教育がおろそかになっている」などです。これらの課題点を改善できないと、ISO取得はできません。

内部監査では組織に潜在している課題点を見つけ出し、改善につなげる目的があります。

改善点の有無

内部監査は、基本的に他の部署の監査を実施します。

所属している部署の監査だと、マンネリ化してしまい問題を見落としがちです。そのため、他の部署が監査を行い、新たな目線から課題がないか確認します。部署が違うと、考え方やルールが異なるので、問題点を見つけやすいでしょう。

定まっているルールなど、改善の余地がないか確認し、必要であれば改善します。

ISO9001内部監査の進め方                 

次は、ISO9001の内部監査を進める方法について解説します。内部監査員を目指す方や、内部監査に興味がある方は参考にしてください。                                      

①ISO内部監査の計画立案

ISOの内部監査は、抜き打ち実施はしません。基本的には、内部監査員が立案した計画に基づいて実行します。内部監査員は、被監査部門と日程や出席者調整を行い、日程が定まったら監査実施日に向け計画書を作成しましょう。

計画書は、スムーズに内部監査を行うために必要不可欠です。作成者以外が見てもわかりやすいようにしてください。

②ISO内部監査の準備

次に、内部監査者は監査の目的に従って確認する項目を洗い出します。項目を洗い出したら、それらを確認するためのチェックリストを作成しましょう。

具体的な確認事項は、社内共通のルール事項や、監査する部署の業務手順です。コンサルに内部監査を依頼する場合は、コンサルのフォーマットがあるので準備が必要ない場合もあります。

内部監査は自部署の監査を禁止しています。必ず他部署の監査を2名以上で実施しなくてはいけないため、監査員の構成も考えておきましょう。

③ISO内部監査の実施

内部監査の準備が整ったら、監査を実行します。できる限り現場で監査を行うようにしてください。

監査の目的は、不正や不祥事がないかの確認です。しかし、粗さがしや不適合探しなど、十箱の隙を突くような監査はしないようにしましょう。

あくまで、不正や不祥事を未然に防ぐための確認係です。明るい気持ちで、明るく楽しい監査を目指してください。

④ISO内部監査の報告

内部監査が終了したら、再度審査の目的・範囲・基準の確認を行います。その後、結果報告をしてください。報告では、不適合だけでなく、業務や作業の称賛点も報告するようにしましょう。

もし、監査で不適合を発見したら、是正処置の計画を確認します。その際は、いつまでに監査員に是正計画を提出するか確認してください。その後、監査員は報告書を作成します。

⑤ISO内部監査のフォロー

内部監査後は、被監査側は「是正活動」と「改善活動」を実施します。これに対し、内部監査員は、フォロー活動を行ってください。

内部監査の不適合に対する責任の追求と是正計画の策定は、被監査部門が担います。また、改善の機会を実施するか否かは、被監査部門が決めます。

内部監査者は、組織で規定があれば、是正処置の計画から効果確認までのフォローをしましょう。ただし、規定がなくてもフォローできるのであれば、フォロー実施が望ましいです。

ISO9001内部監査を成功させるには

内部監査を成功させるためには、ポイントを理解する必要があります。

以下では、内部監査をスムーズに行い、成功させるための3つのポイントについて解説します。これから内部監査を実施予定の方は、参考にしてください。

チェックリストの活用

チェックリストとは、部署ごとに設定した監査基準を示した記録です。内部監査の際は、事前に用意したチェックリストを活用しましょう。

内部監査の際に活用するチェックリストには、いつ・誰が作成した・なんというエビデンスか、客観的な証拠をメモしておくことが非常に重要です。これらの項目が抜けていると、内部監査が有効ではなかったと判断される場合があります。

審査で多いケースが、内部監査チェックリストに客観的な証拠が記載されていなかったり、不適合があったにもかかわらず、是正処置がされているなどです。

せっかく実施した内部監査が無駄にならないよう、チェックリストを活用し、客観的な証拠を残すようにしましょう。

社内で内部監査の実施趣旨を共有

内部監査の目的は「適合性監査をすること」「運用監査をすること」です。いわば、規定されているルールに基づいて、正しく運用されているか確認するための手段です。

内部監査を受ける側は、どうしても「指摘されないようにしなければ」と考える人が多いです。しかし、内部監査は、指摘を出すことを目的にはしていません。その旨を必ず監査前に社内に伝えるようにしましょう。

内部監査の目的を社内に共有することで、内部監査を受ける側の受け取り方が変わります。受ける側の意識が変われば、監査を実施しやすくなるでしょう。

ITシステムの導入

既存体制や仕組みの改善が必要な場合は、ITシステムの導入を検討しましょう。

最近では、ペーパーレス化が加速しています。お客様サポートや営業対応を紙ベースで管理している場合は、ペーパーレスを促進するためのシステムの導入が効果的です。また、作業工程表などを紙やエクセルで管理している場合も、電子化を検討してみましょう。

電子化は、これまでの紙帳票と見た目がほとんど変わらないまま、記帳効率を上げられます。また、顧客満足度向上も実現可能です。

ITシステムに対し苦手意識を持っている方でも、マニュアルやサポート体制が充実しているシステムが豊富なため、安心して利用できるでしょう。

ISO9001の内部監査員になるには

次は、内部監査員になるための方法について解説します。内部監査員に興味がある方は、以下で紹介されている内部監査員のなり方を参考にしてみましょう。

社内で育成をし自社認定をする

内部監査員は、社内で育成ができます。

内部監査員になるための講習を、外部で受講した従業員が講師となり、社内で講座を開催、その後テストなど知識があるかを確認するための方法を実施し、自社認定ができます。

社内で育成するデメリットは、講座のレベルが若干低くなることです。専門機関が主催するISO内部監査員養成講座と同等のクオリティで講座を実施することは、どうしても厳しいです。しかし、メリットとして講座を受講する費用や手間がかからないという点があります。

社内育成を手段の一つとして検討してみてもいいでしょう。

オンライン講座を受講する

内部監査員認定講座は、パソコンやスマートフォンで受講できるオンライン動画視聴型講座があります。

講座は1時間〜3時間程度のものがほとんどです。そのため、講座に大幅な時間や手間をかけずとも、気軽に受講できます。さらに、オンライン講座のメリットは、場所に縛られないことです。各企業で在宅勤務が増えてきていますが、オンライン講座であれば自宅からでも受講できます。

業務が忙しい方でも、隙間時間を利用して受講ができるのも、オススメのポイントです。費用は、10,000円以内のものが多く、比較的手軽に受講可能でしょう。

集合研修を受講する

基礎的な知識から学びたい方には、ISO内部監査員養成講座に参加しましょう。

ISO内部監査員養成講座は、ISOのコンサルティング会社や研修期間が主催しています。そのため、ISO内部監査の具体的な内容やより深い知識を学べます。集合研修は、講師派遣型で会社に講師を招待し開催も可能です。講座は、1日〜3日かけて実施されることが多く、費用は3万円〜10万円程度です。

ISOの知識がない初心者でも参加しやすい内容になっているので、会社への派遣型で集合研修を実施する企業も多いです。

内部監査員に身に付けて欲しい能力

最後は、内部監査員が身に付けておくべき能力を紹介します。内部監査員を任されたいと考えている人は、内部監査員として身に付けてほしい能力を理解し、強化するようにしましょう。

問題発見力・提案力

内部監査の目的は、前述でも述べたとおり、不正・不祥事を未然に防ぐための確認です。そのため、問題発見力が求められます。

内部監査員は、職場や従業員、作業やその他設備に不備や不具合はないか、じっくり観察してください。観察する対象を決めておくことで、対象に対する規定を意識しながら確認できます。その結果、見落としがちな課題を発見できるでしょう。

また、不正・不祥事を発見したら、それらを改善するための提案力も、内部監査員には求められます。内部監査員の役目は、発見したら終わりではないです。発見後の改善フォローも大切な役割です。

規定に沿うように改善を行い、サービスの質を担保できるよう、的確な提案力が求められるのです。

質問力

内部監査員は、ISO9001の規格要求事項を理解した上で、的確な質問の実施が重要です。

要項を理解していないと、確認すべきポイントや規格に基づいた要点や重要ポイントを漏らしてしまう危険性があります。また、質問がマンネリ化したり形骸化してしまい、内部監査のクオリティが担保できないというケースも多いです。

このような事態を防ぎ、内部監査として高クオリティな確認をするためにも、質問力が内部監査員には求められます。ポイントとは、「イエス」「ノー」で答えられない質問をすることです。5W1Hを意識しながら質問形式のインタビューを行いましょう。

インタビューの方が、より多くの情報が得られ効果的です。

コミュニケーション力

内部監査員は、監査対象部署から的確な回答を引き出さなくてはいけません。そのためには、対象が回答しやすいような雰囲気や会話を作るコミュニケーション能力が求められます。

質問力と同様、コミュニケーション能力を活かし、内部監査員は対象に対してさまざまなインタビューを実施します。この際に、コミュニケーション能力がない内部監査員だと、対象から答えを導き出すことができず、時間だけがかかって非効率的です。

一方で、コミュニケーション能力があれば、スムーズに答えを引き出せるので、効率的に内部監査を実施できるでしょう。

あらゆる業務において、コミュニケーション能力は必要不可欠です。内部監査員も同様、コミュニケーション能力は必ず強化したい能力でしょう。

ISO9001内部監査は経営に欠かせない観点

ISO9001内部監査は、企業や組織の不祥事・不正を阻止することを目的として実施しています。

企業が、経済活動を行っていく中で不祥事や不正があってはなりません。内部監査によって、事前にそれらを防ぐことができれば、企業の信頼性を守れます。また、お客様満足度も向上するので、企業にとってメリットばかりです。

内部監査を行う内部監査員は、企業にとって必要不可欠であり、需要が高いでしょう。今回の記事を参考に、内部監査や内部監査員に興味を持っている方は、まずはISO規定に関する知識習得を目指してください。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

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