財務部と経理部は見た目では同じような仕事をしているように思えますが、実際にはそれぞれ異なる領域を担当しています。この違いを把握せずに就職や転職を考えると、期待と異なる現実に直面することがあります。
この記事では、財務と経理の業務の違いを説明すると同時に、財務関連業務への転職に成功するためのポイントも紹介します。
財務業務とは、基本的には「企業が必要な資金を確保する」ことです。具体的な業務内容は次の通りです。
会計データを元に、財務戦略を立てる。
資産を増やすために株式や不動産に投資することも含む。
財務職は未経験からでも始めることができますが、専門的な業務も含まれているので、少しずつ専門知識を身につけてスキルを高めていくことが重要です。
財務部は将来の企業活動に必要な資金を確保・運用する役割を担っております。
一方、経理部は手元にある資金や使途の管理、過去から現在までの資金の流れを記録・管理する業務を行います。経理は過去から現在に至るまでのお金の動きに焦点を当てて業務を担っているのです。
監査業務など一部の仕事を除いて、財務の業務には国家資格がなくても対応できることがあります。財務には医師や弁護士のような「保有者のみが行える資格や免許」は存在しません。そのため、営業部門など別の分野から財務部門に移ることも可能です。
ただし、経理や会計、財務関連の資格を取得しておくことで、財務分野での就職や転職、昇給、キャリアアップの機会が増えることは間違えないでしょう。財務部で活躍したいと考えるのであれば、資格取得を検討することがオススメです。
財務部門で高く評価される資格は、取得が比較的容易で短期間で取得できるものから、非常に高い評価を得るためには高難易度なものまで、いくつかの種類があります。代表的な財務関連資格とそれぞれの難易度を整理しました。
資格の種類 | 難易度 |
---|---|
日商簿記3級〜1級 | ★★★〜★★★★★ |
ビジネス会計検定 | ★★★ |
ファイナンシャルプランナー | ★★★ |
FASS検定 | ★★★ |
公認会計士 | ★★★★★★★ |
税理士 | ★★★★★★★★ |
それぞれの資格について説明していきます。
日商簿記はお金のやり取りを処理・記録する技術であり、“会社のお金の管理”とも言えます。会計スキルの基盤であり、公認会計士や税理士を目指す多くの人が日商簿記試験を挑戦しています。この資格は財務分野で広く知られ、人気も高いです。
1級試験は難関として知られ、合格率は10%前後と低いですが、3級は初学者でも2〜3ヶ月の勉強で合格できることもあり、大学生が就職活動の際に取得する人も増えています。
日商簿記3級〜1級の受験料は2,850円〜7,850円で、合格率は3級が40〜60%、2級が15〜30%、1級が10%前後です。詳細は公式HPでご確認いただけます。
参考:商工会議所 日商簿記検定
ビジネス会計検定は、簿記検定と同じく会計の基本知識をテストする試験ですが、ビジネス会計検定は簿記検定が仕訳に焦点を当てているのに対し、財務諸表の理解や分析にフォーカスしています。知名度は低めですが、より財務に密接な知識を持っていることを証明できます。
この試験は1年に2回行われます。受験料は4,950〜11,550円で、合格率は3級が60%、2級が50%、1級が10%です。詳細は公式HPでご確認ください。
参考:ビジネス会計検定試験
ファイナンシャルプランナー資格は、主に資産運用に関する知識を証明するものです。財務部門や個人の資産運用アドバイザリー業務で活躍することができ、金融機関の従業員によく取得されています。
この資格では主に資産運用に関する知識が問われますが、会計や簿記の基礎も含まれています。試験は「学科」と「実技」の筆記試験で実施です。受験料は6,000〜33,900円で、合格率は3級が80%、2級が50%、1級が90%です。詳細は公式HPをご確認ください。
参考:日本FP協会
FASS検定は経済産業省が主催する試験です。他の会計関連の試験と比べて、より実務に近い内容が問われるのが特徴で、FASS検定の得点と実際の業務での評価には密接な関連性があるとされています。
この検定は合否ではなく、TOEICのようなスコア制度を採用しています。スコアによっては、レベルAからEまでの五段階評価に分かれます。しかし、受験者の約60%がレベルAからCの範囲に位置するので、中級以上の評価を得ることはそれほど難しくありません。
FASS検定の受験料は11,000円(日本CFO協会法人会員は8,800円)で、合格率はレベルC以上が約60%です。詳細は公式HPをご覧ください。
公認会計士試験は弁護士や医師と並ぶ「日本三大資格」として知られており、非常に難易度の高い試験です。合格するには最短でも2年程度の学習が必要です。
公認会計士資格保有者にしか許されていない独占業務もあり、監査法人などでの監査業務などがその例になります。試験内容は主に財務諸表の理解や作成技術を問う内容で、公認会計士は高度な財務関連知識を有しており、大企業の財務部門でも高く評価される重要な資格とされています。
公認会計士の受験料は19,500円で、合格率は10%です。詳細は公式HPをご覧ください。
参考:公認会計士・監査審査会
税理士は、公認会計士と並ぶ、財務・会計分野で最も難しい資格の一つです。
合格率は15〜20%で、公認会計士試験よりもやや高めですが、全科目合格までにかかる時間は5年〜10年と、公認会計士試験よりも長期間を要します。税理士試験は科目合格制度を採用しており、一度に全科目を受験する公認会計士試験とは異なり、一つずつ着実に取得できる点が特徴です。
税理士試験では、財務諸表の作成・分析だけでなく、税法の知識も問われます。日本の税法は非常に複雑であり、税務に詳しい税理士は企業経営者から重宝されます。税理士だけが行うことができる税務相談業務は、独占的な収入源となっています。
税理士試験の受験料は7,500円(5科目全てを受験する場合)で、合格率は15〜20%です。詳細は公式HPをご覧ください。
参考:日本税理士会連合会
財務関連の資格を持つことは、転職やキャリアアップに有利です。
財務業務は、「将来的に必要な資金調達や管理」が中心であり、経理とは異なる性質を持っています。必須な資格はありませんが、財務関連の資格を取得することで転職やキャリアアップの可能性が広がるでしょう。さまざまな難易度の資格が存在し、自身の目指す方向性に合わせて資格を選ぶことが重要です。
経理と比べると、財務職はより経営層に近く、高度な専門性が求められる職種です。転職の難易度も高く、それに備えた準備が必要であり、財務職への転職をサポートするエージェントの助力が不可欠でしょう。
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