財務は、しばしば経理の業務と間違えられることがあります。財務は企業経営の根幹を担う重要な役割です。これには、専門的な知識を超え、金融機関や社内の関係者との対話や交渉を含むコミュニケーションスキル、さらには計画を具体的に動かす実行力が不可欠です。
この記事では、財務の具体的な業務内容や、この分野で期待される人物の特徴について説明するとともに、転職の際に重要となる「職務経歴書」の効果的な書き方についても、実例を交えて詳しくご紹介します。
財務部門は、資金調達、予算管理、財務戦略の策定、余剰資金の運用など、ビジネス運営において資金の調達と運用戦略を策定する重要な役割を担っています。
以下に、具体的な業務内容を紹介するので、参考にしてください。
財務のキャリアは未経験者から始めることができますが、財務戦略の策定など、専門知識が必要とされる側面も存在します。徐々に知識を習得し、スキルアップを図ることが肝要です。
財務としばしば混同される部署は「経理」です。経理は請求書の発行、給与計算、税務申告、決算書の作成などの業務を担当します。
両部門の最大の違いは、経理が「過去の会計」を取り扱うのに対し、財務は「将来の会計」を担当することです。つまり、給与計算や決算書の作成は「これまでの会計の履歴」を示すのに対し、財務部は資金調達や資産運用など未来の会計に焦点を当てます。
履歴書や職務経歴書は、求職者のスキルと経験を企業に伝え、その人材が求められているかを判断するための文書です。面接で全て語る時間的余裕がないため、1〜2枚のA4用紙にまとめて、事前に提出します。求職者は履歴書に自身の魅力を伝える内容を記載することが重要です。
通常、以下の項目が含まれます。
【項目】
これまでの職務経験を要約して記入します。単に企業名や職務内容を箇条書きするのではなく、3~4行に要約しましょう。
要約する際のポイントは、「アピールしたい成果を数字で示す」ことです。短い文章で魅力を伝えるため、主要な業績を絞り、数値で示しましょう。
【例】
株式会社◯◯◯◯での経歴です。経理業務の経験を積んだ後、2020年から財務業務に専念。財務諸表の分析に基づき、金融機関との協議で◯◯億円の資金調達に成功。現在は経理・財務部のスタッフ◯名の管理も担当中。
過去の勤務先と業務内容を箇条書きで示します。企業のプロフィール、資本金、売上高、従業員数などのデータは最新情報を提供しましょう。業務内容は視覚的に分かりやすく、箇条書きで示します。
【例】
2017年4月から現在まで:本社/経理・財務部
【出納管理業務】(約◯年間)
【財務戦略業務】(約◯年間)
自身のPCスキルや英語力などの能力を記載します。重要なのは、財務業務に有用なスキルを中心に強調することです。業務とは関係の薄いスキルは、アピールに効果的ではありません。
【記入例】
スキルと同じく、財務業務に役立つスキルも明示します。取得した日付を記載してください。
【記入例】
自己アピールの要点を、エピソードを交えて示します。一般的に、管理能力、コミュニケーションスキル、問題解決能力などの特質を強調します。アピールしたい要点を4つか5つ以上挙げると、伝えたいポイントが分散してしまい、伝わりにくくなるので、1つか2つに絞りましょう。前述の「職務要約」とは異なる視点を選んでも構いません。
【記入例】
<正確なプランニングおよび実行力>(※財務未経験者)
以前の営業職では、毎月の売上目標に対してKPI(コール数やアポイント数など)を設定する際、過去の成績データを検討しました。自分に求められる目標を設定し、達成意識を持って取り組む一方、アポイント率が低い場合には積極的にコール数を増やすなど、柔軟な対応もしました。この姿勢により、6ヶ月連続で営業目標を達成し、社内で認められる成果を上げました。このようなプランニング能力と実行力を活かし、財務職での活躍に向け、簿記2級の資格を取得しました。
財務業務において求められるのは、財務の専門知識だけでなく、個人の資質も非常に重要です。以下のような人物像が財務業務に必要とされるため、これを参考にしてください。
【財務の業務で求められる人物像】
財務職は資金調達や予算管理などを通じて、企業内外で多様な人々と連携し協力します。金融機関の融資担当者、投資家、各部門の担当者などとの折衝と交渉は欠かせない要素です。経営目標を達成するためには、高いコミュニケーション力が必要であり、それがないと折衝と交渉を成功させるのは難しいでしょう。
コミュニケーションスキルに優れた人々は、単に話すだけでなく、傾聴力や論理的思考力などを磨いている人々です。
企業の未来に大きな影響を及ぼす責任があるため、仕事を細心の注意を払い、正確に進めることが不可欠です。特に予算管理や資産運用では、金銭の計算ミスが致命的で、新規事業の中止や損失発生につながる可能性があります。細かな部分まで正確な計算が要求されるでしょう。
粗略な計画ではなく、慎重に練り込まれた計画を立て、計画通りに進行させるスキルも求められます。資金調達時に提出する事業計画書では、企業の将来の事業展望を具体的に描き、金融機関の融資担当者に融資の必要性を説得しなければなりません。論理的な根拠のある計画を策定することが必要です。
また、実行段階で計画とのずれが生じた場合、プランを修正することが肝要です。どのタイミングで、どのような修正を行うべきかが、実力を発揮するポイントとなります。
財務職は、企業が必要な資金をどのように調達し、どのように活用するかを決定する役割です。経理部門は給与計算や税務申告など「過去の資金」に関連し、一方で財務部門は資金調達や財務戦略の立案など「将来の資金」に焦点を当てます。企業の未来を左右する重要なポジションであり、充実感を感じることができるでしょう。
財務の職務経歴書を書く際には、自身が遂行した業務をリストアップし、要点を簡潔にまとめることが鍵です。また、コミュニケーションスキル、慎重で正確な作業、計画通りに実行する能力など、個人の資質にも注目されます。
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