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2024/03/28 更新

財務会計に資格は必要?役立つ資格6選と初心者向けの勉強法を紹介

財務会計は多くの数字やデータを外部に報告するため、正確性と信頼性が求められます。企業の健全な運営に不可欠な財務会計は、専門知識と技術を証明する資格を持っていることで業界の信頼を得られるでしょう。

しかし、財務会計に資格は本当に必要なのかを、疑問を持つ方も少なくありません。資格取得は時間とコストがかかるため、自分のキャリアにとって最適な資格を見極め、自分自身や将来に役立つのかを理解することが重要です。

この記事では財務会計の世界で高く評価されている6つの資格を取り上げ、効果的な勉強法を紹介します。

財務会計とは?

財務会計は、企業外部の利害関係者に向けて企業の財務状態や経営成績を報告することが目的です。主に投資家、債権者、税務署などが利用し、企業の経済的健全性や投資の可否を判断します。

財務会計の役割は、公正かつ一貫した基準に基づいた財務諸表の作成です。貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などが含まれ、企業の資産や負債、収益、費用の詳細を明らかにします。

企業会計原則に従って厳格に実施され、各種の財務情報が正確かつ透明性を持って外部に報告されるようにします。財務会計は企業の信頼性を高め、持続可能な成長を促進するために不可欠です。

財務会計の仕事内容

財務会計によって、企業外部の利害関係者への財務状況報告を定期的に行います。業務の中心は仕訳・記帳、固定資産の管理、決算書の作成であり、企業の財務透明性と信頼性を確保する上で不可欠です。

仕訳と記帳では、取引ごとに発生した経済活動を正確に記録し、企業の経営活動を数値で報告します。仕訳と記帳は企業の財務状況を管理するために大切な業務です。

固定資産の管理は企業の長期的な資産を適切に管理し、資産価値を時間とともに減価償却することで資産の現状を正確に把握します。財務会計があることで、企業は資産の効率的な使用と事業投資の適切な判断が可能です。

財務会計では決算書の作成を行います。決算書は企業の財務成績と財政状態を総括する、企業にとって重要な報告書類です。貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表を作成し、企業の経済的健全性と業績を外部に報告します。決算書は投資家や債権者、金融機関にとって投資判断を左右する重要な書類です。

財務会計の業務では、企業の財務状況を正確かつ公正に外部に伝えます。財務会計は企業の信頼性と市場での評価を高めるために欠かせないといえるでしょう。

財務会計に資格は必要?

財務会計の仕事は資格が必須ではありませんが、関連する知識やスキルは不可欠です。税理士や公認会計士などの資格があれば専門性は評価されますが、必ずしも会計事務の職に就くための条件ではありません。

しかし、会計や税務に関する基本的な知識は必要であり、ITスキルのような業務を効率的に進めるためのスキルも重要です。

特に会計ソフトウェアの操作能力やExcelなどの表計算ソフトの使用スキルは、現代の会計業務では欠かせません。簿記2級のように、会計知識を認定する資格を持っていると就職や転職の際に有利になることもあります。

会計事務所の中には資格を持つ人材を好むところもあるため、資格を有することでより多くの機会が開ける可能性があるでしょう。未経験から会計分野に進む場合でも、資格があれば知識を裏付けることができます。

財務会計の職に就く上で資格は必須ではないものの、持っていると業務の幅が広がり、キャリアの選択肢が増えるでしょう。

財務会計に役立つ資格6選

財務会計の世界で役立つ資格を解説します。

日商検定簿記は基本的な会計知識。FP(ファイナンシャルプランナー)は資産管理についての理解を深められます。ビジネス会計検定ではビジネスシーンでの会計。FASS検定(経理・財務スキル検定)は実践的なスキルの習得が可能です。

「公認会計士」や「税理士」といった高度な資格についても触れ、財務会計の専門性を高める方法を紹介します。

日商検定簿記

日商簿記検定は財務会計の基礎を学び、実務に活かすための資格です。3級から始まり、2級、1級と続くこの検定は、各レベルで財務会計の知識と技能を段階的に身につけることができます。

3級では初心者でも取り組みやすく、商業簿記の基本的な知識の習得が可能です。2級では高度な商業簿記と工業簿記の知識が求められるため、経理職や会計職において有利となるでしょう。1級は会計学全般に関する深い知識と技能が求められます。

日商簿記検定は企業での経理業務のみならず、個人の家計管理や中小企業の経営においても知識を生かすことができる資格です。日商簿記検定を取得することで、幅広い分野で活躍するための基盤を築くことができます。

FP(ファイナンシャルプランナー)

FP(ファイナンシャルプランナー)は、個人や家庭の資金計画やライフプランニングに関する専門知識を有する資格です。年金、保険、住宅ローン、投資、税務など、幅広い金融知識を習得し、個人の資産形成や資金管理のアドバイスができるようになります。

財務会計の知識を活用して、企業や個人の財務諸表を読み解き、具体的かつ実践的なファイナンシャルプランの提案が可能です。

FP資格は日常生活だけでなく、財務会計職においても役立ちます。企業の財務状況を把握し分析する際にFPの知識は役立つでしょう。3級から始まり、上位の2級、1級へとステップアップすることで、高度な財務・会計知識を身につけることができます。

ビジネス会計検定

ビジネス会計検定は、企業活動において必要とされる会計知識を習得するための資格です。ビジネス会計検定を取得することで、財務諸表の読解力や分析力を高め、経営判断に必要な会計情報を活用する能力が身につきます。

貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を正しく理解し、企業の財政状態や経営成績を評価するスキルを得られるでしょう。ビジネス会計検定は、経営者や起業家にとっても自社の財務状況を正確に把握し、より良い経営判断を行うための基礎知識として役立ちます。

試験は3級から1級まであり、レベルに応じて財務諸表の作成や分析、会計原則に関する知識が必要です。2級以上では、実務で直接役立つ高度な会計知識を学ぶことができます。

ビジネス会計検定を持つことで、経理・財務職への就職や転職、キャリアアップにおいて大きなアドバンテージとなるでしょう。

FASS検定(経理・財務スキル検定)

FASS検定(経理・財務スキル検定)は、経理・財務部門での実務に直結するスキルを測る試験です。FASS検定は、日々の業務で必要とされる「実務スキル」に焦点を当てており、資産、決算、税務、資金の4つの分野で知識と応用能力が問われます。

FASS検定により財務諸表の作成や分析、税務処理、資金管理など、経理・財務部門で求められる幅広いスキルを習得できるでしょう。実務で直面するさまざまな課題に対応できる能力が得られます。

財務諸表の読解力や税務知識は、企業経営において重要です。FASS検定は経理・財務職に就いている方はもちろん、これから経理・財務職に就きたい方にとっても、キャリアアップや就職・転職の強力な武器となるでしょう。

公認会計士

公認会計士は企業の監査や税務、コンサルティングなど幅広い分野で活躍できる国家資格です。公認会計士資格を持つことで、企業の財務諸表を専門的な立場から分析・評価し、アドバイスできます。公認会計士は、監査法人やコンサルティング会社での勤務をはじめ、独立して開業することも可能です。

試験内容は短答式試験と論文式試験に分かれており、財務会計論、管理会計論、監査論、企業法など、幅広い知識を要します。合格後には高い社会的信用を得られるほか、幅広いキャリアパスが開かれますが、難易度は高く合格までには長時間の勉強が必要です。

公認会計士の資格を持つことは、財務諸表の読解力や会計知識を極めて高いレベルで証明することになります。会計分野における専門家としての地位を確立し、企業内外で高い評価を受ける可能性が高まるでしょう。

税理士

税理士は税務の専門家であり、税に関わる幅広い知識と技能を持ちます。税理士資格を持つことにより、確定申告のサポートや企業の税務アドバイザーとしての活動だけでなく、地方自治体の監査人や評価証明書の作成など、多岐にわたる業務で貢献が可能です。

税理士試験は国税審議会が実施する国家試験で、会計学や税法などの高度な知識が問われます。税理士資格は、独立して開業する道も開けるため、自身のキャリアを大きく広げることができるでしょう。

試験は非常に難しく、合格までには多くの時間と労力が必要です。その分社会的な信用も高く、税務に関する高度な専門知識を身に付けることができます

初心者向け・財務会計の勉強法

財務会計は、基礎からしっかりと理解することが重要です。ここでは財務会計の勉強法を解説します。

財務会計の勉強法

  • 会計の原理を学ぶ
  • 会計の構造を知る
  • 勘定科目の意味を理解する

財務会計の勉強法を理解すれば、初心者でも財務会計の分野で活躍ができるようになるでしょう。

会計の原理を学ぶ

財務会計を学び始める際には「損益計算書」と「貸借対照表」の基本を理解することが重要です。財務諸表は、企業の経営状況を外部に示すための基本的なツールであり、財務会計の根幹といえます。

損益計算書は企業の一定期間の収益と費用をまとめ、その期間の利益や損失を示したものです。貸借対照表は特定の時点での企業の資産、負債、純資産の状況を示し、企業の財政状態を把握するために用います。

これらの諸表を通じて、企業の財務健全性や収益性、キャッシュフローなどを分析することができます。財務会計の学習においては、損益計算書や貸借対照表がどのように作成され、どのように読み解くかを学ぶことが重要です。

日商簿記検定3級の学習を通じて基本的な知識を身につけることが、財務会計の勉強の第一歩となります。

会計の構造を知る

財務会計を学ぶ上で、損益計算書と貸借対照表の構造を理解することが大切です。

損益計算書は一定期間内の企業の収益と費用を示し、その期間の純利益や純損失を反映しています。貸借対照表は企業の財務健全性を評価するのに役立ち、資産がどのように資金調達されているかを理解できます。

貸借対照表の資産、負債、資本の区分を理解することは、企業の財務構造を把握する上で重要です。

財務諸表の読み方を学ぶことは、企業の財務状態を正確に評価し、適切な経営判断を下すための第一歩となります。

勘定科目の意味を理解する

財務会計の学習において「勘定科目」の理解は欠かせません。勘定科目とは、企業の経済活動を記録する際に使用される分類のことです。

たとえば、商品を販売して売上が発生した際は「売上高」勘定が、購入した商品の代金を後払いする場合は「売掛金」勘定が使われます。

特に、損益計算書と貸借対照表への理解は基礎中の基礎です。損益計算書では、企業の一定期間の収益性を「売上高」や「営業利益」といった勘定科目を用いて評価します。

貸借対照表では企業のある時点での財務状態を「資産」「負債」「資本」というカテゴリーに分けて表します。

勘定科目を理解することは、企業の財務状態や経営成績を読み解くための基礎です。基本的な勘定科目の概念をしっかりと学ぶことで、財務諸表の読み方を習得ができるようになります。

資格を取得することは財務会計のキャリアに役立つ

財務会計の世界では専門知識と技能が重要です。財務会計の分野で成功するためには、適切な資格を取得することが助けとなります。

日商検定簿記から始まり、FP、ビジネス会計検定、FASS検定、公認会計士、税理士に至るまで、各資格は財務会計の理解を深め、実務能力を高めることにつながるでしょう。これらの資格は、財務諸表の解読、会計処理の理解、税務計画、経営戦略の策定など、財務会計における多様なスキルをカバーしています。

財務会計への転職やキャリアアップを考えている方は、紹介してきた資格の取得がオススメです。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。