USCPA(米国公認会計士)は、アメリカ合衆国の公認会計士資格です。CFOを目指す方にとって、USCPAは国際的に通用する会計士資格として大きな武器となります。
この記事では、USCPAの概要からCFOを目指す上でのキャリアパス、資格取得までの具体的な手順やおすすめの勉強方法について解説します。
USCPAは、全米で統一された試験に合格することで取得できる米国公認会計士です。英語の統一試験に合格すると取得でき、日本でも受験できます。この資格を持つと、米国だけでなく協定を結んでいるカナダ、オーストラリア、スコットランドなどの国々でも、追加の研修を受ければ現地の会計士として仕事をすることが可能です。
企業のグローバルなキャリアアップに大きく貢献できるので、財務監査や税務業務を行うCPAを目指す人にとって、武器となる資格と言えるでしょう。
USCPAはアメリカ合衆国で唯一の国家資格であり、試験の難易度も高いです。資格の取得には厳格な審査基準があり、国際的にも高い評価を受けています。
そのため、USCPAの試験に合格すれば「高度な会計・監査の専門知識」と「英語力」を兼ね備えている人材と認識され、国際的に認められることに繋がります。
CFOを目指す方にとって、USCPAの取得はキャリアアップの大きな武器となります。この章では、USCPAがCFOに向いている3つの理由について詳しく解説します。
USCPAの試験範囲は、財務会計・監査・税務など、CFOに求められる知識を幅広くカバーしています。合格するためには膨大な量の知識を身につける必要があり、その過程で高度な専門性を身につけることができるでしょう。企業の財務状況を適切に把握し、的確な経営判断を下すためには、最適なスキルと言えます。これらの知識があれば、財務諸表を正しく読み解くことができ、企業の収益性や資金繰りを的確に分析することが可能です。そのため、CFOを目指す上でUSCPAを取得しておけば、企業に採用された際に重宝される人材となるでしょう。
USCPAの試験は全て英語で行われます。受験者は、実践的なビジネス英語力を身につける機会になります。英語力の高さは、グローバル企業で活躍するCFOに欠かせない要素となっています。グローバル企業では、財務データや経営情報を英語で共有する必要があるためです。英語力があれば、海外拠点との円滑なコミュニケーションが可能となり、グループ全体の経営判断に貢献できます。試験の準備をしつつ、仕事で必要なスキルも身に付けられるよう意識しましょう。
先述の通り、USCPAはアメリカのみならず、国際的に高い評価を受けている資格です。そのため、グローバル企業に就職する際の強みとなり、海外での活躍の場が広がります。また、グローバル企業では資本の移動が国内外で活発に行われるため、グローバルスタンダードに則した会計処理能力が求められますが、USCPAはその要件を満たす資格です。勤めたい企業が海外進出をしている場合、USCPAを持っていることはCFOを目指す方にとって、大きな強みとなるでしょう。
USCPAを取得すれば、どのような企業のCFOを目指せるのでしょうか。この章では、外資系、日系グローバル企業、ベンチャー企業のCFOを目指す際のUSCPAの価値について解説します。
外資系の企業では、グローバル規模で標準化された会計基準に基づいた、適切な財務報告を行うことが主な役割となります。そのため、USCPAの取得はCFOにとって強みとなるでしょう。
具体的な役割は、海外拠点を含む全グループ会社の財務データを収集・統合し、連結財務諸表を作成することです。また、国際会計基準への高い理解度を活かし、グループ全体の会計方針を統一するとともに、内部統制の強化にも貢献することが可能です。
加えて、資金調達や企業買収など、多国籍企業ならではの高度な財務戦略の立案・実行においても、中心的役割を果たすことが期待されています。USCPAの専門知識とグローバルな視点が要求される外資系企業では、CFOにとってUSCPAの取得は大きな武器となるでしょう。
近年、グローバル化が進む日本企業でも、USCPAを持つCFOが求められるようになっています。グローバル企業のCFOを目指す場合、USCPAの資格を保持していれば海外子会社への出向時に強みとなります。英語力とグローバル規模の会計処理能力を武器に、現地経営陣との綿密なコミュニケーションを図りながら、企業の運営をサポートすることが可能です。具体的には、海外子会社を含む全社の財務データを正確に把握・分析し、経営陣に対して適切な経営判断の材料を提供することができます。また、M&Aや資金調達などの重要な財務施策についても、USCPAの専門知識を元にした的確な提言ができるでしょう。
そのため、海外での事業展開が活発な日系グローバル企業で活躍できると言えます。
ベンチャー企業では、国際的に認められているUSCPAを持つCFOが、海外投資家からの信頼を得やすいと期待されています。そのため、グローバルに活躍できる優秀な人材が求められているのです。
さらに、ベンチャー企業では設立当初から適切な会計処理や、内部統制の整備が求められるのが一般的です。具体的には、事業の成長段階に応じた適切な財務戦略を立案・実行し、資金繰りを安定させながら将来の持続的な発展をサポートすることが期待されています。
USCPAの資格を保持していれば、高い専門性を活かして企業の財務戦略に貢献することが可能になるでしょう。
USCPAを生かしたキャリアパスには、CFO以外にも様々な選択肢があります。この章では、USCPA取得者の監査法人や会計事務所・コンサルティングファーム・事業会社の経営や財務企画でのキャリアパスについて、ご紹介します。
USCPAの資格を活かして、監査法人や会計事務所で活躍する道もあります。USCPAは、財務管理に関する専門的な知識を幅広く持っているため、監査業務や税務業務にも携わることが可能です。
監査法人・会計事務所では、企業の財務状況を詳細に把握することが必要とされます。
大手監査法人に所属すれば、上場企業の監査に従事することとなり、資本市場における会計実務の最先端で活躍することが可能です。一方、中小企業向けの会計事務所であれば、経営者とのコミュニケーションを密に取りながら、経営課題に即した実践的なアドバイスを提供しサポート役を担うことになります。このように、専門家として客観的な立場から企業のサポート役として活躍できるでしょう。
USCPAの資格を取得すれば、コンサルティングファームでの戦略コンサルタントとして活躍することが可能です。USCPAの資格保持者は、企業の事業戦略や経営改革を提言する際、M&Aやリストラなどの施策が、財務に与える影響を細かく検証し分析できるでしょう。これを元に、グローバル企業のアドバイザリー業務として活躍することが可能です。そのため、企業の経営を担う上層部の相談相手として、重要な役割を果たすことができます。
USCPAは、事業会社の経営企画や財務企画部門でも大いに力を発揮します。経営企画では、企業の中長期ビジョンやグループ経営戦略の立案に参画し、経営者の意思決定を財務面から補佐します。また、財務企画部門に籍を置けば、資金調達計画の策定や資金繰り管理などの実務を通じて、企業経営の要であるキャッシュマネジメントに携わることができるでしょう。
例えば、大手製造業の場合、グローバルビジネスのファイナンス面を総合的に管轄できる重要な役割が期待されます。中堅・中小企業であれば、経営層に近い立場から経営課題に向き合い、企業を支えることが可能です。
国内・海外問わず、幅広い活躍ができるUSCPAの資格は、どのようにして取得するのでしょうか?ここでは、USCPAの資格取得におけるステップを紹介します。試験に向けた勉強から受験にまつわる手続き、合否の確認まで、具体的にまとめたので、ぜひ参考にしてくださいね。
USCPAの試験は「FAR(財務会計)」、「BEC(企業経営環境・経営概念)」、「REG(諸法規)」、「AUD(監査および諸手続き)」の4つの科目から構成されています。以下に、おすすめの勉強方法を紹介しているので、参考にしてくださいね。
USCPAは科目ごとに特徴があります。勉強方法と合わせて、科目の特徴を抑え効率的に勉強することがポイントです。
科目 | 特徴と勉強のポイント |
---|---|
FAR(財務会計) | ・ボリュームが比較的多い科目 |
BEC(企業経営環境・経営概念) | ・ボリュームが最も少ない科目 |
REG(諸法規) | ・抑えるべき主題が多く、ボリュームが最も多い科目 ・アメリカの税法・ビジネス法や数字など覚えるべき項目が多い ・応用問題も多いため、ただ暗記するだけでなく内容の理解が求められる |
AUD(監査および諸手続き) | ・試験問題の問題文の量が多く、英語の読解力も必要となる科目 ・他の3科目を一通り勉強した後に学習するのがおすすめ |
USCPAの資格を受験するには、日本国内にいてもアラスカ州に出願する必要があります。ここでは必要な手続きについて、順を追って紹介します。
USCPAの受験資格を満たしているかの学歴審査を受けます。学歴審査には、1〜2ヶ月ほどかかります。
学歴審査に合格すると、出願手続きが可能になります。出願には、指定の書類の提出や受験料の支払いが必要です。
出願手続きが受理されると受験票が届きます。受験票は、発行日から6ヶ月間の有効期限が設けられているため、期限内に試験を受けましょう。試験を受けるためには、受験したい会場の座席を自分で確保しなければなりません。規定に則り、希望する会場の座席確保のため、手続きをしておきましょう。日本で受験する場合は、科目ごとに追加料金が必要になります。
試験はそれぞれの科目ごとで受験することが可能です。最終的に4科目全て合格すれば、USCPAの資格が取得できます。ただし、1科目の合格有効期限は18ヶ月なので、有効期限内に4つすべての試験を通過しなければなりません。
試験の合否は、受験の1ヶ月後位に発表されます。合否についての通知は来ないため、自身で「NASBA(全米会計委員会)の公式サイト」にアクセスし、確認しましょう。
USCPAは、CFOを目指す人はもちろん、監査法人やコンサルティングファームなど、幅広い分野のキャリアパスを開いてくれる価値ある資格です。国際的に通用する会計・財務の高度な知識と英語力を身につけることができますよ。将来のキャリアアップに向けて、ぜひUSCPAの取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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