CFOについて、ほかの役職との違いや具体的な業務内容について理解していない人は多いでしょう。CFOは企業の財務・経理部門の最高責任者であり、企業経営において極めて重要なポジションです。仕事内容や役割について知ると、CFOへの理解がより深まるでしょう。
この記事では、CFOがどのような役職であるかに加えて、役割や求められるスキル、CFOを目指す方法について詳しく解説します。CFOになるためのキャリアパスについても紹介するので、職業プランの参考にしてください。
CFO(最高財務責任者)とは、その名のとおり企業の財務責任を負うトップのことです。組織内で財務および経理業務を統括し、取締役会や経営陣に対して財務関連の戦略を提供します。なお、CFOは役員という位置づけであり、一般社員よりも報酬が高く責任の範囲も広いことが特徴です。
CFOには、名前や役割が似ている役職が多く混乱する人も多いでしょう。以下に、混同しやすい役職とその役割をまとめました。
責任範囲 | 主な仕事 | 役職 | |
CFO(最高財務責任者) | 企業全体 | 財務戦略の策定 | ○ |
CEO(最高経営責任者) | 企業全体 | 企業全体の経営を統括し、意思決定を行う | ○ |
COO(最高執行責任者) | 企業全体 | 業務プロセスの効率化や運営の最適化 | ○ |
財務部長 | 財務部門内 | 予算管理、財務報告など、日々の運営に関わる業務 | ☓ |
なお、以下の記事では、上記4つの役割との違いを詳しく解説しています。
CFO(最高財務責任者)とCOO(最高執行責任者)の間に明確な序列はないとされています。基本的に、CFOとCOOの2者は、CEO(最高経営責任者)の直属の役職です。企業によって序列が異なる場合はあるものの、基本的には同等の立場と考えてよいでしょう。
企業がCFOを配置する主な理由は、経営資金の調達をスムーズに行うためです。日本ではバブル崩壊以降、金融機関からの融資だけでは資金調達が難しい状況が続いており、投資家からの資金サポートが必要です。
投資家から資金を受けるには、自社に投資価値があることを示すために企業の成長性や競争優位性、財務状況などの情報を提供する必要があります。投資家への情報提供のために、経営者と財務のダブルの視点を持つCFOが配置されるのです。
CFOの主な仕事内容は、以下の4つに大別されます。
【CFOの役割】
CFOは、財務面から経営戦略策定をサポートする重要なポジションです。また、資金調達や監査法人など、外部の人とのやりとりを行う外交役も担います。
なお、以下の記事ではCFOの仕事内容について詳しく解説しています。
Indeed(※1)によると、CFOの平均年収は約930万円となっています。(2024年5月時点)ただし、この数字はあくまでも全体の平均であるため、より正確に年収を把握するには企業規模別にチェックする必要があります。
以下の記事では、CFOの年収を企業規模別に解説しています。
会社の未来に影響を与えるCFOには、高度な専門知識とスキルが求められます。
【CFOに必要なスキル】
会社の数字を正しく読むためには、財務知識は必ず持っておく必要があります。なお、社内外との関わり方や交渉力、経営陣の一員としての判断力など総合的なスキルが必要な役職です。
以下の記事では、CFOが持っておきたいスキルについて詳しく解説しています。
CFOになるには、財務や経理だけでなく、法務や経営などの幅広い知識と経験が必要です。ここでは、CFOになるための一般的なキャリアパスについて紹介します。
CFOへのキャリアパスの一つが、財務や経理部門での実務経験です。CFOにはファイナンスの専門知識が必要であり、財務や経理部門で管理職の経験を積んだ後の昇進が一般的です。
経理や財務の職務にあたりながら経営企画や資金調達、投資やM&Aなどを経験した後に取締役CFOおよび執行役員に転身するケースもあります。CFOへの道を歩むためには、まずは経理や財務でスキルと実務経験を積むのがおすすめです。
金融業界を経てCFOに転身するキャリアパスも、一般的なケースといえます。ただし、金融機関から直接転職するケースより、ほかの事業会社で役員を経てCFOになる例が多いです。
ほかにも、「金融機関での勤務経験を活かして、スタートアップ企業のファイナンスサポートの実績を積んだ後にCFOに転職した」というケースもあります。
このように、ファイナンスに関する知識を活用しながら経営経験を積むことで、CFOへのキャリアパスを築く方法も存在します。
コンサルティングファームや監査法人は、CFOに必要な経営戦略や経営理論、IPO支援などのスキルを習得できる職場の一つです。コンサルティングファームとは、経営のアドバイスを行う企業のことをいいます。また、監査法人とは、業務が適切に遂行されているかどうかを調査し、企業の財務会計や不正行為の有無などを経営陣に報告する団体です。
どちらもCFOの実務に近い経験を積めるので、CFOを目指すうえで有効なキャリアパスといえるでしょう。
CFOの役職に就くには、前章で解説したキャリアパスを経ながら地道に実績を積み上げていく必要があります。
CFOになるためのキャリアパス
業界で実績を積むには、十数年スパンの長い経験と専門知識の蓄積が求められます。簡単な道のりではありませんが、一つひとつの知識を着実に積み上げていくことでCFOへのキャリアが開けるでしょう。
なお、以下の記事では日本でCFOを務めた3名の経歴を紹介しています。
CFOになるための方法は、以下の3つです。
自身の現在の状況に合ったキャリアを選択し、最短で目指せるCFOへの道を目指しましょう。
社内でCFOのポジションを目指す場合、経理部門や財務部門を経て、経営面の経験を積んでいくのが一般的です。
社内で経験を積んだ人は、社内外からの信頼が厚いうえ企業の財務状況に深い理解を持っているため、CFOとしての職務をスムーズに遂行できるというメリットがあります。一方で、キャリアの構築に時間がかかることや、専門知識や経営スキルが1つの企業に特化し過ぎてしまうというデメリットがあります。
知人からの紹介採用であるリファラル採用も、CFOのポジションを目指す方法の1つです。
CFOは、経営陣やCEOとの相性が非常に重要な立場です。リファラル採用では、求職者の性格や経歴などが紹介元の社員を通じて企業へ伝えられるため、双方のミスマッチが起こりにくいというメリットがあります。ただし、就任後に問題が発生した場合、紹介元の社員との信頼関係に影響を及ぼす可能性があるため、オファーは慎重に検討する必要があります。
CFOになるには、転職エージェントでの転職活動を行う方法もあります。CFOのような役職ポジションの求人は、一般的な転職サイトでは公開されていないことがほとんどです。
転職エージェントは、一般には公開されていない非公開求人を扱う場合も多く、CFOの求人情報にアクセスできる可能性が高まります。紹介される企業から自身の市場価値を推測することもできるため、CFOへの転職を考えるならエージェントの利用が効果的でしょう。
CFOになるための必須資格はありませんが、取得により知識やスキルの習得に役立ちます。以下は、CFOに関連する資格です。
中でも、公認会計士とMBA(経営学修士)、中小企業診断士は、CFOの多くが取得している資格です。日商簿記やCFO資格試験、FASS検定は、ファイナンスや経理、財務の知識を身につけるのに役立ちます。
なお、以下の記事では、上記の資格について詳しく紹介しています。
財務の最高責任者であるCFOは、企業経営の大きな責任を負うポジションであり、役員という扱いを受けます。経営陣の一員でもあるため、財務分野だけでなく企業価値を向上させるための知見が求められます。王道のキャリアパスを理解し、自身に合った方法でCFOを目指しましょう。
なお、CFOへの転職を考えるなら、管理部門に特化した転職サイト「WARC AGENT」がおすすめです。CFOの求人はもちろん、内部監査、経理、財務などCFOへのキャリアパスに有利な職種も多く取り扱っています。気になる人は、サイトへ無料会員登録を行いましょう。
以下の記事では、CFOの採用について詳しく解説しています。
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