CFO(最高財務責任者)を目指す人にとって、就任後の年収は興味深いポイントです。企業規模ごとの大まかな年収相場を知ることで、転職先の候補に当たりをつけやすくなります。
この記事では、CFOの企業ごとの年収相場や年収の特徴について解説します。
CFOの報酬は、以下の2種類を組み合わせた額が支払われます。
固定報酬は月給のように定期的に支払われる給与であり、支給額はCFOの経験や市場価値に応じて決まります。一方、業績連動報酬は、CFOが生み出した業績に基づいて支払われるインセンティブ報酬です。
2つの報酬を組み合わせることでCFOのモチベーションを高め、企業の業績アップに貢献します。
CFOの報酬の基本構造を理解し、実際の年収相場が気になる人も多いでしょう。ここでは、企業規模ごとのCFOの年収相場や年収が決まるポイント、業務の特徴を解説するので、目指す会社の報酬の特徴を掴みましょう。
企業種別 | 年収の範囲 |
---|---|
ベンチャー企業 | 1,000万円〜2,000万円 |
中小企業 | 1,800万円〜2,500万円 |
上場企業(グローバル) | 2,000万円半ば〜3,000万円 |
大企業 | 2,500万円〜5,000万円 |
外資系企業 | 2,500万円〜5,000万円 |
ベンチャー企業のCFOの年収は、約1,000万円から2,000万円といわれています。中でも、利益が調子よく出続けている企業では、2,000万円以上の高報酬に設定するケースもあります。
年収が低いかわりに、ストックオプション(自社株)を報酬として付与する企業もあります。ただし、ベンチャー企業のIPO(新規上場株式)は難しいケースが多く、上手くいかず報酬に反映されないケースがあるのも事実です。
中小企業のCFOの年収相場は1,800万円から2,500万円とされていますが、業績により1,000万円を下回る企業もあります。
大企業のCFOと比較すると、年収は低くても業務量はそれほど多くはないケースもあります。ワークライフバランスを重視しながらCFOを経験したい人におすすめといえるでしょう。
グローバル展開を行っている上場企業では、CFOの年収は約2,000万円から3,000万円ほどといわれています。グローバル展開を行う企業ではCFOの役職がより重視されているため、高い収入を見込めます。
しかし、上場企業では内部昇進によりCFOに就任するケースが多く、財務部や経営企画部などCFO実務に関連した部門経験が必要であると考えられます。
大企業のCFOの年収は、おおむね2,500万円から5,000万円程度とされています。企業規模を拡大しながらM&Aを行う場合は、より高額な報酬を得られる可能性があります。
しかし、上場企業の中でも、伝統が長く革新的な成長が難しい企業では、年収は最低ラインの2,500万円前後が想定されます。
外資系企業のCFOの給与は、通常2,500万円から5,000万円程度とされています。外資系企業のCFOは、CEOとともに企業の財務戦略を支える役割を担っています。
外資系企業のCFOには、本社から課される目標を達成するための努力がより一層求められます。高い目標が設定されることが多い一方で、成果を挙げた場合には多額の報酬を得られる見込みがあるでしょう。
CFOの企業別年収相場を知り、年収の特徴について気づきがあった人も多いでしょう。企業規模と年収相場の関連性や、そのほかの報酬を決める要素について理解しましょう。
前述の年収相場からも明らかなように、企業規模が大きいほどCFOの受け取る報酬は高くなります。大企業は担当する案件の規模や重要度も大きく、相応の報酬が支払われるためです。大きなプロジェクトへの参加経験は価値があるうえ、高い報酬をもらえるため働くモチベーションにもつながるでしょう。
ただし、大企業のCFOには重要な仕事が多いため、実績と信頼のあるプロフェッショナル人材が選ばれやすいという特徴があります。
CFOの報酬を決める要因として、ストックオプション(自社株)も重要なポイントとなります。ストックオプションとは、企業の業績に応じて自社の株式を受け取ることができるシステムです。
CFOの報酬の変動を緩和する狙いから、ストックオプションを提供する企業が増えています。事業の成功に応じて受け取れる報酬は、CFOの働くモチベーションにつながるでしょう。
外資系企業は、日系企業と比べて資金運用や投資判断などのファイナンス面が重視されるため、報酬が高額に設定されています。そのうえ、外資系企業は成果主義やパフォーマンスベースの報酬体系を採用していることが多いため、報酬が高くなりやすい傾向があります。
ただし、外資系企業は高い報酬の代わりに高い業績目標や厳しい財務管理を求められることも事実です。外資系企業のCFOを目指す場合、高いスキルや経験だけでなく業績目標を達成するための精神力が求められるでしょう。
CFOの年収相場を把握し、実際のCFOがどれほど報酬をもらっているのか気になる人も多いでしょう。ここでは、有名なCFO3名の年収や経歴を紹介します。
NECのCEO・森田隆之氏の2023年の報酬は、1億4,900万円でした。
【森田氏の経歴】
1983年にNECへ入社し、約20年後に部長に昇進した後6年で執行役員の地位を獲得する。執行役員になってからもさまざまなポジションを経験し、2018年にCFO、2021年にCEOに就任。
あおぞら銀行のCFOである芥川知美氏の年収は、およそ1億円といわれています。
【芥川知美氏の経歴】
大学を卒業後あおぞら銀行に入社し、20年後に財務部長へ就任。7年後にCFO副担当に昇進し、現在は執行役員として活躍。
ソニーのCEOを務める吉田憲一郎氏のCFO時代の年収は、3億円といわれています。
【吉田憲一郎氏の経歴】
東京大学経済学部を卒業後、ソニーグループに入社し証券業務部や財務部を経験。CFOに就任してからは赤字改善に努め、2018年3月期には20年ぶりの営業最高益レベルまで業績を回復させた。
なお、以下の記事ではソニー・吉田憲一郎氏のさらに詳しい経歴を紹介しています。
CFOに就くための選択肢は、主に以下の3パターンに大別されます。
前章で紹介したCFO経験者は、すべて会社内で昇進した例でした。しかし、近頃は転職によりCFOポジションを目指せるケースも少なくありません。自身の経歴に最も近い方法を採るのが、CFOへの転職の近道です。
なお、以下の記事では、上記3つ以外のCFO就任ルートについても詳しく解説しています。
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CFOを目指して堅実に実務経験を積みたい人にとって、とくにおすすめな転職手段です。
CFOの年収は企業規模が大きいほど高くなる傾向にあり、中でも外資系企業が最も高額とされています。ただし、年収が高くなるほど業績における責任も増えるため、自身が企業に求める条件をよく考えることが重要です。
自分の経歴や目標を考慮しながら、CFO転職に向けての準備を進めましょう。
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