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2024/01/16 公開2024/08/17 更新

「公認会計士は食えない」という迷信を解消|実際の仕事内容と年収アップのコツを解説

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公認会計士は医師や弁護士と同じく三大国家資格です。この国家資格は非常に難関であり、「公認会計士は食えない」との噂がネット上で広がっています。合格しても食べていけない可能性に悩んでいる方もいるでしょう。

今回は、その噂の真相に迫り、なぜ公認会計士が食えないと言われるのか、また公認会計士の年収についても解説します。

公認会計士が食えないといわれる理由について

公認会計士が食えないと言われる理由は、主に3つあります。以下ではこれらの理由について説明します。

過去の就職難・リストラのイメージがある

公認会計士は最高峰の国家資格とされていますが、かつては「公認会計士の大量合格時代」と呼ばれる時期がありました。これは、公認会計士業界での人材不足を解消するために、大量合格が促進された時期です。

2005年には1,000人台だった合格者が、2006年から2008年にかけては約3,000人から4,000人に急増しました。しかし、リーマンショックの影響でクライアントが減少し、2009年以降3年間で公認会計士の就職状況が悪化。このため、人材不足を解消するための大量合格が逆に余剰な人材を生む結果となり、当時の印象が多くの人に残っていると考えられます。

AIに仕事を代替される可能性

公認会計士の仕事は主に数字を使った専門的な作業であり、AIが得意とする分野が多くあります。データチェックや入力など、専門知識を要するが単純な仕事も存在します。こうした仕事は将来、AIによって代替される可能性が指摘されているのです。

ただし、この意見は公認会計士だけでなく、会計や経理、税務にも言及されています。この予測を初めて行ったのは、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン氏らが発表した論文『Future of employment』(※1)であり、その中で財務会計、単純記帳、公認会計士などが今後10〜20年でなくなる可能性が示唆されました。

(※1)参考:カール・ベネディクト・フレイ及びマイケル・オズボーン「The Future of Employment: How Susceptible are jobs to computerization?」

公認会計士人口の増加

公認会計士の人口は、毎年増えています。以下は過去5年間の合格者数です。

過去5年間合格者数(※2)

年度

合格者数

令和4年

1,456人

令和3年

1,360人

令和2年

1,335人

令和元年

1,337人

平成30年

1,305人

年々合格者数が増加しているため、いずれ公認会計士の人手が余ると考えている人が多いです。また、過去に起きたリストラの影響や、AIに仕事を取られる影響で公認会計士の仕事が激減すると考える人も多いでしょう。

これらの原因で、公認会計士は食えないといわれるようになりました。

(※2)参考:金融庁「公認会計士試験の合格発表概要について」

公認会計士が食えない資格ではない理由について

公認会計士が食えない資格ではない理由について解説してきました。しかし、これらの理由は噂に過ぎません。簡潔に言えば、公認会計士が食えないというのは事実ではありません。

以下で、公認会計士が食えないとされる噂が事実ではない理由について詳しく説明します。

1. 需要が高い

公認会計士の主な業務である監査やコンサルティングは、人の手が不可欠です。そのため、AIによる代替や他の職種による代替も不可能であり、公認会計士の需要が減少することは考えにくいです。

専門知識が豊富な公認会計士は、税務や財務、IRなど、会計以外の分野でも高度なスキルを発揮し、多岐にわたる業務に活躍しています。このため、公認会計士の需要は高く、今後も需要がなくなることは予測されません。

同時に、公認会計士の仕事が減少することも考えにくいでしょう。

2. AIによって仕事がなくなることはない

確かに、公認会計士の仕事には単純な作業が含まれています。これらの単純な作業は将来的に減少する可能性がありますが、AIによって完全に仕事がなくなることはありません。

公認会計士にはコンサルティングや監査など、判断力を要する業務が求められており、これらの分野はAIの得意分野ではないです。単純作業をAIに委ねつつ、公認会計士が顧客との関わりや判断力を発揮する業務スタイルが展望されています。

AIに一部業務を委ねることで、公認会計士はこれまで対応が難しかった案件やクライアントの要望により深く応える余裕が生まれ、その結果、公認会計士の需要は一層高まり、仕事がなくなることは考えにくいでしょう。

3.年収が高い

公認会計士の年収は、20歳〜65歳の方を対象にした調査で平均1,010万円(※3)となっています。

これは、日本のサラリーマンの平均年収が約450万円(※3)であることから倍以上の水準であることがわかります。大手監査法人では、1年目の平均年収が500万〜650万円と言われており、1年目から高い年収を期待できます。

なお、平均年収が1,000万円以上の公認会計士も多数存在しており、高い水準が維持されています。公認会計士の仕事が今後も続くことを考えると、高い年収が維持される可能性もあるでしょう。

(※3)参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

4.就職率が高い

公認会計士資格を有することは、就職や転職において有利なポイントです。

公認会計士の主な業務が求められているため、資格を持つ人材は企業にとって魅力的な存在となります。企業は監査法人やコンサルティングファームだけでなく、一般の事業会社でも公認会計士の資格を重視し、採用したいと考えることが多いです。その結果、転職市場での需要も非常に高い状態が続いています。

公認会計士は企業に所属するだけでなく、独立して事業を行うケースもあります。独立開業は、自らの働き方を選択できるため、多くの人に支持されています。

このように、公認会計士は転職や就職で有利な資格であり、独立開業の選択肢も広がっています。仕事の選択肢が豊富で、安定したキャリアを築くことが期待できるでしょう。

公認会計士が年収を上げるためのポイント

公認会計士は、決して食えない資格ではありません。実際には、むしろ年収をアップしやすい資格といえるでしょう。

以下では、公認会計士が年収を一層向上させるためのコツを解説します。これらのポイントを理解し、年収アップを目指しましょう。

幅広い知識を身につける

公認会計士は、その名の通り会計のプロフェッショナルです。このプロフェッショナルとしての知識は、様々な場面で応用可能です。

ただし、合格した初期の知識だけでは最低限の水準にとどまり、実践力に欠けることがあります。例えば、コンサルティングを行う場合、企業の業界や業種に対する理解が不可欠です。

良い提案を行うためには、公認会計士としてのスキルを向上させ、知識を広げていくことが求められます。

習得した知識を活かして活動の場を広げれば、必要とされる機会が増え、それが仕事の拡大と年収アップに結びつくでしょう。

高収入が期待できる職場に移る

年収の見込みが高い職場への転職も一つの選択肢です。

公認会計士の給与は所属する組織によって異なります。

例えば、監査法人では昇進に伴って年収が大幅にアップすることがあります。

監査法人

  • シニアスタッフの年収:700万円~
  • マネージャーの年収:900万円~
  • シニアマネージャーの年収:1,000万円~
  • パートナーの年収:1,500万円~

監査事務所

  • 会計事務所の年収:500万円程度
  • 経理・財務会計担当の年収(一般企業):600万円~700万円
  • 経理・財務会計担当の年収(金融機関やグローバル企業):700万円~800万円 (※5)

一般的な公認会計士の年収水準は高いですが、組織によっては異なります。特に大手監査法人では年収が相対的に高いため、高度なスキルや知識を持っている場合は検討する価値があるでしょう。

転職の際は、求人を自分で探す方法と転職エージェントを活用する方法があります。転職活動を効果的に進めたい場合は、転職エージェントを利用すると良いでしょう。

(※5)参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査」

独立開業をする

企業や組織に所属している場合、年収や役職には限度があります。

たとえ管理職に昇進しても、自身の年収を急激に引き上げるのは難しいです。

しかし、公認会計士として独立開業すれば、平均年収を超える収入を得る可能性があります。実際、独立開業した公認会計士の平均年収は1,000万円以上であり、成功すれば3,000万円以上の年収を得る例も。

高い収益を求める方にとっては、独立開業は魅力的な選択肢と言えるでしょう。

ただし、独立開業が必ずしも成功するとは限りません。失敗すれば年収が減少する可能性もあります。そのため、成功のメリットだけでなく失敗のリスクも理解した上で、検討することが重要です。

公認会計士が食えなくなる未来はほぼない

公認会計士が食えないと噂される理由はすべて推測に過ぎません。否定的な印象や根拠のない噂が先行しているだけでしょう。もちろん懸念材料も存在しますが、それ以上に公認会計士は三大国家資格とされ、社会的な需要が非常に高いです。

公認会計士の仕事や給与について悩んでいる方は、異なる職場での活動を検討してみることをおすすめします。

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