公認会計士は、弁護士や医師と肩を並べ、国内三大国家資格に数えられ、その社会的ステータスの高さから人気のある職業と言えます。そのため、多くの人が公認会計士に魅力を感じつつも、その仕事内容を理解していない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、公認会計士の仕事内容に興味を抱く方々に向けて解説しています。また、公認会計士が活躍できる職場についても取り上げます。公認会計士を目指す方や興味を持っている方々にとって有益な情報になるはずでしょう。
公認会計士とは、企業の監査と会計を専門分野とする国家資格を要する職業です。
公認会計士はもともと、企業経営者が株主に経営状況を報告する財務諸表の信頼性を確保するために誕生しました。今では経済活動において不可欠な存在となり、さまざまな業務を担当しています。医師や弁護士と並び、三大国家資格として位置づけられており、社会的なステータスや高い年収を備え、多くの人が憧れる人気のある職業となっています。
会計士と公認会計士は、「公認会計士」を指す同義語であり、両者の資格や業務内容には違いがありません。表記上の違いは、「公認」を略して「会計士」とされているだけです。
公認会計士として活動するには、国が定めた厳しい試験に合格し、登録が必須になります。その後、企業の会計処理、財務分析、税務申告などの専門的な業務を担当できます。公認会計士も同様に、会計に関する専門知識を有しているという点が共通点です。
税理士と公認会計士の違いは、主に独占業務の内容にあります。独占業務とは、資格取得者にしか認められていない高度な業務を指します。
たとえば、公認会計士は企業の財務諸表の正確性を確認し、それを証明するための監査業務を独占的に行います。対照的に、税理士は企業や個人が税法に基づいて正確な税金を納付できるように、税務書の作成や税務代理、税務相続などの税務を専門的に担当できるのです。
税理士と公認会計士に優劣はなく、どちらも重要な役割を果たしています。ただし、公認会計士は税理士業務にも従事可能なため、両方に興味がある場合は公認会計士の資格を目指してみることを検討してください。
公認会計士の主要な業務についてご紹介します。公認会計士はその専門性にもかかわらず、広範囲な業務に携わるので、以下を参考にして、公認会計士の業務についてより深く理解してみましょう。
監査は、企業の決算書や財務諸表の正確性を確認する業務を指します。この業務は公認会計士の代表的な仕事であり、その特異性から公認会計士以外は担当できません。
上場企業は財務諸表を投資家に公開しますが、経営者自身がこれらの内容を証明することは難しいです。したがって、公認会計士という第三者が内容を検証し、財務諸表の正確性を保証する役割が極めて重要です。
監査には主に「法定監査」と「任意監査」の二つの形態があります。法定監査は法令や規則に基づくものであり、任意監査はそれ以外の監査を指します。
公認会計士は税務にも関与します。具体的な業務は、税務の代行と税務に関する相談です。
税務の代行業務では、中小企業の経営者や個人事業主に代わって、消費税や法人税など様々な税に関連する申告書類を作成します。この業務には公認会計士の会計知識が不可欠です。
クライアントの税務相談は多岐にわたり、「記帳方法が分からない」「節税策を検討したい」「税金の増額理由を知りたい」といった悩みがあります。公認会計士はこれらの問題に対処し、クライアントの書類や帳簿を検証して適切なサポートをします。
その他にも、会計書類の確認や修正が頻繁に発生します。クライアントが会計に不安を抱えている場合、公認会計士は確認作業を通じて適切な記帳方法を指導し、税務および会計に関する業務全般を担当することも多いです。
公認会計士は、企業内で会計の専門家として活躍します。
一般企業や教育機関、地方公共団体や非営利団体では、通常、財務部門や会計部門が存在あります。この中で経理業務や財務業務が公認会計士の仕事です。
広範な知識と洞察を駆使して、精密で効率的な会計処理を行うことが、公認会計士に与えられた重要な役割といえます。特に企業が拡大し、規模が大きくなるにつれ、企業の会計や財務が複雑化していく中で、公認会計士の専門性が求められます。
この複雑な会計業務を、公認会計士が専門とすることで、効率的に進行させることが可能です。また、企業や組織が推進するプロジェクトに参加し、財政面での管理も公認会計士の職務に含まれます。
公認会計士は、経営上の課題を解決するコンサルティング業務も担います。
具体的な活動として、以下のような経営課題に対して、最適な解決策を提案の提案です。
企業は将来の利益拡大を目指しますが、このためには長期的な計画や戦略が不可欠でしょう。しかし、自社だけでは適切な計画を策定することは難しく、第三者の視点が必要です。ここで公認会計士が求められます。
公認会計士は会計の専門家として、どのような資金繰りが適しているかや企業の経営状況を分析し、アドバイスをします。さらに、企業の業績が低迷している場合は、財政状況を整理し再生計画を提案する役割もあり、専門知識を活かして企業の経営を支援するのが公認会計士の任務です。
多くの方が目指す公認会計士について、その具体的な魅力に興味を持っている方も多いでしょう。以下では、公認会計士の魅力について詳しく説明します。これらのポイントを把握することで、公認会計士へのモチベーションが向上することでしょう。
公認会計士の魅力の一つは、その平均収入の高さです。
公認会計士の平均年収は約746万円(※1)であり、初年度から始まる年収も約500万円程度からスタートします。経験を積むと1,500万円以上になることもあり、中には5,000万円以上の高年収を得る公認会計士も存在します。公認会計士は、単なる会計や経理業務だけでなく、コンサルティング分野でも幅広く活躍できるため、多岐にわたるキャリアアップの機会があり、高収入を追求できる職業と言えます。
高い年収と引き換えに、公認会計士の職務は責任が大きいです。自身の専門知識を活かし、的確な判断やアドバイスが求められる仕事であることを理解してください。ただし、この仕事には高い専門性が必要であり、それに応じた高収入が期待できます。
(※1)参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2022年版)」
公認会計士の資格は非常に難関であり、そのため社会的信頼性が高いです。
公認会計士は、弁護士や医師に次ぐ三大国家資格の1つとされています。合格には多大な勉強時間が必要であり、選ばれた人しか手にできない資格です。この限られた数の公認会計士に対して、多くの人が高い信頼を寄せています。
経済界では公認会計士の専門的なスキルや知識が高く評価され、国家資格の最高峰と認識されています。特に、公認会計士が独占的に担当する監査業務は、希少価値が高いです。また、公認会計士は資格取得後に税理士や行政書士としても活動でき、その社会的信用性は非常に魅力的でしょう。
公認会計士は、女性にとっても適した職業です。
近年、男女平等が進み、女性の社会進出も拡大していますが、まだまだ男女差が残る業界もあります。しかし、公認会計士は実力がある人が活躍できる環境であり、女性が公認会計士試験に合格すれば、自分の能力を十分に発揮して仕事に従事できます。
公認会計士の仕事では、男女の給与格差なども存在しません。そのため、男性と同等の給与や労働環境で働くことができます。
また、公認会計士の資格を持っていれば、生涯を通じてキャリアを築くことができ、出産や育児休暇を経ても復帰がしやすい状況があります。
キャリアとプライベートを両立させたい方にとって、公認会計士はおすすめの職業です。
公認会計士の魅力の一つは、様々なフィールドで活躍できることです。
公認会計士の業務には、監査や税務、コンサルティング、会計など、多岐にわたる業務が含まれます。例えば、監査法人で大企業の監査に携わったり、一般企業で社内会計の責任者としての役割を果たすことができます。他にも、コンサルティング会社で企業経営のサポートをする仕事や、独立して税務関連の業務を担当することも可能です。
公認会計士は様々な分野でのキャリアを構築できるため、国内外で広く需要があります。特定の業務や地域に縛られずに経験を積みたい方にとって、公認会計士は非常に魅力的な職業と言えます。
公認会計士が活躍できる職場は幅広いです。その中でも、主な職場として挙げられるのが「監査法人」「会計事務所」「コンサルティングファーム」の3つがあります。
多くの合格者が初めて就職するのが監査法人です。ここでは、公認会計士法に基づく会計監査が主な業務です。会計監査は企業の決算書の正確性を確認する業務を行います。
会計事務所でも、公認会計士が積極的に活躍しています。主な業務は、税務申告や経理処理の代行です。
一方で、コンサルティングファームでは、企業の経営課題や将来の事業計画に対してアドバイスし、経営サポートを行います。
公認会計士の専門知識が豊富であるため、様々な業務に取り組むことができ、その結果、多岐にわたる職場で活躍することが可能です。
公認会計士の平均年収は746万円(※2)とされています。これは、日本の平均年収433万円(※3)よりも300万円以上高いことを示しています。
公認会計士は幅広い業務に対応できるため、働く場所や環境によっては2,000万円や3,000万円など、高収入を得ることも可能です。
監査法人での役職ごとの年収例は以下のようになっています。
監査法人では、実績を積むことで最短で入社8年目に年収1,000万円を目指すことが可能です。
(※2)参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2022年版)」
(※3)参考:国税庁「民間給与実態統計調査」
難易度が高い公認会計士資格を取得するために必要な条件を解説します。公認会計士を目指す方や関心を持っている方は、これらの内容を参考にして準備を進めてください。
公認会計士になるためには、国家資格である公認会計士試験に合格する必要があります。この試験は、公認会計士としての十分な知識や応用力を検証するものです。
公認会計士試験は以下の3つのステップから成り立っています。
この試験に合格することが、公認会計士になるための基本です。短答式試験は4つの科目からなり、難易度が高いとされています。合格率は10%(※4)で、マークシート回答が1日で行われます。
3日間にわたって行われる論文式試験は、選択科目が用意されており、合格率は30%(※4)です。この試験では応用力が試されます。
これらの試験に合格後、3年以上の実務経験を積んだのち、公認会計士になるために登録を行います。
(※4)参考:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験過去の試験結果等」
実務経験のためには、通常2年間の経験が必要です。就職先としては、監査法人や企業の会計部門などがあります。公認会計士試験合格前後であっても実務経験を積むことができます。
実務は、金融機関、国税局、自治体などで法令に基づく業務があります。業務内容や勤務状況により、実務の要件を満たさない場合もあるため、注意が必要です。
実務補助所では、原則として3年間、教育機関での講義を受ける必要があります。修了考査に合格することで公認会計士資格が付与されます。講習は夜間や週末にも受講可能で、e-ランニングの導入などがあり、自分に合わせた勉強が可能です。修了には一定の単位取得や考査の合格が必要であり、費用については15,000円の入所料と255,000円の補助料金がかかります。監査法人などで働く場合、費用に対する補助が期待できる可能性もあるので、確認してみましょう。
最後に、公認会計士のキャリアについて解説します。公認会計士を目指す方は、以下の説明を参考にして、自身のキャリアを考えてみてください。
公認会計士の専門知識は一般事業会社において非常に重宝されます。実際、監査法人出身の公認会計士が一般事業会社に移るケースは非常に多いです。
一般事業会社での公認会計士の担当業務には、高度な決算業務や経営企画、内部監査などが含まれます。公認会計士が持つ広範で深い会計知識を生かし、一般事業会社での活躍が期待できます。これをキャリアの選択肢として検討してみてください。
コンサルティング会社でも、公認会計士の知識やスキルが大いに役立ちます。
公認会計士が持つ専門知識や監査経験から得たスキルは、コンサルティング会社でクライアントの課題を解決する上で不可欠です。クライアントの抱える課題や悩みに対し、公認会計士はこれまでの経験を活かし、的確なアドバイスで問題解決をサポートします。
コンサルティング会社ではクライアントとの対話が頻繁にあり、高いコミュニケーション能力が求められます。クライアントと深く関わりつつ、課題解決に貢献したいと考えている方には適したキャリアといえるでしょう。
公認会計士は、ベンチャー企業やスタートアップ企業のCFO(最高財務責任者)として非常に人気があります。
その理由は以下の通りです。
CFOの業務には、財務や経理に関する深い知識が必要なため、会計のスペシャリストとして知られる公認会計士の需要が高いです。
ベンチャー企業への就職時には、資金調達や財務戦略の立案・実行、IPOの準備などが担当され、これらの業務に関心がある方には特に適しています。
公認会計士は、信頼性が高く、幅広い専門知識を有するため、独立開業が容易な職業と言えます。
公認会計士の資格取得前から、将来の独立開業を目指す方も多くいます。独立開業の際には、以下のような業務が考えられます。
公認会計士は、信頼度が高く社会的なステータスもある職業です。監査業務や税務、コンサルティングなど幅広い業務を任される公認会計士になることで、自身の市場価値を高められます。その結果、将来のキャリアパスの幅が広がり、CFOや開業、年収アップを狙える職業でしょう。
今回の記事を読んで少しでも公認会計士に興味を持った方は、公認会計士のキャリアを考えてみてはいかがでしょうか。公認会計士になって、自身のキャリアパスの幅を広げながら市場価値の高い人材を目指してください。
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