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2024/03/13 公開2024/08/17 更新

損益計算書の基本|見方や確認すべき項目について解説

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損益計算書は、企業が特定期間内の損益状況を把握するための財務報告書です。

この記事では、損益計算書の概要や読み方、確認すべき項目について解説します。損益計算書を理解することで、企業の利益と損失の状況が明らかになり、収益性に関する分析が行えるようになるでしょう。損益計算書の読み方をマスターすることは、経営者や経理担当者にとって重要であり、会社の財務状況を把握する手助けとなります。

損益計算書を有効活用したい経営者や経理担当者の方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

損益計算書について

損益計算書とは、企業の「一定期間の業績(収益と費用の状況)を表すもの」です。具体的には、特定の期間における総収益と総費用のバランスを通じて、その結果として得られた利益(儲け)が計算されます。損益計算書は、収益、費用、利益の三つの要素で構成され、英語では「Profit & Loss Statement」と呼ばれ、略して「P/L」とも表すことが可能です

計算式は、収益から費用を引いたものが利益となります。

  • 収益 - 費用 = 利益

損益計算書では、費用を左側(借方)、収益を右側(貸方)にまとめるのが基本です。費用の総額と収益の総額には差が生じますが、この差が利益または損失に相当します。この利益または損失と、収益および費用を総合することで、借方と貸方が一致するのが決まりです。

損益計算書の解読により、企業が本業とそれ以外でどれだけ利益を上げているか、および利益を増やすためにどのような取り組みを行っているかが明らかになります。

損益計算書と貸借対照表の違いについて


損益計算書は「特定期間内」の企業の経営成績を示し、一方で貸借対照表は「ある一定の時点」における企業の資産、負債、純資産の状況を知ることができます

  • 資産 = 負債 + 純資産

貸借対照表は、ある時点での企業の資産と負債を示す財務報告書で、企業の財政状態を明らかにし、資産(現金、債権など)と負債(借入金、未払費用など)の残高が表示されます。

損益計算書と貸借対照表の違いは、損益計算書が動的なデータであり、特定期間内の業績を示す一方で、貸借対照表は静的なデータで、ある時点の企業の財政状況を表すのです

これら2つの報告書は、企業の健全性を評価するために重要なものであり、一緒に読み解くことで会社の経営状況をより深く理解することができます。

損益計算書の見方について

損益計算書は、企業の経済的な活動と業績を評価するための財務報告書の重要な一部です。ある特定の期間内において、企業がどれだけの収益を上げ、それに対してどれくらいの費用が発生したかを示します。

以下では、損益計算書の基本的な構成要素と、それを解釈する方法について解説しているので、企業の収益力や収益源、費用の構成、利益の安定性を理解してみましょう。

経常損益の部について

経常損益の部分に焦点を当てると、これは企業の業績評価において極めて重要な要素であり、「営業損益」「営業外損益」「経常利益」の3つに分類されます。

これらの要素を理解することは、企業の経営戦略や業績向上のために不可欠です。以下では、経常損益の部の3つの要素について詳しく解説します。

営業損益

営業損益について考えてみましょう。営業損益は、企業の本業である営業活動から生じる損益を指します。この中で、「売上総利益」と「営業利益」の計算が可能です。

売上総利益

売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いたものです。これは通常、「粗利」とも呼ばれ、本業における利益を示しています。

  • 売上総利益 = 売上高 - 売上原価

売上は、商品の販売やサービスの提供など、企業の本業の営業活動によって得られる収益を指し、「売上高」とも呼ばれます。売上原価は、商品の仕入や製造にかかる費用であり、これが少なければ儲けが増えるのが基本です。

売上総利益は製品・商品の収益力を表し、通常はマイナスにはなりません。なぜなら、マイナスになると「売上<原価」であり、原価割れしていることになるからです。

営業利益

次に、営業利益は売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いたものです。これらは商品やサービスを販売・管理する上での経費です。例えば、給料、広告宣伝費、運送費、店舗の賃料などが含まれます。

  • 営業利益 = 売上総利益 - 販売費および一般管理費

営業利益は本業の営業活動から得られた利益を示し、利益が出れば営業利益、損失が出れば営業損失として損益計算書に記載されます。

営業外損益

通常の営業活動には直接関連しない収益や費用を示します。この項目は、企業が通常業務以外の出来事や活動から生じた収益や費用をまとめています。

  •  営業外損益 = 営業外収益 - 営業外費用

営業外損益には主に「営業外収益」と「営業外費用」が含まれます。

営業外収益

営業外収益は、本業の営業活動から発生しない収益を指します。例えば、受取利息や配当金、株取引の利益などが含まれます。

営業外費用

営業外費用は、本業の営業活動には関連しない費用を指します。支払利息や為替差損などです。

営業外損益は、会社の全体的な業績を評価する上で重要であり、通常の営業活動以外の要因が収益性や損益にどのように影響しているかを示しています。

経常利益

経常利益は、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いて求められます。

  •  経常利益 = 営業利益 + (営業外収益 - 営業外費用)

営業外収益

営業外収益は、本業以外で得た収益を指します。預金の利息や家賃収入、配当金などが含まれます。

営業外費用

営業外費用は、費用を指します。例えば、借入金の支払利息などです。

経常利益と営業利益の差から、本業以外での儲けがどれだけあるかがわかり、これは企業の実力を反映する最も重要な利益と言えます。

特別損益の部について

特別損益の部分について考えてみましょう。特別損益は、通常の営業活動とは異なる出来事に起因する利益や損失を指します。これらは突発的または臨時に発生し、企業の実際の業績に影響を与えるものです。特別損益には、「特別利益」と「特別損失」の二つのカテゴリがあります。

特別利益

通常の本業とは無関係に臨時的に発生した利益を指します。たとえば、不動産の売却による「固定資産売却益」などです。

特別損失

通常の本業とは無関係に臨時的に発生した損失を指します。たとえば、保有している株式の「売却損」や火災・自然災害による「災害損失」などがです。

特別損益の目的は、通常の営業活動から発生する利益や損失とは異なる特別な事象による収益や費用を明示的に表示し、通常の営業活動と特別な要因による業績を区別することだといえます。企業の持続可能性や将来予測を分析することが可能になるのです。

その他の部100について


その他の部100に関して説明します。その他の部は、「税引き前当期純利益」と「当期純利益」の2つに分かれることが可能です。これらは企業の財務諸表に表示される利益に関連する項目であり、以下で、その他の部の2つの要素について詳しく説明します。

税引前当期純利益250

税引前当期純利益250は、経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いたものを指します。

  •  税引前当期純利益 = 経常利益 - (特別収益 - 特別損失)

税引前当期純利益は、本業の営業活動での利益だけでなく、営業外損益や一時的な損益である特別損益も含みますが、法人税や住民税、事業税などの税金コストは含まれません。もし金額がマイナスの場合、それは税引前当期純損失と呼ばれます。

当期純利益

当期純利益は、税引前当期純利益から法人税、法人住民税、法人事業税を差し引いたものを指します。

  •  当期純利益 = 税引前当期純利益 - 法人税等(法人税+法人住民税+法人事業税)

当期純利益は、企業がその期間中に全ての収益と費用、利息費用、税金などを考慮に入れた最終的な利益を表します。この数字がマイナスであれば赤字、プラスであれば黒字です。

当期純利益は、企業の1年間の経営活動の中での最終的な利益を示すものですが、当期純利益が多いからといって問題ないとは言い切れません。なぜなら、当期純利益には臨時的な収益や損失が含まれ、また税額は前の会計年度の所得に基づいているためです。

当期純利益は企業の重要な指標であり、その内訳を確認することが重要でしょう。

損益計算書の確認ポイント

損益計算書の重要なポイントについて述べます。これまで損益計算書の見方について説明しましたが、損益計算書のどの部分に注目すればよいか分からない方もいるでしょう。そこで、次に特にチェックすべきポイントについて3つ説明します。

1. 売上総利益率

売上総利益率は、売上高から費用や原材料費などの変動費用を差し引いた後の売上総利益を売上高で割ったものです。

売上総利益率が高いほど、企業は売上からコストを効率的に管理しており、収益性が高いことを示しています。逆に、低い総利益率は、高いコストや低い価格設定に起因し、利益が限られてという意味です。

売上総利益率の平均値は業界ごとに異なりますが、自社の販売戦略や価格設定が正しいかどうかを判断するために、推移を確認したり同業他社と比較しましょう。

2. 売上高営業利益率

売上高営業利益率は、企業が本業で稼いだ営業利益を売上高で割った割合を示します。

この率は、企業が営業活動を通じてどれだけ利益を上げているかが理解できるものです。高い営業利益率は、企業が売上高に対して効率的に経費を管理し、収益性が高いことを示しています。逆に、低い利益率は、高い営業費用や低い価格設定によるもので、利益が限られていることを表していると覚えておきましょう。

営業利益率は業種によって異なりますが、10%を超えていれば優良とされています。企業はこの利益率を重視し、収益性を向上させるために経費削減、価格戦略の見直し、収益向上策などを検討ししょう。

3. 売上高経常利益率

売上高経常利益比率は、売上高から営業外費用を差し引いた経常利益を売上高で割ったものです。

経常利益は、営業活動とそのほかの要因を考慮した収益であり、企業の本業による活動だけでなく、外部要因も含めた利益を示します。

損益計算書を分析して、企業の成長に寄与しよう

損益計算書は、企業や組織が特定の期間内で得た収益と費用を記録する財務諸表です。この書類を理解し、活用するためには、以下のポイントに注目する必要があります。

  1. 収益(売上高): 企業の主要な成功指標であり、どれだけの収益を上げたかを示します。
  2. 費用: 人件費や原材料費、運転費用、支払利息などの企業がかかえる費用を含みます。
  3. 総利益: 収益から総費用を差し引いたもので、企業の実際の利益を示します。
  4. 純利益: 所得税などの税金が差し引かれた後の純利益です。
  5. 利益率: 総利益を売上高で割った割合です。

これらの数値が正確であるかを確認し、前年度との比較を行います。

損益計算書が分析可能になると、企業がどれくらい資金を使ったか、どのような理由で利益を上げたのか、また赤字があるかどうかなど、経営状態を把握することが可能です。

損益計算書は経営戦略や財務の健全性、投資判断にとって重要なものです。正確に分析して、経営判断に役立てください。

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