労働環境を改善し、従業員をサポートする労務。この分野での就職や転職を検討しているけれど、「職務経歴書の書き方がわからない」と困っている方は少なくないでしょう。
今回は、労務向けの職務経歴書の効果的な書き方や注意点について説明します。さらに、労務と人事の職務の違いや、労務に求められる資質についても触れます。
労務は給与や社会保険に関することなど、従業員に安心して働いてもらう上で欠かせない役割を担っています。 労務の具体的な仕事内容は以下の通りです。
労務の仕事では、労働基準法・派遣法などの法律について専門的な知識が認められます。未経験の方にはハードルが高く感じられるかもしれませんが、働きながら学び続ける気持ちがあればチャレンジ可能です。
中小企業などでは、人事が労務の業務を兼ねているケースも少なくありません。どちらも従業員の管理に関する業務を担いますが、人事と労務では役割と業務内容が全く異なります。
人事の業務は採用・育成・評価・配置管理など、個々の従業員に直接関わるのが特徴です。労務は各種手続き・管理の業務が中心で、労働環境を整える「裏方的存在」の役目を担います。
【労務の職務経歴書の書き方】
労務の仕事に就職・転職すると決めたら、履歴書と職務経歴書を書きましょう。履歴書は「求職者の大まかな情報」を確認する書類で、職務経歴書は「求職者のこれまでの職務経験」に特化した書類です。
職務経歴書には以下の項目を記載する必要があります。
職務経歴書では職務経験のほか、仕事に必要なスキルや資格を持っているかもチェックされます。職務経歴書はA4サイズの用紙1〜2枚にまとめるのが一般的です。工夫しながら過不足なく情報を記載してください。以下の項では、職務経歴書に記載すべき項目についてもう少し詳しく解説します。
客観的な事実をベースに、職務経歴の要約を記載します。今まで働いていた企業で貢献・尽力したことを記載するのもおすすめです。自己PRは職務経歴書の最後に記載できるので、職務要約の項で書きすぎないように注意してください。
【記入例】
○○大学を卒業後、株式会社○○へ入社し、○○名規模の労務管理と給与計算の業務を○年間経験しました。また、労務だけでなく、新卒・中途採用や教育研修の企画など、人事業務も一通り携わってまいりました。
職務経歴には、在籍した会社・部署・役職・担当業務・業務量(手続きを実施した社員数や採用人数等)など業務経験の詳細を記載します。幅広い分野の業務を担当していた場合は、分野ごとに分けて記載しましょう。表を活用するとまとめやすく、見やすくもなります。
【記入例】
○○年○○月~○○年○○月 株式会社○○
事業内容:機械部品の製造・販売
資本金:○億円
社員数:○○名
所属:管理部 人事労務課(正社員として勤務)
期間 | 業務内容 |
---|---|
○○年○○月~○○年○○月 | 新人研修後、管理部 人事労務課へ配属 |
マネージャー以下○名で、以下業務を担当 |
【労務業務】
給与、年末調整等(社員・契約社員 計○○名分)
社会保険料事務担当
【人事業務】
新卒・中途採用
教育研修の企画
期間 | 業務内容 |
---|---|
○○年○○月~ | 管理部 人事労務課 主任に昇進 |
マネージャー以下○名で、以下業務を担当 |
【労務業務】
【人事業務】
【その他業務】
スキル
労務業務に役立つ知識・技術・経験を記載します。パソコンスキルや業務経験もアピールできます。スキルごとに分けて詳しく記載しましょう。
パソコンスキル
業務経験
資格の項には、現在までに取得した資格を取得年数も含めて記載します。労務なら、社会保険労務士・衛生管理者・労務管理士・産業カウンセラー・メンタルヘルス・マネジメント検定・労働時間適正管理者検定などの資格があると有利です。持っていたら必ず記載しましょう。
【記入例】
社会保険労務士 / ○○年○○月取得
産業カウンセラー / ○○年○○月取得
労務業務に役立つ自らの強みを、具体的な出来事と一緒に記載します。労務業務では、作業の正確性や問題解決能力が求められます、プロジェクトへの参加など能動的な経験も立派なアピールポイントです。客観的な事実ベースで書きましょう。2項目ほどに分けて見やすく記載する、できるだけ数値で表現するのも大切なポイントです。
【記入例】
・労務業務における効率化・自動化を推進
全社を挙げてスタートしたDXプロジェクトにおいて、私は労務課主任の立場から業務の効率化と、一部業務の自動化を提言しました。DX化の推進で人的ミス○%、残業時間平均○時間削減に成功しております。現在の職場環境を冷静に見つつ、限られたリソースを有効活用し、労務業務のクオリティを高める方法を常に考えています。
・人事制度改革で課題解決に尽力
働き方改革の一環として全社的に取り組んだ人事制度改革では、中心メンバーとして尽力しました。改革に際しては、私の提案で○人分の社員アンケートを実施して現行の人事評価の課題を抽出。その結果をもとに大胆な人事制度改革を実現しました。
労務の職務経歴書を書く際は、以下2つの指針となるポイントを意識しましょう。よりよい内容の職務経歴書に仕上げられます。
職務経歴書を書く際は、入社年と在籍年数・部署の人数・マネジメント人数・採用人数・達成率などを正確な数値で記入しましょう。内容に説得力が出て担当者に内容が伝わりやすくなります。 職務経歴のイメージがしやすいと自分に興味を持ってもらいやすくなるので、採用の可能性が高くなるかもしれません。
職務経歴書は「応募先企業に対してどのような貢献ができるか」が、明確に分かるように仕上げましょう。一般的な労務の仕事に求められる人物像と自分の合致するポイントを記載するよりも、応募先企業が求める人材と合致する人物である点をアピールした方が有効です。自己PRも含め、独りよがりな内容にならないようにしてください。
労務は、従業員の給与や保険などを扱います。ミスは許されないので丁寧で正確に作業ができる方におすすめです。計算や手続きなどコツコツした業務も多いです。どの仕事も期限が定められているので、スケジュール管理をする能力も求められます。また、給与や保険は重要な個人情報なので、秘密を守る力も重視されるのが事実です。
労働者・企業間のトラブルを解決するのも、労務の大切な業務の1つです。コミュニケーション能力が高く、トラブルを冷静に解決に導くのが得意な方は業務で重宝されるでしょう。
職場内の問題解決には、法律の知識も欠かせません。労務関係の法律は昔からあるものが時々改定されるだけでなく、時代に合わせて新しい法律も生まれます。労務の仕事をするには、法律を学ぶ意欲も必要です。
労務は、労働環境を整え従業員を支える仕事です。 賃金や保険など重大なお金の計算だけでなくトラブルの解決も業務に含まれるので、丁寧で正確なだけでなく、コミュニケーション能力や秘密を守る力も求められます。
労務への就職・転職を目指している方は、数字などを使って具体的で丁寧な職務経歴書を書きましょう。読みやすく内容の分かりやすい職務経歴書は、採用への第一歩です。
労務の仕事は経験者を重視する傾向がありますが、未経験でもチャレンジできます。仕事の範囲・働き方・体制・教育制度・資格取得支援・年収などは企業ごとに異なるので事前によく調べてください。経験者・未経験者のいずれの場合も、希望に合う企業に応募するのが重要です。