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労務
2024/07/21 更新

労務への転職を成功させる自己PR作成のコツ|転職志望者向けに解説と実例付き

労務は、従業員が安心して働ける環境つくりを担う職種です。そのため、経験の有無に関わらず、労務職への転職を望む人は多いでしょう。

この記事では、「労務に転職したいけれど、どのようなアピールが効果的かわからない」「労務への転職を有利に進めるための方法は?」などの疑問を抱く方に、労務転職において有益な自己PRを紹介します。

労務へ転職で抑えておくべき自己PRのポイント

労務への転職を考える際、自己PRの作成において重要なポイントがあります。

まず、労務職への転職は、人事経験者や現役労務職との競争が激しいことが特徴です。そのため、採用担当者が最も注目する自己PRは、転職希望者にとって極めて重要になります。自分の価値を最大限に伝えるために、ポイントを押さえた自己PRの作成が必要です。

①目的や志向性の明確化

まず最初に、労務への転職の目的や自身の志向性を明確にすることが重要です。なぜ労務職に転職したいのか、その理由や将来のキャリアプランを具体的に示すことが求められます。

労務業務を通じて得たい経験や習得したいスキル・知識を明確にし、将来的にどのようなポジションを目指しているのかを採用担当者に具体的に伝えることで、真剣に労務転職を志している姿勢が伝わるでしょう。

② 自己分析の重要性

自己PRを作成する際には、自身の職務経験や得意な仕事内容、身につけた能力を整理することが肝要です。これは、自らのキャリアを点検する作業とも言えます。

労務職は、勤怠管理や給与計算に従事するだけでなく、福利厚生や労使間のトラブル解決も担当します。常に会社の経営戦略を把握し、業務を遂行していかねばなりません。

キャリアの点検を通じて、自らの性格や経験が企業全体を俯瞰し、従業員を客観的に評価する上でどのように役立つかを把握しましょう。そして、自身の強みが労務業務にどう適合し、志望する企業にどれほど有益かを整理してみてください。

③ 過去の経験や実績の示し方

自己PRにおいて、過去の経験や実績を書き連ねるだけでは効果的ではありません。労務職においてどのように活かされるか、その目標を明確にし、選りすぐりの内容を説得力を持って提示しましょう。

たとえば、従業員の勤怠管理を自動化するシステムのプロジェクトリーダーとしての経験や、クラウド型システムの導入により部署内のルーティン業務を効率化した実績などです。これらを数値化して提示することで、採用担当者の客観的な判断に寄与し、より効果的なアピールとなります。

労務経験者の場合は、従業員の福利厚生を向上させた経験や、IPOやM&A時の規則調整、給与計算のアウトソーシング導入による業務効率化などをアピールすることで、他の志望者との差別化が可能です。

④ コミュニケーション能力の強調

労務職に必要なコミュニケーション能力は、自身の意見を述べるだけではなく、相手の求める内容を正確に把握する能力です。これを「傾聴力」とも称します。

労務職は、従業員が安心して働ける環境を整える仕事です。そのため、従業員が望むことや改善点を注意深く聞き取ることが求められます。また、会社の立場や主張を正確に理解することも大切です。相手の立場や気持ちを尊重し、共感する姿勢が不可欠でしょう。

さらに、従業員と会社の両方から得た情報をバランスよく処理し、良い結果をもたらす調整能力も求められます。従業員のヒアリングや正確なレポート作成の経験を通じて、労働環境の改善や福利厚生の成功に貢献した実績を伝えることで、高いコミュニケーション能力と調整力を備えた人材であることをアピールできます。

⑤ 労務業務に適したアピール

自身の知識、スキル、経験、実績をアピールする際には、それらが労務の業務にどのように適用されるかを考慮しましょう。

労務職では、慎重な考察をもとに業務を進める能力や、冷静に問題を解決する能力などが求められます。人事と異なり、労務は個々の従業員ではなく全体を対象にした制度設計や施策導入を担当します。そのため、個別の対応ではなく客観的な人事考課の内容や勤怠管理システムのデータをもとに作業が必要です。

人柄よりも法令や規則に則り、改善や新制度の企画・導入を行う能力が重視されます。

労務職の業務内容を把握し、自身が役立つポイントを絞り込んで伝えることが重要です。

労務の自己PRにおいて有利な経験4つ

人事経験があっても全てが労務に有益とは限りません。現在の労務の課題は、様々な雇用形態への適応、厳格化される労働時間管理、テレワーク対応など多様化しています。さらにDXの進展により、労務業務の効率化も急務です。労務職への転職において、有益な経験を紹介することが肝要でしょう。

① 新制度の企画・導入に関する経験

今後の労務において重要なのは、雇用形態の多様性や在宅勤務などの変化に柔軟に対応し、新しい勤怠管理や福利厚生、給与計算などの環境を導入する能力です。

新制度の導入には、関連法令の知識が欠かせません。制度の企画や導入に携わった経験は、一定の知識とスキルを証明するものとなります。

自身の経験や実績から、制度設計と導入に関わったものを見つけ出し、そのプロジェクトへの貢献や成果を整理し、数値化して伝えられるよう準備しましょう。

② 面接・採用プロセスを見直し・改善経験

面接・採用は労務の職務ではないですが、そのプロセスを改善するのは、労務と人事が協力して行う仕事です。

選考においては、応募者の能力やスキル、企業のビジョンへの共感や企業文化への適合性などを総合的に判断し、長期にわたる貢献が見込める人材を選定する必要があります。応募者の能力を客観的に判断する指標を模索し、会社向けに調整しテストするプロセスが必要です。

前職で採用プロセスの改善に携わった経験は、他の労務業務にも応用可能なノウハウとなるため、転職において有利に働くでしょう。

③ 労働トラブルの解決経験

労働トラブルは企業にとって難しい課題の一つです。

従業員は法令によって保護される側面がありますので、労務担当は従業員の要望や改善要求を受け入れつつ、経営側と調整する必要があります。

労働トラブルの解決経験は、労務担当として高い評価を得られるでしょう。社会保険労務士の取得は、従業員の要望に法的根拠を与える能力を持つため、トラブルの解決に役立ちます。

④ 社内研修企画・運営経験

労務では、人事が行う社内研修やスキル向上の支援制度の設計が必要です。特に、従業員のスキル向上やキャリア成長に繋がる研修の支援策は、モチベーションやエンゲージメント向上に貢献します。

働きやすい環境を作ると同時に、従業員の自己成長を促進するのが労務の役割です。研修の企画や運営の経験は、評価されるでしょう。

労務未経験者のための自己PRにおける重要な4つのポイント

労務職は専門性が要求されるため、実務レベルの知識とスキルが必要です。ただし、未経験者が転職することはできます。労務の求人情報を見れば、求められるスキルや経験が分かるでしょう。それらを理解し、しっかりとアピールすることで、採用の道も開けます。

①人材育成の知識やスキル

労務職では、人材育成に関する知識と理解が重要です。従業員の労働環境の改善だけでなく、キャリアアップの支援も労務の業務です。

未経験者は組織設計や人材育成の専門的な知識を学ぶことをおすすめします。人材育成は総労働時間の短縮などに効果があり、労務管理にも役立つでしよう。前職で部署の新人教育のメソッドを策定した経験などがあれば、積極的にアピールしてください。

②コミュニケーションスキル

労務の仕事では、従業員へのヒアリングや各部署の管理職とのコミュニケーションが必要です。

しっかりと相手の話を聞く傾聴型のコミュニケーション能力は、労務の資質として重要になります。マーケティングや営業の職種で培った経験や能力は、傾聴型コミュニケーションのスキルとして活かすことも可能です。未経験者にとって、傾聴型コミュニケーションのスキルを、実績と合わせてアピールすることは、労務への適性を示す上で効果的でしょう。

③分析力や問題解決スキル

労務では勤怠管理などで数値の分析能力が求められます。また、人事考課では従業員の評価データを正確に読み取り、正当な評価を行う必要があります。分析力と課題解決能力が、労務の業務に不可欠です。

未経験者でも、営業やマーケティング、製造管理などの職種で受注率やKPIの分析を行っていたり、労働生産性を常時分析していたりする経験は有益でしょう。

④チームワークとリーダーシップ

労務では、業務をチームで遂行することが一般的であり、そのためにはチームワークやリーダーシップが不可欠です。人事・労務の未経験者であっても、過去にチームリーダーやプロジェクトリーダーを務めた経験は有益でしょう。

チームワークとリーダーシップの強みを伝える際には、具体的なプロジェクトの詳細とともに、業務効率化にどのように貢献したかを数値で示すことが重要です。

たとえば、チーム内でタスクを分担して工程を見直し、10%の作業効率化を達成したなどの事例が考えられます。具体的な数値を提示することで、リーダーシップの証拠を客観的に提示できます。

労務の自己PR・例文を3つ紹介

最後に、上記の内容を踏まえた自己PRの例文を紹介します。経験者向けと未経験者向けの2パターンあるので参考にしてください。

人事・労務の経験者(1)

私は、アパレル製造販売の○○株式会社で、営業職として2年勤務し、その後、人事部で4年間働きました。最初の2年間は新卒採用を担当し、その後は人材育成と人事評価を担当しました。人事部に配属された後、専門的な知識の必要性を感じ、セミナーや講座を受講し、関連する法令・規則の知識を身につけました。また、社会保険労務士の資格も取得しています。

前職の会社は全国に60の店舗を展開しており、人事評価や給与計算における工数の増加が課題でした。そのため、店舗責任者と本社人事の負担を減らすために、クラウド型の人事評価システムの導入を決定し、そのプロジェクトリーダーを務めました。システムの比較検討から導入決定、運用支援まで、5人のチームで作業しました。導入後、各店舗責任者に対してWEB会議による研修を行いました。

システム導入の成果として、店舗責任者の評価に費やす工数を60%削減し、人事側の工数も50%削減できました。こうした経験から、従業員の労働環境の改善や新制度の導入などの分野でも、貴社のお役に立てると考えています。

人事・労務の経験者(2)

私は、従業員1,400人の企業で、労務担当として3年間勤務してきました。給与計算業務の工数削減という課題に取り組み、プロジェクトリーダーとして成功した実績があります。給与計算のアウトソーシングとクラウド型の給与計算システムとを比較検討し、アウトソーシング会社への外注を選択しました。複数の業者から提案を受け、工数削減のKPIを設定し稟議を通しました。

この改善では、勤怠管理や残業時間の算出も外注先のシステムを活用することで効率化できました。結果として、給与計算に必要な工数を7割削減することに成功し、制度設計や福利厚生の改善など、調査や企画が必要な業務にリソースを割くことが可能になりました。また、勤務形態の多様化に伴い、福利厚生の抜本的な改革も担当しました。リモートワーク時の昼食代補助など、社食利用と同等の福利厚生は従業員から好評を得ており、モチベーションの向上に貢献しました。これらの実績は、貴社の労務でも十分に活かせると考えています。

人事・労務の未経験者

以前は情報システムの法人営業を担当していました。この2年間で、チームリーダーとして担当クライアントの売上を30%伸ばしました。大企業を含むクライアント企業からは多岐にわたる要件をヒアリングし、正確に理解するスキルを磨くことができました。

貴社のようなグローバル展開をしている大企業の労務では、多様な部署の従業員が働きやすい環境や福利厚生、人事評価システムを構築することが重要であると認識しています。その点で、状況を把握し調整する力を持っていると自負しています。会社全体を俯瞰する労務という仕事に志望しており、関連法令等も積極的に学習しています。〇〇のセミナーや〇〇の講座にも継続的に参加し、実務経験はありませんが、コミュニケーション能力と調整能力を活かし、貢献したいと考えています。

労務の特性を理解して転職を成功へ

労務担当の求人はあまり多くないため、競争が激しい分野です。人事での経験があっても、採用や人材育成、評価などと労務の業務は異なるため、入念な準備が欠かせません。

人事・労務の未経験者でも、企業全体の従業員の働きやすさを見る視点や、会社と従業員の調整を円滑に行うコミュニケーション能力があれば、転職に成功できます。

バックオフィス専門の転職サイトでは、労務職の求人情報も掲載されています。企業ごとに求めるポジションや要求される知識、スキルが異なるため、複数の募集を参考にしながら、労務への転職を模索することが重要です。労務に求められる条件を理解し、ぜひ転職を成功に導いてください。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

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