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経営企画
2024/06/23 更新

戦略コンサルタントの平均年収は?その他のコンサルの平均年収も紹介

戦略コンサルタントは企業に経営・組織・人事に関する戦略やマーケティング、業務改善の改善などを提案し、実現に導く職種です。業務の範囲も広く、高度で専門的な知識・スキルを求められるので年収も高く設定されています。

しかし、戦略コンサルタントの平均年収は実際どのぐらいなのか、知らない方は多いでしょう。戦略コンサルタントの平均年収を紹介します。さまざまなコンサルタント業の平均年収についても紹介するので、参考にしてください。

戦略コンサルタントの年収について

経営コンサルタントの年収は非常に高いのが事実です。勤務している企業・役職・在籍年数などによって差はありますが、平均年収1,000万円以上の方も珍しくありません。以下に、経営コンサルタント全体と役職別の平均年収について解説します。

経営コンサルタントの平均年収

経営コンサルタントの平均年収は、国税庁の令和3年分「民間給与実態統計調査結果」(※1)によると695万円です。同じ令和3年分の正社員平均年収は443万円なので、非常に高給なのがわかります。

経営コンサルタントの初任給は24万円程度、パート・アルバイトなら1140円、派遣社員なら1277円が相場です。どんな職業でも実際の支給額には個人差がありますが、経営コンサルタントの場合、全体の給与幅は362万円〜1,153万円と非常に広い傾向がみられます。

また、経営コンサルタントの年収は採用時の条件によっても変化するのが事実です。英語や中国語など外国語ができる方は高く、自家用車で通勤する方や採用後の研修が必要な方の場合は大幅に低くなる傾向があります。

(※1)参考:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」

役職別の平均年収

多くの企業は経営コンサルタントの役職を5段階に設定しています。就職したらアナリストと呼ばれる役職から始まり、経験を積みながらスキルを磨いて昇進していく仕組みです。以下に、役職ごとの平均年収を役職に就く年齢の目安とあわせて表にまとめます。

役職名

年齢の目安

平均年収

アナリスト

22歳~28歳

500万円~800万円

コンサルタント

25歳~35歳

900万~1300万円

マネージャー

28歳~41歳

1400万~2000万円

プリンシパル

32歳~45歳

1700万~2500万円

パートナー

35歳以上

2500万円以上

アナリストからパートナーまで昇進できるのは、アナリストの中でも特別に優秀なごく一握りの方のみです。

代表的な戦略コンサルファーム別の平均年収

日本国内にも世界にも、コンサルタントを主な業務としている企業があります。同じ日本国内にある職場でも、日系企業と外資系企業では平均年収が異なるのが事実です。それぞれ解説します。

代表的な外資系ファームの平均年収

外資系のコンサルファームはグローバル企業が多く、平均年収も昇給も早いのが特徴です。コンサルタント職で優秀な方だと入社5~6年目で年収1,000万円以上になる方もいます。以下に、特に有名な7社の平均年収を表にするので参考にしてください。

企業名

平均年収(コンサルタント職のみ)

A.T.カーニー株式会社

1,406万円〜1,660万円

ボストン・コンサルティング・グループ

合同会社

1,377万円〜1,860万円

マッキンゼー・アンド・カンパニー

1,211万円〜1,800万円

ベイン・アンド・カンパニー

1,500万円~2,000万円

アクセンチュア

900万円~1,000万円

アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社

1,035万円

ローランド・ベルガー

1,336万円

外資系コンサルファームは成果主義で、同じ役職でも成果によって年収が大きく変わります。給与体系は年俸性を採用しているところがほとんどで、残業代や夏・冬のボーナスは基本的に支給されないのが特徴です。

代表的な日系ファームの平均年収

日系ファームの給与体系は、従来の年功序列をベースにしている企業が多いのが特徴です。外資系より平均年収は低いですが、福利厚生や研修制度などが充実しています。日系ファームで特に有名な5社の平均年収は以下の通りです。

企業名

平均年収(コンサルタント職のみ)

株式会社経営共創基盤

1,096万円

フロンティア・マネジメント株式会社

1,078万円

株式会社ドリームインキュベータ

1,033万円〜1,100万円

株式会社コーポレイトディレクション

885万円

アビームコンサルティング株式会社

400万円~850万円

日系ファームの多くの企業は、国内の中小企業を相手にサービスを提供しています。給与体系も年功序列の考え方に基づいて設定しているところが多いのが特徴です。

戦略コンサルタントの仕事内容

経営コンサルタントは企業の経営陣から相談を受け、経営戦略・マーケティング戦略・新規事業立案・人事などさまざまな分野について調査・分析し、最適なプランを提案するのが仕事です。仕事内容一つひとつの詳細を、この下で解説します。

戦略立案

戦略立案は、企業が将来を見通して立てる戦略を意味します。内容は企業戦略に関わる経営戦略・マーケットで勝ち進む方策を考える事業戦略・部署ごとに担わせる機能を考える機能戦略の3つです。

戦略コンサルタントが戦略立案を行う際は、5つのプロセスを踏んでいきます。1つ目は現状分析で、マーケティングをして自社・クライアント・競合企業の分析を行う段階です。2つ目は企画立案で、現状分析の結果から得られた現在の問題点から事業の目標や目的の戦略を立て、目標や目的達成のために必要なもの・不要なものを見極めます。

3つ目は戦略策定です。戦略策定では、目標や目的達成に必要な人材・資金・日程などを決めます。4つ目は評価で、計画したとおりに事業などが進んでいるかを分析する大切なプロセスです。もし、計画よりお金がかかるなどの問題があれば、改善する必要があります。改善は最終段階ですが定期的に、場合によっては計画実行中にも行われるほど大切なものです。

プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントは、立案した計画を成功に導くためにより詳細な計画を立て、実行・管理・監督をする業務です。戦略コンサルタントが立案した計画は、いくつかのチームに配属された企業内の社員が、チームごとに割り当てられた業務に取り組んで進められます。計画の進行中、グループ内の進捗状況を評価したり最適化を図ったりするのは、戦略コンサルタントの大切な仕事です。

もし、立案した計画が順調に進んでいないと、せっかく立てた計画が失敗に終わってしまうかもしれません。また、プロジェクトマネジメントを行うためには、計画に関わる社員と目的や終着点を共有したり、進捗状況やトラブルを把握したりする必要があります。多くの社員との密なコミュニケーションが必要です。

ビジネスプロセスの改善

ビジネスプロセスの改善は、業務改善コンサルティングとも呼ばれます。企業内で行われている現在の業務手順や工程を評価し、見直して改善案を提案する業務です。改善の対象になるものには、人員配置・業務フロー・情報の扱い方など多岐にわたります。

企業内のどちらの部署でも、達成できない業務・不要な業務・不均衡な業務がなくなると、部署の効率性と生産性が上がり、企業全体のコスト削減につながるのがよいところです。また、社員が無理なく快適に働けるようになると健康を害するリスクが下がり、企業への満足度が上がります。

近年、ビジネスプロセスの改善の事例としてよく行われているのは、ITツールの導入やリモートワークの推進などです。

M&Aアドバイザリー

M&Aアドバイザリーは、合併・買収(M&A)を希望する企業を自社に合併・買収してよいかを検討したりM&Aを成功に導くサポートをしたりする仕事です。デューデリジェンスプロセスと呼ばれますが、他企業を合併・買収するには対象企業の状況を細かく調査し、理解する必要があります。特に、買収の場合は買取価格が適正かを判断するのも大切な業務です。

M&Aアドバイザリーは合併・買収によって自社の利益を増やすのを目的としています。仕事内容はM&Aを行う企業を探すところから交渉・資料作成まで多岐にわたるうえ専門性の高い業務もあるので、小規模な企業では弁護士や公認会計士が行っているところがあるのも事実です。

ビジネスモデルの設計

戦略コンサルタントの仕事には、ビジネスモデルの設計もあります。ビジネスモデルの設計は新しいビジネスモデルを開発したり改善策を提案したりする業務です。ネット社会になった現代社会では、利益を中心としたビジネスモデルが注目されています。

きちんとしたビジネスモデルを作ると、顧客に対してすること・しなくてよいことが明確になり、企業は何に投資をするべきかが分かるようになるのがよいところです。また、ビジネスモデルは変更が簡単なので、世間のニーズに合わせた経営を実現しやすくなります。企業が成長し続けるには、優れたビジネスモデルが必要不可欠です。

戦略コンサルタントの平均年収が高い理由

戦略コンサルタントの平均年収が高いのは、専門性が高い・仕事の希少性が高い・拘束時間が長い・成果を求められる・利益率が高いなどが理由です。この記事ではよく言われている3点を取り上げて解説します。

高いレベルのスキルが求められるから

戦略コンサルタントは顧客が自力で解決できなかった経営課題の最適解を見出して新しい戦略の提案・実行の支援をする仕事です。非常に専門性の高い仕事です。高い知識やスキルだけでなく、英語力・教養・体力・精神力なども求められます。

現代社会は社会の仕組み自体が複雑なので経営の問題も複雑です。高い論理的分析力と経済や業界についての深い知識がないと複雑な問題を紐解きができません。また、顧客のニーズを把握したり立案した戦略を分かりやすく伝えたりするには、コミュニケーション能力も必要です。

戦略コンサルタントは正解のない問題に解決策を見出す仕事なので、仕事に必要なスキルや適性を持つ人材が非常に少ないのも平均年収が高い理由の1つになっています。

それ相応の成果が求められるから

戦略コンサルタントの平均年収が高いのは、短期間で高い成果を求められるのも理由の1つに挙げられます。顧客企業は提示した成果の10倍以上の成果を出してくれるのを期待されるので、顧客企業がコンサルティングファームに支払う報酬額は非常に高額です。何百万円~何千万円程度の報酬は珍しくなく、ケースによっては億単位になることもあります。

また、戦略コンサルタントは無形商材なので、企業にかかるコストはほとんどが人件費です。コストの低さは利益率の高さにつながります。利益率の高さは仕事をした社員に還元される企業がほとんどなのも、経営コンサルタントの年収が高くなる理由です。

拘束されている時間が長いから

戦略コンサルタントの勤務時間は変動が大きいのですが、基本的に長時間です。1か月40時間~60時間程度の残業があると考えておきましょう。早く仕事が終わる日は夕方18時~19時に退社できますが、1か月に1日か2日あればよい方です。忙しい時期は日付が変わるころまで仕事が終わらない日が続くのも珍しくありません。

戦略コンサルタントの勤務時間が長いのは、顧客企業の存続を左右する重大な意思決定に関わる仕事であるうえ、現実的で少しでも優れた案を短時間で出す必要があるからです。勤務時間が長いとおのずと年収も増えます。

戦略コンサルタント以外のコンサルの平均年収

コンサルタントと呼ばれる仕事には、戦略以外にもさまざまなものがあります。以下に、戦略コンサルタント以外のコンサルタント業と平均年収について解説するので、参考にしてください。

総合コンサルタントの平均年収

総合コンサルタントは、企業戦略を立てて実行し、企業の経営課題を総合的に解決するのが仕事です。戦略コンサルタントと業務内容が似ていますが、総合コンサルタントは戦略立案・組織の改善・オペレーション改善など顧客企業全体のサポートを中心に行います。

総合コンサルタントは大企業が多く、人員も拠点も多いのが特徴です。平均年収は800万円程度の企業がほとんどですが、実力主義の企業が多いので、実績を積めば年収1,000万円以上も目指せます。

経営コンサルタントの平均年収

経営コンサルタントは、企業の経営状態を把握して改善策を提案し、サポートする職業です。高度な論理的思考力・知識・経験・インタラクティブコミュニケーション力が求められるので、平均年収も高い傾向にあります。

経営コンサルタントの平均年収は企業や年齢によって異なりますが、年齢別では20代で550万円〜650万円・30代で600万円〜750万円・40代で700万円~900万円が平均です。企業別の年収を平均すると1,000万円程度で、大手企業を顧客にしていたりM&Aを手掛けたりしている企業ほど高い傾向が見られます。

ITコンサルタントの平均年収

ITコンサルタントは、顧客企業の経営課題を解決するのにどのようなシステムやテクノロジーの導入が必要かを見極め、提案する職業です。実際にシステムを構築するシステムエンジニアに顧客の要望を伝える業務も含まれます。

ITコンサルタントの年収は正規職員の全年齢で平均すると394万円〜1,283万円です。平均年収の幅が広いのは、経験・スキル・勤務先などによって大きく変動するためと考えられます。また、ITコンサルタントはフリーで働くのも可能です。フリーの場合は、1,200万円~1,600万円が年収のボリュームゾーンになっています。

財務コンサルタントの平均年収

財務コンサルタントは、顧客企業の経営課題を財務面からサポートする職業です。サポートは、M&A・事業再生戦略の立案・経理実務など財務面のあらゆるものに対して行います。専門性が高い仕事なので、公認会計士・税理士・中小企業診断士の資格を持つ方も多く、平均年収も高いのが特徴です。

財務コンサルタントの平均年収は実務年数2年程度なら500万円~700万円で、経験を積むほど上がっていきます。30代半ばで700万円~900万円、40歳前後でシニアマネージャークラスになると年収1,500万円以上の方がいるのも事実です。

また、フリーで働く財務コンサルタントの平均年収は800万円~1,000万円にボリュームゾーンがあります。

M&Aコンサルタントの平均年収

M&Aコンサルタントは、企業のM&Aが円滑に進むように相談から実行まで一連の流れをサポートする職業です。業務内容はM&Aに関わる調査・分析・戦略の確定・企業との交渉などさまざまなものがあります。

M&Aコンサルタントの平均年収は1,800万円で、コンサルタント業の中でも非常に高額です。フリーで働く方の中には年収2,000万円以上になるケースもあります。M&Aコンサルタントの平均年収が高くなるのは、激務である・業務の専門性が高い・ニーズは増えているのに人材が少ないなどが主な理由です。

戦略コンサルタントの年収は実績と経験でさらに高くなる

日系・外資系にかかわらず、戦略コンサルタントの給与水準は世界最高です。コンサルタント業は実力主義の企業が多く、経験・スキル・成果が年収に反映されやすい職業なので、就職後も仕事に有利な資格を取るなどの自己研鑽を続けましょう。

戦略コンサルタントの仕事で高い年収を得る方法には、外資系の企業に勤める・独立開業の2つの方法があります。外資系企業は日系企業より平均年収が高いのが特徴です。独立開業した戦略コンサルタントの中には年収3,000万円以上稼ぐ方もいます。しかし、どのような働き方にもメリット・デメリットがあるので、年収にばかりとらわれず、自分の能力やライフプランに合う働き方を選ぶのが大切です。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

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