これまでIT技術は、業務効率化の一つの手段と考えられてきました。しかし、現在のビジネスにおいて商品の在庫管理やサービスの提供方法など、IT技術は欠かせない存在となっています。そこで需要が高まっているのが「IT戦略コンサルタント」です。
「IT戦略コンサルタント」と聞くと、難しそうで自分には無理だと感じている人は多いのではないでしょうか。「IT戦略コンサルタントを目指しているけど、なり方が分からない」「どのような業務を担当するのか知りたい」と考えている人も多いはずです。
そこで、本記事ではIT戦略コンサルタントの仕事内容やキャリアパスについて解説します。IT戦略コンサルタントを目指している人にとって参考になる内容なので、最後まで読んで理解を深めていただければと思います。
「IT戦略」と聞いても、いまいちイメージができない人は多いのではないでしょうか。IT戦略コンサルタントと似た言葉で「戦略コンサルタント」という言葉もあります。IT戦略コンサルタントの意味を知らないままだと、自分が希望する業務ができないという事態につながりかねません。
以下では「IT戦略コンサルタントとは何か」についてや、IT戦略の意味や戦略コンサルタントとの違いについて解説します。
IT戦略とは、IT技術の活用によって業務環境や業務効率をよりよくすることを指します。企業によって捉え方はさまざまですが、一般的な考え方として広く認知されているのがこの考え方です。
IT技術とは、ITサービスやツール、ソリューションなどを意味します。IT技術をビジネスモデルにどのように活用していくかを考えるため、大前提としてビジネスモデルがすでに存在しているケースが多いです。
IT戦略では、中長期の具体的な目標や計画、指針を定め、実行していきます。情報戦略やIT中長期計画、ITストラテジーなどの呼び方をされる場合も多いです。
IT戦略コンサルとよく混合されるのが「戦略コンサル」です。戦略コンサルとは、事業戦略や企画を検討するコンサルティングサービスのことをいいます。一方、IT戦略コンサルはシステムや業務の改善を検討するコンサルティングサービスのことです。
| IT戦略コンサル | 戦略コンサル |
---|---|---|
クライアントの依頼 | 現状の業務やシステムに課題感がある、もしくは、工数削減などの余地があるため、業務改善のサポートをしてほしい | 新規事業等を企画しているが、検討の進め方が分からない、遂行できる人材がいないため任せたい |
プロジェクトの進め方 | ・プロジェクトマネージャーの下に各チームのリーダーが存在する。複数人のコンサルタントがリーダーの下で活動する ・クライアントとの接点は多く、毎日何かしら一緒に仕事をすることもある | ・プロジェクトマネージャーを中心とした複数人のコンサルタントが活動する ・クライアントとの接点は少なく、週に一回の討議のみ、などというのが一般的 |
戦略コンサルは「未来に向けた戦略」であり、企業の事業計画や今後の戦略についてです。一方、IT戦略コンサルは「今の課題解決」であり、現状把握とその改善が求められます。
IT戦略コンサルタントとは何かを理解した次は、IT戦略コンサルタントの仕事内容に興味があるのではないでしょうか。以下では多岐にわたるIT戦略コンサルタントの主な業務を紹介します。
クライアントから依頼があったら、まずはビジネス環境の分析を行います。
クライアントである組織の外部環境評価・分析や市場調査です。組織が所属する業界や市場のトレンド、競合他社の状況などを集めることで、組織の強みや弱みが見えてきます。マーケティング用語で「SWOT分析」と言い、組織の強み・弱み・機会・脅威の4分野を把握する方法で実施するのがオススメです。
集めた情報と分析した結果は、戦略策定に重要なため、ビジネス環境の分析は必要不可欠な業務ともいえるでしょう。
次に、組織の経営戦略とビジョンの理解をします。組織が今後どのように成長していく予定か、何を目指しているのかを把握することで、その過程でIT技術をどのように活かすかをイメージできます。
IT技術を活用することで、どのように企業成長に貢献できるかイメージした上で計画を立てるようにしましょう。組織のビジョンや経営戦略に合致させることが大切です。
組織の現状分析として、既存の業務プロセスを分析します。
現状の業務効率や生産性を分析した結果、改善すべき箇所が浮かび上がってきます。浮かび上がってきた課題に対し、IT技術でどのように改善をしていくか、どのようなITサービスを導入すべきかを検討してください。
現状に対しての改善が必要なため、業務分析は重要なIT戦略コンサルタントの仕事です。
IT技術は日々進化しています。これまでの知識やスキルだけでは今後活かせなくなる可能性があります。そのためにも、最新のIT情報や技術、トレンドは常に追うことが重要です。
最新のT技術やイノベーションの追跡をすれば、組織に適用可能な技術を特定できます。今後もITの進化に対応できるIT技術の選定をした上で、市場での競争力を維持できるようにしましょう。
これまで行った、ビジネス環境の分析や経営戦略の分析、業務分析などの情報をもとに、IT戦略を策定します。具体的な内容は以下です。
これらの要件を詰めることで、スムーズにプロジェクトを遂行できます。
「IT戦略コンサルタントになりたいけど、必要なスキルが分からない」と感じている人はいるでしょう。以下では、IT戦略コンサルタントに求められるスキルを紹介します。紹介されているスキルが自分には備わっているかを考えながら、理解を深めてみましょう。
コンサルをする上で、ITの基礎知識は必要不可欠です。IT戦略コンサルタントには、基礎知識だけでなく、対象となるITの全般的な知識が求められます。中には、SEとして要件定義や設計開発、テストといったシステムに関連するスキルや知識を身につけている人も多いです。まずは、知識だけでも習得するようにしましょう。
IT知識といっても、範囲は広いです。クライアントごとに課題も異なるため、最低限の知識だけでなく、専門性を深めてみたり、継続的に勉強していくのが肝心です。
IT戦略コンサルタントは、クライアントが抱える悩みに対して課題を整理しながら、具体的な解決策を提案する役目です。中長期の企業戦略も考慮しながらIT戦略を提案する戦略的思考力が求められます。
IT技術を導入した際の効果や企業への貢献などをイメージした上で、最適な提案をします。戦略的思考力がないと、クライアントに納得される提案ができません。先を見た上での提案ができるようにしましょう。
IT戦略コンサルタントの仕事は、市場分析や業務分析、競合他社の分析が必要です。集めた情報を正確に分析するスキルが求められます。
情報を分析する際、見当違いな分析をしてしまうと、クライアントの悩みを解決できません。クライアントが抱える課題や悩みを解決するための最適な手段を提案するためにも、分析能力は身に付けておきましょう。
分析能力を身に付ければ、IT戦略コンサルタント以外の職種でも必ず役立ちます。ビジネスにおいて、市場調査は必要な業務なので、今のうちから身に付けておきましょう。
多くの人と関わるIT戦略コンサルタントには、コミュニケーション能力が求められます。コミュニケーションとは、ただ相手と話すのではなく、相手の感情や話したい内容を正確に汲み取ることが大切です。相手に合わせたコミュニケーションでは、相手の話す速さや声の大きさなども重要でしょう。
相手に合わせたコミュニケーションをすれば、相手が話しやすい雰囲気をつくりだせます。その結果、信頼関係を築けたり、相手が伝えたいことの根本を知れるでしょう。
コミュニケーションスキルは、仕事をする上で欠かせないスキルです。コミュニケーションスキルがあれば、人脈や業務の幅を広げるきっかけにもつながるでしょう。
IT戦略コンサルタントは、複数のプロジェクトの責任者になる機会が多いです。その他、絵、プロジェクト管理能力やマネジメントスキルが求められます。
プロジェクトが適正に進行しているかを把握し、問題があればクライアントに報告や解決策を考えます。
上流工程のマネジメントを行う機会も多いです。プロジェクトの責任者とやり取りをし、プロジェクトを適正な方向に導くためのマネジメントスキルも重要でしょう。
IT戦略コンサルタントは、さまざまなプロジェクトでIT技術を活用した課題解決を提案します。戦略的思考やマネジメントスキルが求められる仕事なので、難しい業務も多いです。しかし、IT戦略コンサルタントの適性があれば、業務を楽しめるでしょう。
以下では、IT戦略コンサルタントに向いている人の特徴を紹介します。自分はIT戦略コンサルタントに向いているのか、記事を参考に考えてみましょう。
IT戦略コンサルタントに向いている人は、高い論理的思考力を備えている人です。IT戦略コンサルタントは、クライアントが抱えている悩みに対し、課題を洗い出し、さまざまな要素を加味した上で、最適な提案をします。
提案の際は、クライアントが納得する提案が必要であり、論理的思考力は欠かせません。
IT戦略コンサルタントは、短い期間で成果を出さなくてはいけないケースが多いです。そのため、完璧な情報集めや分析ではなく効率性が求められます。
提案に必要な情報を、効率的に本質をついた分析をスピード感もって正確に行うことが重要です。完璧主義な人よりも、本質主義で効率性を求める効率主義な人が向いています。
IT戦略コンサルタントは、基本的にプロジェクトごとのチームで活動をします。プロジェクト単位で活動する際は、多くの人を巻き込みながらプロジェクトを円滑に進めることが大切です。そのため、IT戦略コンサルタントには、チームワークが求められます。
チームワークを重視できる人や、周りのメンバーに配慮しながら業務を進められる人は向いているでしょう。
最後に、IT戦略コンサルタントのキャリアパスについて解説します。せっかくIT戦略コンサルタントを目指すなら、その後のキャリアもイメージしてみましょう。キャリアイメージがつけば、モチベーション高く目標に向かって準備ができます。
IT戦略コンサルタントのキャリアパスはさまざまです。自分に合ったキャリアを探してください。
IT戦略コンサルタントのキャリアアップとして多いのが、コンサルティングファーム内でのキャリアアップです。
IT戦略コンサルタントとしてコンサルティングファームに入社したのち、活躍しながらより高いクラスを目指します。新卒や第二新卒で入社した場合は、ビジネス・アナリストからコンサルタントとしてキャリアがスタートします。その後、コンサルタント、マネージャー、パートナーといった流れで、キャリアアップが一般的でしょう。
IT戦略コンサルタントとして経験していく中で、IT領域だけでなく経営課題全体に興味を持つ人も多いです。その場合は、ITという枠組みから抜け「戦略コンサルタント」としてキャリアチェンジをします。
戦略コンサルタントとは、IT領域だけでなくクライアントが抱える経営課題全般に対し、中長期の戦略を提案する役目です。ITよりも専門知識を必要としない一方で、幅広い知識が求められます。
IT戦略コンサルタントとして、コンサルタントの基礎を身に付け、その後戦略コンサルタントとして活躍すれば、業務にスムーズになじめるでしょう。また、IT戦略コンサルタントで身に付けたIT知識は、戦略コンサルタントでも活かせるので、自分の武器になります。
IT戦略コンサルタントとしてコンサルティングファーム内でトップを目指すのもいいですが、転職して事業会社で活躍するのもオススメです。事業会社で活躍する際は、自らが企業の最高情報責任者であるCIOに就任し、経営に直接関わる立場に挑戦ができます。
CIOは、企業のIT化が進む中で非常に需要が高まっているポジションです。IT戦略コンサルタントとして得た知識は必ず活かせるので、オススメのキャリアともいえるでしょう。
IT戦略コンサルタントの仕事は、クライアントが抱える課題をIT技術で解決するためのサポートです。
近年、企業のIT需要は高まっています。それに伴い、IT戦略コンサルタントの重要性も高まっているため、非常に市場価値が高い職業です。IT戦略コンサルタントとして経営課題を解決し、業績を伸ばせれば社会人としての価値もあげられるでしょう。
IT戦略コンサルタントを目指している人は、まずはITの基礎知識を習得し転職活動に取り組むのがオススメです。
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