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バックオフィス
2024/06/23 更新

AIやDX化でバックオフィスの仕事は将来なくなる?理由やなくならないとされる仕事を紹介

企業の業務効率化が進み、DX化、AI化に取り組む会社が増えています。バックオフィスで働いている方の中には「将来、仕事がなくなるのでは」「AIに取って代わられるかも」など漠然とした不安や疑問を持つ方もいるでしょう。

この記事では、バックオフィスがなくなるといわれる理由や、どんな業務がなくなり、どんな業務がなくならないかなどについて解説しています。これからも仕事を奪われないようにする方法についても紹介していますので、仕事への取り組み方などを考えるのに役立ててください。

バックオフィスとは

バックオフィスとは、企業運営に関わる事務実務を担う部門であり、間接部門とも呼ばれます具体的な業務は、経理・財務、人事、総務、法務などです。顧客と直接的に関わったり、売上を上げる部門はフロントオフィスと呼ばれ、バックオフィスはフロントオフィスをサポートする役割も持っています。

バックオフィスは単なる事務作業や管理だけでなく、社内コミュニケーションを図りながら、他部門の業務が円滑に進むように裏方として支える部門です。直接企業の利益を生み出すことはありませんが、継続的な企業運営を行うためになくてはならない業務です。

しかし、バックオフィスはアナログ作業が多く、コスト削減のための効率化など課題があるとされています。そのため、業務のシステム化やアウトソーシングの活用などを進める企業が増えています。

バックオフィスがなくなるといわれる理由とは

バックオフィス業務の効率化が進む中で、AI導入やペーパーレス化、電子帳簿保存法改正などの動きがあり、これまでの業務がいずれなくなるのではと懸念されています。それぞれの項目について具体的にみていきましょう。

AIの発展

バックオフィスの業務には、データ入力やチェック作業などの定型業務が多くあります。これらのパターン化された業務はAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の得意とする分野であり、導入することで業務の効率化が図れます。

RPAとは、従来人が行っていた業務をロボットやAIなどが代わりに行う業務自動化プログラムのことです。データ入力やチェック作業、データ分析はRPAが得意とする業務であり、24時間稼働できるので、その分人員削減や作業時間短縮が目指せます。

請求書の作成・発行から送付まで自動化できるため、効率的であるだけでなく、スケジュール管理もラクになるでしょう。また、RPAの活用によって、人為的なミスを減らしたり、作業スピードのアップが狙えます。

ペーパーレス化

現在、企業はDX政策の一環で、ペーパーレス化が推進されています。ペーパーレス化の実現によってコストの削減、書類作成の効率化や簡素化が図れます。領収書や帳簿なども電子化され、紙面からデータ入力する作業や、資料をファイリングしたり管理したりする手間が省けるのがメリットです。

バックオフィスはフロントオフィスに比べ、デジタル化が遅れている傾向があり、マニュアルが紙で管理されていたり、稟議承認に印鑑が必要なことがあります。紙ベースでの業務が多いと、複数人で同時に作業できない、書類作成・管理にコストがかかるなどのデメリットがあります。

デメリットを解消すべく、今後ますますバックオフィスのペーパーレス化は進んでいくでしょう。

電子帳簿保存法の改正

電子帳簿保存法の法改正によって、2024年以降の決算関係書類や見積書、請求書などの取引関係書類を電子保存しなければならなくなりました。そのため、経理で使用する帳簿や書類もすべてデータ化されます。

それによって経理業務の多くはAI・RPAで代用できるようになり、導入することで業務の効率化ができるのではないかと考えられています。フロントオフィスに比べバックオフィスは紙ベースの帳簿や書類を使用していることが多く、それらに関わる業務の大半はデジタル化・システム化が可能です。

AIの導入によってバックオフィスの仕事はどうなる

AIを導入すると、バックオフィスの業務がなくなるのではないかと考えられていますが、すべての業務がなくなるわけではありません。ここではまず、どのような業務がなくなる恐れがあるのか、職種ごとに解説します。

AI導入でなくなる恐れのある経理業務

経理業務でなくなる恐れのある仕事は、比較的規則性のある単純な業務です。たとえば、以下のような業務があげられます。

  • 伝票の仕訳や入力
  • 経費精算業務の一部
  • 請求書の発行や発送業務
  • 給与計算
  • 現金出納管理

上記のような業務はAIやRPAに置き換わる可能性が高いといえるでしょう。AIやRPAが伝票の数字の内容を読み取り、仕訳や請求書の発行・発送を行い、勤怠システムや交通系ICカードなどと連携させれば、人の手で行うことは大きく削減されます。

AI導入によりヒューマンエラーも減少し、正確性も高まります。

AI導入でなくなる恐れのある人事業務

人事の分野でなくなる恐れがあるのは、定型的にRPAを入れやすいデジタル業務などです。

社員から提出された勤怠システムに入力できない情報を集計し、別の管理システムに入力する単純な定型業務などが当てはまります。

人事系でもデジタル情報間での集計、転記業務はRPAの得意分野であり、導入することで業務の効率化が図れるため、人の仕事ではなくなる恐れがあります。一方で、社員教育や適正な人材の配置などは、今後も人間が行うことになるでしょう。

AI導入でなくなる恐れのある総務業務

総務の業務でAIが導入され、なくなる恐れのあるのは、一定のルールに基づいて繰り返し行われる単純作業などです。また、人間の判断や感情が不要な作業も当てはまります。

さまざまなオフィス関連のベンダーからメール等で届く情報を集計し直し、デジタル伝票化したり、勘定システムに仕訳入力する業務などが当てはまります。また、総務・施設系のデジタル情報間での集計や転記業務もAIによって効率化が図れる業務です。

今後も必要なバックオフィスの仕事とは

AIやRPAがいくら発展しても置き換えられない業務もあります。以下のような業務に関しては今後も人間の手が必要とされるでしょう。

今後もなくならないと考えられる経理業務

経理業務の中でも専門性が高く、規則性がない以下のような業務はなくならないといわれています。

  • 税務関連の対応
  • イレギュラーな経理業務への対応
  • 帳簿や決算書類の最終的な確認作業
  • 財務分析・経理データの分析
  • 経理システムのメンテナンスや管理業務

税務関連の法律は毎年のように変更があるため、それらの対応や経理システムの管理などは人間が改正点をまず把握しなければなりません。また、AIやRPAができるのはデータの処理や集計までですので、作成された書類の確認やデータの分析などは人間の仕事になります。

導入されたシステムのメンテナンスや管理は人によってしかできませんので、AI・RPAが発展し利用されればされるほど、システムのメンテナンスや管理を行う人材が必要になります。

今後もなくならないと考えられる人事業務

人事業務の中でも経営者と社員との間に立って行動する仕事はAIに取って代わられることはないでしょう。手書きの書類や打刻された勤怠表を集計し、勤怠管理システムに入力しなおす業務などは人間にしかできません。また、人事系の紙ベースのデータ内容をデジタルへ転記する作業なども人の仕事です。

人事業務は人を扱う職種であるためAIによってなくなってしまう可能性は低いでしょう。ルーティンワークが多くありますが、幅広い業務に関わり複雑化しているため、AIの導入によって人員が減ることはあってもなくなることはないと考えられます。

今後もなくならないと考えられる総務業務

オフィス関連のベンダーから紙で届く請求書や計算書などの集計や、管理システムに入力する業務は人の仕事です。総務・施設系の紙ベースの情報をデジタルへ転記する業務なども当てはまります。これらは今のところなくならない業務と考えられます。

また、AIはデータを元にさまざまな処理を行うことができますが、0から何かを生み出すことは苦手です。そのため、実施経験のないイベントの企画立案や、これまで受けたことのない問い合わせに対する電話対応などはAIまかせにできません。人の感情や場の雰囲気を読み取るような作業もAIでは難しいといえるでしょう。

バックオフィスで仕事を奪われないようにする方法

バックオフィスで今後も仕事を奪われないようにするには、新たなスキルや資格を身につけたり、AIをうまく活用する能力などが必要です。

スキルアップを図る

AIは単純作業やルーティンワークを得意とするため、仕事を奪われないためには、AIにできないようなスキルを身につけることが必要です。同じ事務作業であっても、金融事務や法律事務などのように専門性の高いスキルを身につけていくことが重要です。

また、バックオフィスの人員削減などが進んでいる場合は、専門性の高いスキルを身につけて転職するという選択肢もでてきます。年収のアップにもつながりますし、管理職を目指せる可能性もあるでしょう。

コミュニケーション能力を身につける

AIは、情報処理やデータ解析には優れていますが、人間の感情を読み取ることは苦手とします。事務職や総務職などは相手の意図を読み取って適切に表現したり、対処する場面が多々あります。そこでは高いコミュニケーション能力が求められるでしょう。

たとえば、フロントオフィスの業務がスムーズに行えるような方策を考え、現場で行ってもらうために良いコミュニケーションを取ることなどがあげられます。銀行や投資家などとコミュニケーションを取ってよい関係を構築することなども重要な業務です。

これらは、AIに置き換えることができない業務ですので、コミュニケーション能力を高めることにより、必要な人材であることをアピールできます。

資格を取得する

仕事の専門性を高めるために資格を取得することも有効です。人事職など人材に関する職務は最終的には人間にしかできないことであり、今後も社員教育や人材戦略に関わる業務は人間に期待がかかる業務です。それらに役立つ資格の取得は有用といえるでしょう。

職場で求められる資格には、社会保険労務士など高度な資格もありますが、メンタルヘルスマネジメント検定のような社員の健康に関わる新しい資格などもありますので、職務に応じて挑戦する資格を見極めましょう。

新しいアイデアや取り組みを考える

新しいアイデアや取り組みを考えるのはAIやRPAにはできない業務です。人間の仕事は、たとえば、人事であれば社員の採用や給与計算を正確に行うことが中心の業務から、従業員のパフォーマンスを最大化する方法などに取り組んでいくようになるでしょう。

本来であれば部長やマネージャークラスの人の主要業務ですが、今後はバックオフィス部門として対応していくことが求められます。正社員は今後の管理部の価値を問われる本質的な業務への早期取り掛かりが重要になるでしょう。

ITのリテラシーを高める

AIやRPAの導入により、「AI・RPAで業務の自動化を設定・設計したり、変更する業務」が新たに必要になります。そのため、ITリテラシーを高めてAIやRPAを運用できる側になることがバックオフィス人材に求められるでしょう。

ITリテラシーは情報基礎リテラシー・コンピューターリテラシー・ネットワークリテラシーの3つによって構成されています。運用する立場ではなくとも、AIやRPAの導入後、何が行われているのか、どう操作したらいいのか不明ということのないように、ITリテラシーを身につけておく必要があります。

AIを活用するスキル

AIによって自動化できる業務はあるものの、すべての業務に対応できるわけではありません。集計したデータの意味や背景を解説したり、わかりやすく伝えることは人間の仕事になります。AIと人間が得意な分野を切り分けて、AIをうまく活用し、業務効率化を図ることが重要です。

そのためには、高度なPCスキルを身につけたり、最新のツール・技術に関する学習などが必要になります。AIが提供する集計結果などを検証するための、判断力や洞察力なども身につけていきましょう。

バックオフィスの環境変化を理解して必要なスキルを身につけよう

DX政策やAI化によりバックオフィスを取り巻く環境が大きく変わろうとしています。バックオフィスの業務の中でも今後はなくなるであろう仕事と、これからもなくならないと考えられる仕事に分けられます。

AI・RPAなどが得意とする仕事と、人間が対処するべき仕事とを分けていくことで業務の効率化が進むとともに、人間の行う仕事の専門性が高まるなどメリットがあるでしょう。また、今後はAIやRPAを運用する業務も必要となりますので、これまでの仕事の枠にとらわれず、適応力を持ってバックオフィス業務に取り組みましょう。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

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