記事FV
法務
2024/07/25 更新

企業法務とは?他の法務との違い・資格・必要なスキルを解説

企業法務とは、企業の法的業務全般を指します。他の法務分野と異なり、企業内部での法的サポートを中心に行うのが特徴です。

この記事では、企業法務の具体的な業務内容・他の法務との違い・必要な資格やスキルについて深掘りします。法務部門でのキャリアを目指す方や、企業法務に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

企業法務とは?

企業法務は、企業の内部における法的業務全般を担当する部門です。

企業法務は、企業が法令を遵守しつつ、リスクを最小限に抑えビジネスを円滑に進めるための重要な役割を果たします。企業の成長と法的安全性を確保するために、企業法務の存在は欠かせません。

以下で、企業法務について詳しく見ていきましょう。

企業法務の定義と役割

企業法務の定義は、企業内部で発生する法的問題の解決および予防を担当することです。

【企業法務の主な役割】

  • 契約書の作成・チェック
  • コンプライアンスの確保
  • 紛争の予防・解決
  • 知的財産権の管理

など

また、経営陣に対して法的助言を行うことも重要な業務の一環です。これにより、企業の法的安全性を確保し、事業活動の円滑な遂行をサポートします。

企業法務の重要性とその影響

企業法務の存在は、企業が法令を遵守しビジネスリスクを最小限に抑えるために不可欠です。

企業法務が法的リスクを管理しトラブルを未然に防ぐことで、企業の信頼性と持続可能性が高まります。

また、経営陣が安心してビジネス戦略を実行するためにも、企業法務が適切に機能することが重要です。これにより、従業員が安全な環境で働くことができ、結果として企業の成長と発展に大きく貢献します。

他の法務との違い

企業法務は、他の法務と異なり、企業内部の法的サポートを中心に行います。

以下の表で、それぞれの法務の業務内容や特徴を比較してみましょう。

法務の種類

業務内容

特徴

企業法務

  • 契約書の作成とチェック
  • コンプライアンスの確保
  • 紛争の予防・解決
  • 知的財産権の管理
  • 企業内部での法的支援
  •  法的リスクの管理
  • ビジネス活動のサポート

臨床法務

  • 個別案件の解決
  • 企業外部の法的支援
  • 訴訟対応
  • 主に弁護士事務所が担当
  • 具体的な問題解決に特化

戦略法務

  • M&Aの支援
  • 事業再編
  • 戦略的意思決定のサポート
  • 企業の長期戦略に深く関与
  • 経営陣との連携が重要

予防法務

  • コンプライアンス教育
  • リスク管理
  • トラブル未然防止
  • 法的トラブルを未然に防ぐ
  • 内部統制の強化が目的

ジェネラルコーポレート

  • 契約書の作成・レビュー
  • 労務問題対応
  • 一般的な企業法務
  • 広範な業務範囲
  • 日常業務の法的支援

上記のように、各法務部によって業務内容や特徴が異なります。それぞれの特徴を理解し適切なサポートを受けることで、企業の成功につなげていきましょう。

企業法務の基本業務

企業法務の基本業務は、企業が法的リスクを管理し、法令遵守を確保するための活動です。

主な業務には、契約書の作成と管理・労働法関連の対応・知的財産の保護と管理が含まれます。これらの業務は、法的トラブルを未然に防ぐ役割を果たしており、企業の日常業務を円滑に進めるために不可欠です。

以下で、企業法務の基本業務についてさらに詳しく見ていきましょう。

契約書の作成と管理

企業法務の中でもとくに重要な業務の一つとして、契約書の作成と管理が挙げられます。

企業間の取引や業務委託において、契約書は双方の権利義務を明確にするための基本ツールです。適切な契約書の作成は、法的リスクを最小限に抑え将来的なトラブルを未然に防ぐために欠かせません。

また、契約書の管理も重要で、締結後の契約内容の遵守や更新時期の把握、紛争時の証拠としての利用が求められます。

労働法関連の対応

労働法関連の対応は、従業員の権利保護や労働環境の整備を目的とする重要な業務です。

具体的には、雇用契約書の作成・労働時間管理・解雇や労働条件変更に関する法的助言などが含まれます。労働法を遵守することで、企業は労働争議を未然に防ぎ、健全な労使関係を維持できます。

また、労働法に関する最新の情報を把握し、企業の方針や手続きを適時に見直すことも大切です。

知的財産の保護と管理

知的財産の保護と管理は、企業の競争力を維持するために欠かせない業務です。

特許・商標・著作権などの知的財産権を適切に管理し、第三者からの侵害を防止することが求められます。

また、自社の知的財産を有効活用し、ライセンス契約や共同開発契約などを通じてビジネスチャンスを拡大することも重要です。

このように、知的財産の保護は企業の革新力と市場競争力を支える基盤となります。

企業法務が理解しておくべき法律

企業法務に携わる上で、関連する法律を深く理解することは不可欠です。

この章では、企業法務がとくに理解しておくべき主要な法律について解説します。

会社法

会社法は、会社の設立・組織・運営・解散などに関する基本的なルールを定めています。

企業法務担当者は、取締役会や株主総会の運営・定款の作成と変更・株式の発行や管理など、会社法に基づく手続きを適切に行う必要があります。

会社法の理解は、企業のガバナンスを強化し、法的トラブルを防ぐために重要です。

民法・商法

企業の取引や契約に関する基本的なルールを定めているのが、民法と商法です。

それぞれの法律では、以下の内容が定められています。

民法

  • 契約
  • 損害賠償
  • 債務の履行

などの基本的な原則

商法

  • 商取引
  • 商業帳簿
  • 商行為

などの特別なルール

企業法務担当者には、これらの法律を理解し、契約書の作成や取引の遂行において適切に対応することが求められます。

個人情報保護法

個人情報保護法は、個人情報の取り扱いに関する基本的なルールを定めています。

企業は、顧客や従業員の個人情報を適切に管理し、漏洩や不正利用を防止する義務があります。企業法務担当者は、個人情報保護法に基づくポリシーや手続きを整備し、個人情報の適切な取り扱いを確保しなければなりません。

労働基準法

労働条件や労働者の権利を保護するための基本的なルールを定めているのが、労働基準法です。

具体的には、労働時間・休憩時間・休日・解雇手続きなど、労働者の基本的な権利を規定しています。企業法務担当者には、労働基準法に基づく適切な労働環境を整備し、労働トラブルを未然に防がなければなりません。

そのため、労働基準法の理解は、企業の健全な労使関係の維持に不可欠と言えます。

企業法務に関する資格

企業法務の分野で活躍するためには、関連する資格を取得することが重要です。資格を取得することは、専門知識を深め業務の質を向上することにつながります。

この章では、企業法務に関連する主要な資格について詳しく解説していきます。

弁護士

弁護士は、法律に関する最高位の国家資格です。

法律全般に関する高度な専門知識と実務経験を持ち、企業法務の分野でも重要な役割を果たします。

【主な業務内容】

  • 契約書の作成
  • リーガルチェック
  • 訴訟対応
  • 法的助言

弁護士資格を持つことで、企業内外での法的問題に対する信頼性と対応力が向上します。

受験資格

法学部卒業後、司法試験予備試験合格者または法科大学院修了者

受験日程

  • 5月:短答式試験
  • 7月:論文式試験
  • 10月:口述試験

受験手数料

28,000円

難易度

非常に難しい

司法書士

司法書士は、主に不動産登記・商業登記・相続業務などを担当する法律専門職です。

企業法務においては、会社設立や役員変更などの登記業務を円滑に進めるために重要な役割を果たします。

【主な業務内容】

  • 会社設立手続き
  • 役員変更登記
  • 資本金の増減登記
  • 本店移転登記
  • 定款変更手続き

司法書士資格を取得することで登記関連業務の専門性が高まり、企業法務としての強みとなります。

受験資格

年齢・学歴等に関係なく誰でも受験可能

受験日程

毎年7月の第1日曜日

受験手数料

8,000円

難易度

非常に難しい

行政書士

行政書士は、官公庁への提出書類の作成や手続きの代理を行う専門職です。

企業法務では、許認可申請・契約書の作成・内部規程の整備など、幅広い業務をサポートします。

【主な業務内容】

  • 許認可申請
  • 契約書の作成・チェック
  • 内部規程の整備
  • 外国人雇用手続き
  • 法務相談

行政書士資格の取得は、法的手続きや行政対応において企業の信頼性と効率性を高められるのがメリットです。

受験資格

年齢・学歴・国籍を問わず誰でも受験可能

受験日程

毎年11月の第2日曜日

受験手数料

7,000円

難易度

難しい

個人情報保護士

個人情報保護士は、個人情報の保護に関する専門知識を持つ資格です。

企業法務においては、個人情報保護法に基づく適切な個人情報の管理と運用を担当します。

【主な業務内容】

  • 個人情報保護方針の策定
  • 個人情報の取り扱いに関する教育・研修
  • データ管理システムの監査・改善
  • 個人情報漏洩対策の立案・実施
  • 法令遵守の確認と報告

個人情報保護士資格を取得することで、企業内の個人情報保護体制を強化し、コンプライアンスを徹底することが可能となります。

受験資格

とくになし

受験日程

年に数回(通常2月、6月、10月)

受験手数料

10,000円

難易度

比較的易しい

企業法務の実践的3つのスキル

企業法務が企業の法的リスクを最小限に抑えるためには、さまざまなスキルが必要です。

ここでは、企業法務担当者が身に付けるべき3つのスキルについて解説します。

法的リスク管理とコンプライアンス

法的リスク管理とコンプライアンスは、企業が法令を遵守し、法的トラブルを未然に防ぐために不可欠なスキルです。

具体的には、企業の業務プロセスや内部規程が法令に適合しているかを確認し、リスクを特定・評価・対策を講じることが求められます。

また、従業員へのコンプライアンス教育を行い、企業全体の法令遵守意識を高めることも重要です。これにより、法的トラブルの発生を抑え、企業の信頼性を確保します。

効果的なコミュニケーションスキル

効果的なコミュニケーションスキルは、企業法務において欠かせない能力です。

法務担当者は、法律の専門用語をわかりやすく経営陣や他の部署に説明し、適切な法的助言を提供しなければなりません。また、契約交渉やトラブル対応においても、相手方との円滑なコミュニケーションが求められます。

明確で理解しやすい表現を用いることで、誤解を避けスムーズな業務遂行を心掛けましょう。

交渉力と紛争解決スキル

交渉力と紛争解決スキルは、企業法務の実務において大きな強みとなります。

契約交渉では、企業の利益を最大化しつつ、相手方との合意を得るために戦略的に交渉する力が必要です。また、トラブルが発生した場合には、迅速かつ適切な対応を通じて紛争を早期に解決しなければなりません。

これには、法的知識だけでなく、冷静な判断力と柔軟な対応力も求められます。

企業法務は、これらのスキルにより企業のリスクを最小限に抑え、円滑な事業運営をサポートしているのです。

企業の法務部で働くには?

企業の法務部で働くためには、まず法律に関する専門知識が必要です。

必須ではありませんが、法学部を卒業し、弁護士や司法書士などの資格を取得することが企業法務としての強みとなります。

また、実務経験や法的知識に加えて、法的リスク管理やコンプライアンスのスキルなどを身に付けることも有効です。

これらのスキルを磨くことで、企業内で発生する多岐にわたる法的問題に対応できるようになります。また、最新の法令改正に常に目を向ける姿勢も重要です。

企業法務に関するサポートが必要な場合はWARCエージェントに相談しよう

企業法務は、契約書の作成やコンプライアンス対応など、幅広い業務をこなす必要があります。専門的なサポートが必要な場合は、WARCエージェントに相談するのがおすすめです。

WARCエージェントは、企業法務のプロフェッショナルとして、適切な助言とサポートを提供し、企業の法務体制を強化してくれます。

WARCエージェントをうまく活用して、法的問題を迅速に解決しましょう。

著者画像

株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

満足度98%のキャリアコンサル

無料カウンセリングはこちら