法務のキャリアを築くためには、専門知識とスキルが欠かせません。とくに、転職を考える際には資格取得が競争力を高めるための強みとなります。
この記事では、法務の転職に有利なおすすめの資格を9つご紹介します。
法務の仕事において資格を取得することは必須ではありませんが、予防法務の観点からも資格取得は大きな強みです。
また、資格取得は専門知識やスキルの証明となり、転職市場での競争力を高めます。とくに、企業の法務部門や法律事務所への転職で即戦力として評価されるポイントになるのが資格の有無です。
さらに、資格取得を通じて最新の法律知識や実務能力を身に付けられるのも利点。業務の幅を広げられるため、法務のキャリアを築く上で資格取得を目指すことは賢明な選択と言えます。
法務の資格にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる専門知識やスキルが求められます。自分のキャリアパスを明確にし、どの資格が適しているかを検討しましょう。
この章では、法務の資格を選ぶ際におさえておきたい具体的なポイントを解説していきます。
資格を選ぶ際には、その資格が実務にどれだけ役立つかを重視しましょう。
とくに、予防法務のスキルや実務に直結する知識を学べる資格は、業務効率を向上させるだけでなく、即戦力としての評価を高めます。
たとえば、企業法務に特化した資格を取得することは、契約書の作成や法的リスクの管理といった実務に直結するスキルを得られます。
このように、実務に役立つ資格を選ぶことが、キャリアの成功につながります。
法務の資格選びに迷った場合は、国家資格や公的資格を選びましょう。認知度や信頼性の高い資格の取得は、多くの企業で評価されるポイントとなります。
主な国家資格 | 主な公的資格 |
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これらの資格は、幅広い法律知識と実務能力を証明するだけでなく、予防法務の知識を効率的に学べるのがメリットです。法務のキャリアにおいても、大きな強みとなります。
ここからは、法務の転職に有利なおすすめの資格や検定を9つご紹介していきます。
資格・検定名 | 種類 | 合格率 | 難易度 |
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ビジネス実務法務検定 | 民間資格 | 1級8.9%、2級51.6%、3級83.2% | 1級難しい、2級比較的易しい |
ビジネスコンプライアンス検定 | 民間資格 | 55%程度 | 比較的易しい |
個人情報保護士 | 民間資格 | 37.3%(平均) | 比較的易しい |
知的財産管理技能検定1級 | 国家資格 | ブランド7.09%、コンテンツ3.31%、特許5.05% | 難しい |
公認不正検査士(CFE) | 国家資格 | 非公開 | 比較的易しい |
行政書士 | 国家資格 | 12.13% | 難しい |
司法書士 | 国家資格 | 5.18% | 難しい |
弁理士 | 国家資格 | 6.1% | 非常に難しい |
弁護士 | 国家資格 | 41.5% | 非常に難しい |
弁護士資格は、法律に関する最高位の国家資格です。法学部卒業後に司法試験に合格し、司法修習を経て取得します。
弁護士資格の強みは、幅広い法律業務を行えることです。
【弁護士資格の取得で可能となる業務例】
また、憲法・民法・刑法などの基本法から、実務に直結する高度な法的思考力やリサーチスキルまで豊富な知識も得られます。
ただし、「法学部卒業後、司法試験予備試験合格」または「法科大学院修了」という厳しい受験資格が設けられているのにもかかわらず、合格率は41.5%(※1)という超難関の試験です。
そのため、弁護士資格の取得を目指す方には、計画的かつ密度の高い勉強が求められます。
(※1)参考:日本弁護士連合会「司法試験合格者の状況」
受験資格 | 法学部卒業後、司法試験予備試験合格者または法科大学院修了者 |
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受験日程 |
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受験手数料 | 28,000円 |
難易度 | 非常に難しい |
司法書士資格は、以下のような業務を行うための専門知識です。
法律の専門知識を駆使して登記手続きや訴訟手続きをサポートし、法的トラブルの解決に貢献できるのが特徴です。
また、得られる知識は、不動産登記法や民事訴訟法など幅広く、実務において必要な法律知識や手続き能力を身に付けられます。
年齢や学歴を問わず誰でも受験可能ですが、合格率は例年たったの3~5%。最難関国家資格の一つとされており、多くの勉強時間が必要です。
受験資格 | 年齢・学歴等に関係なく誰でも受験可能 |
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受験日程 | 毎年7月の第1日曜日 |
受験手数料 | 8,000円 |
難易度 | 非常に難しい |
行政書士は、書類作成業務から企業法務や個人の手続き支援など、幅広い業務で役立つ専門資格です。
【行政書士の主な業務内容】
得られる知識は、憲法・民法・行政法などの法律知識に加え、許認可手続きや契約書作成の実務スキルです。これにより、企業の法務部門や個人の法的トラブル解決において重要な役割を果たします。
また、独立開業がしやすい資格でもあり、幅広いキャリアパスを選択可能です。
年齢・学歴・国籍を問わず誰でも受験ができ、弁護士や司法書士に比べると比較的合格率が上がります。そのため、法務のキャリアアップを目指す方に注目されている資格です。
受験資格 | 年齢・学歴・国籍を問わず誰でも受験可能 |
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受験日程 | 毎年11月の第2日曜日 |
受験手数料 | 7,000円 |
難易度 | 難しい |
ビジネス実務法務検定は、企業活動における法務リスク管理やコンプライアンス強化に役立つ法律知識を学べる資格です。
【ビジネス実務法務検定で得られる具体的な知識】
など
ビジネス実務法務検定では、上記のような幅広い知識が得られ、実務で直面する法的問題に対応する力を養えます。
また、検定は1級から3級まであり、自分のレベルに応じて段階的に学習を進められるため、法務初心者から経験者まで幅広い方におすすめです。
受験資格 | とくになし |
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受験日程 | 毎年6月と12月 |
受験手数料 | 1級10,480円、2級6,600円、3級4,400円 |
難易度 |
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ビジネスコンプライアンス検定は、企業活動におけるコンプライアンスを学ぶための資格です。
具体的には、企業が法令違反を防ぎ、健全な経営を維持するための知識や実践的なスキルを学びます。また、企業法や労働法などの基本法令に加え、具体的なコンプライアンス対策やリスク管理の方法を習得できるのも特徴です。
受験資格はとくになく難易度も比較的易しいため、コンプライアンスの基礎を学びたいビジネスパーソンや、企業の法務・リスク管理部門で働く人におすすめです。
受験資格 | とくになし |
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受験日程 | 年に2回(通常6月と12月) |
受験手数料 | 6,000円 |
難易度 | 比較的易しい |
個人情報保護士は、個人情報の保護と管理に関する専門的な知識を学ぶための資格です。
主に、個人情報保護法や関連する法規制に基づく適切な個人情報の取り扱い方法を習得できるのが特徴。他にも、リスク管理やプライバシーポリシーの策定など、実務に直結したスキルを身に付けられます。
また、個人情報に関する具体的な手続きや・情報漏洩対策・データ保護のための対策など、多岐にわたる知識を得られるのも利点です。
法務の中でも、企業の情報管理部門や個人情報を取り扱う部門での業務に役立ちます。
受験資格 | とくになし |
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受験日程 | 年に数回(通常2月、6月、10月) |
受験手数料 | 10,000円 |
難易度 | 比較的易しい |
知的財産管理技能検定1級は、知的財産権の管理に関する高度な知識と技能を認定する国家資格です。
【知的財産管理技能検定1級で学べる主な内容】
など
知的財産管理技能検定1級では、上記のような専門的かつ実務的なスキルを学びます。
また、特許法・商標法・著作権法・意匠法などの法律知識だけでなく、知的財産の評価や活用方法など多岐にわたる知識を習得できるのも特徴。
さまざまなスキルや知識を得られるため、企業の知的財産部門や法務部門で高く評価され、キャリアアップの大きな強みとなります。
受験資格 | 実務経験または知的財産管理技能検定2級合格者 |
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受験日程 | 年に2回(通常6月と11月) |
受験手数料 |
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難易度 | 難しい |
公認不正検査士(CFE)は、企業や組織の不正行為を検出・防止する専門知識とスキルを認定する国際資格です。
不正行為への対策を総合的に学ぶのが目的で、法と犯罪に関する知識・調査技術・不正防止と抑止策などを身に付けられるのが特徴です。
他にも会計と監査についての知識も得られるため、企業の内部監査部門やコンプライアンス部門でのキャリアに役立ちます。
国際資格のため、日本のみならず海外で活躍したい方は積極的に取得しましょう。
受験資格 |
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受験日程 | 随時受験可能(コンピュータベーステスト) |
受験手数料 |
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難易度 | 比較的易しい |
法務への転職を成功させるためには、求められるスキルや条件を理解することが大切です。
この章では、具体的にどのようなスキルや条件が注目されるのか詳しく見ていきましょう。
法務職では、実務経験が非常に重視されます。具体的な業務経験があると即戦力として評価されるため、転職の際に有利です。
【あると有利な実務経験の具体例】
など
とくに、特定の業界や企業規模での経験がある場合、その業界特有の法務課題に対する理解が深まるため、さらに評価が高まります。
法務職には、法律の知識が不可欠です。憲法・民法・商法・労働法などの基本的な法律知識に加え、企業法務では契約法や知的財産法の専門知識も求められます。
そのため、資格取得や継続的な学習を通じて最新の法律情報を把握し、実務に応用できる力を持つことが大切です。問題解決やリスク管理の基盤となる法律の知識を積極的に身に付けましょう。
グローバル企業や海外展開をしている企業では、英語での契約書作成や法的交渉、国際的な法務案件への対応が求められることも少なくありません。そのため、語学力が大きな強みとなります。
また、法務職には社内外の関係者と円滑にコミュニケーションを図る能力も欠かせません。相手に自分の意図や情報を正確かつわかりやすく伝えられる能力は、信頼関係を築き問題解決をスムーズに進めるために不可欠です。
現代の法務職には、IT関連の知識も求められます。とくに、データ保護法やサイバーセキュリティに関する知識は欠かせません。
企業のITシステムやデータ管理に関する法的リスクを理解し、適切に対応する能力が必要です。さらに、契約書や法的文書のデジタル管理・電子署名の導入など、IT技術を活用した業務効率化も求められます。
法務職は、日々変化する法律やビジネス環境に迅速かつ柔軟に対応しなければなりません。
そのため、予期せぬ法的トラブルや新しい法規制への対応など、多岐にわたる業務に対して柔軟に対応できる力が必要です。
問題解決力やリーダーシップを発揮し、状況に応じた対応策を見つけることが求められます。
この章では、法務職への転職を成功させるためにおさえておきたい3つのポイントについて詳しく解説します。
法務でのキャリアアップをスムーズに進めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
法務の分野は広範であり、企業法務・知的財産・コンプライアンス・契約管理など多岐にわたります。
転職を考える際は、まず自分の得意分野や専門知識を明確にしましょう。これにより、適切な求人を見つけやすくなり、面接でのアピールポイントも具体的になります。
自分の強みを理解し、それを生かせる職場を探すことが成功への第一歩です。
転職活動では、具体的な実績を整理し明確に伝えることが求められます。
上記のような内容を具体的に示すことで、採用担当者に対して自分の能力をアピールできます。
契約書の作成・リーガルリスクの管理・コンプライアンス体制の構築など、実績を数字や事例で示すと効果的です。
法務の転職を成功させるためには、応募先の企業やポジションの仕事内容を詳しく調べることも大切です。
企業の法務部門がどのような業務を担当しているのかを理解することで、自分の経験やスキルがどのように役立つかを考え適切にアピールできます。
また、企業文化や価値観も確認し、自分に合った職場かどうかを判断する材料にしましょう。
法務の転職やキャリアアップを成功させるためには、自分の強みや実績を明確にし、応募先のニーズに合わせたアプローチをしなければなりません。しかし、これを一人で行うのは難しいこともあります。
そんなときは、転職エージェントを活用するのがおすすめです。効率的かつ効果的に法務のキャリアアップを目指す方は、ぜひ転職エージェントの利用を検討してみてください。
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