日本の法律業界において、とくに影響力が強く評判の高い事務所を「五大法律事務所」と呼びます。
五大法律事務所は、国内外での法律問題において多大な実績を持ち、多くの企業や個人から信頼を得ているのが特徴です。
この記事では、日本を代表する五大法律事務所についてさまざまな観点から深掘りしていきます。
五大法律事務所とは、日本の大規模な法律事務所を指す呼称で、以下の5つの事務所を指します。
この章では、それぞれの法律事務所の特徴や得意領域について詳しくご紹介します。
西村あさひ法律事務所は、日本最大規模の総合法律事務所であり、豊富な実績と国際的なネットワークを持つことが特徴です。
国内外のトップロースクール出身の優秀な弁護士が多数在籍しており、企業法務・M&A・知的財産など多岐にわたる専門分野に対応しています。
とくに、東京大学・京都大学・一橋大学出身の弁護士が多く、所内外での研修を通じて常に最新の法知識を保持しているのが強みです。
事業所 | 東京・大阪・名古屋・福岡・札幌・海外 |
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弁護士数 | 約800名(外国弁護士を含む) |
得意領域 |
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特徴 |
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長島・大野・常松法律事務所は、企業法務・M&A・金融取引・訴訟など幅広い分野で高い専門性と豊富な実績を持つ法律事務所です。
海外に7か所の拠点を構える国際的なネットワークを生かし、クロスボーダー案件にも対応しているのが特徴。
在籍する弁護士は、東京大学や慶應義塾大学などのトップ大学をはじめ、国内外の有名ロースクール卒業者も多く、優秀な人材が揃っています。
事業所 | 東京・海外 |
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弁護士数 | 598名(外国弁護士を含む) |
得意領域 |
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特徴 |
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アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、1950年代から国際法律事務所の先駆けとして活躍している法律事務所です。
東京大学や京都大学の出身者をはじめ、豊富な実績を持つバイリンガル弁護士が多数在籍。そのため、ジャンルを問わず幅広い分野において良質なサービスを提供できるのが強みです。
東京・大阪・名古屋のほか、シンガポールやロンドンなど国内外に拠点を持ち、依頼者の多様なニーズに迅速かつ的確に対応しています。
事業所 | 東京・大阪・名古屋・海外 |
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弁護士数 | 697名 |
得意領域 |
など |
特徴 |
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森・濱田松本法律事務所は、国内で2番目の規模を誇る法律事務所です。
主な業務分野は、企業法務・M&A・争訟などが挙げられます。とくに、争訟・紛争解決においては前身である森綜合法律事務所のときから高い評価を得ており、現在も事務所の強みとなっています。
若手弁護士の育成にも注力し、新卒・中途採用を積極的に行っているのが特徴です。
事業所 | 東京・大阪・名古屋・福岡・高松・札幌・海外 |
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弁護士数 | 751名 |
得意領域 |
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特徴 |
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参考:森・濱田松本法律事務所
TMI総合法律事務所は、企業法務および知的財産法務に強みを持つ総合法律事務所です。
具体的な業務分野は、一般企業法務からM&A・知的財産・ファイナンス・ITなど多岐にわたります。とくに、ベンチャー・知的財産・エンタメ・スポーツに関する相談がTMI総合法律事務所の強みです。
新人アソシエイトでも年収1,000万円を超える高給与も特徴。採用は高学歴・司法試験高順位・語学力・タフさを重視しており、在籍する弁護士は東京大学や一橋大学などの出身者が多いです。
事業所 | 東京・名古屋・大阪・京都・神戸・福岡・海外 |
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弁護士数 | 569名 |
得意領域 | ベンチャー・知的財産・エンタメ・スポーツ |
特徴 |
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参考:TMI総合法律事務所
日本の五大法律事務所の平均年収や初任給は、業界内でも高水準です。
平均年収は経験年数や役職により異なりますが、一般的には1,500万円から2,000万円以上が目安となります。初任給に関しても高く、新卒弁護士や中途採用者にとって非常に魅力的な条件が提示されています。
この章では、新卒と中途採用の場合の詳細を見ていきましょう。
新卒の場合、五大法律事務所への新卒採用の年収は通常1,000万円を超えるとされています。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、25~29歳の弁護士の平均年収は約603万円でした。
そのため、五大法律事務所への入社で、入社1年目から平均年収の2倍近くの額をもらえることになります。
入社から3〜5年経つと、年収相場は1,500万円から2,000万円程度までアップ。この給与のアップ率は、業界内でも非常に高いと言えます。
(※1)参考:厚生労働省の賃金構造基本統計調査「年齢別の年収グラフ」
一方、中途採用の場合、五大法律事務所での年収は個人の経歴によって異なります。
弁護士としての経験が浅い場合は1,300万円から1,800万円、10年以上の経験者は1,800万円から3,000万円程度が一般的です。
また、アソシエイト弁護士とパートナー弁護士でも年収に差があります。パートナー弁護士になると、年収5,000万円になるケースも少なくありません。
弁護士の方なら誰もが目指したことのある五大法律事務所ですが、なぜこんなにも人気があるのでしょうか。
この章では、五大法律事務所で働くメリットについていくつかご紹介します。
五大法律事務所では、業界トップクラスの給与が支給されるのが特徴です。新卒でも高い初任給が保証されており、年次が進むごとに大幅な昇給が期待できます。
さらに、福利厚生も充実しており、健康保険・退職金制度・各種手当など、従業員が安心して働ける環境も完備。これらの条件は、他の企業と比較しても非常に魅力的です。
五大法律事務所では、国内外の大規模案件に関与する機会が多くあります。
【具体的な案件例】
上記のように、多岐にわたるプロジェクトに従事できるのが五大法律事務所で働くメリット。法律実務の最前線で経験を積めるのはもちろん、法律家としてのキャリアを大きく発展させることが可能です。
五大法律事務所での業務は幅広く、毎日新しい挑戦をしていくことで法的知識や実務スキルを日々磨けます。
また、上司や同僚と協力しながら活動していく中で、実務における高度なスキルやノウハウを学べるため、自分自身の成長を実感できるのが魅力です。
五大法律事務所での勤務経験は、将来的な転職や独立にとても役立ちます。
高い実績と経験を持つ弁護士として、他の法律事務所や企業から高い評価を得られるのが強み。また、独立を考える際には、クライアントとの信頼関係や実務経験が大きな武器となります。
五大法律事務所で働くことは、キャリアの選択肢を広げ、自分の目指す道を歩むきっかけとなるのです。
次に、五大法律事務所で働くデメリットについてご紹介します。
五大法律事務所で働く日々は、非常に多忙です。長時間労働や緊急の対応が求められることも多く、プライベートの時間を確保するのが難しい場合があります。
とくに、大規模案件を扱っている場合、週末や深夜の作業が必要になることも少なくありません。
このような環境では、家族や友人との時間が犠牲になり、ワークライフバランスを保つのが難しくなることがしばしばあります。
五大法律事務所に入るためには、出身大学が重要な要素の一つとなります。
名門大学の法学部出身者が多く採用されるのは、学歴が法律の知識やスキルを示す指標として重視されるからです。
しかし、五大法律事務所の採用試験で有効なのは出身大学だけではありません。個々の能力・実績・コミュニケーションスキルも重要視され、総合的な評価が行われます。
【五大法律事務所の採用試験で評価されるポイント】
など
このように、最終的には、学歴だけでなく自分の強みや経験を具体的にアピールすることが求められます。
五大法律事務所に就職するためには、特定のスキルや条件を満たすことが求められます。
この章では、五大法律事務所への就職に有利な5つのスキルや条件について詳しく見ていきましょう。
五大法律事務所への就職には、司法試験での高い成績が求められます。
司法試験の結果は、法律に関する知識と理解力を示す重要な指標。高い成績を収めることで、法律事務所に対して自分の実力を証明できます。
とくに、上位の成績を収めた場合は、採用の際に大きなアドバンテージとなります。
学業成績だけでなく、実務における優れた実績も評価されます。
【五大法律事務所の採用に有利な実績例】
など
上記のような具体的な実績があると、即戦力としての評価が高まり、法律事務所での勤務に必要な実務能力をアピールできます。
特定の専門分野に特化した知識や経験があることも、五大法律事務所への就職に有利です。
たとえば、M&A・知的財産・国際取引など、特定の分野での専門性を持つことで、その分野の案件に対応する能力が高く評価されます。
専門分野の知識を深めることは、他の応募者との差別化を図るための強みとなるのです。
国際的な案件を扱うことが多い五大法律事務所では、英語をはじめとする高度な言語能力が求められます。
契約書や法律文書の作成、海外クライアントとのコミュニケーションなど、言語能力は日常業務において不可欠です。
とくに、英語の他にも複数の言語に堪能な場合、さらに評価が高まります。
五大法律事務所での勤務は多忙で、体力的にも厳しい環境が多いです。
長時間の労働や緊急対応が求められることがあるため、体力に自信があることは重要なポイントとなります。
体力があることで、ハードなスケジュールにも対応でき、安定したパフォーマンスを発揮できるのが強み。健康管理や体力維持に努めることが、長期的なキャリアにおいても大切です。
五大法律事務所への転職は、多くの法律家にとってキャリアアップの大きなチャンスです。
主な転職手段としては、自己応募・ヘッドハンティング・転職エージェントの利用などがあり、それぞれに利点があります。
この章では、五大法律事務所への主な転職手段について詳しく解説していきます。
自己応募は、求人情報を直接確認し、自ら応募する方法です。
五大法律事務所のウェブサイトや求人ポータルサイトで募集情報を探し、自分の経歴やスキルをアピールすることで採用のチャンスを掴みましょう。
この方法は、積極的な姿勢が評価されやすく、自分の強みを直接伝えられるのが利点です。
ヘッドハンティングは、企業側から直接オファーを受ける方法です。
優れた実績や専門知識を持つ弁護士は、五大法律事務所からのスカウトを受けることも珍しくありません。この方法では、企業が求める人材像に合致するため、採用の確率が高くなります。
また、ヘッドハンティングを通じて交渉の余地が広がり、有利な条件面を提示できるのも特徴です。
転職エージェントを利用することで、プロのサポートを受けながら転職活動を進められます。
エージェントの利用は、求人情報の提供・応募書類の添削・面接対策など、さまざまなサポートを受けられるのがメリット。
また、エージェントは企業とのネットワークを持っているため、非公開求人へのアクセスも可能です。そのため、五大法律事務所への転職成功率が高まります。
五大法律事務所への就職を目指す方にとって、転職エージェントの利用は非常に有効な手段です。
エージェントは、求職者のスキルや経験に合った求人情報を提供し、履歴書の作成や面接対策など細やかなサポートを行っているのが特徴。また、一般には公開されていない求人情報にアクセスできるのも強みです。
五大法律事務所でのキャリアを実現するために、まずは転職エージェントに相談してみましょう。
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