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法務
2023/12/31 更新

法務職の仕事内容とは?必要なスキルや資格、年収も解説

法務職への転職を検討している人にとって、気になるのは基本的な業務内容ではないでしょうか。法務職で必要とされる知識は企業によって異なるため、未経験の分野に対する理解を深めることで転職の選択肢が広げられます。

この記事では、法務の種類を紹介しつつ、仕事内容や求められるスキルについて解説します。

法務の役割

法務は企業の法律事項を把握し、適切な経営に導く専門家です。企業運営には多様な法的要素が絡み合うため、それらを把握して適切に運用する必要があります。企業では、規定が存在しているにもかかわらず、不注意による法的違反が発生するケースが多いです。企業が法に違反すると罰則が科され、最悪の場合は企業経営悪化にもつながりかねません。そのため、企業は法務を法的専門部署として設けることで、不利益を被らないようにするのが法務の役目です。

法務の範囲は幅広く、企業によって担当業務が異なります。次のセクションでは法務の3つのタイプについて解説するので、法務部門全体の役割を把握しましょう。

①予防法務

予防法務とは、事前にトラブルを防ぐための施策を取ることです。万が一問題が発生した際にも、迅速に対処できるような対策を行います。

経営に法的問題が発生すると、対処には大きな費用や経営負担がかかることがよくあります。法律的リスクを抑えることは、トラブルを未然に防ぎ、企業活動に集中できます。

予防法務の例には、契約書や就業規則の整備、従業員向けの法令順守研修などがあります。

②臨床法務

臨床法務は、トラブルが起こった際の対処策を考える取り組みです。トラブルに対処する際には、時間と費用がかかり、紛争が長引くと企業活動に影響を及ぼす可能性があります。トラブルに迅速に対処し、会社の被害を最小限に抑えることが目的です。

トラブル解決策としては、相手との交渉や場合によっては訴訟手続きなどが挙げられます。

③戦略法務

戦略法務は、会社が重要な決定を行う際に必要な法的知識や取り組みです。新規事業の展開や海外進出、他社の買収など、会社が成長するための行動に法的側面が関わります。会社設立に関する包括的な知識が求められるため、高度なスキルが要求されます。

企業規模が拡大すると、法務部門が企業の成長をサポートするための戦略的な役割を果たす存在でもあります。

法務の役割と重要性について

法務が企業内で果たす役割について解説します。法務の2つの側面を理解することで、その重要性が明らかになるので参考にしてください。

攻めの法務について

法務の「攻め」とは、企業の目標達成に向けて法的知識を活用し、戦略を立案することです

多くの経営者は企業の成長や利益増大を追求します。新たな事業の開始や企業統合など大きな決定をする際には、法律の知識が欠かせません。適切な法的手段を用いることで、会社の健全な発展を支援します。

守りの法務について

法務の「守り」とは、内外でのトラブル予防や発生時の円滑な対処をすることです

会社が目指すべき方針を実現するためには、基本ルールを守って事業を行うことが不可欠です。トラブルが頻繁に発生すると、会社の成長に支障をきたし、効率が損なわれます。トラブルを未然に防ぎ、発生時には迅速な対応をする準備を整えることで、リスクを最小限に抑える働きがあります。

法務の進化する役割について

これまでの法務は、主に企業経営における問題解決に焦点を当てていましたが、最近では新たなリスクに対処することも求められています。

具体的には、SNSなどによるブランド被害への対応です。SNSの普及により、企業の評判やブランドが損なわれるリスクへの懸念が増しています。内部でのSNS利用に関する規則や、顧客によるプライバシーの保護に対する対策の策定も重視されています。

法務部の業務内容

法務部の役割を理解できたら、実際の業務内容について詳しく見ていきましょう。法務が関与する分野を把握することで、組織内での具体的な取り組みをイメージできます。

契約や取引に関わる法務

契約や取引の法務業務は、他者との契約において、自社にとって不利な条件がないかをチェックする役割を担います。ビジネスにおける契約は基盤であり、企業はさまざまな業者との取引におけるルールを明確にする必要があります。その際に、自社に不利な内容がないか審査し、リスクを回避することが主な目的です。

自社の契約書の作成も行われ、法的な整合性の確認も法務に任されます。

組織運営に関わる法務

組織運営に関わる法務は、組織内外のイベントにおけるサポート業務を指します。株主総会や取締役会などのイベントは、法律で規定されたルールに則って実施されます。書類作成や開催のタイミングなど、イベントの運営ルール全般において法的なチェックが必要です。

特に株主総会ではミスが大きな問題に発展し、最悪の場合企業の信用を傷つける可能性もあります。こうしたイベントにおける問題を未然に防ぐために、法務の役割が重要です。

紛争処理と訴訟対応

紛争処理や訴訟対応は、内外でトラブルが生じた場合に解決に導くプロセスを指します。企業活動ではクレームが発生することもありますが、深刻な問題に発展すると訴訟に至るケースも少なくありません。

訴訟対応は専門的であり、社内だけでは対処が難しいため、弁護士の支援を受けるのが一般的です。紛争や訴訟対応では、法務は主に弁護士との連携や裁判で使用する情報収集が中心的な役割となります。

コンプライアンスと社内規定

法務はコンプライアンスや社内規定に関わる業務を行い、トラブルの予防を行います。

最近では、パワーハラスメントや過度な労働時間など、労働環境に関する問題が頻繁に発生しています。従業員は会社のルールに最も敏感であり、それが会社内トラブルに繋がるケースも多いです。このような事態を防ぐためには、適切な対策が求められます。ちなみに、社内規定の策定だけでなく、従業員への教育も法務の業務に含まれます。

法務業務に役立つ資格

法務業務に携わる上で、有用な資格について知っておくことは重要です。法務が取り組む法律の範囲は幅広いため、特定の分野に専門知識を持っていると、組織内で重要な存在となるでしょう。

①弁護士

弁護士とは法律相談のプロで、紛争や事件への適切な対処ができる国家資格のことです。法務にとって会社経営における法律知識は欠かせないものですが、万が一不備があると企業にとって不利な状況に陥る場合があります。法務が弁護士の資格を持っていると、企業活動全般のトラブルを未然に防ぐアドバイスが可能です。

②弁理士

弁理士とは、サービスや商品などのアイデアが盗まれないように特許や意匠の出願手続きを行うことができる国家資格のことです。特許や意匠、商標を得るには独自のプロセスが必要で、法律や技術など高度なスキルが求められます。法務が弁理士の資格を持っていると、自社のサービスの出願手続きをスムーズに行えるメリットがあるでしょう。

③知的財産管理技能検定

知的財産管理技能検定とは、自社のアイデアを保護するための知識を問う国家試験のことです。企業活動において欠かせない資源である商品やサービスは、ほかの会社にアイデアを盗まれないように自社で守っていかなければなりません。法務が知的財産の知識を身につけることで、アイデアの略奪トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

④司法書士

司法書士とは、個人や企業に向けて法に関わる書類作成や手続きの代行を行うことができる国家資格のことです。司法書士は登記を専門としており、特に不動産物件の契約チェックができます。法務が司法書士を取得していると、会社が新たな事業を始める時の手続きに貢献できるでしょう。

⑤行政書士

行政書士とは、国や地方公共団体など行政に提出する書類のサポートを行える国家資格のことです。行政に出さなければならない書類は種類が多く、一つひとつを正しく作成するには高度な専門性が求められます。法務が行政書士を取得していると、最小限のコストで書類を完成させられることから周囲からも頼られるでしょう。

法務によるスキル習得

転職を検討している人にとって、法務で磨けるスキルが気になるでしょう。法務で身につくスキルは、他の分野でも応用可能なものが多くあります。

法律知識

法務領域では、契約法や会社法、労働法、知的財産法など多岐にわたる法的知識が必要です。企業の経営に関する法律知識は、社内での問題解決や予防法務で重要な役割を果たします。この知識は管理職にも不可欠であり、基礎的な理解があれば他部署にも貢献できます。

分析能力

契約書の作成や内容の確認など、法務の業務は分析能力を養う上で役立ちます。会社にとって有益な契約を結ぶためには、関連する法律や規則を理解し、潜在的な問題点を把握が必要です。法務での経験を通じて、情報を的確に分析し、問題を早期に把握して解決するスキルが身につくでしょう。

交渉能力

法務の仕事では、企業の利益を最大化するために取引先との契約交渉を行うことがあります。契約の審査で不利益な点を見つけた場合、取引先との交渉が必要です。紛争が生じた場合も、効果的な交渉が問題の円滑な解決につながるります。そのため、優れた交渉力が求められるでしょう。

コミュニケーション力

法務領域では、企業関係者と円滑な対話が求められます。企業経営における株主や顧客とのコミュニケーションは、会社の発展に不可欠なスキルです。法的な知識を的確に伝え、リスクを抑える提案や指導を行う能力が身につけられるでしょう。

語学力

国際的な事業展開を行う企業では、語学力が必要とされます。具体的には、海外企業との契約書作成や国際法に関する知識が求められます。また、英語でのコミュニケーション能力も欠かせません。国際的なビジネスを拡大させる法務の職種は、英語力をさらに向上させたい人に適しています。

法務のキャリアアップの仕方

法務の理解を深めた後は、法務でのキャリアアップ方法について知りたいと考える人も多いでしょう。専門スキルの向上やリーダーシップの経験を積むことで、より上位での活躍が期待できます。

専門知識の向上と習得

法務のキャリア発展には、法律知識を日々学び続ける姿勢が不可欠です。広範な法律領域を理解し、業務に活かすことで、より専門性の高い業務に従事できるようになります。また、社会の変化を把握しておくことで、法律の最新動向にも対応しやすく、日常的なニュースチェックも重要です。

関連資格の取得と充実

関連する資格を取得することで専門性を高め、キャリアの向上につながります。弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、労働法に関連する資格などが挙げられます。先述の「法務の業務で有用な資格」でそれぞれの資格について説明していますので、興味がある方は参考にしてみてください。

経験領域の拡充

現在の業務範囲を超えて、多岐にわたる法務経験を積むことで、幅広い課題に対処できる能力が身につきます。異なる分野でのサポート依頼があった場合には、新たな経験として積極的に引き受けることが有益です。異なる領域での経験は、将来の法務キャリアで柔軟性や応用力が高いと評価される可能性があります。

コミュニケーションスキルの強化

法務では、他の部署や取引先と円滑なコミュニケーションが大切です。交渉能力が重視される法務領域では、日々の業務で双方が納得できる解決策を見つけることがカギとなり、人間関係の構築が向上します。さらに、コミュニケーション能力の強化はリーダーとしてのポジションを得る可能性を高め、キャリアの成長につながるでしょう。

国際業務へのチャレンジ

国際的な法律やビジネス環境に詳しい法務担当者は、国際的な視点を持つことでキャリアアップを目指せます。外国語の習得や海外での実務経験、国際法務事務所や国際企業での経験が重要です。外国語を用いた業務に携わりたい人は積極的にチャンスを掴むことで、他の法務専門家との差別化が期待できます。

転職

他の企業の法務部門に移り、さらなる経験を積むことも選択肢の一つです。現在の職場での達成感や、新たな分野の法務経験を積みたいというニーズの方にオススメでしょう。求人によっては同じ職種でも収入が向上する可能性があるため、転職先を選ぶ際には慎重に検討してください。

法務への転職に必要な経験やスキル

法務へ転職を考える際、今のうちにしておきたい経験をご紹介します。法律の専門部門として、即戦力になるためのスキルを習得しておくとスムーズな転職に繋がるでしょう。

法務の実務経験

法務が転職する際、就活の選考では今までの実務経験をチェックされます。契約書の作成・審査、紛争対応、コンプライアンス管理など幅広い業務に携わった経験を持つことが望ましいです。特定の分野に詳しい人の場合は、これまでの事例で何に注力してきたかを思い出し応用力があることをアピールすると担当者へ伝わりやすいでしょう。

法的知識

法務職では会社の成長のための法律知識が求められるので、関連法律や制度に関する知見を深めておくことが必要です。特定の分野に精通している場合、その分野での転職がスムーズに進む可能性があります。希望する企業でどのような法務を行っているかを把握し、ピンポイントで求められる人材を目指しましょう。

コミュニケーション力

法務担当者は社内外のさまざまな人々と関わる機会が多いため、円滑なコミュニケーション能力が求められます。人と関係を築くスキルはどの分野であっても必要であり、心がけ次第で能力を磨くことも可能です。特にヒアリングや交渉力などのコミュニケーションスキルを磨くことで、転職時のアピールポイントとなります。

法務の年収について

転職会議によると、法務の全世代平均年収は587万円(※1)でした。以下は、年齢ごとの平均年収をまとめた表です。

年代

平均年収

20代前半

376万円

20代後半

474万円

30代

577万円

40代以上

785万円

法務は、20代後半での年収の伸び率が高い傾向にあるようです。今の年収が低いと感じる人は、思い切って良い待遇の会社へ転職してみてもいいかもしれません。


30代から40代では、実務経験だけでなくマネジメントスキルも評価対象になると考えられます。部下への指導やリーダーシップ経験をアピールできるように、今の会社で実践を積みましょう。

(※1)参考:転職会議 法務の年収まとめ

法務の業務内容を理解して転職に活かそう

法務の仕事内容は幅広い上、時代のニーズに合わせて役割の変化が求められる部署でもあります。携わる業務は専門性が問われる分、会社経営への貢献度が高いところが法務の魅力です。当記事を通して法務について理解し、自身のキャリア設計に役立ててください。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。