記事FV法務

法務の役割とは?必要スキルや業務内容・転職成功のコツも紹介

2023/12/29 更新

法務とは、法律に関連する事務、業務、あるいは職務全般を指します。

この記事は、法務に興味を持っている方々に、法務の主な役割や仕事内容、その職に就くために必要な資格やスキルなどを解説します。さらに、未経験から法務の道に進むことが可能かどうかについても説明していますので、法務を目指す方はぜひ参考にしてください。

法務の役割とは何か

法務は、法律に関連する事務や業務、職務を指します企業活動におけるあらゆる法的業務は「企業法務」と呼ばれることが多いです。昔は総務に法務が含まれていた企業が多かったですが、近年ではそれぞれの専門性が求められ、独立した部門になっています。

法務には以下の3つの側面があります。

  1. 臨床法務:企業内の紛争を解決する
  2. 予防法務:企業で起こりうる問題を未然に防ぐ
  3. 戦略法務:法律的視点から企業の価値や利益を最大化するための活動

法務は企業の信用を保ち、成長や利益の増大をサポートし、余計なコストを削減します。それに対して総務は備品や施設、社内イベントの管理など、幅広い業務で企業の円滑な運営を支えます。法務は組織内で法律の監視役とも呼ばれますが、単に法律を守るだけでなく、ビジネスの進展を妨げないよう実用的な提案を行う必要があります。専門性が求められる難しい仕事ですが、やりがいも大きく、将来性があるでしょう。

法務の職務内容

法務の仕事には、次のような具体的なものがあります。

法務の職務

  • 契約や取引に関わる法務業務
  • 機関関連の法務
  • 紛争や訴訟に対する対応
  • コンプライアンス遵守活動
  • 法律に関するその他相談事項
  • 行政機関に関する業務

契約や取引に関わる法務業務

まず大きな役割を果たすのは「契約・取引」に関わる法務です。

企業は他社との取引に際して契約を結びますが、その際に契約書が求められます。法務はこれらの契約書を起草し、法的な問題がないか、潜在的なトラブルにつながる表現がないか、自社に不利な内容がないかなどを審査し、必要に応じて修正します。

この審査作業は「リーガルチェック」と呼ばれ、民法や商法、借地借家法などさまざまな契約法や法令の理解が求められます。さらに、海外企業との取引がある場合、法務には英語力や現地の法令に対する知識・理解も必要です。

機関関連の法務

機関法務は、企業内部の会社の決定機関である株主総会や取締役会などの活動を、法律に則って適切に行うことを目的としています。これらの会議で、株主や取締役の招集や、株主総会で提出される書類の法的な内容に問題がないかを監査します。

この業務は、主に会社法を中心とした法律知識が必要であり、通常は法務が担当しています。同時に、グループ企業の再編成やM&A、子会社の設立などの業務にも密接に関わるのも法務の役目です。

紛争や訴訟に対する対応

取引先の企業や顧客との紛争が生じた際、法務は適切な対応を行う役割を担っています。企業が個人顧客との取引でトラブルが生じた場合、お客様相談室やコールセンターが問い合わせ先として利用されることがありますが、これも紛争解決の一環です。

紛争が法的手続きに発展した場合、法律事務所の弁護士と協力して証拠の収集や裁判所提出の書類作成などを行います。弁護士との連絡や費用交渉、情報収集なども、法務が多く担当するケースも多いです。紛争が訴訟に発展する前に和解を模索することも、法務の重要な役割でしょう。

コンプライアンス遵守活動

コンプライアンスの徹底や周知、そして社内規定の策定など、これらが法務の役割です。コンプライアンスとは、企業が法令を順守して業務を行うことを指します。法務はこれらのコンプライアンスが社内で遵守され、内容が正確であるかを管理しています。

また、法務の業務には、社内研修を通じてコンプライアンスを強調し、従業員に遵守を促すことも多いです。

法律に関するその他相談事項

法務相談とは、法律に関する問題についての相談を受け持つことです。近年、企業の部門や部署が増えるほど、法務相談の需要も増えます。

また、時には経営者に対し、経営判断について深いアドバイスをすることもあります。法務は、幅広い業務内容に関する知識が求められるため、法律の知識だけでは不十分です。

さらに、企業の外部取引以外にも、従業員の労働環境についての相談を受けるケースも増えています。セクハラやパワーハラスメントの相談もあり、精神的なケアも求められるでしょう。

行政機関に関する業務

法令は社会の変化に応じて何度も改正されます。旧来の法令に基づいて事業を行うと、行政からの指導や思わぬ損失のリスクが高まります。このようなリスクを避けるために、法務は改正が企業に及ぼす影響を調査・検討し、社内での周知を重視しているのです。

また、海外展開の際には現地の法令調査が必要になることも多いです。直近の法改正だけでなく、国会で議論が進んでいる法改正の動向も把握することが重要でしょう。

法務の魅力とやりがい

近年では特にコンプライアンスの遵守が重要視され、健全な企業運営において法務は不可欠な役割を果たしています。法務の魅力とやりがいは、以下のようなものがあります。

法務の魅力とやりがい

  • 高度な汎用性と専門性を身につけられること
  • 他の部署からの感謝を受けられること
  • 経営陣に近い立場で活動できること

高度な汎用性と専門性を身につけられること

法務は、契約や株主総会、子会社の設立、社内規定の作成、ライバル企業との争いなど、企業の利益を支えながら、内外のさまざまな活動に関わります。この中で、社内外の人々との交渉や経営陣へのプレゼンテーション、自社製品やサービス、会社の構造についての詳細な知識が必要です。そのため、高度なコミュニケーションスキルや幅広い知識が求められるでしょう。これらのスキルを身につけることは、キャリアアップや転職にも役立ります。

他の部署からの感謝を受けられること

企業内において、法務が関わらない部署はありません。すべての部署が法務の支援を必要としています。慎重に作成された契約書は、時には大きな売上につながる可能性があります。同様に、消費者との問題を迅速に解決できることもあるでしょう。他の部署と協力して成果を上げる場面は多く、他の部署からの信頼や感謝を得ることで、法務としてのやりがいを感じられます。

経営陣に近い立場で活動できること

法務の特徴の一つは、経営陣に近く関わることです。法務の具体的な業務である対外的な契約や株主総会の運営、株式の発行、子会社の設立、社内規定の作成、そして紛争解決などは、直接的な経営陣の意思決定を必要とします。法務には、経営陣の意図を確認しながら業務を進める能力が求められます。

経営陣との密接な関わりにより、法務は会社全体を広い視野で俯瞰できます。また、成果を上げた際には、経営陣から直接的な賞賛を受けることもあり、法務としてのモチベーション向上につながる瞬間です。

法務に必要なスキル

法務での仕事は高い専門性を要するため、誰にでも適した職種ではありません。一般的には、法学部や法科大学院の卒業生、または弁護士などの有資格者が多く就く傾向がありますが、それ以外にも最低限必要とされるスキルが存在します。

法務に必要なスキル

  • 高度な専門知識を継続的に学び続ける能力
  • コミュニケーション能力
  • 正確かつ慎重に業務を遂行する能力

高度な専門知識を継続的に学び続ける能力

法務が取り扱う問題には、はっきりした答えがない場合もよくあります。

企業間の取引や紛争などでは、関係者間で利害関係が生じ、その関係性も取引ごとに異なるケースもあるでしょう。こうした状況下で、企業の利益と法的な適合性の両方を考慮しながら判断を下さなければなりません。

法務が適切に対処していくためには、事業内容を経営者や事業部よりも理解し、さらに社会や法令、裁判例の変化について常に最新の知識を持ち続ける必要があります。このため、経営判断の支援や企業経営における重要なアドバイザーとしての役割を果たすため、学び続ける力は必須の要素です。

コミュニケーション能力

法務での職務には、単に法律の知識だけでなく、高度なコミュニケーションスキルも不可欠です。

経営者や事業部の問い合わせや自社の問題を理解した上で、適法と違法の範囲を正確に説明できる能力が求められます。時には法的制約があって事業部に説得力を持って説明する機会もあるでしょう。

「法律によって許可されていないからダメ」というだけの堅苦しい法務者ではなく、代替案を提示したり、「ここはできないけどここはできる」といった柔軟なアプローチを持ち、法とビジネスの調和を図るためのバランス感覚のあるコミュニケーション能力が重要です。

正確かつ慎重に業務を遂行する能力

契約書の作成は法務職における重要な業務の一つです。取引先と何か問題が生じた際に、契約書の内容が鍵となります。わずかな見落としが、企業に大きな損失をもたらす可能性があります。契約書を作成する際や相手から契約を要求される際には、細心の注意を払い、内容を隅々まで丹念に確認する必要もあるでしょう。

法務で働くためには?

法務でキャリアを構築する方法について考えてみましょう。

法務で働くには資格は必要か?

法務で働くための必要な資格はありません。

ただし、法務には専門知識が必要なため、社内での異動において、即戦力となる経験豊かな人材を求めるケースが多いです。民間の資格や認定試験、例えばビジネス実務法務検定や個人情報保護士などは、国家資格よりも簡単な場合もありますが、こうした資格を持つことで企業に好印象を与えられます。これらの資格を取得することで、法律に関する知識や学習意欲をアピールできるでしょう。

また、近年ではリーガルテックの知識が重宝されることがあります。

リーガルテックは、法律と技術を組み合わせた概念です。例えば、契約書作成や郵送など、人手を要する業務を効率化し、人件費削減や業務の効率化、人材確保などの効果をもたらします。さまざまな業界でIT化が進展しているため、リーガルテックに精通した人材はますます需要が高まるでしょう。

法務の未経験者が採用される可能性はあるか?

一般的に、法務の求人市場は需要が高まっているため、未経験者でも採用される機会はあるでしょう。ただし、応募する企業が所属する業界についての基本的な知識は持っておく必要があります。

法務では、その企業が属する業界の事情やその位置づけ、事業内容を把握していることが重要です。単に法律に詳しい人に相談できればよいというわけではなく、そのために外部の専門家、たとえば弁護士を利用することも考えられます。

したがって、法務への転職においては、他の職種の転職と比べて、転職希望の企業や業界を詳しく調査することが特に重要だと言えます。

法務への転職成功の鍵は強固な志望動機

ここでは法務への転職時に志望動機を書く方法について解説します。

法務では論理的な思考力が重要視されるため、志望動機を論理的な文章で表現することが重要です。志望動機を書く際には、少なくとも以下の3点を含めるよう心がけましょう。

  • 自身の経験
  • その経験を応募先のどの点に活かせるか
  • 他社ではなく、応募先の企業で働く理由

法務経験者と未経験者向けに、志望動機の例文をそれぞれ紹介します。

法務経験者の志望動機例文

<例文>

以前は○○会社で法務職を担当し、契約書の審査や社内規定の改訂、従業員からの法的相談に携わってまいりました。5年間の経験を経て、もっと多様な法務業務に挑戦したいという願望が強まり、転職を決意いたしました。

貴社の「××の分野で困っている人をサポートしたい」という理念に共感し、興味を持ちました。また貴社は上場を目指しており、今後は社内規定の整備や仕組みの構築に注力されるとのことです。これまでの○○業務の経験を活かし、即戦力として貢献しつつ、将来的には多岐にわたる法務分野に携わりながら貴社の成長を後押ししたいと考えております。

この例文では、前職での社内規定改訂の経験が、応募先の社内規定整備や構築に生かせること、そして応募先企業の上場目指す姿勢が強調されています。

法務未経験者の志望動機例文

<例文>

以前の職場では事業部門で○○を担当しておりましたが、新商品の開発に際し、法務部との協力が増え、法律の視点から企業活動を支える法務業務に興味を持つようになりました。特に知的財産権の保護は企業にとって極めて重要だと認識し、勤務しながら弁理士資格を取得いたしました。

貴社では私が愛用している○○商品を含む多様な魅力的な商品を提供されており、業務内容に大変興味を抱いております。法務の経験はありませんが、弁理士としての知識が商標調査や登録出願といった分野で役立つと確信しております。今後は権利侵害や訴訟対応業務を含む多岐にわたる業務で貢献できるよう、努力と学びを継続してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

この例文では、過去の経験ではなく弁理士資格が強みとして強調され、その知識が商標調査や登録出願などの分野で活かせることが述べられています。また、応募者の興味を引く貴社の商品に言及し、今後の成長意欲も示されています。

法務は企業において必要不可欠

法務は組織内で不可欠な役割です。法務の役割は企業のリスクを法律の観点から見極め、ビジネスの発展を促進することです。現代の企業環境では法的リスクが多岐にわたるため、法務は極めて重要であり、多くの企業が優れた法務スタッフを求めています。法務で活躍したい方は、情報収集からスタートしてみることをおすすめします。

著者画像

株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。