人事コンサルタントは、企業の人事戦略をサポートする専門職です。企業のサポートの仕方や求められる能力を理解すると、人事コンサルタントの全体像を把握できます。
この記事では、人事コンサルタントの仕事内容やスキル、年収を解説します。
人事コンサルタントの全体像を知るうえで、まずは役割や仕事内容への理解が必要です。ここでは、人事コンサルタントの概要を解説します。
人事コンサルタントとは、企業の人事に特化したアドバイザーのことです。主に、人事評価や人事設計をサポートし、企業の発展に貢献します。
組織全体をチェックし、人事面に問題はないか、よりよくしていく方法がないかを考えるのが主な役割です。客観性と専門知識を活かし、企業がこれから成長するためのヒントを見つけながら企業と協業します。
人事コンサルタントの主な業務は、以下のとおりです。
ほかにも、組織診断や文化の改革、人事制度全般の見直しなど、人材マネジメント全般のサポートが主な業務です。ただし、業務内容は、クライアント企業の課題に応じて変わります。
人事コンサルタントは、会社の資源である「人材」に関する課題解決を目指す専門家です。人材は会社を動かすために必要な資源であり、従業員の質が企業の経営目標達成につながるといっても過言ではありません。
人事を採用戦略から見直すことで、企業の強みを活かした経営が可能となります。プロ目線のアイデアを取り入れられるという点で、人事コンサルタントは貴重な存在です。
人事コンサルタントになるには、どのような資質が求められるのか気になるところです。ここでは、人事コンサルタントに必要なスキルや資格について解説します。
人事コンサルタントにとって、コミュニケーション能力は欠かせません。クライアント企業とのコミュニケーションにより、信頼関係を構築しながら真のニーズを発見できるからです。
たとえば、採用に苦戦している企業に対し、丁寧に話を聞くことで「求める人材像が不明確」という本質的な問題が見えてくる可能性があります。話を探りながら予測を立てるスキルが、人事コンサルタントの成功には必要です。
ロジカルシンキングとは、複雑な問題を体系的に分析し解決策を導き出す能力のことです。難しい問題を論理的に分析する力は、クライアントの課題解決に役立ちます。
たとえば「社員の生産性が低い」という問題なら「作業効率」「モチベーション」などの要素に分解が可能です。各要素を分析し「不必要な会議を見直そう」「曖昧な評価制度を一新しよう」と具体的な対策を組み立てられます。
クライアント企業の成果を出すには、感覚ではなく事実に基づいて解決に導く力が必要です。
人事コンサルタントには、人事に関する深い理解や継続的な学習が必要です。労働法をはじめとするルールや、組織開発における最新動向を知っていないと、企業に的確なアドバイスができません。
ビジネス環境や法規制は絶えず変化しているため、常に最新の情報をキャッチアップする努力が求められます。セミナーや専門書籍などで知識を更新していれば、クライアントに対して高品質なサービスを提供し続けることが可能です。
人事コンサルタントを目指すにあたり、知識が役立つ資格を紹介します。
資格名 | 概要 | 難易度 |
---|---|---|
キャリアコンサルタント | 個人や企業に対し、キャリア形成の支援を行う専門職。 | ★★★☆☆ |
中小企業診断士 | 中小企業の経営診断や、改善提案を行うコンサルタント資格。 | ★★★★☆ |
社会保険労務士 | 労働・社会保険に関する専門知識を持ち、企業の労務管理をサポートする資格。 | ★★★★☆ |
難易度は中〜高レベルと比較的高いですが、取得により人事コンサルタントとしての基礎知識を身につけられます。
求人ボックス(※1)によると、人事コンサルタントの年収は約518万円となっています。国税庁(※2)による令和3年の平均給与は443万円なので、人事コンサルタントの年収は一般よりも高い水準です。
人事コンサルタントとして就職すれば、平均以上の生活水準を見込めるといえます。
(※1)参考:求人ボックス「人事コンサルタントの仕事の年収・時給・給料」
(※2)参考:民間給与実態統計調査 17ページ「2 平均給与」
人事コンサルタントには高度な知識が求められるため、新卒かつ未経験ではなかなか就職できないのが事実です。ここでは、初心者から人事コンサルタントになるための方法と、その後のキャリアパスを解説します。
人事コンサルタントになる方法の一つとして、企業の人事部や人材サービス企業を経てからの転職が挙げられます。人事コンサルタント自体の経験がなくても、人材マネジメントで培ったスキルが活きる可能性があるからです。
人事部での組織づくりや、人材サービス業でのキャリアカウンセリング経験は、人事コンサルタントとして企業をサポートする際に役立ちます。人事関連の仕事で下積みをしてからプロフェッショナルを目指すのが、最も堅実的な流れです。
人事コンサルタントを一度経験した人は、経営コンサルタントへキャリアチェンジできる可能性があります。人事領域から一歩外に出て、より戦略的にビジネスに関わりたい人にとって魅力的な選択肢です。
経営コンサルタントになるには、人事の専門知識に加えて財務やマーケティング戦略といった幅広いビジネス運用スキルが求められます。MBAや中小企業診断士など資格取得や、コンサル会社での兼任を通じて知識を身につけることが可能です。
経験を積んだ人事コンサルタントにとって、独立や起業は自身の専門性を最大限に活かせる選択肢です。
以下に、独立や起業の具体的な手順をまとめました。
①専門分野の確立 | 「IT企業向け」「採用に強い」というように、自身の強みを活かせる分野を決める |
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②ネットワーク構築 | 独立前から、クライアントや協力者とのネットワークを築く |
③事業計画の策定 | 収支計画、マーケティング戦略などを含む具体的な事業計画を立てる |
④法的手続き | 会社設立や開業届など、必要な手続きを行う |
⑤営業活動の開始 | セミナー開催やSNS活用など、自身のサービスを広めるための活動を始める |
独立や起業にはリスクが伴いますが、自身のビジョンをより忠実に再現できるというメリットがあります。
人事コンサルタントとしての成功は、一朝一夕に目指せるものではありません。ここでは、人事コンサルタントとして成功するために、日々行ないたいことについて解説します。
人事コンサルタントとして成功するには、クライアントとの信頼関係の構築が求められます。良好な関係を築くには、クライアントが期待する以上の価値提供が必要です。
たとえば、定期的なフォローアップや業界動向の情報共有など、契約内容以上の付加価値の提供により、長期的な信頼関係を築けます。クライアントが求めている情報を推測し、誠実に対応する姿勢を持つことが成功の秘訣です。
人事コンサルタントの成功には、最新トレンドの把握も求められます。人事分野はAIやリモートワークの発展により急速に変化しており、トレンドに乗り遅れると企業の競争力低下につながるからです。
たとえば、AIを活用した採用技術やリモートワークの取り入れ方の動向などを、業界セミナーを通じて知ることができます。新しい人事の考え方を押さえることで、クライアントに先進的な解決策の提案が可能です。
人事コンサルタントとして成功するには、自己ブランディング力も求められます。自己ブランディングは、競争の激しいコンサルティング業界で差別化を図るために欠かせない要素です。
営業の際は「食品業界特化型」「人材育成に強い」など、自身の強みを活かせる領域をアピールしましょう。一貫したブランドイメージの構築により、新規クライアントの獲得がスムーズになります。
AIやビッグデータをはじめとする技術が発展を遂げる中、人事コンサルタントの将来が気になる人も少なくありません。ここでは、人事コンサルタントの需要や将来性について解説します。
少子高齢社会における人材の減少に伴い、少人数であってもより優秀な人材を確保したいと考える企業は珍しくありません。よって、今後は人事コンサルティングにもよりフレキシブルな思考力が求められます。
優秀な人材の確保には、マッチング精度の向上やインターンシップの戦略的活用など、企業と求職者の接点を創出するアイデアが必要です。業界の新しい潮流を理解し、企業の長期的な成長をサポートする役割が期待されています。
人事コンサルタントは、近頃の技術革新がもたらす影響にも目を向けることが必要です。AIやビッグデータ、VRなどの新しい技術は、人事コンサルティングの手法を大きく変えつつあります。以下は、すでに人事戦略として実施されている取り組みです。
人事コンサルタントにも、技術と人間の強みを組み合わせた新しい形のコンサルティングが求められます。
参考:PR TIMES「国内初、飲食店の接客トレーニングにフルCGを活用したVR導入」
グローバル化の進展に伴い、人事コンサルタントの活躍の場は世界に広がっています。今後国内で人事コンサルティングが浸透することを考え、グローバル対応を強みとして持っておくとブランディングに効果的です。
近頃は、多国籍企業向けの人材育成プログラムの開発や、異文化マネジメントのコンサルティングなど、国際的な案件が増えています。新たなビジネスチャンスを逃さないよう、語学力や国際的なネットワーク構築が必要です。
人事コンサルタントは、企業の成長を人材面から支える貴重な存在です。人材採用を見直す企業が増えている中、クライアントの課題を解決に導く仕事としてますます活躍が期待されています。
人事コンサルタントの全体像を掴み、転職やキャリアパスに役立てましょう。
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