第二新卒とは大学を卒業してから3年未満の社会人経験を持つ人々のことを指します。この期間中に人事職に興味を持ち、人事のキャリアを考える人も多いでしょう。人事職は通常、社内からの昇進や経験者の採用が多く、未経験者の転職が難しい部門の一つ。そのため、第二新卒から人事職を目指せるのか、疑問を感じている人も多いはずです。
この記事では、第二新卒が人事職に転身する際に必要な知識や対策について説明します。
第二新卒でも人事職に就くことは可能ですが、人事職の求人は少なく、需要が高いため転職は難しい傾向にあります。第二新卒が人事職に就ける理由は、候補者の持つ潜在能力を評価するポテンシャル重視の採用や、過去の職歴を重視しない傾向があるなどが挙げられます。
第二新卒の場合、企業はポテンシャルを見極める採用を行ういます。この方法は、求職者の性格や潜在能力、将来性を見極め、仕事のスキルや専門性は自社で培う考えに基づく採用です。
採用企業にとって、第二新卒は、基本的なビジネスマナーやコミュニケーションスキルを身につけており、一つの企業文化に染まりきっていないことから、新卒よりも研修コストが抑えられる利点があります。さらに、表計算などビジネスソフトを実務で使えるスキルも持っている場合、企業にとっては魅力的な要素でしょう。
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第二新卒の求人では、以前の職歴や達成が特に注目されません。その理由は、直ちに役立つスキルよりも、現場で成長させる意向があるからです。人事部門は高度な専門知識を要する場所であり、キャリアの計画も立てやすい特性を持っており、優れた人材を育て上げるためのノウハウが多くの場合に存在します。
第二新卒の場合、過去の経歴がシンプルなことから、実務レベルの業務に参加が可能です。性格や資質が採用企業と適合すれば、採用される可能性もあるでしょう。
人事職は会社全体を俯瞰し、経営にも近い役割を果たすため、これまでの一生のキャリアに関わる重要なポジションです。少しハードルが高くても、十分な準備をして転職成功が目指せます。
第二新卒が人事職を目指す際には、人事の業務内容を理解が肝要です。採用に関する仕事だけでなく、人事の仕事はそれだけに留まりません。
人事の業務には、大まかに言って人事と労務の二つの分野があります。人事の領域には採用、育成、評価、人材管理が含まれ、労務の領域には勤怠管理、給与計算、社会保険などの福利厚生関連業務です。さらに、経営方針に基づいた中長期の人事計画立案や組織デザインなども人事の業務に含まれます。
給与計算は、労務分野の業務で、人事の中でも重要なルーティン業務の一つです。会社によっては、経理が担当する場合もあります。
従業員の日々の勤務状況を把握する勤怠管理をしっかり行い、毎月の給与を計算します。全従業員が対象で、勤怠状況の把握には各種ツールを活用する場合が多く、給与計算もシステムの活用で省力化されている場合が多いです。しかし、ミスが許されない業務ですので、人事部の複数人でチェックし、慎重に行う必要があります。
各種社会保険の適用も労務分野で重要な業務です。各種社会保険には、厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険、労災保険があり、従業員に対し、そのすべての手続きを行う必要があります。
従業員が入職・退職した際に必要なほか、毎月の給与支払い時には、会社負担分と個人負担分を計算し、支払う給与から個人負担分を差し引く手続きも発生します。
社会保険の手続きや毎月の計算、預かり金の支払いなど手間と時間のかかる業務ですが、クラウドなどのシステムを活用し省力化している企業も多いです。
人事の仕事でイメージしやすいのは、人材採用ではないでしょうか。採用業務には、新卒採用と中途採用があり、一年を通して採用活動を行っています。
新卒採用では、広報解禁から内定解禁までの間、会社説明会、エントリー管理、適正試験や筆記試験の実施、面接などを滞りなく担当します。中途採用は、部署や経営の意向を受け、転職エージェントや転職サイトへの掲載、スカウト、ヘッドハンティングなどを通し、戦力になる人材を探し出すのも人事の役目です。
人材採用には、多くの手間と費用とがかかりますので、採用した人材が定着する工夫も人事は考えなくてはなりません。
人事部門の重要な業務のひとつが制度企画立案です。企業の制度は、従業員の処遇決定の基となるものであり、人件費管理の根拠となるもので、企業経営に大きく影響します。そのため、経営状況、会社の成長、事業企画などと連携しながら立案しなければなりません。
制度には、具体的には評価制度、報奨制度、人材育成制度、福利厚生制度といったものがあります。人事制度を企画する際は、各種法令で義務付けられている内容をクリアしていることと、従業員全体に対する公平性と透明性が大切です。
人材育成は、新入社員に対する研修をはじめ、リーダーシップ研修、管理職に対するマネジメント研修など、従業員の経験やポジションに応じたプログラムを企画し運営する業務です。
企業の生産性を向上させ利益を拡大するためには、人材能力の開発が求められます。また、企業の人材教育の理論や方法論は常に進化していますので、人事担当者は、普段から新しい知識を学習し効率的で効果の高い教育方法を企画する必要があります。
企業にとって自社の従業員の能力や実績を把握し、効果的に統制し、適材適所の理想的な配置を行うことができる情報を管理するのが、人材管理です。経営視点で必要な人材を必要なときに確保したり、従業員の持つ能力が最大限に発揮できる部署を探したり、処遇を検討するなどが具体的な業務のことをいいます。
経営の意思決定にはスピードが求められ、企業は目的に合わせて迅速に変化していきます。人事は人材管理の徹底により、経営者や経営企画の要望に最適解を提供できる体制を作っているのです。
第二新卒からの人事への転職において、一般的な転職とは異なる重要な点に着目することが必要です。人事職の採用は、将来の可能性に注目し、教育や成長を前提として行われる傾向が強いため、特定のポイントに集中しましょう。
積極的な学習姿勢とコミュニケーション能力の高さをアピールすることが有利になります。
人事職では、社内外のさまざまな人と円滑なコミュニケーションが求められます。社内では従業員との面談や経営者との意向を把握するなど、さまざまな場面でコミュニケーション能力が重要です。外部とのコミュニケーションでは、人材エージェンシーや社外の専門家とのやりとりなども含まれます。
どちらの場面でも、相手の意見を理解し受け入れる「傾聴力」が大切です。自らの意見を主張するだけでなく、相手の意見に耳を傾ける姿勢が求められます。人事職を目指すなら、傾聴するコミュニケーションを身につけましょう。
人事職を志すなら、社会保険労務士の試験問題の勉強が効果的です。人事業務では制度設計や福利厚生、労務管理などが求められ、関連法令の基本的な知識が求められるでしょう。特に労務分野では、就業規則の策定や労使間のトラブル解決など、法律知識が重要です。
社会保険労務士の試験勉強で人事関連の法令を学ぶことは、熱意を示す効果的な方法ともいえます。採用担当者に対し真剣に人事職を目指す姿勢を示すことができ、選考を有利に進められるでしょう。
法律や判例に興味を持ち、それに関する知識を積極的に学ぶ姿勢も、人事職にとって重要です。
人事職を目指すのであれば、事務業務の経験を積んでおくことが有益です。勤怠管理や給与計算などの労務分野では、人事担当者はさまざまな事務業務に関与する機会が多いでしょう。事務業務には、単純なルーチン業務を長時間行う場合もあります。
勤怠管理では、従業員の記録を整理し管理をします。採用業務でも、採用計画書の作成や各種転職・就職サイトの操作・管理、エントリーシートの管理など事務作業が発生するケースがほとんどです。
人事業務で発生する書類作成やデータ入力などの事務業務に、正確かつ円滑に携わるために、現職の中で積極的に事務関連の経験が役に立つでしょう。
第二新卒から人事職への転職では、以前の職で営業職の経験が大きなアピールポイントになります。人事担当者の仕事には、営業職と似た側面があるためです。
採用業務では、目標となる採用数をKPIとし、効果的にそれを達成する方法を考え実行する必要があります。また、採用にかかるコストも把握する必要です。営業経験は、コスト管理と目標達成に向けた訓練を受けたことを示すため、実績や経験内容を具体的にアピールが重要でしょう。
また、営業で養ったチャレンジ精神や顧客からの要望を聞き出す力、調整能力は、人事職でも大いに役立ちますので、採用担当者にとって魅力的な人材であることを示せます。
第二新卒や未経験者が人事職に就くためには、将来的に人事業務を遂行し、活躍できるポテンシャル、人事職への熱意、そしてビジネスパーソンとしての基本的なスキルが不可欠です。専門職である人事として、特定の資質も重要です。
人事職は、ストレスの多い部署です。経営陣と従業員の間で折り合いをつける必要があることや、異動や転勤・出向などの通達を行う機会もあります。日常業務では、評価や昇進など、個人の人生や生活に関わる重要な決定を下すこともあり、従業員からの反感を買う可能性が高いです。
労務分野では、従業員全員が安心して働ける環境を整えるため、法令やガイドラインを細かくチェックする必要があります。個人の成果に直結することが少ないため、ストレスを抱えずに業務に取り組むことが求められます。
人事職には、論理的思考能力が必要です。公平性が重要視されます。重要なポジションへの異動や新しい部署への移動などに際して、従業員が納得する理由を論理的に説明が必要です。
また、労使間のトラブルの調整や解決においても、法令に基づいた解釈や判断が求められます。この際にも論理的思考能力が重要でしょう。
人事には、リーダーシップも必要です。部署全体の業務に積極的に関与し、新しい取り組みに率先して参加するリーダーシップが求められます。他部署との交渉では、単に話を聞くだけでなく、積極的に論点を整理し、解決策の方向性を提示し、同意を得る能力が必要です。
事案を整理する立場に立てないと、経営方針に基づく社内の調整は難しいでしょう。人事が常に中心にいることで、従業員は自分たちの要望や環境に対する不満を自由に話せる環境を感じられます。
第二新卒が人事職を目指すことは可能です。未経験からの人事職の求人は限られていますが、企業は将来的に優秀な人事パーソンとして期待し、ポテンシャルを見込んで採用するケースもあります。志望動機やアピールポイントを明確にし、選考に臨むことが重要です。また、人事部の業務内容や法令への理解を十分に把握する準備も大切でしょう。
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