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2025/03/12 更新

公認会計士が激務と言われる理由5選|仕事の負担と乗り越え方を解説

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「公認会計士の仕事は本当に激務なの?」と疑問に思う方も多いでしょう。監査法人に勤める会計士は、決算期や監査のピーク時に長時間働くことが珍しくありません。一方で、事業会社やコンサルティング会社ではどうなのか、働き方に違いはあるのかも気になるところです。

この記事では、公認会計士の仕事が「激務」と言われる背景や、実際の1日の流れ、負担を軽減する工夫などを詳しく紹介します。これから公認会計士を目指す人にとって、現場のリアルな実態を知るヒントになれば幸いです。

公認会計士の仕事は本当に激務か?

公認会計士は、高度な専門知識を求められる仕事であり、長時間労働が発生しやすい職業とされています。しかし、すべての会計士が激務に追われているわけではなく、勤務先や業務内容によって働き方には大きな違いがあるため、確認していきましょう。

公認会計士の基本的な業務内容と働き方

公認会計士の主な業務は監査業務ですが、税務コンサルティングやM&Aの財務調査、企業の内部統制支援など多岐にわたります。とくに監査法人に勤務する場合、クライアントの決算期に合わせて業務が集中し、長時間労働になりやすいのが特徴です。

監査業務では、企業の財務諸表に誤りがないかを確認し、投資家や金融機関に対して信頼性のある財務情報を提供します。このため、細かいチェック作業が多く、深夜まで業務が続くこともあるでしょう。また、公認会計士には継続的な学習が求められます。税制改正や会計基準の変更など、知識のアップデートが必須であり、業務後や休日に勉強を続けるケースも少なくありません。そのため、業務負担に加えて学習時間も必要となり、結果として「激務」と感じる人が多いのが現実です。

▼公認会計士の業務について詳しくはこちら

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所属先による激務度の違い

公認会計士の働き方は、勤務先によって大きく異なります。特に監査法人、税理士法人・会計事務所、事業会社(経理・財務部門) では、業務負担や労働時間に明確な違いがあるでしょう。

監査法人

決算期に長時間労働が発生しやすく、繁忙期には連日深夜まで業務が続くことも。上場企業の監査を担当すると、厳しいスケジュール管理が求められる。

税理士法人・会計事務所

確定申告や年末調整の時期は忙しいものの、通常期は比較的落ち着いた働き方ができる。

事業会社(経理・財務部門)

締め日や四半期・年度決算時は忙しいが、それ以外の時期は残業が少なく、ワークライフバランスを保ちやすい。

特に監査法人は、複数のクライアントを担当し、決算期には業務が集中するため、会計士の中でも最も激務になりやすい職場です。

公認会計士の1日のスケジュール例

公認会計士の1日のスケジュールは、繁忙期と閑散期で大きく異なります。ここでは、監査法人に勤務する会計士の典型的な1日の流れを見ていきましょう。

【繁忙期(決算監査)】

9:00:クライアント先へ出社し、監査チームで朝会

10:00:財務データのチェックと質問事項の整理

13:00:昼食後、監査資料の作成

15:00:クライアントとの打ち合わせ

19:00:上司と報告会議

21:00:翌日の業務準備をして退社

【閑散期(通常業務)】

9:30:事務所でメール対応

10:30:監査資料の整理や内部研修

12:30:昼食

14:00:クライアントとの簡単な打ち合わせ

16:00:翌月のスケジュール調整

18:00:定時退社

繁忙期は 1日12時間労働になることも珍しくありません。一方、閑散期には定時退社や有給休暇の取得も可能です。

上場企業の監査業務は特に負担が大きくなりがち

上場企業の監査業務は、特に厳しいチェックが求められるため、会計士の負担が大きくなりがちです。上場企業は金融商品取引法に基づく厳格な監査基準を満たす必要があり、少しのミスが重大な問題に発展する可能性があります。

また、監査法人における上場企業のクライアントは複数の監査チームで対応することが一般的ですが、それでも業務量が膨大になりがちです。特に四半期決算(3・6・9・12月) の際には、短期間で正確な監査報告をまとめる必要があり、休日出勤や残業が増える傾向があります。

さらに、法改正や新会計基準の適用により、企業の財務報告の方法が変わると、監査業務の負担が増大します。たとえば、国際会計基準(IFRS)を適用する企業が増えると、新たな監査手法を習得する必要があり、継続的な学習と実務の両立が求められるでしょう。

公認会計士の仕事はなぜ激務と言われる5つの原因

公認会計士が激務とされる理由には、以下の5つの要因があります。詳しく確認していきましょう。

1、決算期・監査期間の長時間労働

監査法人では、3月決算の企業が多いため、1〜5月が最も忙しい時期です。決算発表の締め切りに間に合わせるため、深夜や休日出勤が続くことも珍しくありません。繁忙期には 1日12〜15時間労働になることもあり、体力的にも厳しい環境になることが多いでしょう。

加えて、監査法人に勤務する会計士は、複数のクライアントを並行して担当するケースが一般的です。そのため、1社の決算業務が終わるとすぐに別の企業の監査に取り掛かる必要があり、連続して多忙な時期が続くこともあります。

2、高い専門性と継続的な学習の必要性

会計基準や税法は頻繁に改正されるため、公認会計士は常に最新の情報を学び続ける必要があります。業務後や休日に勉強を続けることも多く、負担が増える一因となっています。

また、監査法人やコンサルティングファームでは、資格取得後も継続的な研修や実務経験の積み重ねが必要です。経験豊富な会計士ほど、専門的な案件を任されることが多くなり、スキルアップと実務対応の両立が求められます。

3、厳しい納期とプレッシャーの大きさ

公認会計士の仕事では、納期の厳しさが常に求められます。納期が遅れると、クライアントの株主総会やIR活動に影響を与えるため、プレッシャーが非常に大きくなるでしょう。

また、監査法人では、短期間で膨大な財務データを精査する必要があるため、業務スピードも求められます。ミスが許されない環境で働くため、精神的な負担が大きくなるのも特徴です。中でも若手会計士は経験が浅いため、上司やクライアントからの要求に対応しながら、プレッシャーと戦う日々が続きます。

4、複数クライアントの並行対応による業務の集中

監査法人に勤める公認会計士は、複数のクライアントを同時に担当するのが一般的です。クライアントごとに決算時期や報告期限が異なるため、それぞれのスケジュールを調整しながら、並行して監査業務を進めなければなりません。そのため、業務が重なると1日の中で複数の監査チームを移動しながら作業することもあります。

特に決算シーズンになると、1社の監査が終わった直後に別のクライアントの決算対応に追われることが多く、休む暇がなくなることも珍しくありません。会計士としての経験を積むうえでは、さまざまな業種や企業の財務状況を知る貴重な機会ですが、一方でスケジュール管理が非常に難しくなります。ミスを防ぐためにも、細かいタスク管理能力や優先順位をつけるスキルが不可欠です。

5、ワークライフバランスの不均衡

公認会計士の仕事は、繁忙期と閑散期の差が大きいため、ワークライフバランスを保つのが難しいことが特徴です。監査法人では、決算期や四半期報告の時期には業務が集中し、平日は深夜残業、土日も出勤になるケースが多く見られます。そのため、仕事が生活の大半を占め、プライベートの時間を確保しづらいでしょう。

また、クライアントの都合に左右されやすいのも、ワークライフバランスを崩しやすい要因です。たとえば、監査法人の業務では、企業の財務情報が揃うのを待ってから監査作業を行うため、直前までスケジュールが確定しないことがよくあります。その結果、突発的な業務が増え、休みの予定を立てるのが難しくなることもあるようです。

公認会計士の仕事が激務になる時期は?

公認会計士の業務は、一年を通して一定のペースで進むわけではありません。特定の時期には業務量が急激に増え、長時間労働が避けられないこともあります。特に以下のような時期は、業界全体が忙しくなる傾向があるでしょう。

1、決算期

決算期は、公認会計士にとって最も多忙な時期の一つです。特に 3月決算の企業が多いため、4月〜5月にかけて監査業務が集中します。

  • 年度決算(3月~5月):上場企業や大手企業では、財務諸表の監査が行われ、監査法人に所属する会計士は毎日遅くまで業務を行うことが一般的です。
  • 四半期決算(6月、9月、12月):企業は四半期ごとに業績を報告するため、四半期決算の際にも監査業務が発生します。特に12月決算は、年末年始と重なるため、スケジュール管理が難しくなります。

この時期は、複数のクライアントを並行して担当することが多く、業務の優先順位を適切に管理するスキルが求められます。

2、税務申告期間

企業の法人税申告や確定申告の期限に向けて、公認会計士の業務はさらに増加します。

  • 法人税申告(5月、8月、11月、2月):企業の決算後、一定期間内に税務申告を行う必要があります。税理士業務を兼務する会計士にとっては、税務書類の作成や税務調査対応が加わり、非常に多忙な時期となります。
  • 確定申告(1月〜3月):個人事業主やフリーランスの税務申告が集中するため、税理士法人に所属する会計士も繁忙期を迎えます。

この時期は、監査業務と並行して税務業務もこなさなければならず、スケジュール管理が重要になります。

3、監査業務のピーク

監査業務は、企業の財務状況をチェックする重要なプロセスですが、特定の時期に業務が集中するため、労働時間が長くなる傾向があります。特に以下の時期は、多くの会計士にとって厳しい時期となるでしょう。

  • 監査計画の立案(12月~1月):監査法人では、翌年の監査計画を立案し、スケジュールを確定させるための準備作業が増えます。
  • 監査実施期間(3月~5月):企業の決算後、財務諸表を精査するため、監査業務が集中します。この時期は、現場での確認作業やクライアントとの調整に追われ、残業が増えることが一般的です。

これらの時期は、細部まで正確な監査を行う必要があるため、集中力と持続力が求められます。

4、法改正や規制の変更後の対応

会計基準や税法が変更されると、企業は新たなルールに従って財務報告を行わなければなりません。このため、公認会計士も最新の知識を習得し、適切な対応を求められます。

  • 新会計基準の適用:収益認識基準の変更やIFRS(国際財務報告基準)の導入などは、企業に大きな影響を与えるため、公認会計士の役割も重要になります。
  • 税制改正への対応:法人税率の変更や新しい控除制度が導入された場合、企業の税務戦略の見直しが必要となり、会計士の業務負担が増加します。

中でも大企業では法改正の影響を受けやすいため、会計士がいち早く対応策を講じることが求められます。

5、監査法人の繁忙期(年末や四半期決算)

監査法人では、クライアントの決算スケジュールに応じて業務が集中します。特に年末(12月)と四半期決算の時期は、短期間で多くの業務をこなす必要があり、多忙を極めます。

  • 年末監査:12月は、多くの企業が年度末の準備を始める時期であり、監査法人にとっても重要な時期です。
  • 四半期決算監査:3月、6月、9月、12月の四半期決算では、短期間で監査を完了する必要があり、集中力とスケジュール管理能力が求められます。

特に四半期決算の監査は短期間で結果を出す必要があり、業務のスピードと正確性がより一層求められるでしょう。

公認会計士の激務を乗り越えるために必要なスキルとは?

公認会計士の仕事は忙しい時期が多いため、効率的に業務を進めるスキルが必要です。以下で激務を乗り越えるためのスキルを紹介します。

効率的な時間管理と優先順位付け 

業務が集中する時期には、限られた時間をどう使うかが重要です。タスクの優先順位を明確にし、重要な業務から進めることで、無駄を省き、業務効率を高めることができます。スケジュール管理ツールやタスク管理ソフトを活用し、日々の業務を可視化するのも有効です。忙しい時期には、一定のルーチンを確立し、計画的に仕事を進めることが求められます。

チームワークとコミュニケーションの強化 

監査業務やコンサルティング業務では、チームでの協力が欠かせません。円滑な業務進行のためには、同僚やクライアントとの適切な情報共有が求められます。ミーティングの活用や明確な役割分担を行い、業務負担を均等にすることで、作業効率を向上させることができます。

ストレス管理と自己ケアの習慣化 

長期間の激務は、ストレスの蓄積を招きます。仕事のパフォーマンスを維持するためには、健康管理が欠かせません。適度な運動や十分な睡眠、趣味の時間を確保することで、心身の健康を保ち、安定した業務遂行が可能になります。

さらに、心理的なケアとして、同僚や上司とのコミュニケーションを積極的に図ることも効果的です。悩みやプレッシャーを抱え込まず、適度に相談できる環境を整えることで、精神的な負担を軽減できます。

デジタルツールとテクノロジーの活用

会計ソフトやデータ分析ツールを活用することで、業務の効率化が図れるでしょう。とくに、AIを活用した財務分析やクラウド会計システムの導入は、作業時間を短縮し、業務の質を向上させる効果が期待できます。

近年では、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入する企業も増えてきました。定型業務を自動化することで、人間が行う作業の負担を軽減し、より高度な業務に集中できます。また、データの可視化ツールを活用することで、財務分析や監査業務の精度を向上させることも可能です。

スキルアップとキャリア戦略の立案

公認会計士として長く活躍するためには、スキルの向上とキャリアの計画が欠かせません。専門知識の習得に加え、実務経験を積みながら自分の強みを伸ばすことが重要です。監査法人で経験を積んだ後、事業会社のCFOやコンサルタントとして活躍する道もあります。資格の取得や最新の会計基準・税法の学習を続けることで、市場価値を高めることも可能でしょう。自己研鑽を怠らず、長期的なキャリアのビジョンを持つことが、公認会計士としての成功につながります。

公認会計士として激務を選ぶメリットとデメリット

公認会計士として働くうえで、激務にはメリットとデメリットの両面があります。それぞれ紹介するので、働き方を検討する参考にしてみてください。

激務ならではのやりがいと報酬

公認会計士の仕事はハードですが、その分やりがいや報酬も大きいのが特徴です。監査法人やコンサルティング業界では、経験を積むことで早い段階で昇進のチャンスが得られ、高収入が期待できます。また、多くの企業と関わることでビジネスの知識が広がり、自身の市場価値を高めることも可能です。スキルを磨けば、独立や海外での活躍の道も開けるでしょう。

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激務によるデメリットとその対処法

激務による最大のデメリットは、ワークライフバランスの崩壊です。とくに繁忙期は長時間労働が続き、体力的・精神的な負担が大きくなります。しかし、業務の効率化や適切な休息の確保、キャリアプランの見直しを行うことで、負担を軽減できるでしょう。仕事の優先順位をつけ、計画的に進めることが、長く活躍するためのポイントです。

公認会計士の激務を正しく理解し、キャリアの可能性を広げよう

公認会計士の仕事は決して楽ではありませんが、その分得られるものも多い職業です。激務の実態を理解し、スキルを身につけることで、自分に合ったキャリアを築くことができます。長期的な視点で計画を立て、自身の成長を意識しながら、バランスの取れた働き方を目指しましょう。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。