「公認会計士の修了考査って、どんな試験なの?」とお悩みの方もいるでしょう。修了考査は、公認会計士の資格を取得するための最後の試験です。修了考査に合格することで、公認会計士として登録することができます。
この記事では、公認会計士の修了考査に関する基礎知識や効果的な学習法、さらには合格後のキャリアまで詳しく解説します。修了考査に向けた準備を万全に整えるために、ぜひ最後までご覧ください。
公認会計士として正式に登録するには、「修了考査」に合格する必要があります。この試験は、公認会計士試験をクリアしたうえで所定の実務補習を修了し、かつ原則3年以上の実務経験を積んだ人が受験するものです。
まずは、修了考査の概要や難易度について紹介します。
修了考査は、公認会計士試験(短答式・論文式)に合格し、所定の実務補習と実務経験を積んだ人が受験できる最終試験です。この試験に合格すると、日本公認会計士協会に登録し、正式に公認会計士として活動できます。
この試験の目的は、公認会計士として必要な専門知識や職業倫理、実務能力が備わっているかを確認することです。単なる知識の詰め込みではなく、実際の業務に応用できる力が問われます。
公認会計士試験と修了考査は、試験の性質が大きく異なります。
項目 | 公認会計士試験 | 修了考査 |
---|---|---|
試験制度 | 短答式試験と論文式試験の2段階試験 | 試験は5科目で構成され、筆記試験で実施 |
難易度 | 短答式合格率10%程度 論文式合格率30%程度 | 50~70%程度 |
目的 | 理論的な知識や学術的な理解を問う試験 | 実務経験をもとに、応用力や実践的な判断力を評価する |
内容 | 会計・監査・税務などの専門知識を問われる | 会計、監査、税務などの実務知識が重視される |
公認会計士試験は「知識の習得」に重点を置いていますが、修了考査は「実務能力の確認」が目的です。試験対策と並行して、日々の業務を通じて知識を実践的に活かす力を養う必要があります。
修了考査は、以下の5科目で構成され、2日間にわたって実施されます。
科目名 | 試験時間 | 配点 |
---|---|---|
会計に関する理論及び実務 | 3時間 | 300点 |
監査に関する理論及び実務 | 3時間 | 300点 |
税に関する理論及び実務 | 3時間 | 300点 |
経営に関する理論及び実務 (コンピュータに関する理論を含む) | 2時間 | 200点 |
公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理 | 1時間 | 100点 |
すべて筆記試験で行われ、実際の業務を想定した問題が出題されます。
修了考査の合格率は以下のとおりです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2023年(令和5年) | 1,958 | 1,495 | 76.4% |
2022年(令和4年) | 2,000 | 1,392 | 69.6% |
2021年(令和3年) | 2,174 | 1,404 | 64.5% |
引用:クレアール公認会計士「公認会計士の最終関門「修了考査」とは?対策方法や合格後の流れも解説」
年度によって異なりますが、60%から70%程度で推移しています。受験者はすでに公認会計士試験に合格しており、一定の知識を持っていますが、仕事と試験勉強を両立しながら準備を進める必要があるため、決して簡単な試験ではありません。
公認会計士の修了考査は、試験の流れを把握し、必要な準備を整える必要があります。ここからは、受験資格や申し込み方法、合格基準について確認していきましょう。
修了考査を受験するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
上記の条件を満たし、所定の単位を取得した場合に受験資格を得られます。
修了考査は毎年12月に2日間かけて実施されます。会場は基本的に、東京都・愛知県・大阪府・福岡県です。毎年6月に公表される受験案内に記載されています。
申し込み受付は例年10月頃に開始されます。申し込みは、日本公認会計士協会のウェブサイトから行うことができ、受験料28,000円の支払いと必要書類の提出が必要です。
公認会計士の修了考査は、原則として総得点の60%以上が合格基準とされています。ただし、修了考査運営委員会が適切と判断した得点比率が適用される場合もあります。また、いずれかの科目で総得点の40%を下回ると、不合格となるため注意が必要です。
試験では、実務に即した問題が出題され、単なる知識の暗記ではなく、実務的な判断力が問われます。過去問の分析や、実際の業務に即した学習が重要です。
修了考査は、実務的な知識を問われる試験であるため、効果的に学習を進める必要があるでしょう。以下で、学習スケジュールの立て方や重要な科目ごとの勉強法について紹介します。
修了考査に合格するには、一般的に約400〜600時間の勉強が必要とされています。まず、各科目の試験範囲を確認し、重点的に学ぶ分野を決めましょう。次に、過去問を分析し、頻出テーマを中心に対策を進めます。
実務経験がある方は、関連分野の学習時間を短縮できる可能性があります。たとえば、監査業務に従事している方は監査の学習負担が軽減され、税務業務を行っている方は税の勉強時間を抑えられるでしょう。一方で、経験の少ない方は600時間以上の学習が必要となるかもしれません。実務と結びつけて学ぶことで理解が深まり、模試を活用して本番を想定した演習を行うことも効果的です。また、過去問を繰り返し解くとともに、新制度の内容にも漏れなく対応し、万全な準備を心がけましょう。
各科目に応じた効果的な学習方法を取り入れることで、効率的に試験対策を進めることができます。各科目の学習ポイントは以下のとおりです。
【会計】
【監査】
【税務】
【経営】
【法規及び職業倫理】
計画的な学習と実務経験を活かした勉強を組み合わせることで、修了考査の合格を確実なものにしましょう。
修了考査に合格すると、公認会計士としての道が大きく開かれます。監査法人にとどまらず、企業やコンサルティング業界での活躍、さらには独立開業という選択肢も広がるでしょう。
ここからは、公認会計士としてのキャリアの可能性と、転職活動に役立つエージェントの活用法について紹介します。
修了考査合格後は、以下のようなキャリアパスが考えられます。
監査法人でのキャリア | 監査業務を通じて、会計や財務の専門知識を深める |
---|---|
企業内会計士 | 事業会社の経理・財務部門で、経営管理や資金調達に関わる |
コンサルティング業界 | M&Aや経営戦略の立案など、専門知識を活かせる分野で活躍する |
独立開業 | 税務や財務アドバイザリーを提供し、企業の経営サポートを行う |
修了考査合格後は公認会計士として登録されます。自分が希望するキャリアへステップアップしていけるでしょう。
修了考査合格後に転職を考えている場合は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。
【転職エージェントのサポート内容】
中でも、会計に特化した転職エージェントを利用すれば、自分の希望に合った職場を見つけやすいでしょう。
修了考査に向けた準備では、事前に押さえておくべきポイントがあります。試験勉強で陥りがちな失敗とその対策、試験当日の心構えについて確認しておきましょう。
受験者が陥りやすいミスのひとつに、実務経験を十分に活かせず、知識が定着しないまま試験に臨んでしまうことがあります。また、過去問の演習が不足していると、出題傾向を把握できず、本番での対応が難しくなることもあるでしょう。
時間配分を誤ると、解答が間に合わず焦ってしまうこともあるため、注意が必要です。過去問を活用して問題形式に慣れ、計画的な時間配分を身につけることで、より万全な準備ができるでしょう。
試験当日は、落ち着いて実力を発揮できるように準備しましょう。前日には持ち物をしっかり確認し、無理な詰め込みは避けてリラックスする時間を持つことが大切です。
本番では、各問題にかける時間をあらかじめ決め、ペースを守ることで焦ることなく取り組めます。また、緊張を和らげるために、試験前には深呼吸をしたり、簡単なストレッチを行ったりすることで落ち着いた状態を維持できるでしょう。
修了考査は、公認会計士としてのキャリアをスタートさせるための重要なステップです。しっかりと準備を整え、試験に挑みましょう。合格後のキャリアについては、転職エージェントに相談するのも一つの方法です。自分が希望するキャリアへステップアップしていきましょう。
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