国際会計士として世界で活躍したいとお考えの方もいるでしょう。国際公認会計士は、国際的なビジネス環境で活躍する会計の専門家です。海外でも通用する会計資格を持つことで、キャリアの選択肢は大きく広がります。
本記事では、国際公認会計士の役割や日本の公認会計士との違いを解説します。資格の取得方法や難易度、求められる語学力もまとめたので、参考にしてみてください。
国際公認会計士とは、海外の会計基準や税制に精通し、グローバルに活躍する会計の専門家です。多国籍企業や外資系企業の財務管理、監査、税務などを担い、国際的な視点で企業経営をサポートします。
国際公認会計士という名称には明確な定義がなく、あくまで日本における通称です。一般的には、日本の公認会計士資格ではなく、海外の会計士資格を持つ人を指します。
たとえば、米国の USCPA(米国公認会計士) や英国の ACCA(英国勅許公認会計士) などが代表的な資格です。中には、日本の公認会計士資格と海外の資格を併せ持つダブルライセンスの会計士もいるでしょう。彼らは、国際的な会計基準(IFRS)に基づいた財務監査や税務、コンサルティング業務を行い、多国籍企業や外資系企業で重要な役割を果たしています。
日本の公認会計士と国際公認会計士の違いは以下のとおりです。
公認会計士 | 国際公認会計士 | |
---|---|---|
業務を行う場所 | 国内 | 自国、またはその国以外でも活用可能 (相互承認協定のある国に限る) |
仕事内容 | 監査・税務・コンサルティング・組織内会計 | 監査・会計系業務・税務申告・コンサルティング |
日本の公認会計士は、日本基準に基づき、主に国内企業の監査や税務を担当します。一方、国際公認会計士は、国際的な基準に準拠した業務を行うため、海外での活躍の場が広がるでしょう。また、日本の公認会計士は国内資格ですが、国際公認会計士の資格は国や地域を超えて通用するケースが多い点も大きな違いです。
国際公認会計士を目指すためには、対象国の公認会計士資格を取得し、国際会計基準や各国の税務に関する知識を深めることが重要です。国際公認会計士になるために必要な資格や資格取得難易度について確認していきましょう。
国際的に認められる主な会計資格には、以下のようなものがあります。
これらの資格を取得することで、国際的な会計・監査・財務業務に対応できるスキルが証明されます。
USCPA資格の試験概要は以下のとおりです。
USCPA | 財務会計、監査、税務、選択科目の4科目で構成され1科目ずつ受験可能。 日本人の合格率は約52.8%(2022年)。 学習時間の目安1,200~1,500時間 |
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ACCA | 14科目の試験があり、全科目50%以上で合格。全科目合格まで数年かかることが多い。 学習時間の目安は約2,600時間 |
どの資格も専門知識に加えて、英語での試験や実務経験が求められるため、計画的な学習が必要です。
参考:Abitus「USCPA(米国公認会計士)とは?魅力や取得後のキャリア・難易度・試験内容を詳しく解説」
ここからは、国際公認会計士の仕事内容や活躍の場を紹介します。キャリアプランを検討する際の参考にしてみてください。
国際公認会計士の仕事は、日本の公認会計士と同じく監査や会計業務を中心にしながらも、国際税務や財務戦略のアドバイスなど、より広範な業務を担当するのが特徴です。中でも USCPA(米国公認会計士) は、グローバルな会計業務に加え、米国の法律に基づいた税務申告や英文財務諸表の作成・分析、経営コンサルティングなども行います。
日本の公認会計士と異なり、USCPAには国内での独占業務の権限はありませんが、国際ビジネスにおける強みとして活用することで、幅広いキャリアの可能性が広がります。
国際公認会計士の主な就職先としては、以下のとおりです。
国際公認会計士の資格を取得することで、キャリアの選択肢が広がり、より高度な専門知識を活かした仕事に挑戦することができるでしょう。
国際公認会計士の年収は、資格の種類や勤務先、経験年数によって大きく異なります。外資系企業や海外の監査法人では年収が高い傾向にあり、キャリアの選択肢も広がるでしょう。以下で、年収の目安とキャリアパスを詳しく紹介します。
国際公認会計士の年収は、経験や働く地域、担当する業務によって大きく変わります。アメリカでは約700万円〜2,100万円、イギリスでは約700万円〜1,400万円程度でしょう。日本で働く場合は 3,000万円〜5,000万円の年収を得るケースもあります。
これらはあくまで目安であり、実際の収入はスキルや経験によって異なりますが、全体的に高収入が期待できる職種といえるでしょう。国際資格を持つことで、キャリアの可能性が大きく広がります。転職時の市場価値も高まり、より良い条件でのオファーを受けられるでしょう。
国際公認会計士は、海外企業や日本企業の海外拠点、国際機関などで活躍の場が広がっています。国際資格を持つことで、グローバル企業の財務や監査部門で働くチャンスが増え、多国籍環境での経験がキャリアアップにつながるでしょう。
また、日本の公認会計士資格を持っている場合でも、国際会計基準に精通していれば、海外支社や現地法人で重要な役割を担うことができます。さらに、国際連合や世界銀行などの国際機関では、財務管理や監査の知識を活かし、国際プロジェクトに関わることも可能です。こうした経験を積むことで、より広い視野を持ち、世界経済の発展に貢献する道も開けるでしょう。
国際公認会計士の資格を取得することで、グローバルなキャリアの可能性が広がります。しかし、資格取得には時間と労力が必要です。国際公認会計士になるメリットとデメリットを紹介します。
国際公認会計士になるメリットとしては、以下が考えられます。
国際的な会計資格を持つことで、転職の選択肢が増え、より自由度の高いキャリア形成が可能になるでしょう。とくに、英語を活かして海外で働きたい人にとっては大きなメリットとなります。
一方で、以下のデメリットもあるでしょう。
試験に合格するだけではなく、実際に国際的な環境で経験を積むことが求められます。そのため、計画的にキャリアを築いていくことが大切です。
国際公認会計士として活躍するには、英語力と海外での実務経験が重要なポイントになるでしょう。求められる語学力や経験を紹介します。
英語力は試験のためだけでなく、実務でのコミュニケーションにも不可欠です。とくに、監査法人や外資系企業では英語を使う場面が多いため、資格取得後も継続してスキルを磨く必要があるでしょう。
また、会計分野の専門用語や契約書の英語表現に慣れておくことで、実務での対応力が一層高まり、国際的な業務にもスムーズに対応できるようになります。
海外での勤務や駐在経験があると、転職時の評価が高まりキャリアの幅が広がります。監査法人やコンサルティングファームでは国際的なプロジェクトに関わる機会があり、海外案件を担当することで実務経験を積むことができるでしょう。資格を取得するだけではなく、実際の業務を通じてスキルを磨くことがキャリアアップの鍵となります。たとえ海外勤務の経験がなくても、国内の国際部門や外資系企業での実務経験を積めば、グローバルに活躍できるチャンスはあるでしょう。
国際公認会計士の資格を取得することで、世界中の企業や機関で活躍できる道が開けます。高い専門性と英語力を身につけることで、グローバルな視点を持つ財務のプロフェッショナルとして成長できるでしょう。
資格取得の難易度は高いものの、その努力は将来的なキャリアアップや収入の向上につながります。国際的なフィールドで活躍したい方は、ぜひ挑戦してみてください。
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