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2026/02/25 公開2026/02/26 更新

プライベートエクイティ(PE)とは何か?バイアウト・グロースの仕組みと日本市場動向

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「PEファンドの仕組みやキャリアの全体像を正確に理解したい」と感じる方も多いでしょう。PEファンドは、未上場企業を買収し、経営改善によって企業価値を高め、売却益を得る投資の専門組織のことをいいます。しかし、その構造やキャリアの実態は外から見えにくいのが現実です。

本記事では、PE投資の仕組みから日本市場の動向、キャリアの可能性まで体系的に解説します。次のキャリア判断に向け、ぜひ参考にしてください。

PEファンドとは何か?定義と基本構造

PEファンドとは未上場企業に投資し、経営改善によって企業価値を高め、売却益を得る投資ファンドです。資金を出す投資家(LP)と運用を担うGP(ジェネラルパートナー)が役割を分担し、投資から回収までを中長期(7-10年)で進めます。

まずは、PEファンドの定義と基本構造について確認していきましょう。

GP・LP構造と資金フローの仕組み

PEファンドは「資金を出すLP」と「運用するGP」の分業で成り立っています

LP(リミテッドパートナー)は年金基金や事業会社などの投資家で、資金を提供します。一方のGP(ジェネラルパートナー)は運用責任者として、投資先の選定、買収、経営支援、売却までを主導するのが役割です。

収益は通常、運用資産の約2%の管理報酬と、利益の約20%の成功報酬で構成されます。資金はLPからGPへ集まり、企業買収と価値向上を経て売却され、最終的に利益がLPへ分配される流れです。この構造により、GPは投資成果に応じて報酬を得るため、高い成果が求められる仕組みとなっています。

PEファンドの4つの主要プロセス

PE投資は「資金調達・投資実行・バリューアップ・イグジット」の4段階で進みます。

資金調達

年金基金・事業会社から数百億円調達

投資実行

未上場企業を過半数株式で買収(LBO活用)

バリューアップ

経営支援・コスト改革でEBITDA2倍化

イグジット

IPO・戦略的M&Aで売却、投資家に分配(IRR20-30%目標)

まず資金調達では、年金基金や機関投資家から数百億円規模の資金を集め、投資の基盤を整えます。次に投資実行として、未上場企業の株式を取得し、経営に関与できる立場を確保。その後のバリューアップでは、経営改革やコスト改善、成長戦略の実行によって利益を拡大させます。最後にIPOやM&Aで株式を売却し、投資資金と利益を回収する流れです。

この一連の流れにより、PEファンドは高い投資利回りの実現を目指しています。

PEファンド4種類と投資対象企業

PEファンドは投資対象企業の成長段階や投資目的によって複数の種類に分かれます。代表的な種類には、バイアウト、グロース、ベンチャーキャピタル、ディストレスがあり、それぞれ投資先の状況や関与度が異なります。

種類ごとの特徴を理解することで、自身のキャリアや関わる案件の方向性が明確になるでしょう。

種類

対象企業

特徴

代表例

バイアウト

成熟企業

過半数買収・経営介入

カーライル・KKR

グロース

成長企業

少数株取得

ベインキャピタル

ベンチャーキャピタル(VC)

スタートアップ

高リスク高リターン

ジャフコ

ディストレス

再生企業

事業再編特化

インテグラル

PEファンドが選ぶ投資基準5つ

PEファンドは「企業価値を確実に高めて売却できるか」という観点で投資先を選定します。おもな投資基準は以下のとおりです。

  1. 安定キャッシュフロー
  2. 成長余地
  3. 分割可能事業
  4. 優秀経営陣
  5. イグジット可能性

もっとも重視されるのは、安定したキャッシュフローです。継続的に利益を生む企業は、借入を活用した買収や将来の売却がしやすくなるでしょう。成長余地も重要で、市場拡大や事業改善によって利益を伸ばせる企業が選ばれます。

また、事業の一部売却や再編が可能な構造であることも、価値向上の選択肢を広げる要素です。経営を担う優秀なマネジメントチームの存在は、投資後の成長を左右する重要な判断材料となります。IPOやM&Aによって売却できる現実的な出口戦略があるかどうかも重要でしょう。

FASは投資前の財務デューデリジェンスや企業価値評価を通じて、これらの投資判断を支援する重要な役割を担います。​

【比較表】PEファンド・VC・投資銀行の違い

PEファンドは企業価値向上の主体、VCは成長支援のパートナー、投資銀行は取引を支援するアドバイザーです。

項目

PEファンド

VC

投資銀行

投資対象

成熟・成長企業

スタートアップ

全企業

投資期間

7-10年

3-7年

ディール単位

関与度

経営介入

支援

アドバイザリー

年収

1,500~3,000万

1,000~2,000万

1,200~2,500万

PEは経営に深く関与し、企業価値向上の責任を負います。一方、投資銀行は意思決定を支援する立場であり、投資主体ではない点が本質的な違いです。

PEファンド投資の5つのメリットとリスク

PEファンドは高いリターンが期待できる一方で、長期投資特有のリスクも伴います。メリットとリスクの両面を理解することで、PE投資の本質とキャリア価値がより明確になるでしょう。

以下でメリットとリスクを詳しく紹介します。

投資家・運用者それぞれのメリット5選

PE投資は投資家と運用者の双方にとって、リターンと専門性の両面で大きな価値を生みます。投資家(LP)にとって最大の魅力は、株式市場を上回るリターンを狙える点です。

【投資家のメリット】

  • 株式市場を上回るリターンが期待できる
  • インフレに強い資産である
  • ポートフォリオ分散効果が得られる
  • 専門家による高度な運用を受けられる
  • 税制上のメリットを享受できる場合がある

未上場企業は改善余地が大きく、価値向上によって高い売却益を得られる可能性があります。さらに、インフレ耐性や分散投資効果により、ポートフォリオ全体の安定性向上にも寄与するでしょう。また、専門家であるGPに運用を任せることで、高度な投資機会へアクセスできます。

一方運用者(GP)にとっては、経営改善を通じた実績構築や、高額な成功報酬の獲得が大きなメリットです。

【運用者のメリット】

  • 企業再生ノウハウの蓄積
  • 経営介入の実績を構築できる
  • 高額な成功報酬を得られる
  • 強力な経営者・投資家ネットワークを構築できる
  • 次のファンド組成につながる実績を作れる

これらの実績は、将来のファンド組成やキャリアの拡大にもつながる重要な資産となるでしょう。

PE投資の5つのリスクと対策

一方で、PE投資のリスクは以下のとおりです。

リスク

内容

主な対策

資金が長期間拘束される(7〜10年)

PE投資は企業価値向上に時間がかかるため、投資資金をすぐに回収できません。

複数のファンドに分散投資し、回収時期をずらすことで資金拘束リスクを軽減します。

途中で解約できない(流動性が低い)

上場株式のように自由に売却できず、原則として満期まで保有する必要があります。

投資前に運用期間や投資戦略を確認し、信頼性の高いファンドを慎重に選定することが重要です。

情報開示が限定的で透明性が低い

未上場企業は開示義務が少なく、業績や財務状況をリアルタイムで把握しにくい特徴があります。

GPの過去実績、運用レポートの質、情報開示体制を確認し、透明性の高い運用者を選びます。

投資先の経営改善が失敗するリスク

想定どおりに業績が改善しない場合、投資価値が下がり、損失が発生する可能性があります。

投資前に財務・事業・市場環境を詳細に分析するデューデリジェンスを徹底します。

景気悪化時に売却が難しくなる

不況時は買い手が減少し、想定した価格やタイミングで売却できない場合があります。

景気の影響を受けにくい業種への投資や、ディストレス投資など複数戦略を組み合わせてリスクを分散します。

2026年日本PEファンド市場の現状と展望

日本のPE市場は急速に拡大しており、キャリア機会も大きく広がっています。2025年時点で運用資産は15兆円を超え、従来のバイアウト中心からグロース投資や再生投資へと領域が拡大中です。海外ファンドの参入と国内投資家の増加により、PE投資先のCFOや経営企画としてFAS経験者の需要も高まっています。

主要日本PEファンド10選

日本のPE市場は国内系と外資系の有力ファンドが競争しながら成長しています。

代表的なファンドには、公的資本を背景に大型投資を行うJIC、世界最大級のPEであるカーライルやKKR、ベインキャピタルなどがあります。

さらに、アジアに強みを持つMBKパートナーズ、日本企業の支援実績が豊富なインテグラルやジャパン・インダストリアルなども重要な存在です。

おもなファンドは次のとおりです。

  • JIC(Japan Investment Corporation)
  • カーライル(Carlyle)
  • KKR
  • ベインキャピタル(Bain Capital)
  • MBKパートナーズ
  • ベインキャピタル・ジャパン
  • ゴールドマン・サックスPE
  • Affinity Equity Partners
  • NIKKO PE
  • ジャパン・インダストリアル・パートナーズ(JIP)

これらのファンドは日本企業の事業承継や成長支援を担っており、PE市場の拡大とともにキャリア機会も増加しています。​

​PEファンドで働くには?求められるスキルと年収

PEファンドで働くには高度な財務スキルと経営視点の両方が求められます。投資判断から経営支援まで担うため、FASや投資銀行での実務経験が強く評価されるでしょう。

ここからは、求められるスキルと年収について紹介します。

PEファンドの必須スキル

PEファンドでは投資判断から経営支援までを担うため、財務・戦略・実行力を兼ね備えたスキルが求められます。とくに重要なスキルは次の5つです。

  • Excelモデリング(LBO・DCF)
  • 財務デューデリジェンス(財務分析)
  • 経営戦略立案スキル
  • 投資判断力
  • 交渉力

Excelモデリングは、投資後の収益性やリターンを予測するための基礎スキルです。LBOモデルでは、借入を活用した買収後にどれだけ利益が出るかを分析し、投資の可否を判断します。

財務デューデリジェンスは、企業の収益力やリスクを詳細に分析し、投資判断の精度を高める役割を担います。また、投資後の企業価値向上には、成長戦略の立案や経営改善の視点が不可欠です。

さらに、買収時や経営支援の場面では、経営陣や株主との交渉を進める力も重要になります。これらのスキルは、FASや投資銀行での実務経験を通じて身につけることが多く、PE転職の重要な評価ポイントとなるでしょう。

PEファンドの年収水準

PEファンドの年収は金融業界の中でもトップクラスの水準です。アナリストでは年収1,200万〜1,500万円程度が一般的で、投資分析やモデリングを担当します。

VP(ヴァイスプレジデント)クラスになると、投資案件の主導を担い、年収は2,000万〜3,000万円に達します。さらにパートナーになると、成功報酬の影響により5,000万円以上の報酬を得ることも珍しくありません。

PEファンドは基本給に加えて、投資成果に応じたキャリーと呼ばれる成功報酬が支払われます。そのため、投資実績が報酬に直結する成果主義の色合いが強い点が特徴です。

​PEファンドに関するよくある質問

ここからは、PEファンドに関する代表的な疑問について分かりやすく解説します。最後までチェックしてみてください。

PEファンドとVCの違いは?

PEファンドは成熟企業を買収して経営改善を行い、VCはスタートアップに投資して成長を支援します。

PEファンドは、安定した収益基盤を持つ企業の過半数株式を取得し、経営に深く関与する点が特徴です。経営戦略の見直しやコスト改善を通じて企業価値を高め、7〜10年程度で売却益の獲得を目指します。

一方VCは、創業期から成長初期の企業に少数株投資を行い、急成長による株価上昇を狙います。運用期間は3〜7年程度で、イノベーションや市場拡大の可能性が重視されます。

つまり、PEは安定企業の価値向上、VCは成長企業の拡大支援を目的とする点が本質的な違いです。

個人でもPEファンド投資は可能?

個人がPEファンドへ直接投資することは可能ですが、現実的には非常にハードルが高いのが実情です。多くのPEファンドでは最低投資額が1億円以上に設定されており、機関投資家や富裕層がおもな投資家となっています。これは長期投資で資金拘束が大きく、投資リスクも高いため、投資家を限定しているためです。

代替手段としては、PEファンドが投資する企業の株式へ投資したり、PE関連の上場ファンドを活用する方法があります。これらの方法により、個人投資家でもPE投資の成長メリットを間接的に享受することが可能です。

PEファンドの世界へ踏み出そう

PEファンドは、企業価値を高めて売却益を得る高度な投資分野であり、財務と経営の両方に深く関わるキャリアです。市場拡大に伴い、FASや投資銀行出身者への需要も高まっています。仕組みと求められるスキルを理解し、自身の経験をどう活かせるかを整理することが、PEキャリアへの第一歩となるでしょう。

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マガジン編集部

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