管理職の仕事が辛くて、あえて管理職に出世しない人も年々増えています。これまでキャリアアップ、年収アップを目指すには管理職になることが必須でしたが、これらを諦めるほど管理職がつらいと言われるのはどんな理由があるのでしょうか。
ここでは管理職がつらいと感じる7つの理由とその解決方法について解説します。
まず、管理職の仕事がつらいと言われるのはどうしてなのでしょうか。ここからは管理職がつらいと言われる理由を7つ紹介します。
管理職は上司の指示と部下の不満で板挟みになりやすいです。
管理職には上司から言われたことを部下に伝え、会社の意向をチームに反映させる役割があります。
しかし管理職の上司にあたるポジションの人は現場を見ておらず、上司の意見をチームに反映させようとすると、部下から不満が出ることも少なくありません。
そこで管理職は上司の指示と部下の不満両方を聞き、完全に両方の主張を実現できなくても、妥協点を探し双方が納得できるように話をつけることになります。しかし、現実は部下が上司の要求を呑まざるを得ません。部下が働きにくくなって不満が募ると、チームの雰囲気悪化や退職に繋がるリスクにつながります。
管理職の業務は以下の通り。
など。
これらの業務には異なるスキルが必要で、すべてを理解しないとこなすのが難しいです。頻繁に役割を切り替える必要があり、そのたびに体力を消耗させます。そのため、管理職は昇進前よりも疲れやすく、ストレスを感じやすくなってしまいます。
また、管理職は担当範囲が広く、求められるスキルも多くなります。一般社員と違い、苦手分野でも人に頼れないことが多く、これがモチベーション低下につながります。苦手な仕事を一人で乗り越えなければならない点も、管理職がストレスを感じやすい要因の一つです。
管理職は多くの人と関わる必要があり、苦手な人とも人間関係を構築しなければなりません。人間関係の問題は解決が難しく長期化しやすいため、体調を崩す原因にもなります。
管理職はさまざまな調整役を担い、苦手な人とも協働が求められます。周囲が思い通りに動かないことも多く、理不尽な状況でも解決策を提案する必要があります。
また、ポジションが限られていることによる出世競争や、仲の良かった人との仲違いも起こりえます。管理職はさまざまな人の板挟みになるため、人間関係のストレスを抱えやすく、特に職場以外のコミュニティに属していない人はより追い込まれやすい傾向があります。
管理職は部下の失敗の責任を負わなければいけない立場です。自分のミスはもちろん、自分以外の人の失敗も管理者として責任が問われることに不安を感じることもあります。
とくに一度部下が大きな失敗をしてしまうと、失敗の原因の追求、改善策の提案など業務負担に時間を割かれて他の業務に手をつける時間がなくなってしまいます。それに他人のミスが自分の出世にも影響を及ぼすため、「部下が仕事ができない」「コミュニケーションが取りにくい」タイプだと不安も大きくなりまする。
管理職への昇進は、仕事内容と求められる役割を大きく変えます。プレイヤー時代は与えられた仕事をこなし、新人に教えることが中心でしたが、管理職は他部署との打ち合わせや部署内の業務調整など、調整・管理が主な仕事となります。
管理職は、求められるスキルも変化し、仕事理解からコミュニケーション能力や周囲への気配りが重要。この変化により、プレイヤー時代は高評価だった人が管理職になって人望を失ったり評価が下がったりすることも少なくありません。求められる能力の変化に適応できるかどうかが、管理職としての成功を左右します。
管理職は仕事量の多さや勤務時間外の会議などにより、長時間労働になりやすいです。2021年の調査によると、管理職の残業時間は企業によって大きな差があり、0時間が最多の24.5%、次いで40時間以上が17.5%でした。
40時間以上の残業は1日平均2時間以上となり、帰宅後の時間も制限されます。また、労働裁量制により残業代が発生しない、または一定額になる企業もあり、特に中間管理職は残業が多くなりがちです。
仕事量、スケジュール、給与システムなど、管理職には残業を抱えやすい要因が多数存在します。
参考サイト:『管理職の働き方に関する調査』(2021)独立法人労働政策研究・研修機構
管理職の中には、報酬と仕事の負担が見合わないとして退職する人も少なくありません。通常、管理職への昇進は役職手当などで給与が大幅に上がる機会ですが、企業によっては手当が少なく、期待ほど給与が上がらないこともあります。
さらに、労働裁量制の導入により残業代が支払われなくなることも。給与が仕事量や負担に見合わないと感じると、昇進を目指して努力してきた意欲も失われかねません。
このように、管理職の報酬と実際の仕事内容とのミスマッチは、モチベーション低下や退職の要因となっています。
管理職の仕事がつらいと感じると、すぐに退職を考えてしまいがちですが、それは最後の選択肢にしましょう。退職は、これまで積み上げてきたキャリアを途絶えさせ、同じポジションに戻るには時間がかかる可能性があります。
仕事で追い込まれているとき、視野が狭くなりがちですが、解決策は意外と身近にあるかもしれません。
キャリアの転換点では困難も多いですが、それを乗り越えることで新たな成長の機会にもなります。
それでは管理職の仕事がつらいと感じたら、どんなアクションを起こせば良いのでしょうか。管理職の仕事がつらいときの対処法を紹介します。
上司と良い関係性を築けているのなら、業務の負荷について相談してみましょう。
特につらいと感じる理由が仕事量で、自分及びチームの負担になっている仕事が何かはっきりしていれば、その仕事を外の部署に回したり、外注したりすることも検討してもらえます。
また、仕事による精神的な負担も上司に話すことで新たな解決策が見つかるかもしれません。上司も同様の経験をしているはずです。同じ立場の人に理解してもらうだけでも、気持ちが軽くなることがあります。
困りごとを話せる関係性の上司なら、ミーティングやプライベートでの食事会を活用して、率直に困りごとを相談し、解決策を一緒に考えましょう。
チームが新人中心で業務が追いつかず、管理職に負担がかかっている場合、部下の育成が解決策となります。人材育成には時間がかかりますが、徐々に任せられる仕事を増やすことで、自分の業務負担を軽減できます。
さらに、仕事を理解する人が増えれば、将来的に管理職としてサポートしてくれる人材が育つ可能性も高まります。
部下の成長を支援することは、自身の負担軽減だけでなく、チーム全体の生産性向上にもつながります。今から少しずつ、将来的に仕事を任せられる人材を育てることに注力しましょう。
多くの企業では社員の身体的・身体的な問題について相談できる産業医が常駐しています。相談用の窓口が設置されているので、仕事のことで悩んでいるなら産業医に相談してみると良いでしょう。
産業医に相談することで企業が業務内容の見直しや人間関係トラブルの対応などをサポートしてくれることもあります。とくに上司と良い関係を築けている人はこのような窓口を活用しましょう。
ただ企業によっては窓口に相談することで待遇が悪くなることもあります。現代では然るべきところに相談した人が悪い待遇を受けることに対して問題視する声も出ており、信頼できる相談窓口かどうか判断したうえで相談しましょう。
相談先は企業が設置している窓口だけではありません。心の問題を抱えているならカウンセリングルームや心療内科に行くのが良いですし、とりあえず愚痴を聞いて欲しいなら友達や仲の良い同僚に聞いてもらうと良いでしょう。
また、企業の体質が問題で労働時間が長期化している、人間関係について相談したけれども自分の待遇が悪くなったなどの問題が発生した場合は労働基準監督署という選択肢もあります。
抱えている問題の種類や大きさによって、相談先の選択肢は変わってくるでしょう。したがって、管理職の仕事がつらいと感じているなら、その悩みをどうやって解決するか道筋を立てて、ベストだと思う場所に相談してみてください。
一度管理職のポジションを離れて転職すると、余程経験が無い限りは元のポジションに戻るのが難しいです。したがって最後の手段にはなりますが、さまざまな策をとっても解決の見込みが無い場合は転職も視野に入れましょう。
管理職ポジションの人材が転職活動をする場合、一般の転職サイトではそもそも求人が見つかりにくいです。そのため、自分の職種・業界や管理職に特化した転職エージェントを活用して、今よりも良い環境で働ける職場を探しましょう。
「仕事は生活・お金のために必要なもの」と割り切って、プライベートを充実させることに意識を向けるのも一つの手です。プライベートを充実させるには働いてお金を稼ぐ必要があります。「管理職の仕事もプライベートで遊ぶためのお金を稼ぐ手段」と割り切り、プライベートのためだけに仕事を頑張ることで、ストレスも気にならなくなるでしょう。
しかし、管理職をお金を稼ぐ手段と割り切ってしまうと、仕事に対しておざなりになってしまいがちです。そのため、仕事に対しては「今よりももっとお金を稼ぎたい」など目標設定も忘れないようにしましょう。
管理職は人間関係、長時間労働、環境の変化、出世競争など様々な面でストレスを感じやすいポジションです。そのため、今の職場が辛くて辞めたいと思うことも多々あるでしょう。しかし、管理職の仕事は一度離れると元のキャリアに戻るのが難しいです。そこで転職を考えているならしっかりとアドバイスができる人に相談することが大切。
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