転職を考える女性のなかには、管理職に興味を持つ人もいるでしょう。しかし「自分は管理職に向いているのか」「女性管理職として成功するためにはどうすればいいのか」と言う疑問を持つ人もいると思います。日本では女性管理職に就いている人が少なく、結婚や出産といったライブイベントとの両立への不安も持つ人がいるのも現状です。政府は「女性管理職30%」を掲げていて、女性管理職が少しずつ増加はしているものの、30%を超えている企業は9.5%にとどまっています。
本記事では女性管理職の現状と未来について解説します。また、女性管理職に向いている人や成功する人の特徴も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
参考:厚労省「http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r04/02.pdf」
日本における管理職に就いている女性の割合は、世界的に見るととても低く、主要7カ国の中では最下位であると発表されています。ここからは、女性管理職の割合や業界別の分布、世界と比較した日本の現状について解説します。
企業の意識調査によると、自社において管理職に占める女性の割合は9.4%と上昇し、過去最高を更新していますが、政府が目指す「女性管理職30%」にはまだ及ばないのが現状です。また、女性管理職が政府が目指す30%以上の企業は1割弱の9.5%と過去最高とはなったものの、1桁台にとどまっています。(※1)
企業割合で見ると役員を含む課長相当職以上の女性管理職を有する企業の割合は52.1%、役員を含む係長相当職以上の女性管理職を有する企業は60.5%です。また、役職別に女性管理職を有する企業をみると、役員を含む部長相当職ありの企業は12.0%、役員を含む係長相当職は22.3%となっています。(※2)
(※1)参考:女性登用に対する企業の意識調査(2022年)| 株式会社 帝国データバンク[TDB]
(※2)参考:http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r04/02.pdf
各業界別に課長相当以上の女性管理職の分布を見てみると医療・福祉が53%と突出して高く、次いで生活関連サービス業・娯楽業が24.6%です。その後、宿泊業・飲食サービス業が17.5%、教育・学習支援業が17.2%と続いています。(※3)
また、政府が掲げる「女性管理職30%」を超えている企業の割合を業界別にみると、上位は「小売業」が17.3%「農・林・水産省業」が15.6%「不動産」が14.8%「サービス」12.6%で、「建設業」「建設・倉庫業」は低い水準にとどまっています。(※4)
(※3)参考:http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r04/02.pdf
(※4)参考:p220813.pdf (tdb.co.jp)
日本の女性管理職の割合は上昇はしているものの、世界と比較すると12.6%と低いのが現状です。上位には、フランス、イタリア、スウェーデン、イギリス、ドイツなどのヨーロッパ諸国が名を連ね、次いでカナダ、アメリカです。アジア諸国では中国が8位、日本は9位に位置しています。
上位のヨーロッパ諸国は女性管理職の割合が30%を上回っていますが、アジア圏は15%以下であることからも、全体に割合が少ないと言えます。(※5)
(※5)参考:https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_kanshi/siryo/pdf/ka15-2.pdf
国際比較からも見て取れるように、日本では女性管理職が少ないのが現状です。ここからは、日本で女性管理職が少ない理由について解説します。
日本で女性管理職が少ない理由として、女性が活躍しやすいような福利厚生などが充実していないことが挙げられます。結婚や出産によるライブイベントにより仕事と家庭の両立が難しくなる場合があり、特に出産を機に離職する人は多いのです。
近年では住宅手当や通勤手当、社員食堂や保養所などの福利厚生が充実している企業は人気があります。たとえば、出産予定の人は住宅手当があることで、職場と託児所から近い場所への転居を視野に入れることができます。通勤時間の短縮により、家庭と仕事の両立が実現できれば、出産後もこれまで通り勤務を続けられるでしょう。
また、在宅勤務や時短勤務などがあれば、育児や介護などをしながら、働くこともできるのです。企業が福利厚生を充実させることで、女性が活躍しやすい環境を整えることに繋がります。
日本では女性管理職の割合が少ないことから前例が少なく、管理職への昇格に対してためらいや不安を持つ人も少なくありません。日本の企業では勤続年数の長さや、年功序列などで評価する傾向が強いため、産休や育児休暇を取得することで、評価や昇進に影響を与えてしまうのではという考えもあります。
また、前例が少ないことで、職場や社会の中で肯定的な評価が得られるのかという不安を持つ人がいることも、女性管理職が少ない理由です。家庭と仕事の両立が叶うのであれば管理職を目指したいと考える働く意欲のある女性のために、企業もさまざまな対策をしています
女性管理職を増やしたいと考える企業は、管理職としての適正や素質を持った人に役職に就いてもらいたいと考えています。ここからは、女性管理職に向いている人について紹介します。
女性管理職には感情的にならず冷静な対応ができる人が求められます。男性に比べると女性は感情的になりやすいと言われることもありますが、ビジネスの場においては男女問わず感情に左右されることなく、冷静かつ論理的に話をできる人が求められるのです。一方、女性ならではの責任感や正確性、きめ細やかさなどは企業業績に好影響を与えるともいわれています。
管理職は社内の部下や上司、取引先など多くの人とのコミュニケーションを取る機会が増えるため、常に冷静な対応をできることが重要です。さまざまな立場の人との間に入り、常に冷静で落ち着いた判断をできる人が、女性管理職には向いています。
女性管理職として適切なマネジメントをするためには、細やかな気配りが求められます。常に周りの状況に目を配り、誰よりも早く部下に必要なアドバイスやフォローをすることが重要です。自身の業務をこなしつつ、細やかな気配りや部下の成長をサポートできる人は、管理職としての適正を持っていると言えます。
ただし、仕事に対しての正確さや責任感を重視しすぎてしまうと、部下から厳しすぎると捉えられることもあります。細やかな気配りが裏目に出ないように注意が必要です。
管理職に就く人は、論理的に話ができることも重要です。「ロジカルシンキング」と言われる論理的思考は、自分や部下の目標設定をして、つじつまがあった結論を導き出し、行動を起こすという考え方です。
管理職は自らがプレーヤーとして、能力を発揮するだけではなく、部下を管理して常に仕事を見直す役割を持ちます。部下が理解しやすいようにわかりやすく「つじつまが合っている」と言う話し方ができる人が、管理職に向いています。
人の上に立つ立場の管理職は、人の立場を考えて行動しなくてはいけません。ただ、仕事の効率だけを重視してしまうと、部下は「この人についていこう」という気にならないのです。
人を動かすには、相手の立場を考え、愛情を持って行動することが重要です。人それぞれ考え方や個性は異なるため、個々をしっかり把握し、能力を最大限発揮できるようにする役割を担っています。どこで褒めれば頑張れるのか、どのように注意すれば理解を得られるのかを考えて行動できる人が女性管理職に向いています。
女性が管理職として成功するためには、仕事に対する姿勢を企業に理解してもらうとともに、女性が活躍しやすい環境であるかも重要です。ここからは女性管理職として成功するために必要なことを解説します。
女性が管理職として成功するには、家庭や育児と両立できることをしっかり伝える必要があります。たとえば、子どもがいる場合、発熱などが突発的に起こることも多く、急に迎えに行かなければいけない場面もあるでしょう。企業としては仕事を任せたくても、まだ子どもが小さいと仕事に支障が出るのではと考えてしまいます。
安心して仕事を任せてもらえるように、ベビーシッターの活用や家族の協力体制が整っていることなどを、具体的に伝えることで説得力が増します。
女性管理職が活躍しやすい企業を選ぶことも大切です。過去に女性を役員として登用している企業は、管理職として女性が活躍できる可能性が高いです。ロールモデルがあることで、キャリア形成の道筋も見えてきます。
また、企業の経営陣が女性の活躍推進に積極的に取り組んでいる企業であることも大切です。たとえば、周りの社員を巻き込むことで、固定概念や偏見を減らす取り組みをしていることなどが挙げられます。社員が一丸となって女性の活躍推進をしようという風土を作り出している企業は、女性管理職が活躍しやすい企業であると言えます。
女性管理職として活躍するには、相応の能力やスキル、経験をアピールすることが重要です。たとえば女性管理職として転職を考える際、採用担当者は高いスキルがあるのが当然と考えます。企業の即戦力となれる人材であることをアピールし、採用担当者に確信を持ってもらえるような工夫をするのがいいでしょう。具体的には、これまでの実績や経験だけで伝えることが難しい場合には、成績やマネジメント年数なども伝えるようにします。
相応の能力やスキルを積極的にアピールすることで、女性管理職として採用される可能性が高くなると言えます。
女性管理職の仕事は部下の育成に加え、経営者や同僚、社外の人など、さまざまな立場の人とのコミュニケーションが求められます。
たとえば、チームをリードして目標達成をするには、現場で働く人とのコミュニケーション能力が必要です。また、現場の意見に耳を傾け、相手の気持ちや立場を理解しようとすることで、お互いの信頼関係がうまれます。女性管理職として成功するためにはコミュニケーション能力を磨くことがとても大切です。
日本国内でも女性管理職を増やそうと積極的に取り組んでいる企業があります。
「株式会社ニチイ学館」の場合、女性の育児と仕事の両立を助ける目的で、全国に従業員が利用できる保育所を設置しています。女性社員が9割を超えていて、女性管理職の割合も多いことから、女性が働きやすい環境整備に注力している企業です。
また「みずほファイナンシャルグループ」では女性活躍の基本方針として、以下の「4つのR」を打ち出しています。
企業におけるダイバーシティを積極的に推進するため、「4つのR」に則った経営で、女性管理職の増加に積極的に取り組んでいます。
女性管理職として転職をする際には、日本における現状の把握と、転職に向けての準備、企業選びなどが重要です。結婚や出産などのライフイベントと仕事の両立が叶えば、女性管理職として活躍を続けることができるでしょう。女性管理職の転職を検討中の方には「WARCエージェント」の選択もおすすめです。女性管理職を目指す方はぜひ本記事を参考にしてください。
「WARCエージェント」なら、大手上場企業からIPO準備企業のベンチャー求人まで幅広く対応しています。
業界トップクラスの転職実績もあり、業界に精通しているエージェントも多数在籍していますので、ぜひ気軽にご相談ください!