情シスは社内のITシステムの管理やサポート、IT化による業務の効率化などを行う部門です。
情シスへの転職を目指している人のなかには「情シスは不要」という意見を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
本記事では情シスが不要と言われる理由や、情シスが必要な理由、今後の情シスのあり方を解説します。情シスへの理解を深めるために、ぜひ参考にしてください。
情シスが不要と言われる主な理由には、以下の4つが挙げられます。
それぞれどのような理由なのかを解説します。
ITシステムを利用した業務の自動化とAIの進化が、情シスが不要と言われる理由の一つです。従来、ビジネスで利用されるITシステムは、自社内にサーバーを設置してシステムを運用するための環境を構築するオンプレミス型が一般的でした。
近年はIT技術の進歩にあわせて、クラウド上で管理できるシステムも数多く登場しています。クラウド経由で利用できるサービスの管理や保守を行うのは、サービス提供者です。そのため、クラウドサービスを導入すればこれまでは各企業の情シスが担っていたシステム運用を行う必要性が低くなったのです。
さらに、システムの自動化やAIの進化が進んだことでクラウドサービスの利便性も向上し、さまざまな業務が簡略化できるようになりました。ITの専門知識がなくても、業務上支障なく使いこなせるサービスも少なくありません。これにより、情シスを担っていた業務の縮小化が進み、不要と言われるようになっています。
コスト削減の圧力も、情シスが不要と言われている理由の一つです。情シス部門をなくすことで人件費やシステム運用費などのコスト削減を目指すケースもあります。
ビジネスにおいて、コスト削減は利益拡大を目指すうえでは避けられません。ITシステムであれば、従来のオンプレミス型よりもクラウドサービスのほうがコストを抑えられる傾向があります。先述した通り、クラウドサービスへ移行すれば、自社での管理や保守が必要なくなり、情シスの業務を縮小できます。これにより、企業の経営者からはコスト削減がしやすい部門と思われてしまいがちです。
ビジネスが変化している一方、その変化に対応できていないことも理由として挙げられます。クラウドサービスやAIの登場により、従来は情シスが担っていた業務の必要性は低くなりました。
新しいシステムが登場すれば、経営層や社員から自社への導入を検討する声があがることもあります。しかし、通常、社内のITシステムを管理している情シスが許可を出さなければ導入できません。情シスが適切なシステムではないと判断して導入を見送っている場合もあれば、新しいシステムやビジネスの変化に適応できていないケースもあるでしょう。
こうした変化への適応の遅れによって社内でも不満が生まれ、情シス不要論まであがることもあります。
情シスは売上が上がらない間接部門であることも、不要と言われる理由として挙げられます。情シスが担っているのは、システム運用のサポートやヘルプデスクなどの社内のITインフラを支えるノンコア業務です。
これらのノンコア業務は直接利益にはつながりません。そのため、経営層からは利益を生み出さない部署と思われてしまう傾向があります。
情シスが担当するノンコア業務は、他の部署がコア業務を円滑に進めるために欠かせない業務です。情シスをなくしてしまうと、ITシステムに問題が発生すれば他の部署の社員が担当しなければならなくなります。これにより、コア業務にも支障が出てしまいかねません。
売上が上がらないことを理由に情シスをなくすと、他の部署の業務にも影響して生産性が下がる恐れがあります。こうした影響を経営層が把握していないと、間接部門の情シスをなくそうと思われてしまいがちです。
情シスが必要な理由は、主に以下の4つが挙げられます。
不要論が唱えられることもある情シスですが、なくしてしまうとさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。考えられるリスクを踏まえて情シスが必要な理由をみてみましょう。
情シスは、ITシステムの運用のほかにも、セキュリティ対策やリスク管理などを行うために必要な存在です。ビジネスにおけるITシステムの普及にともない、サイバー攻撃への備えの必要性も高まっています。
サイバー攻撃を受けると、情報漏洩やシステムの改ざんなどが起きてしまいかねません。サイバー攻撃ではなくても、人的ミスによって情報が漏洩してしまうケースもあります。
こうしたトラブルを防ぐためのセキュリティ対策やリスク管理を行うのは、情シスの役割です。トラブルが発生すれば大きな損害につながる可能性もあるため、あらゆるリスクを想定したうえで対策を施すことが求められます。
適切な対策を行うには、ITやセキュリティ対策に関する専門的な知識が必要です。そのため、専門知識をもとに対応できる情シスが必要とされています。
ビジネスプロセスの効率化をスムーズに進めることも、情シスが必要な理由として挙げられます。自社のビジネスプロセスにあったITシステムを導入し、適切に運用するためにはITシステムの知識や理解が必要です。
ビジネスプロセスを効率化するためにITシステムを活用する場合、まずは自社にどのようなシステムが必要なのか吟味する必要があります。しかし、ITシステムの知識が不十分な場合、導入後にミスマッチに気づくケースが少なくありません。使い勝手が悪くシステムの利用が広がらなかったり、逆に業務が煩雑になってしまったりすることもあるでしょう。こうした事態に陥らないよう、情シスは各部署の業務内容を把握し、必要なシステムの選択することが求められます。
ITインフラの構築と維持も、情シスが必要な理由の一つです。ITシステムを快適に利用するには、インターネットにつなぐ回線やIT機器などの環境の整備が求められます。
たとえば、PCを使うためにはネットワーク回線の構築や初期設定の実施が必要です。プリンターとPCをつないだり、ストレージを増やしたりといった作業も情シスが担当します。
ITインフラが整っていない場合、PCやシステムの使い勝手が悪くなってしまいかねません。これにより業務効率が落ちて生産性が低下してしまう恐れもあります。
また、リモートワークを導入する場合は、ITインフラの構築とあわせてセキュリティ対策も必要です。サイバー攻撃や内部犯による情報の抜き取りなどが発生しないような環境を整える必要があります。
このように、ITインフラの構築と維持を行い円滑な業務の実現とリスク管理のために、情シスが必要とされているのです。
ITシステムへ保管されているデータとアクセスの管理も情シスが行う重要な業務です。ITシステムでの社内の情報共有を行うと、システム内には業務に関わるさまざまなデータが保管されます。そのなかには社員や顧客の個人情報や取引関連資料など、機密性の高いデータも少なくありません。
それらのデータへ誰もがアクセスできる状態にあると、悪意の有無にかかわらず情報漏洩を引き起こしてしまうリスクが高まります。また、編集可能な状態であればデータが書き換えられることもあるでしょう。こうしたリスクを回避するために、データへのアクセスを適切に管理することが大切です。
たとえば、部署や役職などによってアクセスできるデータを限定したり、変更・閲覧履歴が残るように設定したりする方法が挙げられます。いつ、だれが、どのデータにアクセスし、どんな作業をしたかを管理するために、情シスが必要なのです。
これから求められる情シスの役割とあり方としては、以下の4つが挙げられます。
具体的にどのような役割があり方が求められるのかを解説します。
情シスに求められるようになった役割の一つが、DX(デジタルトランスフォーメーション)の促進です。
DX化は、単にIT技術を取り入れるだけではありません。IT技術を組織的に活用し、事業・業務の改善や組織変革などに取り組むことが目的です。
IT技術をただ取り入れても、社員によってはシステムを使いこなせず有効活用できないことも少なくありません。そのため、システムが社内へスムーズに浸透するようサポートしたり、啓蒙活動をしたりすることが情シスには求められます。
また、ITの活用を促進するため社員へのヒアリングや各部署との話し合いを行うことも大切です。ITシステムの導入に消極的な企業であれば、ITへの理解度を高める取り組みを行い、意識改革を行う必要もあります。
特に、企業の経営層がDX化を促進する役割の重要性を理解していないと、DX化が進められません。経営層も含め企業全体のIT活用への意識を高め、有効活用できるように導くことが求められます。
クラウド技術の導入も、これからの情シスには求められます。さまざまなクラウド技術が登場しており、サービスによっては業務の効率化への活用が可能です。
クラウドサービスを導入すれば、データの一元管理や社内の情報共有がスムーズにできるようになります。従来は手間や時間がかかっていた業務の自動化ができるものもあり、業務の効率化と生産性の向上にもつながるでしょう。
また、クラウドサービスは、従来のオンプレミス型よりも導入や運用にかかるコストや手間が軽減できる点も特徴です。保守や管理の手間が削減できる分、情シスもノンコア業務やDX化促進などの業務に注力しやすくなります。
AIの活用の促進もこれからの情シスに求められる役割の一つです。AIを活用すれば、業務の自動化やコスト削減などさまざまなメリットが得られます。
たとえば、AIを搭載したITシステムで会計データを管理すれば、蓄積されたデータをもとに分類や入力などの業務の自動化が可能です。さらに、大量のデータの分析も効率よく行えます。これまで人が行っていた業務をAIが代わりに行うことで、コスト削減や社員の業務負担の軽減にもつながるでしょう。
また、蓄積したデータをもとに業務の問題点を可視化できる点も特徴です。業務の効率化を進めるには、現状を正確に分析し問題点を洗い出す必要があります。AIの活用により問題が可視化され、業務プロセスの見直しもしやすくなるでしょう。
これからの情シスには、持続可能なIT戦略の開発も求められます。企業の競争力を高めるには、組織の利益や生産性を高めるためのIT戦略を打ち出していくことが必要です。
そのために、まずは各部署の業務内容や課題を把握しましょう。生産性を向上させるために、見直すべきプロセスがないかや、自社に必要なITシステムは何かを考えます。さらに、ITシステムの導入によってどのような結果が得られるかの検討も必要です。これら情報をもとに具体的なIT戦略を提案し、自社の成長戦略に貢献することを意識しましょう。
クラウド技術やAIの進化によってビジネスで活用されるITシステムも変化しており、情シスに求められている役割は変化しつつあります。これからの情シスはこの変化へ柔軟に対応していくことが大切です。
とくに、業務の効率化や生産性の向上のために、DX化やAIの活用を促進する働きが求められます。これから情シスへの転職を目指すのであれば、今後求められる情シスの役割やあり方への理解を深めましょう。
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