現役の情シス(情報システム)の中には、日頃から悩みを抱えている人は多いと考えられます。情シスが抱える悩みの多くは、業務量の多さや広範さからくるものです。悩みに対する対処法がわかると、業務効率の向上や職場でのストレス軽減が期待できます。
この記事では、情シス(情報システム)が抱える悩みあるあるや、解決方法を解説します。
職場のIT化がどんどん進んでいる現代、情シスが抱える業務上の悩みは増え続けています。ここでは、情シスが業務で抱えやすい悩みを8つ紹介します。
情シスが担当する業務は範囲が広く、仕事量も多いことが特徴です。以下に、情シスが担当する業務の例を挙げました。
企業によっては予算の問題で十分に人員を配置できず、情シス一人あたりの仕事量が多くなってしまいます。
社員からの質問や相談が毎日大量に届くため、問い合わせ対応だけで1日が終わってしまうという人も多いでしょう。
社内のパソコンやネットワークについての相談対応は情シスの仕事のうちですが、ほかのコア業務が後回しになりがちです。結果的に時間外労働をせざるをえず、過労に耐えなければなりません。
情シスには、社員から対応範囲外の依頼が来ることも多いものです。調べればわかる程度の質問や、社員が自分で管理すべきシステムのユーザー名やパスワードの問い合わせなど、対応の範疇を超えた内容も多く、長時間労働になりかねません。
情シスは少ない人数で構成される場合が多いため、対応範囲外のタスクが発生するとほかの重要な問い合わせへの返答が遅れてしまいます。
情シスは経営陣からコスト部門だと思われやすく、理解を得にくいことも事実です。情シスは、営業部やマーケティング部門のように会社の利益に直結する部門ではありません。経営陣から部門の重要性を理解してもらえず、予算や人員の拡充を渋られがちです。企業がコストカットを行う際、カットの対象として一番に情シスが挙げられるケースもあります。なお、コストカット策として、情シス部員をほかの部署と兼任させる企業も珍しくありません。
情シスはスタッフの入れ替わりが激しく、業務がブラックボックス化しがちです。人手不足が起きやすく、、日々の業務に追われてマニュアル作成や業務の引き継ぎが十分にできません。結果として、社内システムの全体像を把握している情シスがほとんどいないという事態が起きます。
メンテナンスや改修作業が効率よく行えず、さらに負担が増え、負のループに陥ってしまっているのが事実です。
IT機器やシステムには、障害が発生しても勝手に直ってしまい再現できないケースがよくあります。時間の経過や再起動で復旧する場合、専門知識を持つ情シスであっても原因の解明は難しいものです。
原因がわからないと対策も立てられず、社員一人ひとりに自己解決を促すことができません。情シスへの問い合わせ削減につながらず、業務負担は増え続けるばかりです。
情シスは企業によって仕事内容が異なるため、キャリアアップやスキルアップが難しいことも事実です。業務の割り当てが企業ごとに異なるため、他会社への転職時に必ずしも潰しが効くとは限りません。せっかく情シスの仕事に就いても、培ったスキルが他企業で活かせず悩む人もいます。
情シスを置く企業の中には、人員不足や緊急対応により、休みを取りづらい会社もあります。終わらなかった業務を処理するための時間外労働や障害が発生した際の緊急対応など、休日出勤を余儀なくされがちです。オーバーワークとなり、心身の疲れにより体調を崩す人も少なくありません。
情シスには、担当範囲を超えた問い合わせが多く寄せられます。中でもよくある内容6つを、解決方法と一緒に紹介するので参考にしてください。
情シス部への問い合わせでもとくにに多いのは、パスワードやIDに関する問い合わせです。社内のシステムであれば情シス部の担当範囲ですが、個人で設定したパスワードとIDは社員一人ひとりが管理するもののため対応しきれません。
パスワードやIDに関する問い合わせを減らすには、ブラウザのパスワード保存機能の使用や、ノートに記入し物理的に保管しておくなどの周知徹底がオススメです。
プリンターは情シスの管轄外であるにもかかわらず、不具合の問い合わせや修理を依頼する社員が絶えません。一般的に、プリンターの修理は業者が行うものであり、情シスでは対応できない内容も多いです。勝手に修理すると、メーカー保証対象外になる可能性もあります。
プリンターに不具合が生じたら、メーカーに修理を依頼するように社員へ促しましょう。
メール送受信のエラーも、情シスによく寄せられる問い合わせの1つです。送受信ができない理由として、以下が挙げられます。
ほとんどの原因は誰でも気をつけられることなので、マニュアルを社員に配っておくと問い合わせが減る可能性があります。
情シスには、パソコンやシステムが突然故障したという問い合わせもよく寄せられます。相談者は自分では何もしていないと言いますが、実際は無意識のうちに何らかの操作をしてしまっているケースがほとんどです。
情シスがIT機器やシステムの故障事例をまとめ、解決策集として配布するのがよいでしょう。
ExcelやWordなど、よく使うソフトについての問い合わせも多く寄せられます。情シス部員もオフィスツールを使いますが、得意分野は人それぞれであり専門的な知識を持っているとは限りません。
オフィスツールの使い方については、できる限り同じ部署内で解決するよう促すのがオススメです。それでも解決しない場合の問い合わせ先も用意しておくと、お互いの心理的負担を減らせます。
在宅ワークの増加にともない、社内ネットワークやVPNにつながらないという問い合わせも増えています。社員が自宅パソコンからアクセスする場合は、状況の丁寧な聞き取りが必要なため解決に長い時間を要します。
原因究明には時間がかかるため、、在宅ワークでの障害は復旧までに時間がかかる旨を普段から伝えておきましょう。
情シスは悩みの多い部署ですが、負担を軽減する方法はあります。
最もシンプルで有効な対策は、上層部への情シス増員の願い出です。人員が増えると情シス1人あたりの仕事量が減り、負担が軽減されます。
上層部へ願い出る場合、以下のような増員しなければならない根拠を準備しましょう。
ただし、増員が決まってもすぐに人材が見つかるとは限りません。とくに、情シスは即戦力になる人材が少ないため、増員は長期戦になることを心得ましょう。
情シスの負担を減らすには、業務のアウトソーシングを行うのも有効です。事務作業やヘルプデスク機能を外注すれば、情シスは本来のコア業務に専念できます。
アウトソーシングは人員を増やすよりもコストが安いため、比較的取り入れやすく提案しやすいのがメリットです。
業務がスムーズになるツールを導入し、効率化を図るという方法もあります。以下は、お悩み別の取り入れるべきツール例です。
手間がかかっている部分を洗い出し、適切なツールにより業務の効率化を図りましょう。
社内研修などを通して、社員全員のITリテラシーを底上げすることも重要です。情シスが抱える悩みのほとんどが他部署からの問い合わせであり、社員のレベルを上げることで解決できます。
IT機器の操作方法やFAQのマニュアルを作成して、全員に配布するのもよい方法です。情シスの負担が減るだけでなく、企業全体の業務が効率化する可能性もあるでしょう。
情シスの中でも「一人情シス」の体制をとる企業では、業務負担の増大が深刻です。一人情シスとは、部門を一人だけで切り盛りする体制のことで、中小企業に多く見られます。
業務が一人に集中するため、時間外労働やストレス過多などのトラブルは少なくありません。一人情シス体制の企業では予算も限られるため、アウトソーシングの導入や増員は現実的ではないでしょう。
なお、一人情シスについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
一人情シスを解決するなら、速やかに転職を考えるのが得策です。ここでは、一人情シスを回避するための転職方法を解説します。
一人情シスを避けるなら、大手企業への転職を考えましょう。一人情シスは中小企業やベンチャー企業に多く見られる体制であるため、大手企業に狙いを定めれば必然的に回避が可能です。
ただし、大手企業は倍率が高く、応募すらできないというケースは少なくありません。高倍率を回避しレアな求人に応募するには、非公開求人を扱う転職エージェントの利用がオススメです。
一人情シスを転職で回避するには、求人内容の表現に注意しましょう。以下のような表現がある場合、入社後に一人情シスとなる可能性があります。
「幅広い業務をお任せ」という文言は抽象度が高く、入社後にどのような業務を振られるかわかりません。さまざまな業務や領域を任せるという表記がある場合、内容を具体的に質問するのが得策です。
求人情報の表現があいまいな場合、メールや面接でストレートに聞いてみるのも方法の一つです。たとえば「会社規模1,000人」という表記があっても、実際は情シスが2名しかいないという企業は少なくありません。求人情報から読み取れない部分は積極的に質問し、自分に合わないと感じたら手を引くことも重要です。
情シスは、日頃の業務や問い合わせで忙殺されがちです。しかし、情シスの抱える悩みは増員やアウトソーシング、ツールの利用などにより解決できます。コストや時間効率を考慮し、企業ごとに合った方法で解決を目指しましょう。
なお、今の企業では悩みが解決されないと感じたら、他会社の情シスに転職するという手もあります。各自業界研究を行ったり、転職エージェントを利用したりすることで、自分に合う企業を見つけましょう。
情シスの職員は日頃の業務や問い合わせで忙殺されています。しかし、情シスの抱える悩みはこの記事で紹介したような方法で解消できるので、コストなどと見合わせて、企業ごとに合った方法で対応を図りましょう。
情シスの職員は他部署の職員から、IT関連なら何でも知っていると思われがちです。私用のスマートフォンや家電の相談まで受けさせられている職員もたくさんいます。情シスの悩みを軽減するには、情シスの担当範囲を明確にする・企業全体のITスキルやリテラシーを向上させて自力解決の力を養うなどの対策も重要です。