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情シス
2024/05/02 更新

情シスの生産性を上げるには?業務を効率化させる方法5選

情報システム(以下、情シス)は、企業の事業運営に不可欠なITインフラを支えています。しかし情シスでは、人手不足や過剰な業務負荷などから、生産性が低下してしまうケースが少なくありません。
この記事では、情シス部門の生産性が下がる原因と、下がることで起こりうる問題について解説します。また、RPAやクラウドなどを活用して業務を効率化し、生産性を上げる具体的な方法についても説明します。

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情シスの生産性が下がる原因

情シスの生産性が低下すると、業務効率が大きく阻害されてしまいます。生産性低下の主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。それぞれの項目について具体的に見ていきましょう。

過剰なマルチタスク

情シス部門が担う業務は多岐にわたり、「システムの設計・構築から運用・保守」「ハードウェア機器の導入・設定」「セキュリティ対策」など、幅広い業務を兼任しなければならず、業務が過剰に蓄積しがちです。

特に中小企業では、情シスの業務範囲があいまいなため、関連業務をすべて情シス担当者が抱え込むケースが多くみられます。また、問い合わせ件数の増加などで一時的に業務が集中することもあり、限られた人数で対応しきれずにマルチタスクが過剰になります。

このように、並列して複数の業務をこなさなければならない状況が常態化すると、作業の効率が低下し、ミスが発生しやすくなります。結果として生産性が大幅に低下してしまうのです。過剰なマルチタスクは、情シス部門の人員が不足していることに起因する課題とも言えます。

不適切なツールと技術の使用

情シス部門が旧式のツールや技術を使い続けている場合、作業効率が低下し非効率となります。古いツールは新しい技術に対応しておらず、追加の手作業が必要になったり、ツール間の連携が難しくなるなどの課題があります。

また、最新のツールや技術動向から取り残されると、高度な機能を活用できずに作業に手間がかかる上、セキュリティリスクも高くなってしまいます。例えば、旧式のOSやミドルウェアを使い続けると脆弱性が解消されないため、システムトラブルやサイバー攻撃のリスクが高まります。

逆に、最新のツールや技術を導入しても、情シス担当者のスキルが追いついていないと、正しく活用できずにかえって非効率になる可能性があります。ツールと担当者のスキルのミスマッチも生産性を下げる要因です。

スキルと業務要件のミスマッチ

情シス担当者のスキルと、実際に求められる業務要件にミスマッチがあると、作業効率が極端に低下し、生産性が下がってしまいます。

例えば、システム開発の経験がある担当者に、ネットワーク構築やセキュリティ対策の業務を任せた場合、スキルの乏しさから作業に手間取り、ミスも発生しがちです。逆に、インフラ系のスキルはあるが開発経験がない担当者にシステム開発を任せても同様の問題が起きます。

また、最新のクラウド技術やAI・RPAなどの活用が求められる業務に対して、担当者のスキルがレガシーなものに留まっていれば、要件を満たせずに非効率になるでしょう。

さらに、上位資格や専門知識が必要な高度な業務に、それに見合ったスキルを持たない担当者を当てはめてしまうと、単純なミスだけでなく重大な問題が発生するリスクもあります。

このように、情シス担当者と業務のミスマッチは、ボトルネックを生み出し、生産性の低下につながります。適切なスキルマッチングが重要な課題となっています。

人手不足

ITに関する専門知識と高度な技術力が求められる情シス業務においては、適切な人材を社内で確保することが極めて難しい状況にあります。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査でも、企業の89%がIT人材不足を感じていると回答しています。(※1)

一方で、IT人材の需要は今後さらに高まると予測されており、経済産業省は2030年に40万人から80万人のIT人材不足が発生すると推計しています。高度ITスキルを持つ人材を外部から確保するには多大なコストがかかるため、情シス部門での人員を十分に補強することが難しくなっています。

その結果、限られた人数の担当者で情シス業務を賄わざるを得ず、過重な業務負荷から生産性の低下や人材の流出といった深刻な問題を引き起こしています。ITの高度化が進む中で、情シス部門の適切な人員配置は喫緊の課題と言えるでしょう。

(※1)参考:IT人材育成の状況等について

社内のIT・DX化が遅れている

社内のデジタルトランスフォーメーション(DX)が遅れていると、情シス部門が扱う業務プロセスや情報システムの現代化が進まず、非効率な状態が続いてしまいます。DXの遅れは、企業全体のIT化の遅れを意味するため、情シス部門の作業環境自体が旧態依然のままになってしまう可能性があります。

具体的には、クラウドやAI・RPAなどの最新テクノロジーを業務に活用できない、レガシーシステムの運用保守に人的リソースをとられるといった課題が生じます。社内の業務プロセスやシステム間の連携が不十分なまま、情シス部門に手作業による無駄な作業が残ってしまうケースも考えられます。

また、テレワークなどの新しい働き方に対応できないことで、情シス部門の生産性が制限されてしまう側面もあります。こうした、社内のIT化およびDXの遅れが、情シス部門の生産性を直接的に阻害する要因になっていると言えるでしょう。

情シスの生産性が下がることで起きる問題

情シス部門の生産性が下がると、以下の5つの問題が生じる可能性があります。

  • プロジェクトの遅延
  • システムダウンや運用保守におけるリスク増加
  • 技術負債の蓄積
  • セキュリティインシデントのリスク増加
  • ユーザーサポートの品質低下

以下で、項目ごとに解説します。

プロジェクトの遅延

情シス部門の生産性が低下すると、システム開発やシステム移行などのプロジェクトの推進が遅れがちになります。作業効率が落ちることで、プロジェクトの各フェーズで予定より時間を要するようになり、全体工程に遅れが出てしまうのです。

また、人手不足などで業務が滞ると、手戻りや重複作業が発生しやすくなります。このようなロスによって追加の工数がかさみ、プロジェクト期間が長期化してしまう恐れがあります。それに伴い、新システムの運用開始時期が大幅に後ろ倒しになるといった、深刻な影響が生じかねません。

プロジェクトが遅延すれば、ビジネス要件に対応できずに機会損失が発生したり、延期コストが嵩んだりと、経営に多大な影響を及ぼすリスクが生まれます。特に競争の激しい分野では、遅れが重大な問題になる可能性があるでしょう。

システムダウンや運用保守におけるリスク増加

情シス部門の生産性が低下すると、システムの安定運用とタイムリーな保守作業を行うことが困難になります。保守計画の策定や保守リソースの確保が後手に回れば、システムダウンのリスクが高まります。

更に、障害発生時の初動対応が遅れがちになり、原因究明から対処、復旧作業に至るまでに時間を要します。そうなれば、障害の長期化によって、重要な業務システムが利用できなくなるなどの事態を招きかねません。

システムダウンが長期化すれば、企業の事業継続に深刻な支障をきたします。場合によっては、機会損失や企業ブランドへの打撃など、事業に甚大な被害が及ぶ可能性もあります。システムの安定運用は、企業活動の根幹を支える重要な責務です。

技術負債の蓄積

情シス部門の生産性が持続的に低下していると、システムの現代化やリプレイスが滞り、技術的な負債が累積していきます。例えば、古いシステムの運用に人的リソースをとられて新しいシステムの導入に着手できないなどの事態が想定されます。

負債が増えれば、将来的にシステム刷新を行う際のコストが大幅に嵩んでしまいます。また、技術の陳腐化によるリスクやセキュリティ上の脅威にさらされることにもなります。経年劣化したシステムを長期に渡って運用し続けることには、様々な側面でマイナス影響が出てきます。

一方で、技術負債を解消するためのリフレッシュ計画を立てることも難しくなります。このように、情シス部門の生産性低下は技術負債の増大を招き、企業のITインフラの健全性を脅かすリスク要因になり得るのです。

セキュリティインシデントのリスク増加

情シス部門の生産性が低下すると、システムのセキュリティ対策への注力が後手に回ってしまいます。脆弱性の解消や最新のセキュリティパッチの適用が遅れがちになり、サイバー攻撃の標的になりやすくなります。

一旦、不正アクセスや攻撃を受けてしまうと、システムへの被害が拡大する前に的確な初動対応を取ることが難しくなります。その結果、セキュリティインシデントに発展する高いリスクにさらされることになります。

セキュリティインシデントが発生すれば、機密データの流出や業務システムの停止など、事業活動に深刻な影響が及びます。また、顧客離れや企業ブランドの失墜といった、企業価値を毀損する恐れもあります。情シス部門の生産性低下は、こうしたセキュリティリスクの高まりにつながるのです。

ユーザーサポートの品質低下

情シス部門が人手不足などで生産性が落ちると、社内ユーザーからの問い合わせ対応に遅れが生じ、サポートの質が低下してしまいます。結果として、ユーザーの作業効率が下がり、業務全体の生産性にも悪影響を及ぼします。

適切なサポートが受けられないと、ユーザーのストレスも高まり、ITツールやシステムへの不信感が募る恐れもあります。重要な業務に支障をきたせば、顧客サービスの低下などの弊害にもつながりかねません。

サポート品質の低下は、ITリテラシーの低下や情シス部門への過剰な負荷をもたらします。場合によっては、企業ブランドへのマイナスイメージにもつながる可能性があります。ユーザーサポートの質を維持することは、全社的な業務効率と生産性を保つ上で重要な要素なのです。

情シスの生産性を上げて業務を効率化させる方法5選

情シスの生産性を上げて業務を効率化するための施策としては、以下の対策が有効です。それぞれの対策について詳しく解説します。

RPAで業務プロセスを自動化

RPAによる業務プロセスの自動化は、情シス部門の生産性向上に大きく貢献します。RPAは定型的なデスクワークをソフトウェアロボットで自動化する技術です。障害検知、システム設定作業、定期レポーティングなどの定型業務を自動化できれば、情シス担当者の業務負荷が大幅に軽減されます。

RPAでは業務フローを事前に設計し、ロボットに作業を覚えさせておけば自動実行してくれます。作業スピードが格段に上がり、ヒューマンエラーのリスクも低減できます。RPAの導入により、人的リソースを高付加価値業務に再配分することで全体の生産性が向上します。人手による非効率な定型作業をRPAで自動化し、本来の価値ある業務に人員を集中投入できる点が大きなメリットとなります。

クラウドベースのツールの活用

クラウドベースのツールやサービスを活用することは、情シスの生産性向上に大きく貢献します。クラウドを利用すれば、システムの運用や保守をベンダー側に委託できるため、情シス担当者の業務負荷が軽減されるのがメリットです。

従来、情シスではサーバーの維持管理やOSやミドルウェアの定期更新、セキュリティ対策などに多大な手間がかかっていました。しかしクラウドサービスでは、こうした運用保守業務がベンダーに委ねられるため、情シス担当者はその分の業務から開放されます。

また、クラウドならデータセンターを自社で用意する必要もありません。ベンダーの信頼性の高い環境で、システムやデータを安全に運用・管理できます。災害発生時のデータ損失リスクも低減できるメリットがあります。

クラウドサービスの種類は多岐に渡り、それぞれに得手不得手があります。情シスでは、自社の要件と予算に合わせて、最適なサービスを選定・活用することが重要です。

アウトソーシングサービスの活用

情シスでは、一時的な人手不足への対応や、特殊な専門技術を必要とする場合などに、アウトソーシングサービスを活用するのが有効な手段となります。必要なスキルとリソースを外部から確保できるため、生産性を維持しつつ課題に対処できます。

例えば、システムの移行やリプレイスなどの大規模プロジェクトでは、一時的に人員が不足しがちです。そういった場合にアウトソーサーの技術者を活用すれば、機動的に対応が可能になります。また、最新のクラウドやAI技術の導入で高度な知見が求められる場合も、アウトソースで専門家を確保できます。

アウトソーシングにはコストがかかりますが、内製化に比べて柔軟性が高く、チームの拡張性にも優れています。課題に合わせて、ベストな形でサービスを組み合わせられる点がメリットです。用途に応じて最適なアウトソーシングサービスを選択・活用することで、情シス部門の生産性は維持・向上できるでしょう。

継続的なスキルアップと教育プログラム

IT技術は日進月歩で進化を続けているため、情シス担当者には定期的なスキルアップが欠かせません。最新の技術トレンドから取り残されないよう、継続的な研修プログラムを設けることが重要です。

具体的には、クラウド・セキュリティ・AI・RPAなどの分野で研修コースを組むことが考えられます。オンラインでの学習でも良いでしょう。優秀な人材を確保するには、社員のキャリア形成支援にも注力する必要があります。

高度なスキルを維持・継承できるよう、ベテラン社員による技術伝承の取り組みも有効です。あるいは、最新技術の習得を支援する資格取得制度を整備するといった施策も考えられます。こうした継続的な人材育成により、情シス部門の技術力と生産性を維持・向上させることができるでしょう。

チャットボットで回答を自動化

ユーザーからの問い合わせ対応は、情シス部門の負荷が高い業務の一つです。この分野にチャットボットソリューションを導入することで、情シス担当者の負荷を大幅に軽減できます。

FAQ対応をチャットボットに任せることで、人手による単純作業が不要になります。AIで自然言語を解析し、適切な回答を自動的に返すことが可能です。複雑な問い合わせであれば、人間の対応へ振り分ければよく、ボットとの協働で効率化を図れます。

導入にあたっては、適切な学習データを与え、ユースケースに合わせてチャットボットをカスタマイズする必要があります。運用しながらボットの回答精度を高めていく作業も欠かせません。しかし、一旦構築が進めば、確実に情シス部門の生産性は向上するでしょう。

 情シスの人手不足はWARCエージェントで解決

情シス担当者は、システム運用や障害対応・ユーザー問い合わせなど、多岐にわたる業務で多忙を極めています。しかし、この記事で紹介したRPAの活用やクラウドサービスの利用・アウトソーシングの検討・人材育成など、さまざまな対策を講じることで、情シス部門の生産性向上を実現できます。

また、WARC エージェントから、スキルとニーズにマッチした優秀な人材を採用することもおすすめです。経験豊富なWARCのコンサルタントが、企業の要件に合わせて最適な人材を手配してくれます。情シス部門の体制強化を検討される際は、WARCエージェントの活用も選択肢の一つとしてご検討ください。

情シス(情報システム)の悩みはさまざまな工夫で軽減できる

情シスの職員は日頃の業務や問い合わせで忙殺されています。しかし、情シスの抱える悩みはこの記事で紹介したような方法で解消できるので、コストなどと見合わせて、企業ごとに合った方法で対応を図りましょう。

情シスの職員は他部署の職員から、IT関連なら何でも知っていると思われがちです。私用のスマートフォンや家電の相談まで受けさせられている職員もたくさんいます。情シスの悩みを軽減するには、情シスの担当範囲を明確にする・企業全体のITスキルやリテラシーを向上させて自力解決の力を養うなどの対策も重要です。

参考:【2024年版】情シス(情報システム)に強いオススメ転職エージェント9選

参考:【2024年版】情シス(情報システム)のオススメ転職サイト8選

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。