情報システム(情シス)関連の仕事に就きたいと思っている未経験者や、現役の担当者の中には、これからどのような資格を取得すべきか悩む人も多いでしょう。情報系の資格は種類が多いうえ難易度も異なるため、自分が取得すべき検定を知る必要があります。
この記事では、取得によって得られるメリットやおすすめの資格、勉強法などを解説します。
情シスとして働くうえで資格は必須ではないものの、持っていると実務で役立ちます。では、どのような資格があるのでしょうか。
ここでは、情シスに関連する資格の種類について紹介します。
情報系資格は、国家資格と民間資格、ベンダー資格に大別されます。
どちらのほうが優れているということはなく、どれも自身のスキル証明に役立つ資格です。自分のレベルや身につけたいスキルに合わせて、取得する資格を考えましょう。
国家資格とは、経済産業省が所管するIPA(独立行政法人情報処理推進機構)主催の試験で得られる資格です。国家の機関が管轄するため、ITに関連のある特定の製品・サービスに依存しない、一般的な知識をはかる問題が出題されます。資格の有効期限がないうえ国内の企業では知名度が高いため、アピールにつながるというメリットがあります。
また、民間資格に比べて受験料が安いのも特徴です。
ベンダー資格と国家資格の中間くらいのイメージが民間資格です。民間資格とは、ソフトウェアなどを販売する民間企業による試験で得られる資格です。受験の機会が比較的多く、中には世界に通用する資格もあります。
ベンダー資格は、特定の製品に関して深い知識を持っていることの証明が可能な資格です。
ベンダー資格としては、Cisco社のシスコ認定資格(CCNAなど)やAWS社のAWS認定資格(AWS Certified Solutions Architect Associateなど)が有名です。有効期限が設定されているものもあるので、よく確認してください。
では、資格を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは4点解説します。
情シス経験の有無に関わらず、資格取得すると未知の分野を学べます。情報系分野の資格は、初級から上級までさまざまなレベルが用意されていることが特徴です。
情シス実務は未経験でも、資格勉強で基礎を学べば業界の理解に役立ちます。情シス経験者なら、資格取得を苦手分野の克服に活かせば実務の助けになるでしょう。
情シスが資格取得すると、自分の成長度合いの可視化にもつながります。情シスとして仕事をするうえで、自分の知識やスキルアップの度合いを確かめる機会はあまりないものです。
現在のレベルに合った資格から挑戦し、少しずつ段階を上げていくことで自身の能力を見える化できます。資格を取るごとに新たな目標が見えてくるので、スキルを高めるモチベーションにもつながるでしょう。
取得する資格のレベルや企業のシステムによっては、合格後に手当をもらえる場合があります。情シス部員のニーズの高まりから、企業では経験豊富で優れた人材を求める動きが活発です。
難易度の高い国家資格に合格すると、給与に月額5,000円から30,000円ほどのアップが見込める企業もあります。合格時の奨励金を設定している企業も多いので、学習のやる気を高める要因にもなるでしょう。
資格を持っていると、就職や転職時に情シス部員としてのスキルを証明するのに役立ちます。情シスで必要な実務スキルは非常に複雑なため、自身のポテンシャルを端的に表す手段が必要です。資格は個人のスキルを示す重要な指標であり、転職の際に履歴書に記載できる強力な要素となります。
情シス関連の資格はさまざまで、自分の能力に合ったものを選んでチャレンジが可能です。資格は自分のスキルの証明であり、取得すると将来のキャリアにもよい影響を及ぼします。自分のレベルに合った情シス関連資格を取得し、転職やキャリアアップを目指しましょう。
この試験がおすすめな人
ITパスポートとは、ITに関するベーシックな知識を証明できる国家資格です。ITの基礎知識はもちろん、財務や法務、マーケティングなど、情報技術を活用できる幅広いジャンルが出題されます。
合格率平均 | 約50% |
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受験費用 | 7,500円 |
受験期間 | 年2回(春4月/秋10月) |
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「ITパスポート試験 - 独立行政法人情報処理推進機構」
この試験がおすすめな人
基本・応用情報技術者試験とは、ICTや情報処理分野におけるベーシックな知識の証明に役立つ国家資格です。試験は基本と応用の2つに分かれており、出題内容も以下のように異なります。
基本情報技術者試験:プログラミングを含めた基礎的な知識
応用情報技術者試験:基本をもとにした実践的なシステム開発
合格率平均 | 基本情報技術者:20~30% 応用情報技術者:20~25% |
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受験費用 | 7,500円 |
受験期間 | 年2回(春4月/秋10月) |
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「応用情報技術者試験」
この試験がおすすめな人
ITILファンデーションとは、ITサービスを企業に導入するための知識を問われる試験です。ITサービス導入により目標達成できた事例をもとに、システムの適切な運用方法を習得します。
合格率平均 | 非公表 |
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受験費用 | 平均40,000円~50,000円 ※コースが多数あるため、詳細はホームページ参照。 |
受験期間 | テストセンターによって異なるため、テストセンターの公式サイトを確認。 |
参考:IT&ストラテジーコンサルティング「ITILファンデーション認定資格とは」
この試験がおすすめな人
情報セキュリティマネジメント(SG)とは、2016年からスタートした国家資格です。資格を取得すると、情報セキュリティのスペシャリストとして、トラブル対策や発生時のスムーズな対応に活かせます。
合格率平均 | 50%〜70% |
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受験費用 | 7,500円 |
受験期間 | CBT(Computer Based Testing)方式により、年間を通じて随時実施 |
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「情報セキュリティマネジメント試験」
この試験がおすすめな人
クラウドコンピューティング認定プログラムとは、IT基盤の基礎知識を問われる試験です。クラウドの運用管理を行うエンジニアとして、インフラ設計やアプリケーション開発などの知識を身につけられます。
合格率平均 | 非公表 |
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受験費用 | Foundational:15,000円 Associate:20,000円 Professional・Specialty:40,000円 (毎年4月に為替レートに応じて変更) |
受験期間 | いつでも受験可 |
参考:Amazon Web Services「AWS 認定 – AWS クラウドコンピューティング認定プログラム」
この試験がおすすめな人
ネットワークスペシャリスト試験とは、企業ネットワークのような強固なシステムの運用に関する検定です。企業のネットワークを構築するために必要な要件を理解し、ニーズ通りの設計を行う知識を身につけられます。
合格率平均 | 約15% |
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受験費用 | 7,500円 |
受験期間 | 筆記により春期(4月)の年1回実施予定 |
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「ネットワークスペシャリスト試験」
この試験がおすすめな人
ITストラテジスト試験とは、企業内でITを活用し目的を達成するための知識を問われる検定です。エンジニアの中でもリーダーやマネージャー層向けの内容で、プロジェクト遂行のための実践スキルについて出題されます。
合格率平均 | 約15% |
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受験費用 | 7,500円 |
受験期間 | 筆記により春期(4月)の年1回実施予定 |
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「ITストラテジスト試験」
この試験がおすすめな人
システムアーキテクト試験とは、システムを実際に設計するための知識を問われる検定です。システムを戦略通りに具現化するための分析から、情報をわかりやすくまとめ開発を行う流れについて出題されます。
合格率平均 | 約10%~15% |
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受験費用 | 7,500円 |
受験期間 | 年1回 例年だと4月の第3日曜日 |
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「システムアーキテクト試験」
この試験がおすすめな人
ITサービスマネージャ試験とは、システム運用のリーダー層を対象としている検定です。運用管理やサービスデスク、オペレーションなどIT現場の責任者に求められる知識を習得できます。
合格率平均 | 約15% |
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受験費用 | 7,500円 |
受験期間 | 筆記により春期(4月)の年1回実施予定 |
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「ITサービスマネージャ試験」
この試験がおすすめな人
情報処理安全確保支援士試験とは、情報セキュリティの知識を証明できる国家資格です。サイバー攻撃に対応するためのセキュリティ確保や、対策について問われます。平均合格率が20%前後と非常に低いものの、情報系資格で唯一の士業であり、取得すると社会的な評価を期待できます。
合格率平均 | 約20% |
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受験費用 | 7,500円 |
受験期間 | 年2回(春4月/秋10月) |
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「情報処理安全確保支援士試験」
この試験がおすすめな人
プロジェクトマネージャ試験とは、システム開発の担当者として必要なマネジメント能力を試される検定です。システム開発を行ううえで、チームメンバーを指導するための土台となる知識について出題されます。
合格率平均 | 約10%~15% |
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受験費用 | 7,500円 |
受験期間 | 年1回 例年だと10月の第2日曜日 |
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「プロジェクトマネージャ試験」
この試験がおすすめな人
Microsoft認定資格プログラムとは、マイクロソフト製品を扱うための知識を問う検定です。プログラムには3つのレベルが用意されているため、段階的に取得しスキルアップを目指すことができます。
合格率平均 | 一般レベル:80% エキスパートレベル:60% |
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受験費用 | 1科目10,780円(学割8,580円) エキスパート12,980円(学割10,780円) |
受験期間 | 全国一斉テストになる為、毎年日程は変わります。詳しい日程はホームページ参照。 |
参考:Microsoft Learn「Microsoft 資格情報」
この試験がおすすめな人
システム監査技術者試験とは、システム評価の知識を問う検定です。情報システムの安全性確保のため、評価やフィードバックを行うスキルについて問われます。
合格率平均 | 約16% |
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受験費用 | 7,500円 |
受験期間 | 筆記により秋期(10月)の年1回実施予定 |
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「システム監査技術者試験」
ここまで情シスに関わる資格をたくさん紹介しました。取得したい気持ちはあるものの、通常業務と並行して資格の勉強をする時間が取れないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは忙しい合間でも資格取得を目指せる勉強法を3つ紹介します。
まず、資格を取得する順番を考えます。難易度の低いものから挑戦すると良いでしょう。
前項で紹介した資格のうち、ITパスポート・基本情報技術者・情報セキュリティマネジメントの順番で取得を目指してみてください。
難易度が低いものから勉強することで、基礎的な内容からしっかりと押さえることができます。そのため、初心者でも内容を理解しやすく、また中級・上級の内容は初級の応用であることも多いため、順を追って理解することができます。
ITパスポート | IT関連の基礎知識が幅広く学べる資格 |
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基本情報技術者 | 実践的なITの活用能力を身につけられる資格 |
情報セキュリティマネジメント | サイバー攻撃などの脅威から継続的に組織を守る力を身につけられる資格 |
次のポイントは、試験日から逆算して勉強することです。
ほとんどの試験では試験日程が公開されています。取得に必要な勉強時間を計算し、毎日の習慣に落とし込んでみましょう。
目的は資格取得ではなく取得した知識を仕事に活かすことです。一夜漬けで覚えようとせず、知識を身に付け業務に活かせる方法を考えることが大切です。
本をたくさん読んだだけで、全てを知識として定着させることは困難です。
知識として定着させるためには、インプットをした後、アウトプットもセットで行うようにしましょう。
参考書と問題集をセットで勉強し、問題を解きながらアウトプットの量を増やすことで記憶に残りやすくなります。
情シス関連の資格はさまざまで、自分の能力に合ったものを選んでチャレンジが可能です。資格は自分のスキルの証明であり、将来のキャリアプランも広がるでしょう。自身のレベルに合わせた情シス関連資格を取得し、転職やキャリアアップに役立てましょう。
転職の際はWARCエージェントの活用がおすすめです。情シスの求人情報がたくさんあるうえ、スムーズな転職をサポートする仕組みが整っています。ぜひWARCエージェントに登録してみてください。
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